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第8章 立ち上がライズ! ドワーフじゃーないと!

第172話 おかえりのハグ

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「ただいま」
「あら、瑠璃ちゃん、おかえりなさい」

 土手のダンジョン探索を終えてから数日。
 いかいやに戻ると、叔母さんが出迎えてくれた。

「あれ? 叔母さん、何してるの?」

 叔母さんは何をしていたのかと言うと、脚立を用意して、壁に折り紙を張ろうとしていたのだ。

「あぁ、そろそろ営業再開しようと思ってねぇ、まだ前準備の段階だけど」
「ふーん」

 営業再開か、まぁ確かに最近どこも通常通りに戻してきてるし、うちもそろそろやらなきゃね。

「あ、ルリルリ! おかえりー!」

 叔母さんと話していると、店の奥からリンが現れ、私に抱き着いてきた。

「おおっと……ただいま、リン」

 私も抱きしめ返し、戻ってきたことを証明した。
 数日も会えなかったからか、リンの抱きしめる力は結構強かった。

「瑠璃はん、おかえりなさい」
「瑠璃ちゃん……おかえり」

 しばらく抱き合っていると、ラピスとキセノンも私を迎えてきた。

「2人とも、ただいま」

 帰宅の挨拶を言うと、私はリンに先程やったように、抱きしめ合った。

「瑠璃ちゃん……そういえば……やってほしいこと……ある」
「やってほしいこと?」
「うん……後で……地下室……来て」
「うん、わかった」

 私にやって欲しい事? 一体なんだろうか?

「おう、瑠璃戻ってたのか、営業再開するって言うからよ、ガキどもを迎えるためにも何か装飾した方が良いと思って、折り紙っつうの作ってみたんだ」
「へぇ、これゴルドが作ったの?」
「おうよ、琥珀さんが『なんか味気ない』って言ったもんでな」

 ゴルド、結構考えてるんだな、失礼かもしれないけど。

「ま、瑠璃ちゃんが戻ったところで、そろそろご飯にしましょ、ゴルド、手伝っておくれ」
「は、はい!」

 叔母さんは脚立を片付け、ゴルドと一緒に台所へと向かった。
 確かにちょっとお腹空いたな、何か食べたいかも。

「それじゃ……地下室……行こう」
「うん、そうだね、リンとラピスも来る?」
「もちろん!」
「ウチらも行くで」
「じゃ、いこうか」

 私たちは地下室へと向かう……んだけど。

「じゃあアタシはここ!」
「ウチはここやな」

 リンとラピスは私の片腕を己の片腕と絡ませ、手を繋いできた。
 な、何いきなり!?

「むぅー……私も……瑠璃ちゃんと……手……繋ぎたい」
「ノンノン! ルリルリの背中なら空いてるよ!」
「そっか……じゃあ……」

 キセノンは何かを思いついたかのような顔で頷くと、羽を広げ、私の背中にダイブしてきた。

「ちょ、ちょっと3人とも……」
「それじゃ! 地下室へしゅっぱーつ!」
「ほな、歩いてや」

 いやいや、なんでこんな状態で!? みんなそんなに寂しかった!?
 別に嫌な感じはしないけどさ……。

「瑠璃ちゃん……重く……ない?」
「ちょ、ちょっとキセノン……耳元で囁かないで……」
「あ……ごめん……」

 別に重くはないが、この体勢、端から見たらシュールすぎる気がする。

「さぁほら! 行こうよ!」
「わ、わかったよ……」

 私たちは異様すぎる体勢で、地下室へと歩き出した。
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