168 / 424
第6章 さぁ、ファッションショータイムだ!
サキュバスの過去 その7 ~支部長~
しおりを挟む
……次の日、ウチはオカンが教えてくれた場所へと向かった。
目立たないように、大きめのローブに身に纏い、男を避けながら歩く。
……端から見たウチは、完全に怪しい奴やった。
「探索者ギルド……ここやな!」
そそくさと歩いていると、目的地に着いた。
大きな看板に書かれている文字……間違いなかった。
さて、入ろう……と思ったんやけど。
「……は、入れん」
目の前に、男の探索者が屯していた。
……怖い、入れない。
足がすくんで、その場に立ち止まってしまった。
……興味本位で来たはええけど、別に入りたいわけでもあらへんし、ここは帰るか。
そう考え、体を後ろへ戻そうとした……その時やった。
「……なんだ? ずっとそこで立ち止まっているようだが、入所希望か?」
突然横から声を掛けられ、ウチはビクついてもうた。
声を掛けた人は……虎獣人の女の人やった。
背丈はウチより少し高い、動きやすそうな革製の鎧を身に纏って、短剣を2つ装備していた。
「あ、えっと……そ、そうです」
ウチは思わず、そんな風に答えてしもうた。
すると、女の人は……満面の笑みをウチに見せてきた。
「そうか! いやはや、この辺の地域は入所希望者が少なくてねぇ、歓迎するよ! ついてきたまえ!」
「は、はい……」
ウチは彼女に圧倒されてしまい、ついていってしまった。
「君、名前は? 私は『アンモラ』、アンって呼んでくれ」
「ら、ラピスと申します……」
「ラピスか、よろしくな……なるほど礼儀正しい、君はサキュバスかな?」
「は、はぁ……そうですけど……」
「珍しいねぇ、確かにこの近くに遊郭街があったよな? そこから来たのかい?」
「はい……」
「そうか! いやはや、うちに所属している男衆がよくそこに遊びに行くと言っていたねぇ、あ! そういえば女もあそこのインキュバスがかっこよくて好きとか言ってたなぁ、私にはそうは見えないのだが……そうそう! ここの男はとても豪快で乱暴なんだ、この間なんか……」
女の人……アンはんは、ウチに話す隙を与えず、一方的に話し始めた。
ウチは彼女に乗せられるかのようについていった。
そして気が付くと……受付の前に立たされていた。
「こ、これはアンモラ支部長!?」
「おう! 新たな入所希望者連れてきたぜ!」
し、支部長!? つ、つまりアンはんって……お偉いさんかいな!?
「いやはや嬉しいねぇ! 最近人手不足で助かるってもんだ!」
「は、はぁ……」
「そうだ! ここであったのも何かの縁だろう! 査定が終わったら私のところに来てくれ! この建物の一番上の回で待ってるからな! それじゃ、あとよろしく! 受付員さん!」
ウチは受付員の人に連れられ……そのまま査定を受けることになった。
……まぁ、受けるだけ受けてみるか。
目立たないように、大きめのローブに身に纏い、男を避けながら歩く。
……端から見たウチは、完全に怪しい奴やった。
「探索者ギルド……ここやな!」
そそくさと歩いていると、目的地に着いた。
大きな看板に書かれている文字……間違いなかった。
さて、入ろう……と思ったんやけど。
「……は、入れん」
目の前に、男の探索者が屯していた。
……怖い、入れない。
足がすくんで、その場に立ち止まってしまった。
……興味本位で来たはええけど、別に入りたいわけでもあらへんし、ここは帰るか。
そう考え、体を後ろへ戻そうとした……その時やった。
「……なんだ? ずっとそこで立ち止まっているようだが、入所希望か?」
突然横から声を掛けられ、ウチはビクついてもうた。
声を掛けた人は……虎獣人の女の人やった。
背丈はウチより少し高い、動きやすそうな革製の鎧を身に纏って、短剣を2つ装備していた。
「あ、えっと……そ、そうです」
ウチは思わず、そんな風に答えてしもうた。
すると、女の人は……満面の笑みをウチに見せてきた。
「そうか! いやはや、この辺の地域は入所希望者が少なくてねぇ、歓迎するよ! ついてきたまえ!」
「は、はい……」
ウチは彼女に圧倒されてしまい、ついていってしまった。
「君、名前は? 私は『アンモラ』、アンって呼んでくれ」
「ら、ラピスと申します……」
「ラピスか、よろしくな……なるほど礼儀正しい、君はサキュバスかな?」
「は、はぁ……そうですけど……」
「珍しいねぇ、確かにこの近くに遊郭街があったよな? そこから来たのかい?」
「はい……」
「そうか! いやはや、うちに所属している男衆がよくそこに遊びに行くと言っていたねぇ、あ! そういえば女もあそこのインキュバスがかっこよくて好きとか言ってたなぁ、私にはそうは見えないのだが……そうそう! ここの男はとても豪快で乱暴なんだ、この間なんか……」
女の人……アンはんは、ウチに話す隙を与えず、一方的に話し始めた。
ウチは彼女に乗せられるかのようについていった。
そして気が付くと……受付の前に立たされていた。
「こ、これはアンモラ支部長!?」
「おう! 新たな入所希望者連れてきたぜ!」
し、支部長!? つ、つまりアンはんって……お偉いさんかいな!?
「いやはや嬉しいねぇ! 最近人手不足で助かるってもんだ!」
「は、はぁ……」
「そうだ! ここであったのも何かの縁だろう! 査定が終わったら私のところに来てくれ! この建物の一番上の回で待ってるからな! それじゃ、あとよろしく! 受付員さん!」
ウチは受付員の人に連れられ……そのまま査定を受けることになった。
……まぁ、受けるだけ受けてみるか。
0
お気に入りに追加
50
あなたにおすすめの小説
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
〈社会人百合〉アキとハル
みなはらつかさ
恋愛
女の子拾いました――。
ある朝起きたら、隣にネイキッドな女の子が寝ていた!?
主人公・紅(くれない)アキは、どういったことかと問いただすと、酔っ払った勢いで、彼女・葵(あおい)ハルと一夜をともにしたらしい。
しかも、ハルは失踪中の大企業令嬢で……?
絵:Novel AI


とある高校の淫らで背徳的な日常
神谷 愛
恋愛
とある高校に在籍する少女の話。
クラスメイトに手を出し、教師に手を出し、あちこちで好き放題している彼女の日常。
後輩も先輩も、教師も彼女の前では一匹の雌に過ぎなかった。
ノクターンとかにもある
お気に入りをしてくれると喜ぶ。
感想を貰ったら踊り狂って喜ぶ。
してくれたら次の投稿が早くなるかも、しれない。

ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる