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【第5章】王都突入 立ちはだかる数多の壁
明かされる陰謀の全貌と静かにぶち切れるアレクシス嬢
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最も頭が固く規則に厳しいとされる門番が宮廷魔術師エリック・ベルンシュタインの顔を見ただけで笑顔で通す。その同伴者も検査せずに何の疑いもせずに笑顔で見送る。
彼はこの国で誰もが知る大英雄。性格も温和で謙虚で礼儀正しい。誰からも愛される存在であり、彼の悪口を言う者は誰一人いない。輝かしい実績もあるだけに親の七光りとされ厳しい目を向けられがちなカルロスよりも愛され、国民人気が高い。
「あの、エリック・ベルンシュタイン様。ここまででよろしいです。私はこの辺で」
「マスカラという化粧ですか? よくお似合いです。気品あふれるあなたに相応しい」
エリック・ベルンシュタインはアレクシスの肩に手を回す。
「ここは目立ちます。目立たずに城へ向かう秘密の道を知っています。特別にあなただけにお教えします」
すでに周囲はざわついている。浮いた話を一切聞かないエリック・ベルンシュタインが謎の女性と出歩いている。これだけで新聞紙は一面を飾ってしまう衝撃だった。
「……わかりました。エスコートしてくださいまし」
そして二人は人の目も太陽の光も届かない地下へと潜った。
「ここは地下水道です。暗渠とも言いますね。ちょっとした自慢ですが先々代国王に依頼され、僕が設計したんですよ。多少入り組んでますが大丈夫です。地図は僕の頭の中にあります。ただちょっと劣化して水が漏れてきてますね。つい先日も雨が降りましたので」
道の真ん中に川が流れている。濡れずに済む足場があったが常に頭上から水が垂れてきている。常に浅い水たまりを歩いている状態だった。
「レディを歩かせる道ではありませんね。どうです? 抱っこしながら向かいましょうか」
「お気遣いいただきありがとうございますわ。ですが心に決めた殿方がいますので」
アレクシスはかたくなに自分の足で歩いた。決して心を許さなかった。
「心に決めた……ですか。カルロス様は一体どうしてしまったのでしょう。こんな素敵な女性がいるのに、突然幼馴染と名乗る女性と結婚を発表されるのですから。是が非でも彼の元へ行き、真意を問い正さなければ」
「おほほ、そうですわね」
入り組んだ地下水道しばらく歩いた後にエリックの足は止まった。
「ここです。この上がお城です。それでは向かいましょう」
エリックは紳士的に手を伸ばすが、アレクシスは手を取らなかった。
「エリック・ベルンシュタイン様。地上に戻る前にお尋ねしたいことがありますわ。ええ、それはもう山ほど」
「おや、カルロス様一筋のアレクシス様が僕に興味を? 喜んでお答えしますよ」
エリックは本日最も爽やかな笑顔を浮かべた。
「では単刀直入にお聞きしますわ。どうして裏切られたのですか?」
「……さて、なんのことでしょう?」
「とぼけないでくださいまし。ずっと疑問に思っていたのです。一介の給仕が、それも一人で王子やその身の回りの人間を催眠魔法で支配下に置けるかと。絶対にありえませんわ。ありえるとしたら協力者がいること。それも誰もが疑いを持たずに王室に近寄れる内部による裏切者がいなければありえません。そしてその条件をクリアしている者はこの国にたった一人しかいません。宮廷魔術師エリック・ベルンシュタイン。あなたしかありえませんの。正気を保っているのが何よりの証拠ですわ。ええ、ほんと、あなたも催眠魔法にかかっていればどれだけ楽だったか。まあじ最悪のパターンですわ」
「ふふふ、人聞きの悪い。何か証拠でもあるのですか?」
エリックは疑われているのに楽しそうに笑顔を浮かべる。
「じゃあどうして嘘の道案内をしました? ここは入ってきた入り口ですわよね。ぐるぐる回って来ただけですわ。城には全然近づいていません」
「っふっふっふ、どうしてわかったんですか? 目印をつけた素振りもなかったのに」
「私は淑女の中の淑女ですわ。ぐるぐる回った程度で方向感覚を失いませんわよ」
「ふふ、なんですか、その理屈。方向感覚に淑女は関係ないでしょうに」
「それともう一つ、お尋ねしたいことがありますわ。あなたは何者なんですの? エリック・ベルンシュタインであり、エリック・ベルンシュタインではありませんわよね。私はどんな悪人であれイケメンを見ればときめていしまいますの。それが例え千人以上殺した大海賊でも、百万人以上を売り捌いた奴隷商人でも、目の前にいる国賊だとしても」
「っふっふっふ、はっははははっは!!! 御見事! 御見事!」
エリックは手を叩き、称賛する。
アレクシスは初めて彼が大声をあげる瞬間を目撃した。ただそこに喜びはなく冷淡な眼差しを向けた。
「僕の見立て、いやそれ以上だ! ほんっっっとに君は素晴らしい!! やはり君は常識を外れた存在!! 不老を手に入れた僕なんか足元にも及ばない!!! ああ、欲しい!! 僕はそんな特別な君が欲しい!!!」
「あら、もしや愛憎狂って執着してしまうストーカー系男子でしたの? それはちょっと悪い気がしませんわね~」
「ああ、これを愛と言わずなんと言う! 今すぐにでも君を手に入れて解剖したい!! 筋肉の密度は!? 魔法腺の太さは!!? どれだけの高電圧の電気ショックに耐えられるのか!!? 気になって気になって一睡もできないよおお僕はああ!!! 長寿特有の病、虚無病の僕のあそこを復活させた君!! 君しかこの興奮を解消できないんだよおおおお!!!」
「おっと風向きが変わりましたわね。これはストーカーじゃなくてマッドサイエンティスト系の愛ですわ。私もそこまで多趣味ではございませんわ~」
さすがのアレクシスもこれには引いた。
「失礼、取り乱しました。これが理由だよ、アレクシス嬢。僕は君が欲しかったんだ。ただ手に入れるだけなら簡単だ。せっかくだから実験してみたかったんだ」
突然紳士に戻るエリック。しかしもうどれだけ取り繕ってもアレクシスの中の変態という評価は覆らない。
「せっかくだから?」
「そう、鳥を観察するなら鳥籠の中より自由に飛び回る屋外がいいだろう? ちょっとしたストレステストさ。ちょうどよく給仕の一人が王子をたぶらかそうとしてたので閃いたんだ。君が婚約破棄をされたらどんな反応をするんだろうって」
「ちょっとしたストレステストですか……良い結果は取れましたか?」
「ああ、大成功だ。君はそうやって怒るんだね。ふふふ、イレギュラーが何度も起きましたが時間をかけただけにいいものが見れました」
「燃えませんわね……あまり私を怒らせないでくださいまし……素敵なお顔をぶん殴ってしまいそうですわ……」
全身を震わせるほどの憤怒を纏うアレクシス。自らの矜持を忘れてしまいそうなほどに怒りの炎は燃え上がっていた。
「あなたのその思い付きでどれだけ多くの人が傷ついたか……痛みでわかってもらいますわよ……!」
敵意を越えた殺意を向けられてもエリックは笑顔を絶やさない。
「おっと怖い怖い。ですが僕に触れないほうがいいですよ。おっとちょうどよくドブネズミが近づいてきましたね」
エリックの足元にドブネズミがちょこまかと走り回る。そして足を止めたかと思うとくるぶしに嚙みついた。
バアン!
次の瞬間にはドブネズミは黒焦げになって命を落とした。
「今のは……爆発魔法……? いいえ、魔力の気配はしなかった……じゃあ一体……」
アレクシスは急いで分析するも答えが出なかった。
「わからないも無理はありません。これは魔法ではなく錬金術の範疇なので」
「錬金術!? 魔力やマナに頼らない知識を宮廷魔術師が!?」
「時間が有り余ってましたのでね。魔法研究の息抜きに錬金術も研究したのですよ。あともう一つ教えておきましょう。アレクシス嬢。あなたは僕に触れることすらできない」
次の瞬間、アレクシスの身体に電流が走り膝を屈する。まとまった髪は爆発したように広がる。
(まるで反応できませんでしたわ……躱す躱せないじゃない、全く見えませんでしたわ……攻撃する素振りすら見えなかった……)
エリックの周囲でバチリと閃光が走るのが見えた。
「もしや雷魔法!? 雷魔法は神にのみ許された魔法のはず!? まさか、エリック、ついに神の領域に達しましたの!?」
「驚いてくれたのは嬉しいですがそんな立派な代物じゃないですよ。これも錬金術の範疇です。ちょっとした自慢ですがこの世界では極めて稀少であり最先端の知識です。世界中を探してもこれに関する書籍はないでしょう。まさに未知の力なのですよ」
手を近づけるとバチバチと小さな雷が走る。
「これ以上浴びたくありませんわね……カルロス様と会う前だというのに髪型が乱れてしまいますもの」
アレクシスは立ち上がる。何の策も浮かばないが立たずにはいられなかった。
「おや、立ち上がりますか。困ったな。あまり手荒な真似はしたくなかったんですが。予定では何度も攻撃を浴びせてじわりじわりと戦意を喪失させたかったのですが……こうなればあと一撃、命を失うギリギリの強めの浴びせるとしましょう」
「やれるもんならやってみろですわ!」
アレクシスは咄嗟に思いついた攻撃に出る。淑女の勘と呼ぶべきか、それとも……。
「とりあえずドロップキックですわあああああ」
エリックは笑顔で両腕で顔を隠す。
「無駄な足掻きを」
そしてアレクシスのドロップキックは胴体に突き刺さった。
「……顔じゃないだと!?」
「どんな鬼畜外道の悪人であれ、顔は攻撃できませんわよ!!」
「しかも感電しない!?」
「どおおおりゃあああああ!!」
空中でアレクシスは踏ん張る。
するとエリックの胴体は上下に真っ二つに割れてしまった。
アレクシスは青ざめて絶叫した。
「どうええええええ!!!!????? 殺ってしまいましたわああああああ!!!???」
彼はこの国で誰もが知る大英雄。性格も温和で謙虚で礼儀正しい。誰からも愛される存在であり、彼の悪口を言う者は誰一人いない。輝かしい実績もあるだけに親の七光りとされ厳しい目を向けられがちなカルロスよりも愛され、国民人気が高い。
「あの、エリック・ベルンシュタイン様。ここまででよろしいです。私はこの辺で」
「マスカラという化粧ですか? よくお似合いです。気品あふれるあなたに相応しい」
エリック・ベルンシュタインはアレクシスの肩に手を回す。
「ここは目立ちます。目立たずに城へ向かう秘密の道を知っています。特別にあなただけにお教えします」
すでに周囲はざわついている。浮いた話を一切聞かないエリック・ベルンシュタインが謎の女性と出歩いている。これだけで新聞紙は一面を飾ってしまう衝撃だった。
「……わかりました。エスコートしてくださいまし」
そして二人は人の目も太陽の光も届かない地下へと潜った。
「ここは地下水道です。暗渠とも言いますね。ちょっとした自慢ですが先々代国王に依頼され、僕が設計したんですよ。多少入り組んでますが大丈夫です。地図は僕の頭の中にあります。ただちょっと劣化して水が漏れてきてますね。つい先日も雨が降りましたので」
道の真ん中に川が流れている。濡れずに済む足場があったが常に頭上から水が垂れてきている。常に浅い水たまりを歩いている状態だった。
「レディを歩かせる道ではありませんね。どうです? 抱っこしながら向かいましょうか」
「お気遣いいただきありがとうございますわ。ですが心に決めた殿方がいますので」
アレクシスはかたくなに自分の足で歩いた。決して心を許さなかった。
「心に決めた……ですか。カルロス様は一体どうしてしまったのでしょう。こんな素敵な女性がいるのに、突然幼馴染と名乗る女性と結婚を発表されるのですから。是が非でも彼の元へ行き、真意を問い正さなければ」
「おほほ、そうですわね」
入り組んだ地下水道しばらく歩いた後にエリックの足は止まった。
「ここです。この上がお城です。それでは向かいましょう」
エリックは紳士的に手を伸ばすが、アレクシスは手を取らなかった。
「エリック・ベルンシュタイン様。地上に戻る前にお尋ねしたいことがありますわ。ええ、それはもう山ほど」
「おや、カルロス様一筋のアレクシス様が僕に興味を? 喜んでお答えしますよ」
エリックは本日最も爽やかな笑顔を浮かべた。
「では単刀直入にお聞きしますわ。どうして裏切られたのですか?」
「……さて、なんのことでしょう?」
「とぼけないでくださいまし。ずっと疑問に思っていたのです。一介の給仕が、それも一人で王子やその身の回りの人間を催眠魔法で支配下に置けるかと。絶対にありえませんわ。ありえるとしたら協力者がいること。それも誰もが疑いを持たずに王室に近寄れる内部による裏切者がいなければありえません。そしてその条件をクリアしている者はこの国にたった一人しかいません。宮廷魔術師エリック・ベルンシュタイン。あなたしかありえませんの。正気を保っているのが何よりの証拠ですわ。ええ、ほんと、あなたも催眠魔法にかかっていればどれだけ楽だったか。まあじ最悪のパターンですわ」
「ふふふ、人聞きの悪い。何か証拠でもあるのですか?」
エリックは疑われているのに楽しそうに笑顔を浮かべる。
「じゃあどうして嘘の道案内をしました? ここは入ってきた入り口ですわよね。ぐるぐる回って来ただけですわ。城には全然近づいていません」
「っふっふっふ、どうしてわかったんですか? 目印をつけた素振りもなかったのに」
「私は淑女の中の淑女ですわ。ぐるぐる回った程度で方向感覚を失いませんわよ」
「ふふ、なんですか、その理屈。方向感覚に淑女は関係ないでしょうに」
「それともう一つ、お尋ねしたいことがありますわ。あなたは何者なんですの? エリック・ベルンシュタインであり、エリック・ベルンシュタインではありませんわよね。私はどんな悪人であれイケメンを見ればときめていしまいますの。それが例え千人以上殺した大海賊でも、百万人以上を売り捌いた奴隷商人でも、目の前にいる国賊だとしても」
「っふっふっふ、はっははははっは!!! 御見事! 御見事!」
エリックは手を叩き、称賛する。
アレクシスは初めて彼が大声をあげる瞬間を目撃した。ただそこに喜びはなく冷淡な眼差しを向けた。
「僕の見立て、いやそれ以上だ! ほんっっっとに君は素晴らしい!! やはり君は常識を外れた存在!! 不老を手に入れた僕なんか足元にも及ばない!!! ああ、欲しい!! 僕はそんな特別な君が欲しい!!!」
「あら、もしや愛憎狂って執着してしまうストーカー系男子でしたの? それはちょっと悪い気がしませんわね~」
「ああ、これを愛と言わずなんと言う! 今すぐにでも君を手に入れて解剖したい!! 筋肉の密度は!? 魔法腺の太さは!!? どれだけの高電圧の電気ショックに耐えられるのか!!? 気になって気になって一睡もできないよおお僕はああ!!! 長寿特有の病、虚無病の僕のあそこを復活させた君!! 君しかこの興奮を解消できないんだよおおおお!!!」
「おっと風向きが変わりましたわね。これはストーカーじゃなくてマッドサイエンティスト系の愛ですわ。私もそこまで多趣味ではございませんわ~」
さすがのアレクシスもこれには引いた。
「失礼、取り乱しました。これが理由だよ、アレクシス嬢。僕は君が欲しかったんだ。ただ手に入れるだけなら簡単だ。せっかくだから実験してみたかったんだ」
突然紳士に戻るエリック。しかしもうどれだけ取り繕ってもアレクシスの中の変態という評価は覆らない。
「せっかくだから?」
「そう、鳥を観察するなら鳥籠の中より自由に飛び回る屋外がいいだろう? ちょっとしたストレステストさ。ちょうどよく給仕の一人が王子をたぶらかそうとしてたので閃いたんだ。君が婚約破棄をされたらどんな反応をするんだろうって」
「ちょっとしたストレステストですか……良い結果は取れましたか?」
「ああ、大成功だ。君はそうやって怒るんだね。ふふふ、イレギュラーが何度も起きましたが時間をかけただけにいいものが見れました」
「燃えませんわね……あまり私を怒らせないでくださいまし……素敵なお顔をぶん殴ってしまいそうですわ……」
全身を震わせるほどの憤怒を纏うアレクシス。自らの矜持を忘れてしまいそうなほどに怒りの炎は燃え上がっていた。
「あなたのその思い付きでどれだけ多くの人が傷ついたか……痛みでわかってもらいますわよ……!」
敵意を越えた殺意を向けられてもエリックは笑顔を絶やさない。
「おっと怖い怖い。ですが僕に触れないほうがいいですよ。おっとちょうどよくドブネズミが近づいてきましたね」
エリックの足元にドブネズミがちょこまかと走り回る。そして足を止めたかと思うとくるぶしに嚙みついた。
バアン!
次の瞬間にはドブネズミは黒焦げになって命を落とした。
「今のは……爆発魔法……? いいえ、魔力の気配はしなかった……じゃあ一体……」
アレクシスは急いで分析するも答えが出なかった。
「わからないも無理はありません。これは魔法ではなく錬金術の範疇なので」
「錬金術!? 魔力やマナに頼らない知識を宮廷魔術師が!?」
「時間が有り余ってましたのでね。魔法研究の息抜きに錬金術も研究したのですよ。あともう一つ教えておきましょう。アレクシス嬢。あなたは僕に触れることすらできない」
次の瞬間、アレクシスの身体に電流が走り膝を屈する。まとまった髪は爆発したように広がる。
(まるで反応できませんでしたわ……躱す躱せないじゃない、全く見えませんでしたわ……攻撃する素振りすら見えなかった……)
エリックの周囲でバチリと閃光が走るのが見えた。
「もしや雷魔法!? 雷魔法は神にのみ許された魔法のはず!? まさか、エリック、ついに神の領域に達しましたの!?」
「驚いてくれたのは嬉しいですがそんな立派な代物じゃないですよ。これも錬金術の範疇です。ちょっとした自慢ですがこの世界では極めて稀少であり最先端の知識です。世界中を探してもこれに関する書籍はないでしょう。まさに未知の力なのですよ」
手を近づけるとバチバチと小さな雷が走る。
「これ以上浴びたくありませんわね……カルロス様と会う前だというのに髪型が乱れてしまいますもの」
アレクシスは立ち上がる。何の策も浮かばないが立たずにはいられなかった。
「おや、立ち上がりますか。困ったな。あまり手荒な真似はしたくなかったんですが。予定では何度も攻撃を浴びせてじわりじわりと戦意を喪失させたかったのですが……こうなればあと一撃、命を失うギリギリの強めの浴びせるとしましょう」
「やれるもんならやってみろですわ!」
アレクシスは咄嗟に思いついた攻撃に出る。淑女の勘と呼ぶべきか、それとも……。
「とりあえずドロップキックですわあああああ」
エリックは笑顔で両腕で顔を隠す。
「無駄な足掻きを」
そしてアレクシスのドロップキックは胴体に突き刺さった。
「……顔じゃないだと!?」
「どんな鬼畜外道の悪人であれ、顔は攻撃できませんわよ!!」
「しかも感電しない!?」
「どおおおりゃあああああ!!」
空中でアレクシスは踏ん張る。
するとエリックの胴体は上下に真っ二つに割れてしまった。
アレクシスは青ざめて絶叫した。
「どうええええええ!!!!????? 殺ってしまいましたわああああああ!!!???」
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