111 / 424
第5章 異世界人、ショッピングモール、ベストマッチ!
第102話 怪我人発見とゴーレム
しおりを挟む
「すみませーん! 誰かいませんかー!?」
建物の中に入っては叫ぶ、いなかったら中に入って確認、次の建物へ。
何度も何度も……これをひたすら繰り返す。
そんな時だった。
「すみませーん! 誰か……」
「……お、助けが来たぞ! おーい! 怪我人がいるんだ!」
……中に人がいるらしい、怪我人あり……。
「ルリルリ、行こう!」
「うん!」
私たちは足早に建物の中に入った。
建物の二階まであがると、私たちに向かって助けの声を上げた男性と、脚を抑えた女性がいた。
「大丈夫ですか!?」
「おわぁ!? な、なんだあんたら!?」
「助けに来ました!」
男性が私たちを指さして警戒をしだす。
まぁ、こんな格好していればそうなるよね……と、今はそんな場合じゃない。
「貴方、怪我は!?」
「お、俺は問題ない、だが妻が……」
女性……男性の奥さんは脚を抑え、険しい顔をしている。
「立てる?」
「うぅ……痛い……」
リンが駆け寄って女性の怪我の具合を確かめる。
女性の脚は遠目で見ても分かるくらい青く腫れ上がっていた。
「……歩くのはバリ無理そうだね、ここは私が」
リンは女性の前で屈み、背中を見せた。
そして女性の腕を自分の首元の巻き付け、脚を抱える。
「とりあえずこの人たちを安全地帯まで送ろう!」
「うん!」
私は男性を抱えようとした……が。
「俺は大丈夫だ、それより妻を……」
「貴方も大概でしょう!?」
男性は外傷が無いように見えたが、見るからに疲れ果てていた。
「だから俺より妻を……」
「……命は確かに大事……助けたい気持ちもよくわかる、だからこそ、まずは自分の体を大事に……した方がいいんじゃないですか?」
「……」
私はここまで共にした相棒の言葉を借り、男性を説得する。
このまま彼を歩かせたら、きっと途中でダウンする。
そんなことは……させたくない。
「……わかった、安全な場所まで頼む」
「はい、じゃあこっちに」
私は男性の肩を抱え、安全地帯へと誘導した。
☆
「リン、安全地帯までどのくらい?」
「多分……もうすぐだとは思うけど……」
私たちは人を抱えつつ、移動していた。
ここでモンスターに遭遇したらまずいような……。
「う、うわあああ!? なんだありゃ!?」
私が抱えている男性が、前方を指さして叫びだした。
男性が指す方向……そこには。
「あれは……」
「……ゴーレムだよ、ルリルリ」
硬い岩肌に包まれた怪物……リンが言うに、あれがゴーレムらしい。
異世界系小説でも何度も見た……あれがそうなんだ。
「……リン、あいつはどうやって倒せばいい?」
「どこかに脆い箇所があるはず、そこを狙えば一発だよ」
「……わかった、この人をお願い」
私は男性をリンに託して、岩の怪物に向かう。
建物の中に入っては叫ぶ、いなかったら中に入って確認、次の建物へ。
何度も何度も……これをひたすら繰り返す。
そんな時だった。
「すみませーん! 誰か……」
「……お、助けが来たぞ! おーい! 怪我人がいるんだ!」
……中に人がいるらしい、怪我人あり……。
「ルリルリ、行こう!」
「うん!」
私たちは足早に建物の中に入った。
建物の二階まであがると、私たちに向かって助けの声を上げた男性と、脚を抑えた女性がいた。
「大丈夫ですか!?」
「おわぁ!? な、なんだあんたら!?」
「助けに来ました!」
男性が私たちを指さして警戒をしだす。
まぁ、こんな格好していればそうなるよね……と、今はそんな場合じゃない。
「貴方、怪我は!?」
「お、俺は問題ない、だが妻が……」
女性……男性の奥さんは脚を抑え、険しい顔をしている。
「立てる?」
「うぅ……痛い……」
リンが駆け寄って女性の怪我の具合を確かめる。
女性の脚は遠目で見ても分かるくらい青く腫れ上がっていた。
「……歩くのはバリ無理そうだね、ここは私が」
リンは女性の前で屈み、背中を見せた。
そして女性の腕を自分の首元の巻き付け、脚を抱える。
「とりあえずこの人たちを安全地帯まで送ろう!」
「うん!」
私は男性を抱えようとした……が。
「俺は大丈夫だ、それより妻を……」
「貴方も大概でしょう!?」
男性は外傷が無いように見えたが、見るからに疲れ果てていた。
「だから俺より妻を……」
「……命は確かに大事……助けたい気持ちもよくわかる、だからこそ、まずは自分の体を大事に……した方がいいんじゃないですか?」
「……」
私はここまで共にした相棒の言葉を借り、男性を説得する。
このまま彼を歩かせたら、きっと途中でダウンする。
そんなことは……させたくない。
「……わかった、安全な場所まで頼む」
「はい、じゃあこっちに」
私は男性の肩を抱え、安全地帯へと誘導した。
☆
「リン、安全地帯までどのくらい?」
「多分……もうすぐだとは思うけど……」
私たちは人を抱えつつ、移動していた。
ここでモンスターに遭遇したらまずいような……。
「う、うわあああ!? なんだありゃ!?」
私が抱えている男性が、前方を指さして叫びだした。
男性が指す方向……そこには。
「あれは……」
「……ゴーレムだよ、ルリルリ」
硬い岩肌に包まれた怪物……リンが言うに、あれがゴーレムらしい。
異世界系小説でも何度も見た……あれがそうなんだ。
「……リン、あいつはどうやって倒せばいい?」
「どこかに脆い箇所があるはず、そこを狙えば一発だよ」
「……わかった、この人をお願い」
私は男性をリンに託して、岩の怪物に向かう。
0
お気に入りに追加
50
あなたにおすすめの小説
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
〈社会人百合〉アキとハル
みなはらつかさ
恋愛
女の子拾いました――。
ある朝起きたら、隣にネイキッドな女の子が寝ていた!?
主人公・紅(くれない)アキは、どういったことかと問いただすと、酔っ払った勢いで、彼女・葵(あおい)ハルと一夜をともにしたらしい。
しかも、ハルは失踪中の大企業令嬢で……?
絵:Novel AI
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
とある高校の淫らで背徳的な日常
神谷 愛
恋愛
とある高校に在籍する少女の話。
クラスメイトに手を出し、教師に手を出し、あちこちで好き放題している彼女の日常。
後輩も先輩も、教師も彼女の前では一匹の雌に過ぎなかった。
ノクターンとかにもある
お気に入りをしてくれると喜ぶ。
感想を貰ったら踊り狂って喜ぶ。
してくれたら次の投稿が早くなるかも、しれない。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる