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第7章 吸血鬼、日々鍛えてますから!

吸血鬼の過去 その2 ~父のアドバイス~

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「……そこまで!」

 はぁ……はぁ……また負けた。
 何回やっても……何回やっても……他の「きょうだい」に負けてしまう。
 何度鍛えても、何度戦っても……他の「きょうだい」には追いつけない。
 何故なのか……。

「よし、今日はここまで……と、キセノン」
「はい……お父さん……」
「話があるから私と一緒に来なさい、さぁ、他の皆は食事を」

 お父さんから話? ……あまりに私がダメだからお説教でもするのだろうか?
 他の「きょうだい」が皆家へと入り、食事の席に向かおうとしている中、私はお父さんの元へと急いだ。

「まぁ、ここじゃあなんだ、ついてきなさい」
「……はい」

 お父さんが羽を広げたのと同時に、私も羽を広げ、飛び立った。



「……ここなら邪魔は入らないだろう」

 お父さんは、静かな山の頂上へと私を案内した。

「……ここで……何か……修行ですか? お父さん……」
「いや、修行じゃない」
「……?」

 修行じゃない? じゃあなぜ私をここに連れてきたのだろうか?

「お前……何か悩んでいないか?」
「悩み……ですか?」

 お父さんはいつもの厳しい口調ではなく、優しく語りかけるような口調で私に語り掛けた。
 悩み……あるにはあった、でも、これをお父さんに話すのは……。

「まぁ、言わなくても悩んでいることは分かる」
「……分かる……ですか?」
「もう何百年も一緒なんだ、すぐに分かる」

 すぐに分かる……お父さんは予知能力者な何かなのだろうか?

「お前……最近、試合が負け続きで、自身が無くなっているんじゃないか?」
「……」

 図星だった、私は勝てないことで自信が持てず、次第に何をやっているのか分からなくなっている……。

「はい……恥ずかしながら……そうです」
「そうか」

 お父さんは私に同情するように、肩に手を置いてきた。

「いいか、キセノン。お前はお前、人は人……何のためにここまでやったのか、1回振り返ってみろ」
「なんの……ために?」
「あぁ、お前は何故ここまでやってきた? 俺が修行しろと言ったからか?」
「いや……それは……」
「違うだろ? じゃあ何故だ?」

 何故……私がここまでやってきたのか。
 答えは……既に分かっていた。

「鍛えるのが……楽しいから」
「だよな、お前は修行……特に学問の修行をしている時、とても嬉しそうな……楽しそうな感じが伝わるぞ」

 ……確かに、知識を得ることはとても楽しい。
 新たな知識を得ることによって、まるで自分が一皮剥けたような……そんな感じがする。

「その楽しい気持ち、体術にも適用してみたらどうだ?」
「鍛えるのが……楽しい……とかですか?」
「だな、以前はできなかったができるようになった……試合には負けたが違う面で勝てるようになった……そんなことを考えながら鍛えなさい、そうすれば自然と楽しくなると俺は思うぞ、わかったか?」
「……つまり……何かできるようになったことを振り返れと……そういうことですか?」
「そういうことだ」

 うーん……今日で言えば、新しい技を決めることができた、かな?
 確かに今日も試合では負けた、けど、一皮剝けたのかも。

「さ、話は終わりだ、飯にするぞ、キセノン」
「はい……お父さん」

 私とお父さんは羽を広げ、食事の席へと急行した。
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