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Ⅰ 魔法使いのお仕事

第9話 裁きの雷

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アリア・エインズワース:帝都郊外の森で店を営んでいる魔女。21歳。
アーロン・ストライフ:魔法使いの助手兼用心棒をしている青年。21歳。
ソフィー:ハルモニア帝国第2皇女だった少女。18歳。
フィリップ・ベルナルド:ヴァンという怪鳥を相棒にしている弓使いのおっさん。32歳。
ルーナ:アルトリウスの命令でアリアたちに同行することになった女性。20歳。

レオンハルト・ハイデルバッハ:帝国騎士団の小隊長を務める青年。19歳。
シルヴィア:魔法使いの店の常連の少女。17歳。
アイラ:バーで働いている少女。シルヴィアの後輩。16歳。

アレキサンダー・ザ・ハルモニア:ハルモニア帝国第1皇子。27歳。
ウィリアム・パーシー:快楽主義の伯爵。大臣を務めている。45歳。

~モブ~
騎士①②:男。
ホムンクルス:中性的


 城で異変が起こった直後、帝都は騒然としていた。

シルヴィア 「アイラちゃん、あれ……!」

アイラ 「木、でしょうか……? 凄いですね、城を覆っちゃってますよ」

シルヴィア 「確か、お城ではアルトリウス殿下の推薦人を発表しているはず……! アーロンさんたち、大丈夫かなあ」

アイラ 「って、シルヴィアさん、街も危ないんじゃ……」

シルヴィア 「……そうかも……!」



 城内、廊下。魔物が餌を求めて歩いている。

アリア 「……地下室に近づくにつれて、まものが多くなってきている」

アーロン 「こっちで合ってるってことか」

ルーナ 「……誰かいる」

ソフィー 「……騎士?」

フィリップ 「……いいや、違うみたいよ」

アリア 「…………」

ホムンクルス 「…………」

アリア 「……ホムンクルスだ」

アーロン 「襲ってくる気配はなさそうだな」

ルーナ 「そうみたいね」

パーシー 「久しぶりだね、魔法使い一行」

アーロン 「パーシー……!」

ルーナ 「やっぱり、アンタが絡んでたのね」

パーシー 「おや、野良犬上がりの剣士ではないか。アルトリウス殿下のおそばに付いていなくていいのかい?」

ルーナ 「その殿下からのご命令でね。あいにくアンタを捕らえなくちゃいけないの」

パーシー 「ボクを? ふふふ、無理だと思うよ?」

ホムンクルス 「…………!!」

(SE ホムンクルスが魔力の塊になって射出される音)

(SE 着弾音)

アリア 「──────────」

アーロン 「なっ、ホムンクルスが……」

パーシー 「ふむ、ホムンクルスをただの魔力に変換して、それをぶつける。単純ではあるが、威力は申し分ない」

ソフィー 「……ひどい」

パーシー 「……! おや、そこにおられるのは、もしやソフィア皇女殿下ではありませんか?」

ソフィー 「……だったら、なんだって言うんですか」

パーシー 「ボクはてっきり、バーナード卿に殺されたものだと思っていたが、生き延びていたとはね」

フィリップ 「そこらへんにしときなよ。目玉ぶちぬかれたくないでしょ?」

パーシー 「……ふふふ、ずいぶん懐かしい顔もいるようだ」

(SE ホムンクルスがぞろぞろ現れる音)

パーシー 「……ほら、もう一発いくよ」

(SE 魔力が射出される音)

(SE 着弾音)

アーロン 「おわっと!」

ソフィー 「……っ! また……!」

(SE 魔力が射出される音)

(SE 着弾音)

フィリップ 「くそ!」

魔物 「きしゃああああっ」

(SE 刀を振る音)

(SE 魔物が消滅する音)

ルーナ 「魔物もいるし、まずい状況ね」

アーロン 「ちっ、邪魔だ!」

(SE 剣を振る音)

(SE 魔物が消滅する音)

パーシー 「ホムンクルスはいいね。奴隷として扱うも良し、こうして魔力砲の弾として扱うも良し。ホムンクルスの錬成を簡易化した錬金術師は優秀だよ」

アリア 「……れ」

パーシー 「どうだ、また戻ってこないか。アリア・メイザース、いや、今はエインズワースと名乗っているんだったね。キミの才能は素晴らしい。帝国の発展、ひいては世界の発展につながる!」

アリア 「……黙れ」

パーシー 「何か言ったかい? そういえば、ルーナ君は4年前に実験で使った街の出だったよね? だったら、ホムンクルスの素晴らしさは知ってるはずだ。ルーナ君からも言ってやってくれないか?」

アリア 「黙れ!!」

(SE 周囲が凍りつく音)

(SE 魔物が消滅する音)

パーシー 「危ない危ない。盾がなかったら、ボクも今頃氷漬けだったよ」

アリア 「……!」

パーシー 「ふふ、やはり動揺しているね。4年前と同じだ。キミは錬金術師としては一流だが、研究者としては未熟もいいところだ。仮にも魔法を研究する身なら、ホムンクルスが壊れるくらいで動揺してはいけない」

ルーナ 「……やはり錬金術師はあてにならない。私がやらきゃ」

(SE ルーナが駆け出す音)

(SE 刀を振る音)

アリア 「……やめろ」

(SE ホムンクルスが斬られ消滅する音)×何度か

パーシー 「ふむ、さすがにもう持たないか。これは芸がないけど、暴走させるしかないか」

(SE 指を鳴らす音)

ホムンクルスたち 「うがあああああっ!!」

アーロン 「パーシー!」

ソフィー 「どうしたら……!」

フィリップ 「……やるしかないでしょ」

ルーナ 「待ちなさい、パーシー……!」

(SE ホムンクルスが消滅する音)×何度か

アリア 「…………」

アリア 「──────氷塵(ダイヤモンドダスト)」

(SE ホムンクルスたちが凍りつく音)

(SE 氷が砕ける音)

アリア 「せめて一瞬で終わらせよう」

ルーナ 「この魔法……」

アーロン 「……アリア」

アリア 「……行こう」

ルーナ 「待って。4年前、街で暴れるホムンクルスを凍らせたのは、アリア・メイザース、アンタなの?」

アリア 「だとしたら?」

ルーナ 「私は、ホムンクルスに殺されそうになったところをその魔法に助けられた。あの事件は、アンタが起こしたんじゃないの?」

アリア 「…………」

ルーナ 「答えて!」

アリア 「……事件自体を引き起こしたのは、私じゃない。ウィリアム・パーシーを筆頭とした錬金術師たちとバーナードだ。もちろん、私がホムンクルスの簡易錬成を発明さえしなければ、事件は起こらなかったけれど」

アーロン 「……なるほどな」

フィリップ 「……バーナードも……」

ルーナ 「そう。私、アンタに謝らないといけないわね。ステラ……妹を殺されて、それをやったのがアリア・メイザースという錬金術師だと聞いて……」

アリア 「……いい。私こそ、あの事件を止められなくてすまなかった」

ルーナ 「…………」

アリア 「ルーナ?」

ルーナ 「……!」

アリア 「……?」

ルーナ 「……なんで私を救ったの?」

アリア 「……」

ルーナ 「なんで、ステラは殺されたの? アンタなら、救えたはずでしょう?」

アリア 「それは……」

ルーナ 「そうだ、アンタ魔法使いなんでしょう? ステラを生き返らせてよ!」

アリア 「……すまない」

ルーナ 「……ステラが亡くなって4年、あの子が戻ってくるはずないよね。無理を言ってごめんなさい」

アリア 「私は、この一連のホムンクルス事件を終わらせる」

ルーナ 「……そうね。復讐よりもそっちの方が有意義か。ステラもその方が喜ぶわよね」

アリア 「ルーナ……」

ルーナ 「……! さあ、行きましょう」

ソフィー 「……ふぅー、ひとまず一件落着ですねー」

(SE 城が揺れる音)

ソフィー 「わわわっ!」

アーロン 「……揺れが大きくなってるな」

アリア 「外がどうなっているのか……」



 帝都。

(民衆が騒然としている声)

レオンハルト 「皆さん! 落ち着いて避難してください!」

シルヴィア 「……! すみません、家に寝たきりの母がいるんです。避難を手伝っていただけませんか?」

レオンハルト 「……わかりました。すぐに向かいましょう」

貴族 「そこの騎士、私の宝石コレクションを取ってきてもらえないか?」

アイラ 「…………」

シルヴィア 「ひっ……」

レオンハルト 「……申し訳ありません。現状、人命の救助を最優先に考えていますので……」

貴族 「ほおん、貴族である私の命令よりも、そこの下賤な女の言うことを聞くのか」

アイラ 「あの! この娘の母親が大変なんです! ですので、他の騎士様をあたっていただけませんか!」

シルヴィア 「アイラちゃん……」

貴族 「…………それで?」

アイラ 「え?」

貴族 「それは、私の宝石よりも大事なことなのか?」

レオンハルト 「こんな非常事態に……!」

騎士① 「小隊長! 南西地区の避難、完了いたしました!」

貴族 「おお! ちょうどいい! このわからずやどもでは話にならん。お前、私の宝石をとってきてくれないか?」

騎士① 「侯爵様! はっ、私でよろしければなんなりと!」

貴族 「ふっ、騎士はこうでなくてはな」

騎士② 「私が安全な場所まで案内いたしましょう」

貴族 「おお、頼む」

(SE 貴族と騎士が去っていく音)

レオンハルト 「お見苦しいところをお見せしました……」

アイラ 「でも、あなたは違いますよね? シルヴィアさんの家はこちらです! 早く行きましょう!」

レオンハルト 「……! はい!」

シルヴィア 「ありがとうございます……!」



 城内、地下。

アーロン 「これ、全部木かよ」

アリア 「……これほどのものを構成する魔力……、何人のホムンクルスが犠牲になったんだ……?」

フィリップ 「やっぱり、パーシーはホムンクルスを燃料にする方向で研究しているみたいね」

ルーナ 「4年前は、さしずめ兵器運用ってところかしら」

ソフィー 「でも、暴走させるより、兵士として育てた方が……」

アリア 「ホムンクルスに武装させて兵隊を作るよりも、ホムンクルスを街に紛れ込ませてから暴走させる方が効果的だと考えたのだろう」

ルーナ 「……そんなもののために、あの子は……」

アーロン 「……話はあとだ。くるぞ」

魔物たち 「きしゃあああっ!」

ソフィー 「多くないですか!?」

アリア 「私たちの消耗が狙いか……」

フィリップ 「だとしても、やるっきゃないっしょ」

(SE 銃声)×何度か (SE 弓を射る音)×何度か

(SE 魔物が消滅する音)×何度か

アーロン 「はあっ!」

ルーナ 「ふっ」

(SE 剣を振る音)×何度か (SE 刀を振る音)×何度か

(SE 魔物が消滅する音)×何度か

アリア 「凍れ……」

(SE 魔物が凍りつく音)

(SE 氷が砕ける音)

アリア 「この奥だ、急ごう」

ルーナ 「ええ」

──────────

アレキサンダー 「お? なんだ、早かったな」

ルーナ 「アレキサンダー殿下」

アレキサンダー 「確か、アルトリウスの護衛だっけ? アイツ、都合の良い駒を欲しがってたからな」

ルーナ 「いくら殿下といえど、言葉は謹んで頂きたいわね」

ソフィー 「……お久しぶりです、お兄様」

アレキサンダー 「は? ……おいおい、本物のソフィアか! 久しぶりだなあ! また射撃訓練一緒にやろうぜ」

ソフィー 「お兄様、貴方がこの木を?」

アレキサンダー 「あ? 俺は、この帝国をぶっ壊すよう、パーシーに命じただけだ。そしたら、こんなでっかい木が生えた。すげえよな」

パーシー 「殿下、お待たせしました」

アレキサンダー 「準備できたか。俺は一足先に世界樹からの眺めを堪能するとしよう。パーシー、ネズミどもは片づけておけ」

パーシー 「オリジナルの皇女殿下はどうなさいますか?」

アレキサンダー 「構わん。殺せ」

パーシー 「イエスユアマジェスティ!」

(SE 杖を召喚する音)

パーシー 「帝国は、ここから生まれ変わる! いいや、神話が始まるんだ!」

(SE ホムンクルスが出現する音)

ホムンクルス 「…………」

フィリップ 「どぅわ、ホムンクルスが……!」

パーシー 「このホムンクルスは、先ほどの雑魚とは違う。これは、キミたちの戦闘技術を解析し読み込ませたものだ。残念ながら1体しか用意できなかったが、きっと満足するだろう」

ソフィー 「え?」

(SE 刀を召喚する音)

ホムンクルス 「…………」

ルーナ 「あの構えは、私の……」

ホムンクルス 「……!」

(SE 刀がぶつかる音)

ルーナ 「……っ」

(SE 刀が銃に変形する音)

(SE 銃声)×2

ソフィー 「ひっ、危なっ!」

(SE 銃が短刀に変形する音)

(SE 間合いをつめる音)

ホムンクルス 「……っ」

(SE 短刀がぶつかる音)

フィリップ 「うわ、懐かしい技を使うね……っ」

パーシー 「10年も前の記録だったから、学習させるのに一番時間を使ったんだ。楽しんでくれよ」

フィリップ 「そりゃ、ご苦労なこった」

(SE 銃声)

ホムンクルス 「……っ」

ソフィー 「アーロンさん、私たちがこのホムンクルスを引き受けます!」

(SE 刀がぶつかる音)

ルーナ 「私が時間稼ぎをするなんて不服だけど、錬金術師はそのムカつく貴族をぶっとばしてちょうだい」

アリア 「もとよりそのつもりだ」

アーロン 「ようやくこの時が来た! パーシー!」

パーシー 「そういえば、あの行商人とキミの親はボクが殺したんだったね」

アーロン 「……っ!」

(SE 剣を振る音)

パーシー 「……氷の世界ニヴルヘイム

アリア 「……っ! やはりきたか……!」

(SE 凍りつく音)

アーロン 「……!」

アリア 「……アーロン?」

パーシー 「はあ、挑発に乗るからこうなる」

アリア 「…………」

パーシー 「殿下が警戒していたほどの相手、どのような実力を持っているかと思えば、この程度か……」

アーロン 「おいおい、よそ見してていいのか?」

アリア 「……ふ」

パーシー 「なに?」

(SE 氷が砕ける音)

アーロン 「はあああっ!!」

(SE 剣を振る音)

パーシー 「くっ! なぜだ、なぜ動ける!? ボクが凍らせたはずだ!」

アーロン 「うちの店主を舐めんじゃねえよ」

アリア 「ふふ、パーシー、キミが一撃で決めてくるだろうことは読んでいた。そのご自慢の氷魔法、氷の世界ニヴルヘイムの発動の瞬間にアーロンに水の膜を張ったんだ」

アーロン 「あんたは俺じゃなく、水を凍らせたってことだ」

パーシー 「ふふふ、まさかそんな初歩的な魔法でボクの氷の世界ニヴルヘイムを破るなんて……。面白い……」

アーロン 「さあて、第2ラウンドと行こうぜ!」

──────

フィリップ 「あっちはなんとかなりそうね」

ルーナ 「ふん、そうじゃなきゃ困るわ」

ホムンクルス 「……!」

(SE 銃と剣がぶつかる音)

ソフィー 「……っ! ちょっと、話してないで手伝ってくださいよ!」

フィリップ 「って言っても、こっちの攻撃が全部知られてるんじゃ、勝負にならないよ」

(SE 弓を射る音)

(SE 矢を刀で弾く音)

ルーナ 「……試したいことがある」

ソフィー 「なんですか?」

ルーナ 「今までは使わないようにしていたんだけど……。お願い、時間を稼いで」

フィリップ 「そりゃいいけど、賭けてもいいの?」

(SE 弓を射る音)

ルーナ 「保障はできないわ。けど、やる価値はある」

フィリップ 「いいね。じゃあ、それでいこう!」

ソフィー 「まったく、しょうがないですねー」

ルーナ 「ふん、皇女様は生意気ね。……10秒でいいわ。10秒だけ、持ちこたえて」

フィリップ 「りょーかい」

(SE 弓を射る音)

ソフィー 「ルーナさん、今の発言、不敬罪ですからねー」

(SE 銃声)×何度か

(SE 銃弾を刀で弾く音)

(SE 短刀と刀がぶつかる音)

ルーナ (まさか、この私が人を頼るなんてね)

(SE 魔法が発動する音)

ソフィー 「え、これって……」

フィリップ 「へえ、ルーナちゃんも使えるんだね」

ルーナ 「もういいわ。あとは私が────」

ルーナ 「────叢雲……!!」

(SE 刀の一閃)

ホムンクルス 「……っ!!」

(SE ホムンクルスが消滅する音)

──────

(SE 氷の槍が射出される音)

(SE 剣がぶつかる音)

パーシー 「ふふふ、やはり警戒するほどじゃないね、アーロン・ストライフ」

アーロン 「……鬱陶しい魔法だぜ」

アリア 「魔力に消耗が見られない……。まさか……!」

パーシー 「ようやく気づいたか。そう、ボクの魔力の源は、ホムンクルスだよ」

アリア 「……キミは、研究者じゃない。ただの人殺しだ」

パーシー 「なんとでも言うといい。ボクは人類の繁栄のためにやっているんだ」

アーロン 「そのためだったら、何もやってない人も殺すのかよ」

パーシー 「それがどうした?」

アーロン 「てめえ……!」

アリア 「もういい、アーロン。この男は、私が倒す」

パーシー 「今まで前に出てこようとしなかったキミが、ボクを倒す? 冗談はよしてくれ」

アリア 「違う。私が前に進むための選択だ」

アリア 「────罪には罰を、悪なる者には正義の鉄槌を……」

(SE 電気がバチバチと鳴る音)

パーシー 「……! まさか、その魔法は……!」

アリア 「────裁きの雷ジャッジメント……!」

(SE 雷魔法が発動する音)

パーシー 「ぐああああっ!!」

(SE パーシーが倒れる音)

アリア 「…………」

アーロン 「終わったか」

アリア 「ああ。次は、アレキサンダーだ」

アーロン 「だな。あいつをぶっ飛ばさないと、この異変はおさまらないだろうし」

フィリップ 「いやあ、見てたよアリアちゃん。すごいね、雷属性の魔法も使えるんだ!」

アーロン 「へえ、どうすごいんだ?」

フィリップ 「だって地水火風の基本の4元素じゃない属性を使えるだけでもすごいのに、アリアちゃんは氷に雷とふたつ使えるんだよ? これがすごくないわけがないじゃないか!」

アリア 「力説どうも」

ソフィー 「やっぱり、アリアさんてすごいんですね!」

アーロン 「……って、ソフィーたちも倒したんだな」

ソフィー 「はい! とどめはルーナさんが! 霧を発生させて、こう、ズバッっと」

アリア 「霧?」

フィリップ 「そうだ、ルーナちゃん、魔法使えるんだったら、最初から言ってよ」

ルーナ 「言う義理もないでしょ。それに、魔法はあまり使いたくなかったの。私の故郷を滅ぼしたのも、錬金術師、魔法を使えるんだからね」

フィリップ 「なるほどね。じゃあ、さっきの戦闘で使ったのは……」

ルーナ 「ば、バカ、変な勘ぐり入れるんじゃないわよ。使わなかったら、どうやってあの敵を倒したのよ。別に、アリアを少し認めてやってもいいとか思ってないから」

ソフィー 「それ、なんかほとんど言ってるようなもんじゃ……!」

ルーナ 「うるさい」

アーロン 「よかったな、アリア」

アリア 「……ああ」

ルーナ 「もう、そこ、なんかほっこりしたような雰囲気出さないで」

アーロン 「あー悪い悪い」

アリア 「こほん、では行こうか。まだ終わりじゃない」

ソフィー 「そうですね。お兄様を止めなくちゃいけませんね」

アーロン 「アレキサンダーは、この木の上か……」

フィリップ 「階段があるし、登りやすそうなのは救いだね」

ルーナ 「まさか、皇族と戦うことになるなんてね」

アーロン 「まあ、とりあえず行ってみようぜ」

つづく
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