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【最終章】顔は愛、愛は顔 面食い淑女よ永遠に
高らかに笑うはマリアンヌ・リヴァイアサン嬢
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「あはは、あははは! あーはっはっはっは!!! 本当に庇いやがった!!!」
マリアは腹を抱えて笑う。
これにいち早く激怒したのは、
「何がおかしい!! アレクシスお姉さまは愛する人のために身を張って守ったんだぞ!!」
アルフォンスだった。勇敢にも立ち向かう。
「はあああ!? 守られてばっかのガキがなんだってええええええ!?」
「ちっ……魚のくせに痛いところを突くじゃないか……! でも今に見てろ! アレクシスお姉さまならきっと帰ってくる!」
「それはどうかねえ……これをただの大きなシャボン玉と思ったら大間違いだよ。中には大渦が巻いているんだ。いくらあの女が怪力だろうと炎魔法が得意だろうと時を止められようと身動き取れないだろうさ! しかも運よくカルロスとも隔離が出来た! お得意のイケメン魔力補給も封じてやったわ!」
「そ、そんなことない! すぐに戻ってくる! こうしてる今にもでも……!」
期待するがいくら待てどシャボン玉はうんともすんとも言わない。
「……う、うそだ、こんなこと!」
「嘘じゃありません~~~~~~現実です~~~~~~~! べろべろば~~~」
尻もちをついているカルロスにイバンは駆け寄る。
「悪いが大将。最悪な事態かもしれん。ここは俺とカルメンが時間を稼ぐからお前とアルフォンスで今すぐ」
「あの白いハンカチは僕が彼女に譲ったものだ……彼女はそれをずっと大事に……」
「落ち込むのはわかるが、今は生きることを専念してくれ」
「生きる? あんなの心優しい彼女のいない世界に……生きる意味なんて」
「──おい、カルロス。歯ぁ食いしばれ」
ぶち切れたイバンはカルロスの顔を殴った。
「生きるのを諦めてんじゃねえぞ! お前が生き残ることを誰よりも望んでるのが庇ったアレクシスだ! あいつはなんのために命を張ったんだと思っていやがる!」
「僕は……僕は……」
チェスで表せばまさにクイーンを失ったも同然。喪失感、焦燥感は全体に伝播する。
「ああ、どうしましょう、こんな人生最高の瞬間をどう表せばいいのでしょう。そうですわ。アレがありましたね」
マリアは腰に左手を添え、口に右手を添える。
「オーホッホッホッホ! なんて。あらやだ、真似てみると存外気持ちいいですわね。今度からは私様のものにして差し上げましょう。戦利品替わりですわ」
その高笑いに誰よりも苛立ったのが、
「……魚臭い口で僕の愛する彼女の真似をするのはよしてもらおうか」
カルロスだった。奥歯をギギギと軋ませる。多くの者の上に立つ者として品格のかけらもない形で怒りをあらわにする。
「あーあ、残念。あなたが大人しく私様の物になっていれば彼女も命は落とすことにならなかったでしょうにね」
「生憎だが、僕は君の物にもならないし、彼女が命を落とすこともありえない」
「あらあら、ご立派な口を叩きますのね。顔だけのぼっちゃまがさ」
「……そうだな、僕は顔だけの男さ。カスターニャ王国を繁栄させ、龍覇帝から国を取り戻した偉大な父上に比べれば不甲斐ないことばかり。でもそんな僕でも、顔がいいと真剣に愛してくれる女性がいるんだ。思い込みの激しくて足を引っ張ってばかりのダメダメな僕を、婚約破棄しても会いに来てくれる女性がいるんだ! それなら僕も彼女に会いに行かなきゃダメだろう!」
カルロスは冶金魔法を唱える。
「マズバレ! タレデケノンカ!」
手から巨大な錨が現れる。鎖の部分を手首に巻き付けるとシャボン玉を睨んだ。
「おい、何する気だ、カルロス!」
「万が一のことがあったら弟を頼むよ」
「おい、待てって!!」
「悪いが待てない! 今度は僕が彼女を助ける番なんだ!」
止めようとするがあと一歩及ばず。
カルロスは恐れることなくシャボン玉の中へ飛び込んだ。
マリアは腹を抱えて笑う。
これにいち早く激怒したのは、
「何がおかしい!! アレクシスお姉さまは愛する人のために身を張って守ったんだぞ!!」
アルフォンスだった。勇敢にも立ち向かう。
「はあああ!? 守られてばっかのガキがなんだってええええええ!?」
「ちっ……魚のくせに痛いところを突くじゃないか……! でも今に見てろ! アレクシスお姉さまならきっと帰ってくる!」
「それはどうかねえ……これをただの大きなシャボン玉と思ったら大間違いだよ。中には大渦が巻いているんだ。いくらあの女が怪力だろうと炎魔法が得意だろうと時を止められようと身動き取れないだろうさ! しかも運よくカルロスとも隔離が出来た! お得意のイケメン魔力補給も封じてやったわ!」
「そ、そんなことない! すぐに戻ってくる! こうしてる今にもでも……!」
期待するがいくら待てどシャボン玉はうんともすんとも言わない。
「……う、うそだ、こんなこと!」
「嘘じゃありません~~~~~~現実です~~~~~~~! べろべろば~~~」
尻もちをついているカルロスにイバンは駆け寄る。
「悪いが大将。最悪な事態かもしれん。ここは俺とカルメンが時間を稼ぐからお前とアルフォンスで今すぐ」
「あの白いハンカチは僕が彼女に譲ったものだ……彼女はそれをずっと大事に……」
「落ち込むのはわかるが、今は生きることを専念してくれ」
「生きる? あんなの心優しい彼女のいない世界に……生きる意味なんて」
「──おい、カルロス。歯ぁ食いしばれ」
ぶち切れたイバンはカルロスの顔を殴った。
「生きるのを諦めてんじゃねえぞ! お前が生き残ることを誰よりも望んでるのが庇ったアレクシスだ! あいつはなんのために命を張ったんだと思っていやがる!」
「僕は……僕は……」
チェスで表せばまさにクイーンを失ったも同然。喪失感、焦燥感は全体に伝播する。
「ああ、どうしましょう、こんな人生最高の瞬間をどう表せばいいのでしょう。そうですわ。アレがありましたね」
マリアは腰に左手を添え、口に右手を添える。
「オーホッホッホッホ! なんて。あらやだ、真似てみると存外気持ちいいですわね。今度からは私様のものにして差し上げましょう。戦利品替わりですわ」
その高笑いに誰よりも苛立ったのが、
「……魚臭い口で僕の愛する彼女の真似をするのはよしてもらおうか」
カルロスだった。奥歯をギギギと軋ませる。多くの者の上に立つ者として品格のかけらもない形で怒りをあらわにする。
「あーあ、残念。あなたが大人しく私様の物になっていれば彼女も命は落とすことにならなかったでしょうにね」
「生憎だが、僕は君の物にもならないし、彼女が命を落とすこともありえない」
「あらあら、ご立派な口を叩きますのね。顔だけのぼっちゃまがさ」
「……そうだな、僕は顔だけの男さ。カスターニャ王国を繁栄させ、龍覇帝から国を取り戻した偉大な父上に比べれば不甲斐ないことばかり。でもそんな僕でも、顔がいいと真剣に愛してくれる女性がいるんだ。思い込みの激しくて足を引っ張ってばかりのダメダメな僕を、婚約破棄しても会いに来てくれる女性がいるんだ! それなら僕も彼女に会いに行かなきゃダメだろう!」
カルロスは冶金魔法を唱える。
「マズバレ! タレデケノンカ!」
手から巨大な錨が現れる。鎖の部分を手首に巻き付けるとシャボン玉を睨んだ。
「おい、何する気だ、カルロス!」
「万が一のことがあったら弟を頼むよ」
「おい、待てって!!」
「悪いが待てない! 今度は僕が彼女を助ける番なんだ!」
止めようとするがあと一歩及ばず。
カルロスは恐れることなくシャボン玉の中へ飛び込んだ。
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