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第6章 さぁ、ファッションショータイムだ!

第137話 男が苦手な理由

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「ふぅー……まさか美月はんが女やったとは……」

 安全地帯を出るや否や、ラピスはそんなことを口にした。
 緊張が解け、力が抜けきった様子だった。

「ほんま、ウチは失礼な奴や……」
「まぁまぁ、仕方ないよ、ラピラピ」

 リンは緊張がほどけたラピスの背中を摩り、彼女を慰めた。
 ……ラピスの男性恐怖症がここまでとは思わなかったな、私も。
 そういえば……。

「あのさ、ラピス」
「なんや?」
「その……失礼な質問かもしれないけど……なんで、男性がそこまで苦手なの?」
「……」

 ダンジョンに入る前、ラピスは男性が苦手な理由を語ろうとしてたけど……それどころじゃなくなっていたので、聞きそびれてしまっていた。
 私が質問をすると、ラピスは……下を向いてしまった。
 ……やっぱり質問しない方が良かったかな。

「……それはな、ウチの幼少期にさかのぼるんや」
「……幼少期?」

 ラピスは沈黙を解き、口を開いた。

「ウチが遊郭街生まれなのは話したやろ?」
「うん、それは聞いたけど……」

 確か、この世界で言う新宿の辺りだよね? ラピスの実家って。

「そんでな、そういう街ってのは……当たり前やけど、男がめっちゃ来るやんか」
「うん、まぁ……そりゃそうだね」
「……でな、ウチらサキュバスとインキュバスってのは……小さいうちは人の性欲から生まれる精やらなにやらってのは吸収できないんや」
「へぇー……」

 これはいい情報だ、論文の参考になるかも。
 ということは、彼らは人間で言う二次成長を迎えることで、精を吸収できる能力を得る……というのが考えられるね

「……そんで、ある日の事や、幼少期のウチは、魔が差して夜の街に出てもうたんや……両親から『夜の街は危険だから大人になるまで出るな』って言われてたんやけど、その警告を無視して……」

 ……なんか、その後の事、大体想像できる……かも。

「……で、ウチは……街に出た瞬間、男に声を掛けられた……それも集団で」
「あぁ……」

 ……集団で声を掛けられる、それは確かに怖い。

「いくらで買える? どういうのができる? ……そんなことを言われたんやけど、子どものウチには理解できんかった……ウチは沈黙するしかなかった……」
「そりゃ子どもがそんなこと聞かれたら何にも答えられないよね」
「まぁ向こうさんもそれは理解していなかったんやろな……ほんでな、しばらく沈黙してたら……欲にまみれた男どもが痺れを切らして……ウチを誘拐しようとしたんや……ウチは何もできんくて、恐怖で震えてもうたんや……」
「……」

 それは確かに……怖いし、何もできない……。
 相手は自分より体格がいい、下手をすれば殺されるかもしれない……考えただけで恐ろしい。
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