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第1章 世界の研究者、猪飼瑠璃
第2話 異世界を信じる理由
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「はぁ……疲れた……」
「お疲れ様」
少し仮眠を取り、夕食の時間になる。
叔母さんの料理はとても美味しい、徹夜でずっとコンビニ飯だったので、余計にそう感じる。
「なーんでみんな、他の世界があるってこと、信じないんだろうなぁ……」
「また教授に言われたの?」
「うん……こんなの非現実的だ! ……だって」
「あはは、頭の固い教授だねぇ」
「でしょ?」
ご飯を食べながら、私たちは談笑をする。
叔母さんは私の言う愚痴を真剣に聞いてくれている。
他の人にこういうことを話しても、「教授が正しい」としか言わない。
「他の世界があった方が絶対楽しいのに……叔母さんもそう思わない?」
「ふふふ……そうだねぇ」
別の世界……私があると信じている理由はたくさんある。
それが存在していると考え始めたのは、大体15年前、私が10か11の時だ。
幼少期から男の子向けのヒーロー番組を見ていた私は、「世界を行き来するヒーロー」のお話が凄い好きになった。
異世界との出会いはそれが初めてだった。
そして中学に上がった時……インターネットで素人が小説を投稿するサイトに出会った。
そこでは、「現代社会の人間が、別の世界に行く」というのが流行っていて、私はそれ系統の作品を読みまくった。
……異世界は、本当に存在するのだろうか?
私の頭の中で疑問符が浮かび上がった、私たちが今生きている世界は、現実世界と言えるのであろうか? 仮に別の世界が存在していたとして、その世界に住んでいる人々は私たちの世界をどう見るのであろうか? 「パラレルワールド」と呼ばれるものがあるように、異世界は……存在するのではないか?
どうしても疑問から解消されない私は、理科の教師に異世界について聞いてみた、教師は「アニメの見過ぎだ」と言ってきた。
数学や地理の教師にも聞いた……答えは同じだった。
次第に、ほとんどの教師に同じ質問をしてしまった……校長や養護教諭にまで。
同級生からは白い目で見られ、私は孤立してしまった。
どうやったらこの疑問から解消される? どうやったら異世界を見つけられる?
親に相談したら、「勉強して大学に行きなさい、そうしたらわかる筈だ」と言ってきた。
そこから私は……猛勉強をした。
高校は県内トップの進学校、大学は有名私立大学
同期の学生たちは皆、就職していったが……私には大学を卒業して就職するという選択肢は無かった、全ては……異世界を見つけるため。
……そして今、大学院。
……まだ異世界は見つからない。
巷では、「大学院を卒業した奴は就職しづらくなる」と言われている。
私はもうじき26歳……だが、諦めたくない……異世界を見つけ出すまでは。
☆
翌日、私は大学院に向かうため、外に出た。
そういえば論文を書き直さなきゃ……でもその前に他の研究も……。
……色々考えながら歩いていると、突然、その時は起きた。
携帯から、警報音と共にこんな音声が流れたのだ。
『地震です! 地震です!』
……その音声の後、地面が縦の方向に揺れ始めた。
「お疲れ様」
少し仮眠を取り、夕食の時間になる。
叔母さんの料理はとても美味しい、徹夜でずっとコンビニ飯だったので、余計にそう感じる。
「なーんでみんな、他の世界があるってこと、信じないんだろうなぁ……」
「また教授に言われたの?」
「うん……こんなの非現実的だ! ……だって」
「あはは、頭の固い教授だねぇ」
「でしょ?」
ご飯を食べながら、私たちは談笑をする。
叔母さんは私の言う愚痴を真剣に聞いてくれている。
他の人にこういうことを話しても、「教授が正しい」としか言わない。
「他の世界があった方が絶対楽しいのに……叔母さんもそう思わない?」
「ふふふ……そうだねぇ」
別の世界……私があると信じている理由はたくさんある。
それが存在していると考え始めたのは、大体15年前、私が10か11の時だ。
幼少期から男の子向けのヒーロー番組を見ていた私は、「世界を行き来するヒーロー」のお話が凄い好きになった。
異世界との出会いはそれが初めてだった。
そして中学に上がった時……インターネットで素人が小説を投稿するサイトに出会った。
そこでは、「現代社会の人間が、別の世界に行く」というのが流行っていて、私はそれ系統の作品を読みまくった。
……異世界は、本当に存在するのだろうか?
私の頭の中で疑問符が浮かび上がった、私たちが今生きている世界は、現実世界と言えるのであろうか? 仮に別の世界が存在していたとして、その世界に住んでいる人々は私たちの世界をどう見るのであろうか? 「パラレルワールド」と呼ばれるものがあるように、異世界は……存在するのではないか?
どうしても疑問から解消されない私は、理科の教師に異世界について聞いてみた、教師は「アニメの見過ぎだ」と言ってきた。
数学や地理の教師にも聞いた……答えは同じだった。
次第に、ほとんどの教師に同じ質問をしてしまった……校長や養護教諭にまで。
同級生からは白い目で見られ、私は孤立してしまった。
どうやったらこの疑問から解消される? どうやったら異世界を見つけられる?
親に相談したら、「勉強して大学に行きなさい、そうしたらわかる筈だ」と言ってきた。
そこから私は……猛勉強をした。
高校は県内トップの進学校、大学は有名私立大学
同期の学生たちは皆、就職していったが……私には大学を卒業して就職するという選択肢は無かった、全ては……異世界を見つけるため。
……そして今、大学院。
……まだ異世界は見つからない。
巷では、「大学院を卒業した奴は就職しづらくなる」と言われている。
私はもうじき26歳……だが、諦めたくない……異世界を見つけ出すまでは。
☆
翌日、私は大学院に向かうため、外に出た。
そういえば論文を書き直さなきゃ……でもその前に他の研究も……。
……色々考えながら歩いていると、突然、その時は起きた。
携帯から、警報音と共にこんな音声が流れたのだ。
『地震です! 地震です!』
……その音声の後、地面が縦の方向に揺れ始めた。
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