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第4章 Open Your Eyes For The Elf's Past
第87話 轟かせる
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……リンは悲しいような、悔しいような表情を浮かべて……ゆっくりとこう呟いた。
「……大っ嫌い」
……リンのその言葉は、本心なように思えた。
……やっぱり、リンの言う事は少し違う気がする。
「……あのさ、リン」
「……ルリルリ?」
私はちょっと引っかかることがあって、つい言葉を強めに言ってしまった。
「どんなに自分の祖先が嫌でも……その祖先の血を引く自分が嫌いになっちゃ……ダメだと思う」
「……」
「この世界にも、似たような事情を抱えている国はたくさんある。どこがどこの国に対して何かをやった、やってない……そんなことうるさいくらい聞いちゃうよ」
「……」
「でもさ……それって皆『自分が正義だと思うから』そういうことをやるんだと思う、正義のために主張して、反論する……それってある意味では当たり前でしょ?」
「……」
異世界作品や特撮ヒーローでもそんな感じだ。
みんな自分が正義だと思うから戦うし、悩む。
そんなものだ。
「だからさ……嫌いになるんじゃなくて、『理解すること』が大事なんだと、私は思うよ? リンの場合なら……『なぜ氏族争いが起きていて、それは何が原因で、どうすれば和解に繋がって、どうすれば再び起こらないようになるか』それを考えればいいと思うよ」
「……そんなの、無理に決まってるよ」
「……かもね、私も考えすぎて諦めかけたことはある。でも……そんな時に皆に会えて、私の考えが証明されようとしているんだ」
「それって……どういうこと?」
……そうだ、世界が融合したおかげで、私の論文「異世界が存在する」というテーマが立証されようとしている。
これも全て諦めなかったからできたことだと、今にして思う。
「……まぁ、そんなわけだから。とりあえずリンの場合は、自分が同族に対してできることを全力でやることが、まず大前提じゃないかな?」
「……全力でやること?」
「そう、例えば……世界が融合した今現在で、リンの名前を轟かせて、同族に勇気を与えるとか」
……私が考えたのは、リンの名前を世界中が覚えることによって、地球の人々に認められて、エルフの地球上の印象をよくする……そうすると「私たち同じエルフじゃないか」って意識が生まれるんじゃないかな? と考えたのだ。
……ちょっと安直かな?
リンもちょっと違うと思ったのか、困惑した表情を浮かべた。
「うーん……それは違うんじゃないかな?」
「……やっぱり?」
「うん、それなら……『私を含めた皆の名前を轟かせたい』かな」
「……」
……なるほど、私たち全員の名前か……それも……いいかも
「名前を轟かせるって……私にそんなことできるのかな? 私にそんな勇気無いよ……」
「そんなことないでしょ……だってリンは恐怖心はあるけど、果敢にダンジョンに挑んでるじゃない? 私、それ見て羨ましいなって思うんだ……」
「……羨ましい?」
そうだ、リンはダンジョンに潜ることに対して怖くないのか聞いたら……「怖いに決まっている」と答えた。
それでも彼女はダンジョンに潜って、人々のために戦っている……それを見てると、自分も頑張らなきゃって思う。
リンに勇気がないなんて絶対にありえない、私が保証する。
「……大っ嫌い」
……リンのその言葉は、本心なように思えた。
……やっぱり、リンの言う事は少し違う気がする。
「……あのさ、リン」
「……ルリルリ?」
私はちょっと引っかかることがあって、つい言葉を強めに言ってしまった。
「どんなに自分の祖先が嫌でも……その祖先の血を引く自分が嫌いになっちゃ……ダメだと思う」
「……」
「この世界にも、似たような事情を抱えている国はたくさんある。どこがどこの国に対して何かをやった、やってない……そんなことうるさいくらい聞いちゃうよ」
「……」
「でもさ……それって皆『自分が正義だと思うから』そういうことをやるんだと思う、正義のために主張して、反論する……それってある意味では当たり前でしょ?」
「……」
異世界作品や特撮ヒーローでもそんな感じだ。
みんな自分が正義だと思うから戦うし、悩む。
そんなものだ。
「だからさ……嫌いになるんじゃなくて、『理解すること』が大事なんだと、私は思うよ? リンの場合なら……『なぜ氏族争いが起きていて、それは何が原因で、どうすれば和解に繋がって、どうすれば再び起こらないようになるか』それを考えればいいと思うよ」
「……そんなの、無理に決まってるよ」
「……かもね、私も考えすぎて諦めかけたことはある。でも……そんな時に皆に会えて、私の考えが証明されようとしているんだ」
「それって……どういうこと?」
……そうだ、世界が融合したおかげで、私の論文「異世界が存在する」というテーマが立証されようとしている。
これも全て諦めなかったからできたことだと、今にして思う。
「……まぁ、そんなわけだから。とりあえずリンの場合は、自分が同族に対してできることを全力でやることが、まず大前提じゃないかな?」
「……全力でやること?」
「そう、例えば……世界が融合した今現在で、リンの名前を轟かせて、同族に勇気を与えるとか」
……私が考えたのは、リンの名前を世界中が覚えることによって、地球の人々に認められて、エルフの地球上の印象をよくする……そうすると「私たち同じエルフじゃないか」って意識が生まれるんじゃないかな? と考えたのだ。
……ちょっと安直かな?
リンもちょっと違うと思ったのか、困惑した表情を浮かべた。
「うーん……それは違うんじゃないかな?」
「……やっぱり?」
「うん、それなら……『私を含めた皆の名前を轟かせたい』かな」
「……」
……なるほど、私たち全員の名前か……それも……いいかも
「名前を轟かせるって……私にそんなことできるのかな? 私にそんな勇気無いよ……」
「そんなことないでしょ……だってリンは恐怖心はあるけど、果敢にダンジョンに挑んでるじゃない? 私、それ見て羨ましいなって思うんだ……」
「……羨ましい?」
そうだ、リンはダンジョンに潜ることに対して怖くないのか聞いたら……「怖いに決まっている」と答えた。
それでも彼女はダンジョンに潜って、人々のために戦っている……それを見てると、自分も頑張らなきゃって思う。
リンに勇気がないなんて絶対にありえない、私が保証する。
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