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第1章 世界の研究者、猪飼瑠璃

第29話 異世界人、日本の地へ

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「……ここは?」

 光が晴れ、気が付くと、先ほどまで翡翠ちゃんと一緒にいた道路上にいた。
 翡翠ちゃん……そういえば!

「翡翠ちゃん!? いる!?」

 私は咄嗟に辺りを見渡した。

「る、るり姉?」
「翡翠ちゃん!」

 少し離れたところから、翡翠ちゃんがゆっくりと近づいてきた。
 私は思わず、彼女に抱き着いてしまった。

「る、るり姉……苦しいよ……」
「ご、ごめん……」

 いけないいけない……何かあったらどうしようかと思ったけど、幸いけがはしていないようだった。
 安全地帯……リンたちが言っていたけど、本当にその名の通りだったみたい。
 リンたち……そういえば。

「うおおおおおおお!? なにここ!? バリ違うじゃない!」
「なんや!? 見たことない建物がこんなに……」
「なんだこの地面!? 平らじゃねぇか!」
「なんか……空気が……煙臭い……」

 すぐ近くに4人がいた。
 予想はしていたが、いろんな反応を見せていた。

「あ、ルリルリ! ここが日本って場所!? バリすごいね!」
「そ、そう?」

 リンに続いて、みんながこちらに近づいてきた。
 なんか、反応がいいな、みんな。

「あ、さっきのお姉ちゃんとおじさん!」
「あ、さっきの女の子! アタシたちがダンジョン潰したよ!」
「ありがとう! 長い耳のお姉ちゃん!」

 リンが目線を合わせ、翡翠ちゃんに話しかけ始めた。

「アタシ、リン! 貴方は?」
「私は翡翠! 卯月翡翠《うづきひすい》だよ!」
「よろしくね! ヒスヒス!」
「ひ、ひすひす?」

 翡翠ちゃんはリンの言葉に困惑しているようだった。
 まぁ、私もこんな感じだったし、仕方がない。

「ねぇルリルリ! とりあえず、この子を家まで送っていく?」
「いや、ちょっと待って」

 ダンジョンを出たからなのか、携帯が圏外から回復していた。
 ……メッセージで、避難指示が出てる……この近くの小学校か。
 もしかしたら、仕事に行ってるっていうお母さんもいるかもしれない。

「わぁ! なにそれ!? バリかっこいい!」
「なんか腕輪と似てへん?」
「さっきから何弄ってるんだ?」
「私にも……見せて……」

 4人が私の携帯に注目する……まぁ、そんな反応するよなぁ。

「……えっとね、ダンジョンの影響でこの辺りに避難指示が出たみたい」
「避難指示? 皆どこかに集まってるってこと?」
「そういうこと」
「通りで人がバリ少ないって思ってた」

 まぁ厳密に言えば、名目上は地震の影響だ。
 ダンジョンなんて、普通に考えたらありえないって思う、実際私も4人に会うまではそう考えてた。

「場所はどの辺なんや?」
「このすぐ近く、多分歩いて行ける」
「ほな、じゃあそこまでその子を送ってあげへんとな」
「そうだね、翡翠ちゃん、危ないから一緒に行こうか」
「うん!」

 私たちは翡翠ちゃんを避難所まで送ることに決めた。
 ……にしても、一体どういう事なんだろう? 見知らぬ王国に居たっていう多種族な4人、わけのわからないダンジョンの出現、そしてこの腕輪……。
 もう何が何だか……。
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