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第1部 星野シキア編
第3章 紅の決意 (星野シキア編) 前編
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秋。僕は悩んでいた……。本当に星野さんと曲を作ってもいいのだろうか……。それが星野さんにとっては苦痛になるのではないか、それを気づかないで僕は……。あれ以来そう考えるようになった。
あの後……
六郭星学園 Eクラス 教室
来川ナナ
「……シキア……。意識は回復してはいるけど、まだ少し動揺は隠せてないって……。」
古金ミカ
「そっか……。とりあえず意識の回復は良かったわね。」
月川タクト
「…………。」
柊木アイ
「タクトくん……?」
月川タクト
「俺のせいで……シキアは……迂闊だった……。」
夜坂ケント
「…………。」
夜坂さんは立ち上がり、こう言った。
夜坂ケント
「気にするな。あくまでも真実を言っただけだ。誰もお前を責める気はない。」
月川タクト
「…………。」
それを聞いたタクトくんは少し安堵していた。
真瀬志奈
「シキアもきっと、困難を乗り越えてくれるわよ。ね、莉緒。」
真瀬莉緒
「…………。」
あの時……僕の中では星野さんが戻ってくるのに不安を感じていた。
また前みたいに曲を作ることはできるのかと……
あれから数日後、梶木のことを聞くために霧宮さんのところにタクトくんと一緒に言った。
六郭星学園 Cクラス 教室
霧宮ナツハ
「梶木源蔵。表向きでは音楽プロデューサーでかなりの敏腕。彼に推薦された人間は必ずスターになれるとまで言われているわ。」
真瀬莉緒
「……梶木源蔵ですか……。」
思い出してみると確かに聞いたことがある。梶木源蔵……僕の好きなVtuberの綺羅星メルマの楽曲にも関わっている。
月川タクト
「表向きでは……ってことは裏の顔があるとのことですか?」
霧宮ナツハ
「ええ、裏ではとある研究の資金を渡しているという噂があってね。研究所の所長が自分の子の曲を推薦させたらしく……」
月川タクト
「それで……シキアは運悪く梶木源蔵の出来レースの審査に巻き込まれて……」
霧宮ナツハ
「そうとしか考えられないわね。」
真瀬莉緒
「そんな……!?そんなことで星野さんが……?」
霧宮ナツハ
「あの子は……かわいそうとしか言えないわね。」
月川タクト
「でも……そうだとしたら……」
タクトくんは少し動揺を隠しきれていない……。
何かを知っているのではないのか……?
真瀬莉緒
「ねえ、タクトくんは何かを知っているんじゃないの?」
月川タクト
「えっ!?……いや、あの……。」
明らかに動揺をしているタクトくん。もしかして……
真瀬莉緒
「……そのオーディションに通過したのタクトくん?」
僕は思い切って聞いてみた。
月川タクト
「…………うん。実はそのオーディションは僕が合格したんだ。」
霧宮ナツハ
「そうだったのね……。」
真瀬莉緒
「でも……タクトくんは知らなかったんでしょ?出来レースで通過していたなんて……。」
月川タクト
「それが……合格はしたんだけど……後日にもう1つ審査があったんだけど、体調を崩して他の子に譲ったんだ。」
霧宮ナツハ
「確かに……そのオーディションに通過したのはタクトではないわね。」
月川タクト
「母親の職業はあまり知らないけど……。まさか……ね。」
真瀬莉緒
「タクトくん……?」
月川タクト
「あ、……いや、ごめんね。じゃあ僕たちはそろそろ部屋に戻ります。ありがとうございました。」
霧宮ナツハ
「ええ、とりあえず彼女の様子を見てあげなさいね。」
月川タクト
「わかりました。」
僕たちは話を聞き終えたあと、星野さんの部屋に行き、様子を見ることにした。
六郭星学園寮 志奈・シキアの部屋の前
真瀬志奈
「…………。」
真瀬莉緒
「ね、姉さん?」
姉さんと星野さんの部屋の前には姉さんが立っていた。何かを考え込んでいる様子だった。
僕たちに気づいたのか、姉さんは僕たちに話しかけてきた。
真瀬志奈
「ああ……莉緒。色々と聞いてきたの?」
真瀬莉緒
「うん。姉さんはどうしてここに?」
真瀬志奈
「実は……さっき目を覚まして部屋に戻ってきたやいなや、部屋にこもっていて……。」
真瀬莉緒
「星野さんが?」
真瀬志奈
「入りづらいけど……一応寝る時とかはなんとか入れるけど……。やっぱり何かを考え込んでいるわね。」
真瀬莉緒
「星野さんが……?何かを……?」
真瀬志奈
「ねえ、莉緒。少しドア越しでいいから話しかけてみたら?」
真瀬莉緒
「僕が……?いや、でも……。」
真瀬志奈
「作曲のパートナーでしょう?それなら作曲のことなら話しやすいかもしれないし!」
真瀬莉緒
「姉さん……。」
月川タクト
「…………。」
真瀬志奈
「莉緒?」
真瀬莉緒
「ごめん姉さん。作曲は辞めるよ。星野さんをこれ以上傷つける訳にはいかないからね。」
真瀬志奈
「え……莉緒……!?急にどうしたの?」
真瀬莉緒
「……星野さん。ごめん……。僕……星野さんとの作曲作り……本当は苦しかったんですよね。好きな声優さんに曲を作る……でもそれであのことを思い出したくなかったんですよね。それに気づけなくて……ごめん。」
真瀬志奈
「莉緒……。」
真瀬莉緒
「これ、楽譜です。あとは捨てるなり、燃やすなりしてください。課題に関しては僕の方で考えておきます。ドアの隙間に楽譜、入れておきますね。では、失礼します。」
月川タクト
「…………。」
僕たちは星野さんたちの部屋を後にして、自分たちの部屋に戻ることにした。
六郭星学園寮 莉緒・タクトの部屋
星野さんにそう伝えたあと、僕たちは自分たちの部屋に戻り、僕は一息つこうとした時……
月川タクト
「……本当に……よかったのか?」
タクトくんがそう言ってきた。僕は思ったことをそのまま話すことにした。
真瀬莉緒
「……あの状態では作曲もできないよ。それに星野さんはもともと作曲を望んでなんかないし……。」
月川タクト
「それっていつの話だっけ?」
タクトくんは少し重い表情で言う。
真瀬莉緒
「いつって……それは……。」
僕は言葉に詰まるとタクトくんは詰め寄るように口を開く。
月川タクト
「シキアの口からやりたくないと聞いたことはあるか?それに今のシキアはどう思っている?確かにシキアは作曲に対して否定的ではあるけど、今はどうだ?インパクトが強いだけで今後どう考えているかはわからないだろ?」
真瀬莉緒
「それは……」
月川タクト
「ごめん……言い過ぎた……。」
真瀬莉緒
「いいんだ……」
その後しばらく沈黙が続いたが、タクトくんが表情を明るくしながらこんなことを言った。
月川タクト
「少し勝負してみないか?」
真瀬莉緒
「勝負……?」
月川タクト
「このテーブルホッケーで勝負しよう。せっかくの機会だからね。」
真瀬莉緒
「せっかくの機会か……。」
正直に今は星野さんの件でどうすればいいかわからなくなっている。頭の切り替えや気分転換になるのかもしれないと思い、勝負に乗ることにした。
真瀬莉緒
「わかった。やろうか。」
月川タクト
「それじゃあ……やるか!」
せっかくの勝負……勝ちに行く……!
月川タクト
「負けたか……。」
結果は僕の勝利だった。タクトくんは悔しがりながらも笑みを浮かべ、こう言った。
月川タクト
「莉緒の勝ちだ。……シキアのことは……任せるよ。」
真瀬莉緒
「えっ……。」
月川タクト
「この件はシキアにとっては高い壁になるかもしれない。けど、乗り越えて欲しいと思っている。そのためには支えになる人が必要なんだ。莉緒……君ならきっとシキアと良い曲を作れるよ!」
真瀬莉緒
「タクトくん……。」
月川タクト
「実際に曲を聞いた時は心からすごい……良い曲と思ったよ。だからさ……シキアのこと、任せるよ。」
真瀬莉緒
「…………。」
月川タクト
「今は決心がつかないかもしれないけれど、その答えはいつか聞かせてほしい。……信じているからな。」
そう言い残しタクトくんは部屋から離れる。僕はどうすればいいかわからなくなり、自分のベッドに仰向けになり、天井を見つめるだけだった。
真瀬莉緒
「星野さん……。シキアさん……。」
僕は頭を切り替えようと、外に出かけることにした。
あの後……
六郭星学園 Eクラス 教室
来川ナナ
「……シキア……。意識は回復してはいるけど、まだ少し動揺は隠せてないって……。」
古金ミカ
「そっか……。とりあえず意識の回復は良かったわね。」
月川タクト
「…………。」
柊木アイ
「タクトくん……?」
月川タクト
「俺のせいで……シキアは……迂闊だった……。」
夜坂ケント
「…………。」
夜坂さんは立ち上がり、こう言った。
夜坂ケント
「気にするな。あくまでも真実を言っただけだ。誰もお前を責める気はない。」
月川タクト
「…………。」
それを聞いたタクトくんは少し安堵していた。
真瀬志奈
「シキアもきっと、困難を乗り越えてくれるわよ。ね、莉緒。」
真瀬莉緒
「…………。」
あの時……僕の中では星野さんが戻ってくるのに不安を感じていた。
また前みたいに曲を作ることはできるのかと……
あれから数日後、梶木のことを聞くために霧宮さんのところにタクトくんと一緒に言った。
六郭星学園 Cクラス 教室
霧宮ナツハ
「梶木源蔵。表向きでは音楽プロデューサーでかなりの敏腕。彼に推薦された人間は必ずスターになれるとまで言われているわ。」
真瀬莉緒
「……梶木源蔵ですか……。」
思い出してみると確かに聞いたことがある。梶木源蔵……僕の好きなVtuberの綺羅星メルマの楽曲にも関わっている。
月川タクト
「表向きでは……ってことは裏の顔があるとのことですか?」
霧宮ナツハ
「ええ、裏ではとある研究の資金を渡しているという噂があってね。研究所の所長が自分の子の曲を推薦させたらしく……」
月川タクト
「それで……シキアは運悪く梶木源蔵の出来レースの審査に巻き込まれて……」
霧宮ナツハ
「そうとしか考えられないわね。」
真瀬莉緒
「そんな……!?そんなことで星野さんが……?」
霧宮ナツハ
「あの子は……かわいそうとしか言えないわね。」
月川タクト
「でも……そうだとしたら……」
タクトくんは少し動揺を隠しきれていない……。
何かを知っているのではないのか……?
真瀬莉緒
「ねえ、タクトくんは何かを知っているんじゃないの?」
月川タクト
「えっ!?……いや、あの……。」
明らかに動揺をしているタクトくん。もしかして……
真瀬莉緒
「……そのオーディションに通過したのタクトくん?」
僕は思い切って聞いてみた。
月川タクト
「…………うん。実はそのオーディションは僕が合格したんだ。」
霧宮ナツハ
「そうだったのね……。」
真瀬莉緒
「でも……タクトくんは知らなかったんでしょ?出来レースで通過していたなんて……。」
月川タクト
「それが……合格はしたんだけど……後日にもう1つ審査があったんだけど、体調を崩して他の子に譲ったんだ。」
霧宮ナツハ
「確かに……そのオーディションに通過したのはタクトではないわね。」
月川タクト
「母親の職業はあまり知らないけど……。まさか……ね。」
真瀬莉緒
「タクトくん……?」
月川タクト
「あ、……いや、ごめんね。じゃあ僕たちはそろそろ部屋に戻ります。ありがとうございました。」
霧宮ナツハ
「ええ、とりあえず彼女の様子を見てあげなさいね。」
月川タクト
「わかりました。」
僕たちは話を聞き終えたあと、星野さんの部屋に行き、様子を見ることにした。
六郭星学園寮 志奈・シキアの部屋の前
真瀬志奈
「…………。」
真瀬莉緒
「ね、姉さん?」
姉さんと星野さんの部屋の前には姉さんが立っていた。何かを考え込んでいる様子だった。
僕たちに気づいたのか、姉さんは僕たちに話しかけてきた。
真瀬志奈
「ああ……莉緒。色々と聞いてきたの?」
真瀬莉緒
「うん。姉さんはどうしてここに?」
真瀬志奈
「実は……さっき目を覚まして部屋に戻ってきたやいなや、部屋にこもっていて……。」
真瀬莉緒
「星野さんが?」
真瀬志奈
「入りづらいけど……一応寝る時とかはなんとか入れるけど……。やっぱり何かを考え込んでいるわね。」
真瀬莉緒
「星野さんが……?何かを……?」
真瀬志奈
「ねえ、莉緒。少しドア越しでいいから話しかけてみたら?」
真瀬莉緒
「僕が……?いや、でも……。」
真瀬志奈
「作曲のパートナーでしょう?それなら作曲のことなら話しやすいかもしれないし!」
真瀬莉緒
「姉さん……。」
月川タクト
「…………。」
真瀬志奈
「莉緒?」
真瀬莉緒
「ごめん姉さん。作曲は辞めるよ。星野さんをこれ以上傷つける訳にはいかないからね。」
真瀬志奈
「え……莉緒……!?急にどうしたの?」
真瀬莉緒
「……星野さん。ごめん……。僕……星野さんとの作曲作り……本当は苦しかったんですよね。好きな声優さんに曲を作る……でもそれであのことを思い出したくなかったんですよね。それに気づけなくて……ごめん。」
真瀬志奈
「莉緒……。」
真瀬莉緒
「これ、楽譜です。あとは捨てるなり、燃やすなりしてください。課題に関しては僕の方で考えておきます。ドアの隙間に楽譜、入れておきますね。では、失礼します。」
月川タクト
「…………。」
僕たちは星野さんたちの部屋を後にして、自分たちの部屋に戻ることにした。
六郭星学園寮 莉緒・タクトの部屋
星野さんにそう伝えたあと、僕たちは自分たちの部屋に戻り、僕は一息つこうとした時……
月川タクト
「……本当に……よかったのか?」
タクトくんがそう言ってきた。僕は思ったことをそのまま話すことにした。
真瀬莉緒
「……あの状態では作曲もできないよ。それに星野さんはもともと作曲を望んでなんかないし……。」
月川タクト
「それっていつの話だっけ?」
タクトくんは少し重い表情で言う。
真瀬莉緒
「いつって……それは……。」
僕は言葉に詰まるとタクトくんは詰め寄るように口を開く。
月川タクト
「シキアの口からやりたくないと聞いたことはあるか?それに今のシキアはどう思っている?確かにシキアは作曲に対して否定的ではあるけど、今はどうだ?インパクトが強いだけで今後どう考えているかはわからないだろ?」
真瀬莉緒
「それは……」
月川タクト
「ごめん……言い過ぎた……。」
真瀬莉緒
「いいんだ……」
その後しばらく沈黙が続いたが、タクトくんが表情を明るくしながらこんなことを言った。
月川タクト
「少し勝負してみないか?」
真瀬莉緒
「勝負……?」
月川タクト
「このテーブルホッケーで勝負しよう。せっかくの機会だからね。」
真瀬莉緒
「せっかくの機会か……。」
正直に今は星野さんの件でどうすればいいかわからなくなっている。頭の切り替えや気分転換になるのかもしれないと思い、勝負に乗ることにした。
真瀬莉緒
「わかった。やろうか。」
月川タクト
「それじゃあ……やるか!」
せっかくの勝負……勝ちに行く……!
月川タクト
「負けたか……。」
結果は僕の勝利だった。タクトくんは悔しがりながらも笑みを浮かべ、こう言った。
月川タクト
「莉緒の勝ちだ。……シキアのことは……任せるよ。」
真瀬莉緒
「えっ……。」
月川タクト
「この件はシキアにとっては高い壁になるかもしれない。けど、乗り越えて欲しいと思っている。そのためには支えになる人が必要なんだ。莉緒……君ならきっとシキアと良い曲を作れるよ!」
真瀬莉緒
「タクトくん……。」
月川タクト
「実際に曲を聞いた時は心からすごい……良い曲と思ったよ。だからさ……シキアのこと、任せるよ。」
真瀬莉緒
「…………。」
月川タクト
「今は決心がつかないかもしれないけれど、その答えはいつか聞かせてほしい。……信じているからな。」
そう言い残しタクトくんは部屋から離れる。僕はどうすればいいかわからなくなり、自分のベッドに仰向けになり、天井を見つめるだけだった。
真瀬莉緒
「星野さん……。シキアさん……。」
僕は頭を切り替えようと、外に出かけることにした。
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