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悪魔
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「あ、悪魔の召喚ですか……」
トニョが震えた手で位置を直そうと眼鏡のブリッジに手を伸ばすが眉間に突き刺さる。
「ありえない……いくらテイマーの起源がソロモンの指輪とされてはいるが今、この時代に悪魔の召喚し使役しようというのか? 馬鹿げてる……馬鹿げてる!」
強く否定するが手の震えは止まらない。
「……なあ、ビクトリア。悪魔ってそんなに怖いのか? トニョがあんなに怖がるなんて」
テオはビクトリアの肩を突いて尋ねる。
「……馬鹿テオ。相変わらず緊張感がないんだから。でもまあ悪魔は我々、命ある者にとって脅威そのものよ。悪魔とは魔物よりも高濃度のマナで構成された意思。そのマナ濃度は太古の昔、星中にマナを降り蒔いていた龍に並ぶとされる。だけど龍とは根本的な違いがある。龍は自然そのもの。空の上を漂う雲、海に向かって流れる川。時に雲は大雨をもたらすし、川は人を飲み込む。でもそれは人をいじめようとか罰しようとかそういった意思があるわけではない。自然があるがままなの。人間が水を求め歩いている最中に気付かぬうちに虫を踏んづけてしまうようなもの。だけど悪魔は違う。善悪の分別がつきながらも明確な意思で人の脅威となる存在。例えば火山の噴火は普通は天に向かって吹き出す。運が悪ければ溶岩に巻き込まれたり噴石にぶつかって命を落とすこともあるでしょう。これが龍だとするなら悪魔は人のいる街に火口を作り出し噴火させるような存在。命ある者を選り好みし痛めつけることに長けた、生きてる間は絶対に会いたくない連中よ」
ビクトリアに説明に白毛の刺客は感心する。
「ほう、魔力量だけでなく知識量もありましたか」
「ふん。舐めるんじゃないわよ」
「しかし付け足しておきましょう。悪魔も全てが命ある者の脅威となるわけではありません。時に人の助けにもなる悪魔も存在するということを」
テオが質問する。
「ええ!? じゃあエキドナに召喚する悪魔はどっちなんだ!?」
「それは、脅威と成すほうです」
「だめじゃん!」
僅かな確率に賭けたが撃沈。
「馬鹿テオ! そんなの聞かなくてもわかることでしょうが! 親玉はなんかしらんけど人間に強い恨みに持ってるみたいだし!」
ビクトリアは杖の先を何度も地面に突いて怒る。
「……それにしても悪魔を召喚するって正気? 難易度で言えば龍の再現するようなもの。必要な魔力も気が遠くなるほど膨大。雷すら生み出せない人類の魔法がそんなことできるわけ?」
その問いには元エキドナの主リチャードが答えた。
「確率としては低いだろうな」
「……引っかかる言い方ね。どういう意味よ」
白毛の刺客が肩を落とす。
「ナンセンス。落第ですね」
「だから何よ! 私にわかるように言いなさいよ! 年上を敬いなさい!」
「私は親切なので膨大な魔力量と高度な年齢を誇るエルフに特別に教えてあげましょう」
「きぃ! 言い方!」
怒るビクトリアを気にせずに説明を続ける。
「今は厳しいでしょう。ですが未来はわかりません」
「今はって……いやそれってもしかして!?」
「ようやくわかったようですね。失敗してもまた挑戦すればいい。ここエキドナならそれが可能。何せ魔力へと変換する命がいくらでも湧いて出てくるのですから」
彼女の言葉は命を命として見ない、冷たく突き放したような言葉だった。
トニョが震えた手で位置を直そうと眼鏡のブリッジに手を伸ばすが眉間に突き刺さる。
「ありえない……いくらテイマーの起源がソロモンの指輪とされてはいるが今、この時代に悪魔の召喚し使役しようというのか? 馬鹿げてる……馬鹿げてる!」
強く否定するが手の震えは止まらない。
「……なあ、ビクトリア。悪魔ってそんなに怖いのか? トニョがあんなに怖がるなんて」
テオはビクトリアの肩を突いて尋ねる。
「……馬鹿テオ。相変わらず緊張感がないんだから。でもまあ悪魔は我々、命ある者にとって脅威そのものよ。悪魔とは魔物よりも高濃度のマナで構成された意思。そのマナ濃度は太古の昔、星中にマナを降り蒔いていた龍に並ぶとされる。だけど龍とは根本的な違いがある。龍は自然そのもの。空の上を漂う雲、海に向かって流れる川。時に雲は大雨をもたらすし、川は人を飲み込む。でもそれは人をいじめようとか罰しようとかそういった意思があるわけではない。自然があるがままなの。人間が水を求め歩いている最中に気付かぬうちに虫を踏んづけてしまうようなもの。だけど悪魔は違う。善悪の分別がつきながらも明確な意思で人の脅威となる存在。例えば火山の噴火は普通は天に向かって吹き出す。運が悪ければ溶岩に巻き込まれたり噴石にぶつかって命を落とすこともあるでしょう。これが龍だとするなら悪魔は人のいる街に火口を作り出し噴火させるような存在。命ある者を選り好みし痛めつけることに長けた、生きてる間は絶対に会いたくない連中よ」
ビクトリアに説明に白毛の刺客は感心する。
「ほう、魔力量だけでなく知識量もありましたか」
「ふん。舐めるんじゃないわよ」
「しかし付け足しておきましょう。悪魔も全てが命ある者の脅威となるわけではありません。時に人の助けにもなる悪魔も存在するということを」
テオが質問する。
「ええ!? じゃあエキドナに召喚する悪魔はどっちなんだ!?」
「それは、脅威と成すほうです」
「だめじゃん!」
僅かな確率に賭けたが撃沈。
「馬鹿テオ! そんなの聞かなくてもわかることでしょうが! 親玉はなんかしらんけど人間に強い恨みに持ってるみたいだし!」
ビクトリアは杖の先を何度も地面に突いて怒る。
「……それにしても悪魔を召喚するって正気? 難易度で言えば龍の再現するようなもの。必要な魔力も気が遠くなるほど膨大。雷すら生み出せない人類の魔法がそんなことできるわけ?」
その問いには元エキドナの主リチャードが答えた。
「確率としては低いだろうな」
「……引っかかる言い方ね。どういう意味よ」
白毛の刺客が肩を落とす。
「ナンセンス。落第ですね」
「だから何よ! 私にわかるように言いなさいよ! 年上を敬いなさい!」
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「今はって……いやそれってもしかして!?」
「ようやくわかったようですね。失敗してもまた挑戦すればいい。ここエキドナならそれが可能。何せ魔力へと変換する命がいくらでも湧いて出てくるのですから」
彼女の言葉は命を命として見ない、冷たく突き放したような言葉だった。
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