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第4章 Open Your Eyes For The Elf's Past
第84話 「私」について
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「すう……すう……」
「んん……」
ラピスとキセノンはゆっくり息をしながら目を閉じている。
2人とも気持ちよさそうに寝ているが……かくいう私は、眠れない。
やはり気になるな……北米で起きてるエルフ同士の内戦、そしてリンの故郷に対する気持ち……。
リンの故郷……ファンスウィン共和国は、共和国という名前の通り、選挙によって首長が選ばれる。
国民の総意によって首長が選ばれるはずなのに……内戦が起きている。
現実でも、そんな国が山ほどあるのは分かっている、アフリカの多くの国……例えばナイジェリアや中央アフリカ共和国はそんな感じだ。
そうなる理由は多民族故に、選挙で選ばれた大統領が自身の出身地域を優遇したり、違う民族に対して不平等な仕打ちをしたり……。
そんな問題から立ち直った国……ルワンダやコートジボワールなどの例もあるが、これらの国もまだ不平不満があるという話は聞いたことがある。
それと比べると……ファンスウィン共和国は、エルフによる単一民族の国家ではないのだろうか?
まぁ、だからと言って内戦が起こらない理由にはならないけど……。
リンから話を聞ければ早いんだけどな……。
「……ルリルリ、起きてる?」
……ふと静粛に包まれた寝室に、リンの小さな声が響く。
「リン……起きてたの?」
「うん……無理矢理寝ようと思ったけど、やっぱり眠れなかった」
横を見ると、リンは小さな笑顔で私を見ていた。
「ルリルリ……眠れない?」
「うん、ちょっと考え事してて……」
「……考え事?」
「うん、えーっとね……」
どうしよう……言いにくい……。
これ言ったら……リンに嫌われちゃうかな? それとも……怒るかな?
「何考えてたの? ……よければ、教えてくれない?」
リンは期待の眼差しで……私の手を掴んだ。
や、やめて……それされると……。
「これ……言うと、リンが不快な思いをするかも……」
「何? ……別に、アタシは何言われてもバリ気にしないよ?」
「そ、そう? じゃあ……言うよ?」
「うん……」
……私はリンの故郷のことを考えていたことを話した。
そして今、アメリカとカナダで起きているエルフ同士の内戦の事、なぜ内戦が起きているのかわからないこと、リンがそのことについて複雑な思いを抱いているのに自分は何といえばいいのかわからないこと。
私はすべてを話した。
「そっか……ごめんね、アタシのせいで、そんな思いをさせちゃって」
「いや、リンが悪いわけじゃないよ……悪いのは、内戦の大元だよ……その……差し支えなければ、なんで内戦なんかが起きてるか教えてくれない?」
「……」
……やっぱり聞かない方がよかったのだろうか? リンは複雑な表情を浮かべつつ、下を向いた。
……ここは謝ろう。
「ごめん、言いたくないなら無理に言わなくていいから……今の、忘れて」
「……」
リンは……顔を顰め、涙が出そうな表情をしている。
……私、なんてことを……。
「……本当にごめんなさい、おやすみなさい」
……どうしよう、リン、怒ってる?
私ったら、やっぱりデリカシーのないことを……。
……そんなことを考えていると、リンは私の目を見て……微笑んだ。
「……ルリルリはもう仲間だし、言わないと……ここから先、ダンジョン探索しようにもできないよね」
「リン……」
「……わかった、教えてあげる……エルフのこと、そして……『私』のことも」
「……リンのこと?」
……リンはいつもの明るい口調から……真剣な口調に変わった。
そして……息を整え、語りだした。
「んん……」
ラピスとキセノンはゆっくり息をしながら目を閉じている。
2人とも気持ちよさそうに寝ているが……かくいう私は、眠れない。
やはり気になるな……北米で起きてるエルフ同士の内戦、そしてリンの故郷に対する気持ち……。
リンの故郷……ファンスウィン共和国は、共和国という名前の通り、選挙によって首長が選ばれる。
国民の総意によって首長が選ばれるはずなのに……内戦が起きている。
現実でも、そんな国が山ほどあるのは分かっている、アフリカの多くの国……例えばナイジェリアや中央アフリカ共和国はそんな感じだ。
そうなる理由は多民族故に、選挙で選ばれた大統領が自身の出身地域を優遇したり、違う民族に対して不平等な仕打ちをしたり……。
そんな問題から立ち直った国……ルワンダやコートジボワールなどの例もあるが、これらの国もまだ不平不満があるという話は聞いたことがある。
それと比べると……ファンスウィン共和国は、エルフによる単一民族の国家ではないのだろうか?
まぁ、だからと言って内戦が起こらない理由にはならないけど……。
リンから話を聞ければ早いんだけどな……。
「……ルリルリ、起きてる?」
……ふと静粛に包まれた寝室に、リンの小さな声が響く。
「リン……起きてたの?」
「うん……無理矢理寝ようと思ったけど、やっぱり眠れなかった」
横を見ると、リンは小さな笑顔で私を見ていた。
「ルリルリ……眠れない?」
「うん、ちょっと考え事してて……」
「……考え事?」
「うん、えーっとね……」
どうしよう……言いにくい……。
これ言ったら……リンに嫌われちゃうかな? それとも……怒るかな?
「何考えてたの? ……よければ、教えてくれない?」
リンは期待の眼差しで……私の手を掴んだ。
や、やめて……それされると……。
「これ……言うと、リンが不快な思いをするかも……」
「何? ……別に、アタシは何言われてもバリ気にしないよ?」
「そ、そう? じゃあ……言うよ?」
「うん……」
……私はリンの故郷のことを考えていたことを話した。
そして今、アメリカとカナダで起きているエルフ同士の内戦の事、なぜ内戦が起きているのかわからないこと、リンがそのことについて複雑な思いを抱いているのに自分は何といえばいいのかわからないこと。
私はすべてを話した。
「そっか……ごめんね、アタシのせいで、そんな思いをさせちゃって」
「いや、リンが悪いわけじゃないよ……悪いのは、内戦の大元だよ……その……差し支えなければ、なんで内戦なんかが起きてるか教えてくれない?」
「……」
……やっぱり聞かない方がよかったのだろうか? リンは複雑な表情を浮かべつつ、下を向いた。
……ここは謝ろう。
「ごめん、言いたくないなら無理に言わなくていいから……今の、忘れて」
「……」
リンは……顔を顰め、涙が出そうな表情をしている。
……私、なんてことを……。
「……本当にごめんなさい、おやすみなさい」
……どうしよう、リン、怒ってる?
私ったら、やっぱりデリカシーのないことを……。
……そんなことを考えていると、リンは私の目を見て……微笑んだ。
「……ルリルリはもう仲間だし、言わないと……ここから先、ダンジョン探索しようにもできないよね」
「リン……」
「……わかった、教えてあげる……エルフのこと、そして……『私』のことも」
「……リンのこと?」
……リンはいつもの明るい口調から……真剣な口調に変わった。
そして……息を整え、語りだした。
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