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14.王子様は愛を知りたい ※スタッグ視点

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「クソ……なんであんな奴に……」

 あれから数日経った……未だに、あのカマ野郎の事が忘れられない。
 初めての感触……あれがまだ俺の下半身に残っている……。
 忘れられないのか? ……そもそも、忘れたくないのだろうか?

「……殿下、今日の殿下は、調子があまり良くないようですが……」

 俺の隣にいる女が、そんなことを口にする。
 調子が悪い……これもあの野郎のせいだ。

 あいつのあの言葉が忘れらない。

『貴方、自分の話しかしていないじゃないですか、よくそれで多くの女性を囲えますね、皆その優しさと美しい顔で貴方を選んでいるのではありませんか?』

 ……顔、か。
 この女も、俺の事をそれで選んでいるのだろうか?

「……なぁ、貴様はなぜ俺と寝る? 俺が王族だからか?」
「そ、そんなことは……」
「それともやはり……顔なのか?」
「……」

 ……女は黙ってしまった。
 結局……顔か。

「もういい……寝る」

 俺は女に背を向け……目を閉じた。



 スタッグ・クライスター第二王子殿下。
 皆は俺をそう言う……だが本当の俺はそんな華やかな存在なんかじゃない。
 俺の母親である人は……俺が物心ついた時にはすでに他界していた。
 俺の肉親は……事実上国王であるお父様だけ……なのだが。

「流石は我が息子! やはりお前は天才だな!」
「ありがとうございます、お父様」
「……スタッグ、お前もこいつを見習って頑張りなさい」

 ……お父様は、一度も俺を褒めなかった。
 忌まわしい側室の子だからと、その時は考えた。

「お父様! 数か月かけて描いた絵が先ほど完成しました! 是非ご覧ください!」
「流石は我が娘だ! 今行くから待ってくれ!」

 ……お父様は、いつも兄や姉を褒め称える。
 頭のいい兄に、絵の才能がある姉。
 2人は正妻の子どもで、側室の子である俺は、恐らく何の才能も開花されなかったのだろう。
 ……だが、2人に負けない要素が、俺にはある、それは……。

「スタッグ殿下、是非私の家に……」
「スタッグ殿下、是非娘と会ってくださいませんか?」
「スタッグ殿下……何と美しい……」

 俺は側室である母親の影響か、兄や姉とは違う美貌があった。
 俺は夜会の度に女に声を掛けられたり、茶会に誘われたりしていた。
 その時感じたのだ……これが「愛」なのだと。
 お父様から貰うことができなかったもの……それがここにある。
 俺はその美貌を武器に、数多くの女と愛を分かち合った。
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