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第3章 この猫、魔法使いで探索者!

第65話 猫のやる気と異世界人の祈り

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「……お友達、どこかへ行ってしまったのですか?」

 そんな中、アリスさんが男に話しかける。

「あ、あぁ……どこかに行っちまった……多分もう……」

 ……男も、連れがどうなったかは察しているようだった。
 彼らだって人間、親しい人がいなくなったら誰だってこうなる。
 私も、叔母さんがいなくなっちゃったら……。

「なら! 私が探してきます!」
「お、おい……」

 アリスさんは目を輝かせ、元気よく男に声を掛けた。
 ……アリスさん? まさか……分かってない?

「安心してください! 私は生粋の探索者です! 絶対に助けます!」
「……」

 アリスさん……なんていい人なんだ。
 チャラい集団もそんなけなげな彼女を見て……何も言えないでいた。
 どうしよう……これに関しては言うべきではないのだろうか?

「瑠璃さん! 行きましょう! ダンジョンが消えれば、あの人たちのお友達も出てくるはずです! モンスターにやられてないといいですけど……」
「う、うん……」

 ……言えない、こんなに元気な姿を見せられると、何も。

「では皆さん! ここから出ないでください! すぐに終わりますからね!」
「あ、あぁ……」
「よぉーし! アリス、頑張ります!」

 アリスさんはそのまま、向こうへと駆けて行った。
 私も咄嗟に変身し、アリスさんについていった。



「おりゃあああ!!」
「でやぁ!」

 一方、リン達4人もダンジョンに入り、最深部を目指していた。

「うん! バリ順調だね!」
「流石に三回目の変身だと、慣れてくるもんだな」

 ゴルドは最初こそ変身に戸惑っていたが、ようやっと慎重さにも慣れてきたようだった。

「……みんな……あれ」

 キセノンは森の奥を指差し、3人に話しかける。
 指先の方角……そこには、黒く染まった森の一部分があった。

「これ……炎魔法かな?」
「そうやろなぁ、サンルート人の他の探索者がやったんやろ」
「そうだよね! ということは、誰かが最深部に向かってる?」
「せやな……なら、ウチらもはよ向かわんと」
「うん! 合流して、一緒に戦おう!」

 リンとラピスの言葉に他の2人も同意をし、頷いた。
 ……そんな中、キセノンは、あるものに注目する。
 それは……謎の固形物だった。

「ノンノン、どうしたの? ……ってこれは!?」
「……うん……多分……やられた」

 その固形物は……誰が見ても何なのかが分かった。
 ラピスとゴルドも、それを見て……仮面の下で、悔やむような表情を浮かべた。

「仕方ない……運が……悪かった……」
「うん……そうだよね……『神の下に届きますように』」

 リンは祈りを捧げるように、手を合わせた。

「神の下に届きますように」
「神の下に届きますように」
「神の下に……届きます……ように」

 3人も同様に、祈りの言葉を捧げた。

「……行こう! これ以上、犠牲者は出したくない!」
「せやな……行くで!」
「おうよ!」
「うん……行こう……」

 4人は、最深部へと再び走り出した。
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