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第5章 異世界人、ショッピングモール、ベストマッチ!

第108話 その場のノリで

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 ……そこまで男性が苦手なのだろうか? 何か辛い過去でもあったのかな?
 ……恥ずかしい、か。

『キスは唇と唇を繋げるだけって言ったけどさ……もしかして、私意外と……その……したの?』
『うん!』
『え、ということは、ラピスとも?』
『ラピラピと? したよ?』

 ……ふと、さっきした会話を思い出してしまった。
 ラピスは……リンとキスして、嫌じゃなかったのかな?
 なんだろう……リンが私意外とキスしたって聞くと、凄い……違和感というか……なんというか……。
 ちょっと、聞いてみようかな。

「ねぇラピス、ちょっと聞いていい?」
「なんや?」
「その……ラピスって……えーっと」

 なんだろう、私ったらなんでこんな質問しようと思ったのか。
 端から見たら、ラピスに嫉妬しているみたいじゃないか。

「あの……リンとさ……」
「アタシ? アタシがどうかしたの?」

 リンの名前を上げると、当の本人が反応してしまった。
 やばい、余計に話しづらい。
 でも話さなきゃな……隠し事は無しだし。

「その……ラピスって、リンと……キスしたことあるんだよね?」
「そら……何度かあるで? な、なんでそんなこと聞くんやいきなり……」
「な、何度かあるんだ、ふーん……ど、どういう状況で?」
「そら……リンはんがしたい言うから……その場のノリで……」
「の、ノリでねぇ……」
「そういう瑠璃はんは……したんか?」
「そりゃしたよ……私も……ノリで……」
「そ、そうなんか……」

 ……何の話をしているんだ私たちは。
 ラピスは恥ずかしがっているのか、顔を真っ赤にして、目が右へ左へと泳いでいた。
 私も私で顔がだんだんの熱くなっていって、視界が定まらなくなっていった。
 ラピスの表情を見るに、やっぱりリンの愛情表現はちょっとおかしいことを改めて感じた。

「2人とも……どうしたの?」

 当の本人はこんな状態だ。
 誰のせいでこんな状態になっているのか、胸に手を当てて考えて欲しいよ……全く。

「なんか……あっついなぁ、このダンジョン、そう思わんか? 瑠璃はん」
「うん……すっごく暑い……顔が火傷しそうだね……」
「あははは……」
「ふふふふ……」

 ラピスと私はお互いに笑いあってごまかした。
 なんだろう、この空間早く解放されたい。
 ……そんな願いが届いたのか、遠くから声が聞こえた。

「おーい! リン! ラピス! 瑠璃!」

 ……ゴルドの声だった。
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