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第7章 吸血鬼、日々鍛えてますから!
第155話 「害獣」
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「うーん……海底帝国か」
あれから3日ぐらい経ったかな。
私は海底帝国について気になって仕方がなかった。
キセノンの言う通りなら……なんか、不安だ。
もしも……日本に侵略して来たら? 近隣諸国が侵略されたら? 今異世界人同士が争っているアメリカやカナダが攻められたら?
論文を書き上げながら、私は考え続けた。
「……にしても、みんなの資料、参考になるね」
リン達から得た情報は、とても参考になる……これは称賛されること間違いなし、私の考えが正しかったことが証明される。
……というのも、異世界の民への関心が世間的に広まっている。
突然来訪した謎の民族……ネット上でもその話題で持ちきりだ。
……しかし、関心と同時に、彼らを見る目は冷たい、公園を占拠したりしているのは勿論、最近ネットニュースで、異世界人たちが派閥を組み、農家や養鶏場などに盗みを働くことが出ているらしい。
しかも厄介なのが、彼らの中には武器を持っていたり、魔法でその場を切り抜けたりなど、警察でも捕まえられたのはごく少数、逮捕しようにも彼らには国籍も何もなく、法で裁いて処罰された後、彼らをどのようにするのかが決まっていない。
強制送還しようにも、彼らは「ここが我々の故郷だ」と言い張っているし、だからと言って野放しにするとまた犯罪に手を染める。
どうにかならないものかなぁ……。
『まーた害獣どもの仕業か』
『動物が果物盗んだんだから、猟友会が退治してくれよ』
『勝手に来ては勝手に荒らす、害獣そのものだな』
……ネットニュースのコメントや、SNSではこんなコメントで溢れかえっていた。
害獣……サンルート人の蔑称だ、獣人だろうが人間だろうが、サンルート人なら「害獣」呼ばわりである、なんか悲しいな……。
彼らだって、生きるために仕方ないはず……まぁ、全員が全員善人だとは限らないけど。
もし……これがエスカレートしたらどうしよう……何か不安だ。
例えばリン達になにかあったら……。
「猪飼くーん……論文の調子はどうかな?」
私が考え事をしていると、教授が奇妙な笑顔で私のデスクにやってきた。
……ここ最近、教授の態度がいつもと違う、前まで論文を出したら激昂していたのに、いざリン達から得た資料を参考に論文を出すと、態度を改めだした。
異世界人と同居している証拠に、みんなと一緒に写真を撮ったり、みんなの身体的な特徴が分かるように全体写真を撮らせてもらったり……とにかく、色んなものを出した。
虫が良い奴……とは思ったけど、まぁ状況が状況だし、やっと私の事を認めてくれたわけだし、別にいいんだけど。
「まだ途中です、すみません」
「いいっていいって! いやはや、私も馬鹿だったねぇ、異世界が存在しないだなんてさぁ、この間は申し訳ないねぇ! 君はこの研究室の自慢だよ!」
「……そうですか」
なんだい、前は恥さらしだなんだ言ってたのに。
「そんな事より猪飼くん! そろそろご飯を食べたらどうだい? もうすぐ13時回るけど、君、何も食べてないだろう?」
「……そうですね、何か食べてきます、論文は今日中にまとめますので」
「いいっていいって! 人間休まなきゃ! ゆっくりでいいよ! ゆーっくりね!」
「……はい」
いつもよりテンションが高い教授……なんか、やっぱり気味悪いな……まぁいいけど。
教授の言う通り、そろそろお昼ご飯でも食べるか……。
私は席を立ち、大学院を出た。
あれから3日ぐらい経ったかな。
私は海底帝国について気になって仕方がなかった。
キセノンの言う通りなら……なんか、不安だ。
もしも……日本に侵略して来たら? 近隣諸国が侵略されたら? 今異世界人同士が争っているアメリカやカナダが攻められたら?
論文を書き上げながら、私は考え続けた。
「……にしても、みんなの資料、参考になるね」
リン達から得た情報は、とても参考になる……これは称賛されること間違いなし、私の考えが正しかったことが証明される。
……というのも、異世界の民への関心が世間的に広まっている。
突然来訪した謎の民族……ネット上でもその話題で持ちきりだ。
……しかし、関心と同時に、彼らを見る目は冷たい、公園を占拠したりしているのは勿論、最近ネットニュースで、異世界人たちが派閥を組み、農家や養鶏場などに盗みを働くことが出ているらしい。
しかも厄介なのが、彼らの中には武器を持っていたり、魔法でその場を切り抜けたりなど、警察でも捕まえられたのはごく少数、逮捕しようにも彼らには国籍も何もなく、法で裁いて処罰された後、彼らをどのようにするのかが決まっていない。
強制送還しようにも、彼らは「ここが我々の故郷だ」と言い張っているし、だからと言って野放しにするとまた犯罪に手を染める。
どうにかならないものかなぁ……。
『まーた害獣どもの仕業か』
『動物が果物盗んだんだから、猟友会が退治してくれよ』
『勝手に来ては勝手に荒らす、害獣そのものだな』
……ネットニュースのコメントや、SNSではこんなコメントで溢れかえっていた。
害獣……サンルート人の蔑称だ、獣人だろうが人間だろうが、サンルート人なら「害獣」呼ばわりである、なんか悲しいな……。
彼らだって、生きるために仕方ないはず……まぁ、全員が全員善人だとは限らないけど。
もし……これがエスカレートしたらどうしよう……何か不安だ。
例えばリン達になにかあったら……。
「猪飼くーん……論文の調子はどうかな?」
私が考え事をしていると、教授が奇妙な笑顔で私のデスクにやってきた。
……ここ最近、教授の態度がいつもと違う、前まで論文を出したら激昂していたのに、いざリン達から得た資料を参考に論文を出すと、態度を改めだした。
異世界人と同居している証拠に、みんなと一緒に写真を撮ったり、みんなの身体的な特徴が分かるように全体写真を撮らせてもらったり……とにかく、色んなものを出した。
虫が良い奴……とは思ったけど、まぁ状況が状況だし、やっと私の事を認めてくれたわけだし、別にいいんだけど。
「まだ途中です、すみません」
「いいっていいって! いやはや、私も馬鹿だったねぇ、異世界が存在しないだなんてさぁ、この間は申し訳ないねぇ! 君はこの研究室の自慢だよ!」
「……そうですか」
なんだい、前は恥さらしだなんだ言ってたのに。
「そんな事より猪飼くん! そろそろご飯を食べたらどうだい? もうすぐ13時回るけど、君、何も食べてないだろう?」
「……そうですね、何か食べてきます、論文は今日中にまとめますので」
「いいっていいって! 人間休まなきゃ! ゆっくりでいいよ! ゆーっくりね!」
「……はい」
いつもよりテンションが高い教授……なんか、やっぱり気味悪いな……まぁいいけど。
教授の言う通り、そろそろお昼ご飯でも食べるか……。
私は席を立ち、大学院を出た。
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