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第8章 立ち上がライズ! ドワーフじゃーないと!

第186話 ワイバーン

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「とりあえず、みんなを安全地帯に……って」

 態勢を整え、移動しようとした、その時……上空から複数の影が私たちを覆った。
 上を見上げると……そこには、羽の生えた爬虫類が、四方八方に飛んでいた。

「あれは……」
「あれはワイバーン、バリ小さい飛竜だよ、ルリルリ!」

 ワイバーン……小説とかだとまぁまぁ厄介な敵だよね。

「今のところはこっちに気付いてねぇ、早いとこ移動するぜ、みんな!」

 ゴルドの提案通り、私たちは気づかれないよう物陰に隠れ、移動を始めた。
 そう言えば銀次くん……歩けるかな?

「いてててて……」
「ゆっくり歩け」
「うん……」

 銀次くんは看護師さんとゴルドに支えられ、歩き始めた。
 私は翡翠ちゃん、キセノンは碧ちゃん、ラピスとリンは叔母さんを守りつつ、安全地帯へと進み始めた。



「翡翠ちゃん、疲れてない?」
「うん! 大丈夫!」
「そ、そう……」

 あれから数十分は経ったよね? 子どもの体力って凄いな……。

「うぅ……くぅ……」

 銀次くんは、痛みを堪えつつ、一歩一歩歩いている。
 看護師さんとゴルドは、銀次くんと歩幅を合わせ、ゆっくりと歩いていた。
なんだけど……

「どわぁ!? お、おい! 大丈夫か!?」

 銀次くんはバランスを崩し、転倒した。
 ゴルドと看護師さんは咄嗟に銀次くんを支えようとするも……銀次くんは、2人の手を弾き返した。

「もういい……もういいよ!!」

 銀次くんはそのまま……涙を流した。
 私は銀次くんに近づき、励まそうとしたが……その時、ゴルドは、銀次くんの胸ぐらを掴んだ。
 ちょ、ちょっとゴルド、まずいって!

「おい……もういいってなんだ? もう一回言ってみろ……」
「……」

 ゴルドは……静かに怒り出し、銀次くんは、黙り込んでしまった。

「テメェ……治るチャンスがあるのに、それを棒に振るんじゃねぇぞ!!」
「……」
「いいか! 諦めるなとは言わねぇ、だがな……今までやってきたことを棒に振るような行為は絶対にするんじゃねぇ!!」

 ゴルドのその口調は、どこか説得力があった。
 銀次くんは、困惑しつつも、ゴルドの言葉を真剣に聞いていた。
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