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新生活と詐欺と借金と
借金苦のピアニスト
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「はあ、いけないいけない……居心地が良すぎて長居してしまうところだった」
ギギギギと不気味な音を立てる柵状の門扉を開じる。
「……にしても」
ピアニーは先程まで滞在していた建築物を見上げる。
貴族居住区域の中でもとりわけ背が高く広大で歴史ある古城。国が成立するより少し昔500年前ではかつて砦、要塞として使われていた。石壁が修復修繕されえているもよく目を凝らすとヒビが入っている。またツタが壁の大部分を浸食しているが刈り取られずそのままになっている。
現在の所有者はシュバルツカッツェ家。最も有名な貴族であり、同時に悪い噂も絶えない。城に幽霊が出る等可愛いものもあれば秘密の地下室があり夜な夜な女性をさらってきては拷問に興じているとも。
ピアニーが雇い主の悪い噂を初めて知ったのは二週間前のこと。
(シュバルツカッツェ家の皆さんは田舎から上がってきたばかりの小庶民の私にも優しく接してくれる……とても噂のような人たちには見えない……けれど……)
逆にそこまで優しくしてくれるのには何が裏があるのではないかと勘ぐってしまう。
ピアニーは高名な音楽家ではない。都入りして早々に毎年の春と夏に国を挙げて盛大に開催される伝道演奏会に飛び込みで参加し、様々なトラブルに見舞われながらも自分が出せる全力の演奏をやってのけた。
その結果、満場一致の酷評を得た。審査員や一般の観客からもしらけた反応。
田舎に帰ろうか悩む失意の中、唯一声をかけてきたのが他でもないフォルテだった。
おかげで職と金銭を得て、しばらく都に滞在できるようになった。
あまりに幸運。話としては出来すぎていると考えてしまう。
「でもでも! ぼっちゃまが! そう、ぼっちゃまと家は関係ない! 関係、ないよね……?」
今一度、屋敷を見上げる。
すると尖頂のガーゴイルと目が合う。
「ひっ」
下から見上げても巨大だと分かり、非常にグロテスクで今にも動き出そうなリアリティがある。
子供が見れば泣き出してしまう。大人が見ても怯んでしまう。
「……今日は帰ろう……深く考えても仕方がない……」
白か黒かはっきりしないまま、ピアニーは判断を保留した。
馬一頭が通れるかわからぬ路地を過ぎると兎小屋もといピアニーの下宿先メゾンドピアノにたどり着く。
「やっぱりストレス発散にはピアノ演奏が一番だよね~」
メゾンドピアノはその名から察せる通り、共有スペースにピアノが設置されている。ピアニーは建物の名前が自分と類似している、家の中に弾けるピアノがあると知った時点で深く考えずにここへの居住を決めた。
ピアノは認知度、人気共に高まっているもののまだまだ高級品。一般庶民が購入、それどころか触れることすら難しい。また国内での製造は成功しておらず流通品は全部輸入した海外製だ。主に陸繋がりの西隣りの工業国にして同盟国オルゴール帝国から。
なのに何故一般庶民が住むような下宿に、それも誰もが触れるような場所に置かれているのか。少しでも疑うべき点をフォルテからたびたび愚鈍と罵倒される彼女は一度も考えたことも疑ったこともなかった。
自分の部屋に鞄と籠と頭巾を置き、真っ先に共有スペースのピアノの元へ。
「ピアノちゃ~ん、おまたせ~。今日も弾いてあげるからね~」
「あら、ピアニーちゃん。今日も演奏?」
にこにこしながら管理人が顔を出す。人のよさそうな笑顔をする初老の女。
「あ、おばさま! こんばんは!」
ピアニーは朗らかに挨拶する。
「本当にピアノが好きなのね~」
「ええ、大好きです。小さい頃から働きづくめの親代わりみたいなところがありますので」
「へえ、そうなの~。そんなピアノ大好きなピアニーちゃんのために読んでほしいのがあるの」
そう言って管理人は一枚の紙を渡す。
「もしかして楽譜ですか? お任せください、どんな曲でも私、弾いて……」
紙は楽譜ではなかった。
線ではなく文字と数字が記されていた。そしてピアニーの名前も。
「あの……これ……請求書に見えるのですが」
紙を握る手が震える。
「見える、じゃなくて請求書そのものよ」
管理人は笑顔を崩さない。
「お、おかしいな……ピアノ使用料? それもすっごい払いきれないほどの多額なんですが」
「知っているでしょう? ピアノは高級品。整備費も馬鹿にならないのよ」
「おかしいです! 整備費!? このピアノの調律しているのは私ですよ!」
「ピアニーちゃんがいない時に調律? しているのよ?」
「それもおかしいです。何度も調律していますが私以外の誰かが触った形跡は」
「うっさいわね!! 払えと言ったらちゃちゃっと払いなさいよ! 小娘が!!」
人の良さそうな管理人が豹変し、額に血管を浮かばせながら怒鳴り散らす。まるで赤ずきんに出てくる痺れを切らしたオオカミのよう。
「で、ですが、
一瞬面食らうも慌てて言い返す。
「その時説明も何も」
「ちゃんと契約書を読まないあなたが悪いのよ! あなたはサインをした! それで同意したってことなの!」
「そんな横暴な……!」
「横暴だろうがなんだろうがこの国の法律に則っているからね! 払えないならね、こっちだって手段があるのよ! 家賃滞納不法滞在者としてあなたを追い出したっていいんだから」
「困ります! わたし、都へは夢を叶えるために来たんです!」
「そんなの知ったことじゃないよ! 払うか出ていくか! どっちなの!?」
「……」
ピアニーは悩む。とてもじゃないが支払える額ではない。しかし夢を諦めたくもなかった。
故郷の家族には頼れない。こちらにお金を回すほどの余裕はない。
都に滞在し続けるには住居すなわち住所が必要不可欠。そしてこの住居にはピアノがある。他を探しても好条件が揃っている物件は見つからないだろう。
「……わかりました……お支払いします……」
そう答えると管理人は元の人のよさそうな笑顔に返り咲く。
「いいわよ~、おばちゃん、素直で若い子は大好きよ~」
「それでは分割払いでなんとか……」
「あ? 今日中に全額払いなさい」
笑顔に返り咲いたのに突風が吹いたかのように散ってしまう。
「今日中!? 今日中と仰いましたか!?」
「それなら最大限譲歩して明日の朝までにしてやるよ。それ以上は絶対の絶対に譲れない」
「そんな……こんな金額を今日までに……」
「おばちゃんは悪くないよ? ピアノの調律師が今日までにどうしても払えってうるさいのよ。困ってるのはおばちゃんも一緒なのよ」
悩みに悩んだ末に、とある貴族が浮かぶ。
(そう、ぼっちゃま……ぼっちゃまに頼めば……い、いや、さすがにそれは駄目。これは私の責任であって、ぼっちゃまに関係ない。迷惑をかけられないよ)
悩んでいると管理人が彼女の肩にぽんと手を置き、肩を揉み始める。
「……そうだ。おばちゃんの甥がね? 金貸しをしてることを思い出したよ。そこで借りるといい。おばちゃんの紹介なら二つ返事で貸してくれるよ。それと返済に困った弱い立場の人たちに仕事も斡旋してるんだ。どうだい、これから会ってみないかい?」
ここまで来ればさすがに鈍いピアニーでも胡散臭いや怪しいの域を越えて、明らかな罠だとはっきりとわかった。
しかし断るという選択肢は許されない。
「……わかりました。私にその人を……紹介してください」
「ええ、ええ、いい返事ね。大丈夫、悪い人じゃないから。悪いようにはしないよ」
都の闇は深い。どれだけ明かりを灯そうと底は見えない。
ギギギギと不気味な音を立てる柵状の門扉を開じる。
「……にしても」
ピアニーは先程まで滞在していた建築物を見上げる。
貴族居住区域の中でもとりわけ背が高く広大で歴史ある古城。国が成立するより少し昔500年前ではかつて砦、要塞として使われていた。石壁が修復修繕されえているもよく目を凝らすとヒビが入っている。またツタが壁の大部分を浸食しているが刈り取られずそのままになっている。
現在の所有者はシュバルツカッツェ家。最も有名な貴族であり、同時に悪い噂も絶えない。城に幽霊が出る等可愛いものもあれば秘密の地下室があり夜な夜な女性をさらってきては拷問に興じているとも。
ピアニーが雇い主の悪い噂を初めて知ったのは二週間前のこと。
(シュバルツカッツェ家の皆さんは田舎から上がってきたばかりの小庶民の私にも優しく接してくれる……とても噂のような人たちには見えない……けれど……)
逆にそこまで優しくしてくれるのには何が裏があるのではないかと勘ぐってしまう。
ピアニーは高名な音楽家ではない。都入りして早々に毎年の春と夏に国を挙げて盛大に開催される伝道演奏会に飛び込みで参加し、様々なトラブルに見舞われながらも自分が出せる全力の演奏をやってのけた。
その結果、満場一致の酷評を得た。審査員や一般の観客からもしらけた反応。
田舎に帰ろうか悩む失意の中、唯一声をかけてきたのが他でもないフォルテだった。
おかげで職と金銭を得て、しばらく都に滞在できるようになった。
あまりに幸運。話としては出来すぎていると考えてしまう。
「でもでも! ぼっちゃまが! そう、ぼっちゃまと家は関係ない! 関係、ないよね……?」
今一度、屋敷を見上げる。
すると尖頂のガーゴイルと目が合う。
「ひっ」
下から見上げても巨大だと分かり、非常にグロテスクで今にも動き出そうなリアリティがある。
子供が見れば泣き出してしまう。大人が見ても怯んでしまう。
「……今日は帰ろう……深く考えても仕方がない……」
白か黒かはっきりしないまま、ピアニーは判断を保留した。
馬一頭が通れるかわからぬ路地を過ぎると兎小屋もといピアニーの下宿先メゾンドピアノにたどり着く。
「やっぱりストレス発散にはピアノ演奏が一番だよね~」
メゾンドピアノはその名から察せる通り、共有スペースにピアノが設置されている。ピアニーは建物の名前が自分と類似している、家の中に弾けるピアノがあると知った時点で深く考えずにここへの居住を決めた。
ピアノは認知度、人気共に高まっているもののまだまだ高級品。一般庶民が購入、それどころか触れることすら難しい。また国内での製造は成功しておらず流通品は全部輸入した海外製だ。主に陸繋がりの西隣りの工業国にして同盟国オルゴール帝国から。
なのに何故一般庶民が住むような下宿に、それも誰もが触れるような場所に置かれているのか。少しでも疑うべき点をフォルテからたびたび愚鈍と罵倒される彼女は一度も考えたことも疑ったこともなかった。
自分の部屋に鞄と籠と頭巾を置き、真っ先に共有スペースのピアノの元へ。
「ピアノちゃ~ん、おまたせ~。今日も弾いてあげるからね~」
「あら、ピアニーちゃん。今日も演奏?」
にこにこしながら管理人が顔を出す。人のよさそうな笑顔をする初老の女。
「あ、おばさま! こんばんは!」
ピアニーは朗らかに挨拶する。
「本当にピアノが好きなのね~」
「ええ、大好きです。小さい頃から働きづくめの親代わりみたいなところがありますので」
「へえ、そうなの~。そんなピアノ大好きなピアニーちゃんのために読んでほしいのがあるの」
そう言って管理人は一枚の紙を渡す。
「もしかして楽譜ですか? お任せください、どんな曲でも私、弾いて……」
紙は楽譜ではなかった。
線ではなく文字と数字が記されていた。そしてピアニーの名前も。
「あの……これ……請求書に見えるのですが」
紙を握る手が震える。
「見える、じゃなくて請求書そのものよ」
管理人は笑顔を崩さない。
「お、おかしいな……ピアノ使用料? それもすっごい払いきれないほどの多額なんですが」
「知っているでしょう? ピアノは高級品。整備費も馬鹿にならないのよ」
「おかしいです! 整備費!? このピアノの調律しているのは私ですよ!」
「ピアニーちゃんがいない時に調律? しているのよ?」
「それもおかしいです。何度も調律していますが私以外の誰かが触った形跡は」
「うっさいわね!! 払えと言ったらちゃちゃっと払いなさいよ! 小娘が!!」
人の良さそうな管理人が豹変し、額に血管を浮かばせながら怒鳴り散らす。まるで赤ずきんに出てくる痺れを切らしたオオカミのよう。
「で、ですが、
一瞬面食らうも慌てて言い返す。
「その時説明も何も」
「ちゃんと契約書を読まないあなたが悪いのよ! あなたはサインをした! それで同意したってことなの!」
「そんな横暴な……!」
「横暴だろうがなんだろうがこの国の法律に則っているからね! 払えないならね、こっちだって手段があるのよ! 家賃滞納不法滞在者としてあなたを追い出したっていいんだから」
「困ります! わたし、都へは夢を叶えるために来たんです!」
「そんなの知ったことじゃないよ! 払うか出ていくか! どっちなの!?」
「……」
ピアニーは悩む。とてもじゃないが支払える額ではない。しかし夢を諦めたくもなかった。
故郷の家族には頼れない。こちらにお金を回すほどの余裕はない。
都に滞在し続けるには住居すなわち住所が必要不可欠。そしてこの住居にはピアノがある。他を探しても好条件が揃っている物件は見つからないだろう。
「……わかりました……お支払いします……」
そう答えると管理人は元の人のよさそうな笑顔に返り咲く。
「いいわよ~、おばちゃん、素直で若い子は大好きよ~」
「それでは分割払いでなんとか……」
「あ? 今日中に全額払いなさい」
笑顔に返り咲いたのに突風が吹いたかのように散ってしまう。
「今日中!? 今日中と仰いましたか!?」
「それなら最大限譲歩して明日の朝までにしてやるよ。それ以上は絶対の絶対に譲れない」
「そんな……こんな金額を今日までに……」
「おばちゃんは悪くないよ? ピアノの調律師が今日までにどうしても払えってうるさいのよ。困ってるのはおばちゃんも一緒なのよ」
悩みに悩んだ末に、とある貴族が浮かぶ。
(そう、ぼっちゃま……ぼっちゃまに頼めば……い、いや、さすがにそれは駄目。これは私の責任であって、ぼっちゃまに関係ない。迷惑をかけられないよ)
悩んでいると管理人が彼女の肩にぽんと手を置き、肩を揉み始める。
「……そうだ。おばちゃんの甥がね? 金貸しをしてることを思い出したよ。そこで借りるといい。おばちゃんの紹介なら二つ返事で貸してくれるよ。それと返済に困った弱い立場の人たちに仕事も斡旋してるんだ。どうだい、これから会ってみないかい?」
ここまで来ればさすがに鈍いピアニーでも胡散臭いや怪しいの域を越えて、明らかな罠だとはっきりとわかった。
しかし断るという選択肢は許されない。
「……わかりました。私にその人を……紹介してください」
「ええ、ええ、いい返事ね。大丈夫、悪い人じゃないから。悪いようにはしないよ」
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