現代にダンジョンが現れたので、異世界人とパーティ組んでみた

立風館幻夢/夜野一海

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第7章 吸血鬼、日々鍛えてますから!

第171話 飛び立つ吸血鬼と侵攻計画

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「……っと元に戻ったか」

 周りを見ると、元の土手に戻っていた。
 他のサンルート人の探索者も、元の土手に戻ったことを確認すると、散り散りになっていった。

「うわぁ、ほんとだ! 元に戻った!」

 碧ちゃんはキセノンの体を揺さぶり、喜びを露わにしていた。

「碧ちゃん……危ないから……家まで……送ってあげる」
「ほんと?」
「うん……場所……教えて……」
「うーんとね……」

 どうやらキセノンが碧ちゃんを家まで送るらしい。
 まぁ、確かに送ってあげたほうが安心だね。

「それじゃ……碧ちゃん……送ってくる……」
「お姉ちゃんたち、バイバイ!」

 キセノンに抱えられている碧ちゃんは私たちに手を振り、私たちもそれを返した。

「気を付けてね、キセノン、碧ちゃん」
「ノンノン、アオアオ! またね!」
「道中気を付けや!」
「キセノン、くれぐれも落とすなよ!」

 私たちは飛び立つ2人を見送った。
 ……飛び立つのを確認し、私は3人に向かってつい大声を出してしまった。

「なんでさっきそっぽ向いてたの!?」

 ……なぜキス魔と化したキセノンを放置していたのか、私にはわからなかった。
 しかもゴルドに至っては二回目だし。

「いやさ、ノンノンがしたそうだったから止める理由なんてバリないじゃん?」
「せやせや、したいならすればええし」
「ワシらが介入してどうする?」

 ……3人とも変に仲間思いだな。

「それより瑠璃はん、大学院はええんか?」
「あっ……」

 そういえばそろそろ戻らないと……。
 教授の態度は軟化してるが、戻らないと怒られそうだし。

「じゃ、じゃあみんな! 明日は家に帰るから! 叔母さんによろしくね!」

 私は3人に向かって手を振り、大学院に向かって走り出した。

「バイバイ! ルリルリ!」
「ほなまた明日な!」
「琥珀さんには伝えとくぜ!」

 私は3人の言葉を尻目に大学院へと急いだ。



「……報告しろ」
「はい、この星の住民は皆、順調に混乱しています」
「……そうか」

 とある場所、玉座に座る人物に向かって、ローブを着た女が何かを伝えていた。

「そろそろ我々も次の段階に……と言いたいところですが、少々問題が……」
「……問題?」
「はい、一部の国では……探索者たちが、別の世界に転移してもなお、ダンジョン探索をしている模様です」
「なるほど……それは確かに問題だ」
「特にこの近くの国……日本と呼ばれる国では、それが特に謙虚に見えます、こちらをご覧ください」

 ローブの女は杖を取り出し、巨大なスクリーンを出した。

「ここに映っている者は……」
「はい、『この世界の人間』と『私たちの世界にいる者たち』です」
「この者たちが持っているもの……あれはなんだ? カードのように見えるが……」
「恐らくダンジョンで手に入れたのでしょう……」

 映像の中にいる5人、5人はカードを腕輪に通し……それぞれ5色の戦士に変身した。

「これは……」
「これは非常に厄介です、『我らが生み出した』ダンジョンの力……それによって、このような戦士に変身した模様です」
「なるほど……確かにこれは厄介であるな……」
「ですが……対策は万全です」

 ローブの人物は……5人が付けていた腕輪とカードと似たものを取り出した。

「これをあなた様が付け、変身すれば……」
「……なるほど、これさえあれば、我らの軍事力も示すことができる……」
「はい……このまま軍事力を高め続ければ、我らがこの世界を手に納めるのも時間の問題……」
「よし……では最初の目標は……」
「ここから一番近い……日本、ですね」
「ふふふ……」
「……ふははははは!!」

 2人は、高笑いをした。
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