現代にダンジョンが現れたので、異世界人とパーティ組んでみた

立風館幻夢/夜野一海

文字の大きさ
上 下
51 / 424
第2章 A New Resident ,A New life.

第51話 瑠璃の部屋

しおりを挟む
「わぁー! ここがルリルリの部屋!? かわいい!」
「か、かわいいかな?」

 私の部屋の中は、大好きな特撮の円盤、グッズで埋め尽くされている。
 それと、テレビに円盤の再生機、本棚には異世界の小説、大学院の研究で使う学術の本が埋め尽くされている。
 ぱっと見だと、男性の部屋に見えるだろう。

「すごーい! 何これ!? なんかこの腕輪で変身した私たちみたい!」

 リンはヒーロー物のフィギュアを持ってそんなことを言う。

「かっこいいでしょ?」
「うん! なんかかっこいい!」

 リンは両手にフィギュアを持って目を輝かせていた。
 リンもお目が高い……子どもの頃にこういうのが好きだというと馬鹿にされそうだから言えなかったな……まぁ、いい年してこういうの好きなのか? と言われると何も言えないけど……。

「瑠璃はん、これはなんや?」
「あぁ、それは……」

 ラピスはグッズの一つである、変身ベルトに目を付けた。
 それは、私が異世界の研究の発端となった作品「覆面ライダービケイド」の変身ベルトだった。
 私はラピスに説明しやすいように、ビケイドのポスターを取り出した。

「それはこの作品に出てくる、この戦士が変身する時に使うベルトの……レプリカみたいなものだよ」
「なんとなく分かるような……で、これはどうするんや?」
「こうするの」

 私はベルトの電源を入れ、ラピスにそれを巻き付けた。

「おお? なんやなんや?」
「ラピラピ……なんかバリかっこいいね! あ、もしかしてこの戦士?」

 リンはフィギュアを私に見せびらかす……そうだ、リンの持っているフィギュア……まさしく覆面ライダービケイドだ。

「ラピスちゃん……かっこいい……」

 キセノンもこれから変身しようとするラピスについて感想を述べる。
 うん、確かにかっこいい。

「か、かっこいい? ほんまに? ……で、瑠璃はん、これでどうするんや?」

 私はこのベルトの付属品であるカードを手渡した。

「なんやこのカード? この腕輪のカードと似とるな」
「かもね、そのカードをそのベルトに入れてみて」
「入れる? こうかいな?」

 ラピスは私の言う通り、カードをベルトに嵌めた、すると。

『覆面ライド!』

 ベルトからそんな音声が流れる……そして待機音……変身完了までのBGMが部屋中に鳴り響く。
 そのBGMはまるで「早く変身しろ」と急かしているようにも聞こえるのだ。

「おおお!? なんか音が鳴った!? どどど、どうするんや!?」
「左右のレバーを押し込んでみて」
「こ、こうかいな?」

 ラピスはレバーを押し込んだ……。

『ビケイド!』

 ベルトがそんな音声を発し、まるでマジシャンがカードをシャッフルするような音も同時に鳴った。
 そして、ラピスは……『変身』した。

「はい、これで終わり、ま、こういう玩具だよ、子どものころからこういうの好きなんだ」
「おお、なんかかっこええ趣味しとるな、瑠璃はん」
「か、かっこいい?」

 変わってるというのは言われるけど、かっこいいって言うのは初めてだった。
 異世界から見たらかっこいいのだろうか? よくわからないけど。
 ……そんなことを考えると、私の服の裾が引っ張られているような気がした。
振り向くと、キセノンが何やら目を輝かせて、特撮ヒーローの円盤を持っていた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

憧れの先輩とイケナイ状況に!?

暗黒神ゼブラ
恋愛
今日私は憧れの先輩とご飯を食べに行くことになっちゃった!?

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

〈社会人百合〉アキとハル

みなはらつかさ
恋愛
 女の子拾いました――。  ある朝起きたら、隣にネイキッドな女の子が寝ていた!?  主人公・紅(くれない)アキは、どういったことかと問いただすと、酔っ払った勢いで、彼女・葵(あおい)ハルと一夜をともにしたらしい。  しかも、ハルは失踪中の大企業令嬢で……? 絵:Novel AI

淫らに、咲き乱れる

あるまん
恋愛
軽蔑してた、筈なのに。

とある高校の淫らで背徳的な日常

神谷 愛
恋愛
とある高校に在籍する少女の話。 クラスメイトに手を出し、教師に手を出し、あちこちで好き放題している彼女の日常。 後輩も先輩も、教師も彼女の前では一匹の雌に過ぎなかった。 ノクターンとかにもある お気に入りをしてくれると喜ぶ。 感想を貰ったら踊り狂って喜ぶ。 してくれたら次の投稿が早くなるかも、しれない。

アイドルグループの裏の顔 新人アイドルの洗礼

甲乙夫
恋愛
清純な新人アイドルが、先輩アイドルから、強引に性的な責めを受ける話です。

処理中です...