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第1章 世界の研究者、猪飼瑠璃
第13話 怪我
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「よーし! この辺はバリ大丈夫そうだね!」
一方、ダンジョンの奥へ奥へと進んだ得体のしれない4人は、モンスターを退治し、又先へと進もうとしていた。
「す、すまねぇ……ワシ……傷が……」
ドワーフの男、ゴルドは戦闘により、片腕に深い傷を負っていた。
「ちょっと待ってな、ウチ、回復薬持っていた筈や……『インベントリ、オープンアップ』」
サキュバスの女、ラピスが呪文を唱えると、魔法陣が現れ、ラピスはその中に腕を突っ込み、弄り始める。
「……あれ? 入れていたはずなんやけど……おかしいな……」
「ラピスちゃん……さっき……人間の人……使おうとして……置いて行ってた……」
「えぇ!? それ先に言っといてな!」
「だって……急いでた……から……言い出せ……無かった……それに……それが……無くても……大丈夫……」
吸血鬼の少女、キセノンは、ゴルドに近づき、呪文を唱えた。
「ヒール……マキシマム」
キセノンが呪文を唱えると、ゴルドの傷がみるみるうちに回復していった。
「ば、馬鹿野郎……回復魔法使っちまったら、余計に魔力を消費しちまうじゃねぇか……」
「そうだよノンノン! この先バリ大変になっちゃうじゃん!」
回復魔法を唱えたキセノンに対し、ゴルドとリンは必死の表情で叱る。
だが、キセノンは2人の言い分に首を横に振る形で答える。
「だって……ゴルドちゃん……痛そう……だから……」
「ったく……おい、くれぐれも無理すんなよ」
「それは……こっちの……台詞……」
キセノンはゴルドに向かって手を差し出し、ゴルドはそれを掴んで立ち上がる。
誰が見ても、ゴルドは準備万全の状態だった。
「じゃあ……リンちゃん……ラピスちゃん……先……行く?」
「うん! 早くルリルリの話聞きたいから、バリ早く終わらせちゃお! ラピラピは回復薬忘れるなんてバリやばい大ポカやらかさないでね!」
「わ、分かっとるわ! ……ほな、行こか」
準備を整えた4人は、再び先へと進み始める。
この時、彼らは知らなかった。
彼らの為に、慣れない戦闘をしながら、そちらへ向かっている存在がいることを……。
◇
「はぁ……はぁ……」
残り二体に攻撃を与えられてはいる。
だが、かすり傷程度にしか与えられていない。
奴らも黙ってやられているわけではなかった、こちらに攻撃を仕掛けてくる。
私は自分なりに避けてはいるが、完全ではない。
若干攻撃を受けてしまい、受けた場所から痛みを感じる。
痛い……もうやめたい……でも、やめたら……。
どうしよう……私は決断に迫られている。
こういう時、どうすればいいのだろう? どうすれば……。
『俺は……諦めない……命が燃え尽きるまで!!』
……私は、小さい頃からずっと好きなヒーロー番組の台詞を思い出す。
そうだ、彼は決してあきらめなかった、絶望しても立ち直った。
だったら私も……
「痛いけど……あの人たちが受ける痛みと比べたら……こんなもの!!」
私は気合を入れ、一体に向かってカッターを突き刺した。
奴はうめき声をあげ……煙となって消えた。
すかさず、私はもう一体に向かって蹴りを入れる。
蹴りは奴の頭に命中し……先ほど消えた奴の元へと旅立っていった。
ヒーロー番組を参考に繰り出しては見たけど……
「はぁ……はぁ……行けちゃった……」
……正直うまく行くかは不安だった。
だが、うまく行った……その証拠に、周りに怪物の気配はない。
「さ、先に進もう……」
私は怪我を抑えつつ、歩き出した。
一方、ダンジョンの奥へ奥へと進んだ得体のしれない4人は、モンスターを退治し、又先へと進もうとしていた。
「す、すまねぇ……ワシ……傷が……」
ドワーフの男、ゴルドは戦闘により、片腕に深い傷を負っていた。
「ちょっと待ってな、ウチ、回復薬持っていた筈や……『インベントリ、オープンアップ』」
サキュバスの女、ラピスが呪文を唱えると、魔法陣が現れ、ラピスはその中に腕を突っ込み、弄り始める。
「……あれ? 入れていたはずなんやけど……おかしいな……」
「ラピスちゃん……さっき……人間の人……使おうとして……置いて行ってた……」
「えぇ!? それ先に言っといてな!」
「だって……急いでた……から……言い出せ……無かった……それに……それが……無くても……大丈夫……」
吸血鬼の少女、キセノンは、ゴルドに近づき、呪文を唱えた。
「ヒール……マキシマム」
キセノンが呪文を唱えると、ゴルドの傷がみるみるうちに回復していった。
「ば、馬鹿野郎……回復魔法使っちまったら、余計に魔力を消費しちまうじゃねぇか……」
「そうだよノンノン! この先バリ大変になっちゃうじゃん!」
回復魔法を唱えたキセノンに対し、ゴルドとリンは必死の表情で叱る。
だが、キセノンは2人の言い分に首を横に振る形で答える。
「だって……ゴルドちゃん……痛そう……だから……」
「ったく……おい、くれぐれも無理すんなよ」
「それは……こっちの……台詞……」
キセノンはゴルドに向かって手を差し出し、ゴルドはそれを掴んで立ち上がる。
誰が見ても、ゴルドは準備万全の状態だった。
「じゃあ……リンちゃん……ラピスちゃん……先……行く?」
「うん! 早くルリルリの話聞きたいから、バリ早く終わらせちゃお! ラピラピは回復薬忘れるなんてバリやばい大ポカやらかさないでね!」
「わ、分かっとるわ! ……ほな、行こか」
準備を整えた4人は、再び先へと進み始める。
この時、彼らは知らなかった。
彼らの為に、慣れない戦闘をしながら、そちらへ向かっている存在がいることを……。
◇
「はぁ……はぁ……」
残り二体に攻撃を与えられてはいる。
だが、かすり傷程度にしか与えられていない。
奴らも黙ってやられているわけではなかった、こちらに攻撃を仕掛けてくる。
私は自分なりに避けてはいるが、完全ではない。
若干攻撃を受けてしまい、受けた場所から痛みを感じる。
痛い……もうやめたい……でも、やめたら……。
どうしよう……私は決断に迫られている。
こういう時、どうすればいいのだろう? どうすれば……。
『俺は……諦めない……命が燃え尽きるまで!!』
……私は、小さい頃からずっと好きなヒーロー番組の台詞を思い出す。
そうだ、彼は決してあきらめなかった、絶望しても立ち直った。
だったら私も……
「痛いけど……あの人たちが受ける痛みと比べたら……こんなもの!!」
私は気合を入れ、一体に向かってカッターを突き刺した。
奴はうめき声をあげ……煙となって消えた。
すかさず、私はもう一体に向かって蹴りを入れる。
蹴りは奴の頭に命中し……先ほど消えた奴の元へと旅立っていった。
ヒーロー番組を参考に繰り出しては見たけど……
「はぁ……はぁ……行けちゃった……」
……正直うまく行くかは不安だった。
だが、うまく行った……その証拠に、周りに怪物の気配はない。
「さ、先に進もう……」
私は怪我を抑えつつ、歩き出した。
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