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第1章 世界の研究者、猪飼瑠璃

第14話 痛みと再会

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「はぁ……はぁ……痛い……」

 どのくらい歩いたのだろうか? 辺りは彼らが倒していったのか、怪物の気配はない。
 しかし、肝心の彼らはまだ見当たらない。

「まだまだ……あと少し……」

 私は歩いた、目線の先がぼやけて来たけど。
 私は歩いた、片足が限界を迎えたのか引き摺っているけど。
 私は歩いた、怪我が痛くて仕方が無いけど。

「大丈夫……私はできる……歩ける……痛くない……大丈夫……」

 私は自己暗示を掛けつつ歩き続けた。
 そして、気が付くと……見覚えのある4色の色が見えてくる。
 あれは……。

「や、やっと見つけた……」

 私は安心したのか、脚の力が抜けていった。
 それに気が付いたのか、カラフルな色がこちらに近づいてくる。

「ちょ、ちょっと! ルリルリ!?」

 ピンク色の……恐らくリンさんが、地面に落ちそうになった私を抑えた。

「馬鹿! バリ馬鹿だよルリルリ!! なんであそこにいなかったの!!」
「ほんま、アホちゃうか!?」
「小娘め……無茶しやがって……」
「でも……よく……ここまで……来たね」

 視界がぼやけているけど、恐らく他の3人もいる。

「みんな……これ、忘れ物……」

 私は回復薬の入った瓶をみんなに向けて差し出した。

「あ、これ……ウチが忘れてきたやつや! わざわざ届けに来たんか!?」
「うん……これが無いと……危ないかなって……はぁ……はぁ……」
「危ないのはアンタや! ボロボロやないかい!」

 ラピスさんは、驚愕の声と同時に怒ったような声を上げた。

「じゃ、じゃあ……私……戻るから……」
「戻ったら返ってバリ危険! 一緒に着いて来て!」
「え、でも……」
「あ、その前に持ってきたそれ飲んで!」
「これは……皆の……」

 皆のものだからいただくのはちょっと躊躇する。
 そんな風な言葉を言いたかったのだが……。

「いいから飲め!! 怪我人抱えて探索したら、ワシらまで死ぬかもしれないんだぞ!!」
「あ、はい……」

 ゴルドさんに説得され、私は回復薬を飲んだ。
 飲んだって言うより、リンさんに飲まされたって言った方が正しいかな?
 正直味は……美味しくない、薬だから当たり前といえば当たり前だけど。
 よくよく考えたら、外傷に飲み薬って効くの? なんか雰囲気に流されて飲まされたけど……。
 そんな事を考えていると……疲労が回復して行っているような感じがした。

「あれ? なんか身体が……」

 それに痛みも消えて行っている。
 ……これ、危ない類の薬じゃないよね?

「良かったー……バリ元気になっていっているみたいだね!」
「……そうですか?」
「うん! 傷口もバリ無くなっていってる!」
「あ、本当だ……」

 す、凄い……飲み薬だよね? どんな薬なんだこれ?

「それはウチが製薬したんや、凄いやろ?」
「へ、へぇー……」

 凄いな……免許持ってるのかな?
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