現代にダンジョンが現れたので、異世界人とパーティ組んでみた

立風館幻夢/夜野一海

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第5章 異世界人、ショッピングモール、ベストマッチ!

第94話 信号機とショッピングモール

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「……ん? なんやあの赤い光?」

 しばらく歩いていると、ラピスが向こうを指さしてそんなことを言う。
 指を差した先にあったもの、それは……。

「あれは信号機、自動車と歩行者の移動を円滑にするためのものだよ」
「なるほど……今は車が優先ってことやな」
「そうだね、あっちの丸い光が車の信号、こっちの四角いのが歩行者用、赤が止まれで青が進んでもいいってことだよ……って、ゴルド! 渡らない!」

 信号の説明をしている中、ゴルドが赤信号で渡ろうとしていた。

「別に自動車は全部通っただろ?」
「絶対ダメ! 渡ってる途中に来たらどうするの!」
「その時はその時だ、轢かれたワシが悪いで済む」

 そういう問題じゃないってのに……。
 もしも轢かれたら車の方が悪いことになっちゃうし、轢かれた方も大怪我を負っちゃうのに……。

「……ここはアタシに任せて、ルリルリ」
「……り、リン!?」

 リンが私に向かって耳打ちをしてきた。
 い、いきなりそういうことするのやめてよ!
 そんなこと言おうと思ったが、リンは私から離れ、ゴルドに向かって口を開いた。

「ねぇねぇゴル爺……ハクハクに嫌われるよ?」
「守る! ワシ信号、守る!」

 えぇ……叔母さんの名前を出したら素直に言う事聞いた……。
 まぁ、守ってくれるならそれでいいけどさ。

「さぁほらみんな、渡るよ!」

 私は信号が青になったことを確認し、皆で横断歩道を渡った。



「ねぇねぇルリルリ、アレ何!?」
「瑠璃はん、アレはなんや?」
「おい瑠璃、ありゃなんだ?」
「瑠璃ちゃん……これ……なに?」

 4人は歩くたびに、そんな質問を投げかける。
 私は1人ずつ質問に答えていった。
 うーん、歩くたびに教えるのもいいけど、なにかいいところはないだろうか?

「わぁー! バリ大きい建物! ルリルリ、アレ何!?」
「ほんまや、なんやあれは?」
「学校みたいな大きさだな……」
「なんか……ありそう……」

 4人が向こうに向かって驚愕の声を上げる。
 ……そうか、あそこなら。

「アレはショッピングモールだよ、いろんなお店が入居しているの」
「……いろんなお店?」

 リンはよくわかっていない様子だった。

「つまり……露店みたいなもんか?」
「大きい市場……みたいな……もの?」

 ラピスとキセノンが、なんとなく理解したような素振りを見せている。
 確かに、簡単に言えばそうかもしれない。

「うん、そんな感じだよ」
「はえー……あんなデカい建物に露店が……想像できんな」

 ゴルドはイメージがわかないようだった。
 ショッピングモール……小さいころ、そこに行けるってなったら飛び上がるほどうれしかったな……。

「……大きい市場……っていうことは、ルリルリの服もそこで買えるかな?」
「え!? あ、そうだね……」
「じゃあさ! 早く行こうよ!」
「え、ちょっと! 走らないでよ!」

 リンは待ちきれないのか、私の腕を掴んで、ショッピングモールへと足を動かした。

「ほな、ウチらも行きましょか」
「あぁ、早く行こうぜ」
「うん……楽しみ……」
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