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道すがら
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医務室へ向かう道中。
「それで弟子よ。患者はどんな症状なんだ」
「説明する前にフォルテ様。センシティブな情報ですが純陽様に伝える許可が欲しいです。彼女なら必ずやピアニー様を治癒してくれます」
ケイローンの真剣な眼差しを向けられ、フォルテは断るにも断れない。症状が症状だけに抵抗を感じていた。しかしすぐに健康には変えなられないと判断し、
「いい。許す」
判断こそ早かったものの苦虫を嚙み潰したような顔で答える。
「ありがとうございます。それでは早速……ざっくりと言えば発情です」
「ほう……発情……」
純陽はおもむろに腕を組む。
「ええ、睡眠状態以外は食事も忘れてマスターベーションに専念してしまうんです」
「食事も忘れて自慰に耽る……」
顎に手を当てて目を瞑る。そして即座に呪いの正体に狙いを当てる。
「……もしやヘソ辺りに左右対称の紋様が浮かんでなかったか? こう、ハート形の」
指を動かして空中にハートをなぞる。
「さすがです、純陽様! このとんちんかんで稀少な呪いをご存知なのですね!?」
「……まあな。その呪いは私もよく知っている。治癒方法までばっちりだ」
肌寒く、激しい運動をしているわけでもないのに純陽の額にうっすらと汗が浮かぶ。そのことに気付くのはお付きの剣だけだった。
「フォルテ様、お聞きになられましたか。ピアニー様はすぐに良くなられますよ」
「ああ、ちゃんと聞いてたよ。隣で聞いてたんだ。まずは……一安心だな」
知らず知らずのうちに力んでいた肩の力が抜ける。
「おっと安心するのにはまだ早い。私は治癒方法を知っていると言ったまでだぞ」
「それは……一体……どういう?」
「呪いを消すには道具が必要なのだ。これがまたえらく準備に時間がかかるでだな」
「どれくらい時間がかかるんだ?」
「まあ落ち着け、少年」
「少年……お前も少女みたいなもんだろ……」
「フォルテ様、抑えてください。本来仙人は東方では国中を上げて招聘するほど身分の高いお方なのですから」
「あぁ、多少の小言は構わんぞ。若く見えるというのであれば何度だって言ってもらって構わない」
「ですが純陽様。やはり礼儀が」
「何度も言わせるな。気にするなって言っているだろう。仙人であることに間違いはないが、他の仙人から見ればようやく立てるようになった赤子も同然だ。儀礼も帝たちが俗世嫌いの仙人を口説くために勝手に始めたこと。最低限の礼儀を弁えてさえいれば大抵のことは子供のしたことと目を瞑ってやる」
謙虚に譲歩するように見せかけてはいるがあくまで仙人は高貴の身であるという立場は譲らなかった。
「……無駄話が長引いたな。これも全部馬鹿弟子のせいだからな」
「大変失礼しました」
「わかればよろしい。それで必要な道具だが、まず我々が立っているフーガ大陸では絶対に手に入らない代物だ」
「それで弟子よ。患者はどんな症状なんだ」
「説明する前にフォルテ様。センシティブな情報ですが純陽様に伝える許可が欲しいです。彼女なら必ずやピアニー様を治癒してくれます」
ケイローンの真剣な眼差しを向けられ、フォルテは断るにも断れない。症状が症状だけに抵抗を感じていた。しかしすぐに健康には変えなられないと判断し、
「いい。許す」
判断こそ早かったものの苦虫を嚙み潰したような顔で答える。
「ありがとうございます。それでは早速……ざっくりと言えば発情です」
「ほう……発情……」
純陽はおもむろに腕を組む。
「ええ、睡眠状態以外は食事も忘れてマスターベーションに専念してしまうんです」
「食事も忘れて自慰に耽る……」
顎に手を当てて目を瞑る。そして即座に呪いの正体に狙いを当てる。
「……もしやヘソ辺りに左右対称の紋様が浮かんでなかったか? こう、ハート形の」
指を動かして空中にハートをなぞる。
「さすがです、純陽様! このとんちんかんで稀少な呪いをご存知なのですね!?」
「……まあな。その呪いは私もよく知っている。治癒方法までばっちりだ」
肌寒く、激しい運動をしているわけでもないのに純陽の額にうっすらと汗が浮かぶ。そのことに気付くのはお付きの剣だけだった。
「フォルテ様、お聞きになられましたか。ピアニー様はすぐに良くなられますよ」
「ああ、ちゃんと聞いてたよ。隣で聞いてたんだ。まずは……一安心だな」
知らず知らずのうちに力んでいた肩の力が抜ける。
「おっと安心するのにはまだ早い。私は治癒方法を知っていると言ったまでだぞ」
「それは……一体……どういう?」
「呪いを消すには道具が必要なのだ。これがまたえらく準備に時間がかかるでだな」
「どれくらい時間がかかるんだ?」
「まあ落ち着け、少年」
「少年……お前も少女みたいなもんだろ……」
「フォルテ様、抑えてください。本来仙人は東方では国中を上げて招聘するほど身分の高いお方なのですから」
「あぁ、多少の小言は構わんぞ。若く見えるというのであれば何度だって言ってもらって構わない」
「ですが純陽様。やはり礼儀が」
「何度も言わせるな。気にするなって言っているだろう。仙人であることに間違いはないが、他の仙人から見ればようやく立てるようになった赤子も同然だ。儀礼も帝たちが俗世嫌いの仙人を口説くために勝手に始めたこと。最低限の礼儀を弁えてさえいれば大抵のことは子供のしたことと目を瞑ってやる」
謙虚に譲歩するように見せかけてはいるがあくまで仙人は高貴の身であるという立場は譲らなかった。
「……無駄話が長引いたな。これも全部馬鹿弟子のせいだからな」
「大変失礼しました」
「わかればよろしい。それで必要な道具だが、まず我々が立っているフーガ大陸では絶対に手に入らない代物だ」
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