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51.王子様と見る景色
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「とても美味しかったです、貴方も見る目があるのですね」
「おいおい、その言い方は失礼だろ」
店を出て、私たちは目的もなく歩き始める。
世間では、こういうのを恐らく「デート」と言うのだろう。
だが正直……退屈だ。
「……退屈か?」
スタッグ様は私の態度を察したのか、声を掛けてくる。
「はい……正直……そうですね」
「そうか……」
スタッグ様は、何かを考え始めたのか、表情が険しくなった。
なんでしょう……一体何を……?
「……じゃあ、あそこに行くか」
「あそこって……どこですか?」
一体どこに行くつもりなのでしょうか?
「ま、ついて来いよ」
「ちょ、ちょっと……」
スタッグ様は私の手を掴み、どこかへと連れ出した。
☆
「ちょ、ちょっと……どこに行く気ですか?」
「いいから……足元気を付けろよ」
「いやいや、それならもうちょっとゆっくり歩いてくださいよ……」
私たちは今、丘を登っている。
周りは林で、所々に木の根っこが浮かび上がっていて、何度か躓きそうになった。
前を見ると、白い光が、私たちを照り付けていた。
「もうすぐだぞ」
彼はそう言いつつ、前進を続ける。
私は眩しい光を腕で遮りつつ、スタッグ様に引っ張られた。
林の外に出たのか、優しい風が体に当たり、涼しく感じる。
「さ、ここだ……っておい、目開けろよ」
「ちょっと眩しくて……」
私は腕の遮りを止め……目の前の光景を見た。
「こ、これは……」
「どうだ? すごいだろ?」
目の前に広がっていたのは……王都の街並みだった。
神殿の窓からも見えるが……そこから見える光景とは全く違う。
何と表現したらいいのでしょうか……ここから見える王都は、「ありのままの姿」のように見える。
既に陽が沈みかけていて、赤い光が王都を照らしている……神殿の窓から見える王都は、神殿によって陰になっていることもあって、新鮮味を感じる。
「俺はここからの景色がお気に入りなんだ……凄いだろ?」
「えぇ……とても凄いですね」
80年の年月を掛けて成長していった王国。
その中心部の景色が一望できる……こんな特等席、お金じゃ買えないですね。
「貴方の事……少し見直しました」
「……少しだけかよ」
「あら? 嫌なのですか?」
「いや……」
彼は嬉しそうな顔をしている。
「本当に……今日は楽しかったですよ、ありがとうございました」
「ほ、本当か!?」
「同じことを二回言わせたいのですか?」
「あ、いや……」
本当に、スタッグ様をからかうのは凄く楽しい。
想像通りの反応を見せてくれる。
なんでしょう、そんな彼を見ていると……興奮してきました。
性欲大魔神なのは……私なのかもしれませんね。
「……あの、スタッグ様」
「な、なんだ?」
私は今して欲しい事を口にした。
「興奮してきたので、一緒に寝てください」
「おいおい、いきなり何てこと言ってんだ……」
「……嫌なのですか?」
「い、嫌じゃねぇけど……」
彼は困惑の表情を浮かべる
……本当に、彼は面白い反応を見せてくれる。
「じゃあ問題ありませんね、どこかできそうなところはありますか?」
「あ、あぁ……」
「じゃ、そこまで案内してください、時間は待ってくれませんよ」
「お、おう……」
私は彼の手を力強く掴み、彼について行った。
「おいおい、その言い方は失礼だろ」
店を出て、私たちは目的もなく歩き始める。
世間では、こういうのを恐らく「デート」と言うのだろう。
だが正直……退屈だ。
「……退屈か?」
スタッグ様は私の態度を察したのか、声を掛けてくる。
「はい……正直……そうですね」
「そうか……」
スタッグ様は、何かを考え始めたのか、表情が険しくなった。
なんでしょう……一体何を……?
「……じゃあ、あそこに行くか」
「あそこって……どこですか?」
一体どこに行くつもりなのでしょうか?
「ま、ついて来いよ」
「ちょ、ちょっと……」
スタッグ様は私の手を掴み、どこかへと連れ出した。
☆
「ちょ、ちょっと……どこに行く気ですか?」
「いいから……足元気を付けろよ」
「いやいや、それならもうちょっとゆっくり歩いてくださいよ……」
私たちは今、丘を登っている。
周りは林で、所々に木の根っこが浮かび上がっていて、何度か躓きそうになった。
前を見ると、白い光が、私たちを照り付けていた。
「もうすぐだぞ」
彼はそう言いつつ、前進を続ける。
私は眩しい光を腕で遮りつつ、スタッグ様に引っ張られた。
林の外に出たのか、優しい風が体に当たり、涼しく感じる。
「さ、ここだ……っておい、目開けろよ」
「ちょっと眩しくて……」
私は腕の遮りを止め……目の前の光景を見た。
「こ、これは……」
「どうだ? すごいだろ?」
目の前に広がっていたのは……王都の街並みだった。
神殿の窓からも見えるが……そこから見える光景とは全く違う。
何と表現したらいいのでしょうか……ここから見える王都は、「ありのままの姿」のように見える。
既に陽が沈みかけていて、赤い光が王都を照らしている……神殿の窓から見える王都は、神殿によって陰になっていることもあって、新鮮味を感じる。
「俺はここからの景色がお気に入りなんだ……凄いだろ?」
「えぇ……とても凄いですね」
80年の年月を掛けて成長していった王国。
その中心部の景色が一望できる……こんな特等席、お金じゃ買えないですね。
「貴方の事……少し見直しました」
「……少しだけかよ」
「あら? 嫌なのですか?」
「いや……」
彼は嬉しそうな顔をしている。
「本当に……今日は楽しかったですよ、ありがとうございました」
「ほ、本当か!?」
「同じことを二回言わせたいのですか?」
「あ、いや……」
本当に、スタッグ様をからかうのは凄く楽しい。
想像通りの反応を見せてくれる。
なんでしょう、そんな彼を見ていると……興奮してきました。
性欲大魔神なのは……私なのかもしれませんね。
「……あの、スタッグ様」
「な、なんだ?」
私は今して欲しい事を口にした。
「興奮してきたので、一緒に寝てください」
「おいおい、いきなり何てこと言ってんだ……」
「……嫌なのですか?」
「い、嫌じゃねぇけど……」
彼は困惑の表情を浮かべる
……本当に、彼は面白い反応を見せてくれる。
「じゃあ問題ありませんね、どこかできそうなところはありますか?」
「あ、あぁ……」
「じゃ、そこまで案内してください、時間は待ってくれませんよ」
「お、おう……」
私は彼の手を力強く掴み、彼について行った。
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