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第5章 異世界人、ショッピングモール、ベストマッチ!

第96話 買い占め

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「うわー! これ全部野菜!? バリすごい!」
「うん、この辺は野菜と果物を売っているの」

 スーパーに一歩入ると、まず出迎えるのは八百屋……野菜と果物のコーナーだ。
 ……にしても、品数少なくない? 以前来たときはもっとたくさん売ってたはずなんだけど……。

「なぁなぁ瑠璃はん! こっちの方、扉しかないで!」

 ラピスが向こうの通路を指さして、大声を張り上げる。
 お店の中だから静かに……と言おうとしたが、ラピスが指を差した先……そこに見えたのは。

「……え?」

 彼女が指を差した先は、冷凍食品コーナーだ。
 ラピスは「扉しかない」と言っていたが、まさにそうだった。
 冷凍食品コーナーにもかかわらず「冷凍食品が一つも置いていなかった」

「なぁ瑠璃はん、ここはこの扉を売っとるんか?」
「いや、違う……ここは冷凍食品コーナーだよ」
「れいとうしょくひん? ってなんや?」
「まぁ簡単に言えば……読んで字のごとく、食べ物を冷凍させたものだよ。そうすると食材が長持ちするの、それを解凍して、食べるわけ」
「なるほど……つまりは本来この中にはその、れいとうしょくひん? っていうのが売っとるわけやな?」
「そうだね……」

 私はあまりの光景に唖然としてしまった……私は思わず、他の売り場も確認してしまった。
 ……おかしいのは冷凍食品コーナーだけではなかった。
 紙製品のコーナー、ラーメンのコーナー、お米のコーナー、お惣菜のコーナー……全てもぬけの殻だった。
 ……一体どういう事だろう?

「ちょっとルリルリ! 待ってよ!」
「おいおい、案内してくれるんだろ?」

 リンとゴルドが私に向かって駆けてくる。
 ……異様な光景を見て、私は思わず皆を置いて行ってしまったようだ。
 ラピスとキセノンを探さなきゃ……。

「あぁ……全く、売れるのはいいけど、困っちゃうなぁ……」

 ふと後ろを振り向くと、店員さんが何やら張り紙を張っていた。
 ……紙には「本日すべて完売」と書かれていた。
 私は思わず店員さんに向かって足が動いた。

「あの、すみません」
「あぁ、お客さん、すみませんね。今日は見ての通り完売なんですよ」
「あ、いえ……いつから完売になったんですか?」
「今朝からだよ、人が馬鹿みたいにやってきてね……売れるのはまぁいいんだけどさ。こっちにも限度というものがあるよ……あっちゃこっちゃ大忙しで、外で人がごった返してるから開店時間早めるとか言うし……今でこそ落ち着いてるけどね」

 ……どうやら朝方にお客さんが大量に来たようだ。
 買い占めというやつだろう、災害や事件が起きると、物が消えてしまうという心理が働き、使え切れもしない品物をどんどん買う……。
 まさか、例の地震とか異世界の融合で……。
 私は店員さんにお礼を言い、みんなと一旦合流した。
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