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第1部 星野シキア編
第1章 緑草に包まれて (星野シキア編) 前編
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春。僕は目覚まし時計で目を覚ました。
??
「……はぁ……。朝か……。」
僕の名前は真瀬莉緒(まなせ りお) 。この春に6つの高等学校が合併した、六郭星学園に通う高校3年生だ。
真瀬莉緒
「僕は今日から六郭星学園の生徒か…。」
今日から新たな友達と授業を受ける。そう思っただけでドキドキした。
真瀬莉緒
「大丈夫…大丈夫…。」
僕はそう言い聞かせながら支度をし、六郭星学園に向かった。
六郭星学園 校門
真瀬莉緒
「ここが六郭星学園…」
??
「何か…すごいところね。」
この人は真瀬志奈(まなせ しな)。僕の双子の姉。
姉さんもこの学園に通う高校3年生だ。
真瀬莉緒
「でも、合併して方針が変わって全寮制になるなんて思わなかったよ。」
真瀬志奈
「でも寝坊しなくなるんじゃない?」
姉さんは笑顔でそう言った。
真瀬莉緒
「それ言わないでよ…。」
僕は照れながらそう言いました。
姉さんは僕をからかうのが好きなんだ。
真瀬莉緒
「…で、姉さんはどこのクラスだったの?」
真瀬志奈
「私は…Eクラスね。」
真瀬莉緒
「へぇ…俺はKクラスだったよ。バラバラになっちゃったね。」
真瀬志奈
「そうね。学校内でも会えるし、問題ないわよ。」
真瀬莉緒
「それもそうだね。じゃあ、そろそろ自分たちの教室行こう。」
真瀬志奈
「えぇ。」
六郭星学園 校内
真瀬莉緒
「へぇ……広いね……。」
さすがは六郭星学園。6つの学校が合併しただけあって校内はかなりの広さだ。
ふと、屋上はどんなところなのか気になってしまった。時間もまだあるため、屋上をのぞくことにした。
六郭星学園 屋上
真瀬莉緒
「ここが屋上か……。」
屋上はかなり広かった。地面からもかなり高く、良い眺めだ。
??
「……誰?」
真瀬莉緒
「えっ……?」
そこにいたのは1人の女性だった。
若竹色のリボンをつけ、制服を着ている。
どうやら学生のようだ。
真瀬莉緒
「…………。」
??
「…………。」
初対面なのか、僕も相手も沈黙が続く。
すると、背後から声が聞こえた。
??
「どうしましたか?そろそろ始業時間よ。」
真瀬莉緒
「あ、すみません。今すぐ戻ります。」
??
「……?」
僕はトイレを済ませて、教室に戻った。
六郭星学園 Kクラス
教室のドアを開けると、そこにはさっきの女性がいた。
??
「あ、さっきの。」
??
「どうやら同じクラスだったみたいですね。」
どうやら背後から声をかけた女の子も同じクラスだった。
するといきなり後ろから肩を掴まれた。
??
「お~。お兄ちゃん、シキアっちょとナナ様のお友達?よろしくね~!」
??
「まだ知り合ったばかりよ。」
シキアっちょと呼ばれている人はあしらうようにそう言った。
古金ミカ
「私、古金ミカ(こがね みか)だから~よろしく~!」
星野シキア
「自己紹介まだだったわね。星野シキア(ほしの しきあ)。よろしくね。」
来川ナナ
「来川ナナ(らいかわ なな)と申します。よろしくお願いいたします。」
真瀬莉緒
「真瀬莉緒です。よろしくお願いします!」
自己紹介を済ませて僕は自分の席についた。
チャイムが鳴りホームルームが始まり、教室に担任の先生が入ってきた。担任の先生は見知らぬ先生だった。
??
「おはようございます。今日からKクラスの担任になります。笛花奏(ふえばな かなで)といいます。教科は音楽です。よろしくお願いします!」
笛花先生か……優しそうな人だな……。
笛花奏
「皆さんもご存知の通り、6つの学校が合併をして、新しく六郭星学園となりました。皆さんも親しい人や見慣れない人もいるかもしれません。1年間という短い期間ではありますが仲良く過ごしましょう!」
先生がそういうとクラスメイトは「はい。」と返事をする。
そして、先生が次に出た発言は唐突な発言だった。
笛花奏
「いきなりではありますが、これから皆さんにはある課題をしてもらいます。」
それを聞いた時、クラスはざわつく……
笛花奏
「いきなりでごめんね。これから2人1組たりない場合は3人1組になってもらいます。そのペアで、課題をしてもらいます。」
男子生徒A
「課題の内容はなんですか?」
笛花奏
「良い質問。課題の内容は自由研究です。6月に皆さんの前で発表してもらいます!課題のペアはこちらの席からくじを引いてもらいます。」
言われるがまま、くじを引いていく……
そして、僕の順番が回ってきた……周りの人を見るとくじの中身はカラーボールだ。僕が箱の中に手を入れて引いたボールの色は……若竹色だった。
笛花奏
「それでは、同じ色のカラーボールを持っている人とペアになってください。」
僕は同じ色のボールを持った人を探す……
同じ色のボールを持っていたのは……。
星野シキア
「……あ、同じボールね。」
星野さんだった。これからこの人と課題をするとなると……少し不安だ。話が持つかがわからない……
真瀬莉緒
「星野さん。よろしくお願いします。」
星野シキア
「よろしく……莉緒。」
いきなり下の名前で呼ばれた……。何を考えているか少しわからなくなってきた……。
笛花奏
「皆さん同じペアの人わかりましたね。では……自己紹介をしていきましょう!では、そちらの方から!」
古金ミカ
「はい!古金ミカで~す!みなみなよろしくお願いしま~す!」
笛花奏
「……明るい子ね。じゃあ次の人。」
来川ナナ
「はい。来川ナナです。1年間という短い期間ではありますが、皆さんよろしくお願いいたします。」
笛花奏
「真面目な子ね。頑張ってね!じゃあ、次は君!」
真瀬莉緒
「はい。真瀬莉緒です。特技は楽器という楽器はほとんど弾けます。よろしくお願いします!」
笛花奏
「お、これは期待ね!今度聞かせてね!」
真瀬莉緒
「あ、ありがとうございます!」
笛花奏
「じゃあ、次はあなた。」
星野シキア
「はい。星野シキアです。趣味は読書です。よろしくお願いいたします。」
笛花奏
「はい。よろしくお願いします。」
こうして順番に自己紹介をしていく……
笛花奏
「はい。これで皆さん自己紹介しましたね。では、ホームルームを終えます。改めてよろしくお願いします!」
そして、先生は教室から出て行った。
先生が出て行ったあとはクラスメイトたちは周りの人と雑談をしている。
僕はあまり雑談は得意ではないが、さっき知り合った女子たちが話しかけてきた。
古金ミカ
「ねえねえ、君ってどこの学校出身なの?」
来川ナナ
「ミカ!いきなり話しかけないの!……まあ、気になるのはわかるけど……。」
星野シキア
「莉緒は……桃乃木音楽高等学校よね。」
真瀬莉緒
「えっ……どうしてそれを!?」
星野シキア
「楽器を弾けるとしたらそこしかないわよ。私は翠木高等学校よ。」
真瀬莉緒
「かなりの偏差値の高校ですよね。すごいですね。」
古金ミカ
「私は紅影高等学校。偏差値は低いかもしれないけど、学年ではトップ10に入るくらいだからよろしく。」
真瀬莉緒
「おお……それは期待ですね。」
来川ナナ
「私は蒼沼化学学校です。親は病院を経営していますが、医療専門の高等学校がなかったので……」
真瀬莉緒
「そうなんですね。親が病院の経営か……。すごいですね!」
そういえばこの3人は親しい様子だけど、知り合いなのだろうか?
真瀬莉緒
「ちなみにみなさんはお知り合いなんですか?」
星野シキア
「ええ、合併説明会の時に知り合ったばかりだけどね。その後の説明会の後の謝恩会で意気投合して……こんな感じにね。」
古金ミカ
「あの時は楽しかったね!今も楽しいけど。」
来川ナナ
「ええ、これからも楽しみね。真瀬さんもこれからよろしくお願いします!」
真瀬莉緒
「はい。よろしくお願いします。」
その後もたわいもない話をして、僕たちは帰路に着いた。
寮制度は明日からであり、2人1組の部屋になっている。
翌日……教室に入ると、星野さんがいた。
星野シキア
「おはよう。」
真瀬莉緒
「おはようございます。」
ペアを組んで、まだ1日。どこかぎこちない。
何か話そうかと思った時に、星野さんの方から話を振られた。
星野シキア
「ねえ、課題だけど……。音楽系で。」
真瀬莉緒
「えっ……。」
いきなりだったため、言葉が出ない。僕自身は音楽はやらないつもりでいたが、相手から言われ、少し動揺をしている。
星野シキア
「莉緒は……楽器弾けるんでしょ。私も楽器弾けるの。エレキギターね。」
真瀬莉緒
「エレキギター?すごいですね!」
星野シキア
「……まあね。お互いに楽器弾けるんだったら音楽を弾きましょうよ。」
真瀬莉緒
「そうですね。それなら……作曲ですかね?でもせっかくなら星野さんの実力を見てみたいです。」
星野シキア
「そうね。じゃあ、放課後音楽室に行きましょうか。」
真瀬莉緒
「はい。そうしましょう。」
僕たちは放課後に音楽室に行くことを約束して、今日のオリエンテーションを受けた。
そして、約束の放課後になった。
六郭星学園 音楽室
真瀬莉緒
「ここが……音楽室……。広いな……。」
星野シキア
「ええ、すごいわね。かなりの設備ね。」
音楽室はかなりの広さで、ありとあらゆる楽器が置かれている。さすがは母校が合併しただけある。
星野シキア
「それじゃあ、弾くわね。」
星野さんはエレキギターを即興で弾く。即興で弾いた割にはすごく良い出来だった……。ただ、星野さんの表情はどことなく、不安と迷いがあった。
星野シキア
「どうかしら?」
真瀬莉緒
「すごいです。それでは……僕も。」
僕は星野さんのエレキギターを手に取り、かき鳴らす……。
エレキギターを弾き終えると星野さんは驚いた様子で見ていた。
星野シキア
「…………。なかなかやるわね。」
真瀬莉緒
「ありがとうございます。」
僕は素直にお礼を言った。
星野シキア
「やっぱり……私には夢を持つこと……」
真瀬莉緒
「夢……?」
疑問に思ったその時、音楽室の片隅からアコースティックギターの音が聞こえてきた。
真瀬莉緒
「アコギ……?誰が弾いているんだろう?」
星野シキア
「タクトよ……。」
真瀬莉緒
「タクト?」
星野シキア
「月川タクト(つきかわ たくと)。私の知り合い。彼もギターを弾くけど、私とは違う。」
真瀬莉緒
「星野さんとは違う?」
星野シキア
「タクトは夢を追いかけているの。私と違ってね。」
夢……?私と違ってってことは……星野さんには夢がないのかな?
星野シキア
「タクトは……私にとってはある種の憎き存在なのかもしれないわね。……まあ、そろそろ寮に入る準備をしましょう。」
真瀬莉緒
「…………はい。」
僕は星野さんについて心残りがあるまま、音楽室を離れた。
六郭星学園寮 莉緒の部屋
真瀬莉緒
「ここが……僕の部屋か……。」
部屋は1部屋に2人入る。つまり、もう1人の人と1年間過ごすことになる。どんな人と一緒になるのか……緊張する。
緊張を抱えたまま、ドアを開ける。
真瀬莉緒
「……!?」
部屋の中にいたのは目が見えるか見えないかぐらいの髪型で、目つきも悪い男子だった。
第1印象は……怖い。それしかなかった。
??
「こんばんは!君が僕の部屋のパートナーだね!」
真瀬莉緒
「あ、はい!」
その人は笑顔で迎えてくれた。怖い人ではなさそうだ。
月川タクト
「僕は月川タクトです。よろしく!」
月川タクト……?星野さんが言っていた人かな?
真瀬莉緒
「真瀬莉緒です。Kクラスです。よろしくお願いします。」
月川タクト
「よろしく!……ところで、Kクラスってことは……シキアのクラスかな?」
真瀬莉緒
「はい。そうです。……ところで、さっき音楽室でギターを弾いていたのは……?」
月川タクト
「そうだよ。俺は夢があってさ、声優さんに作曲をしたいという夢があるんだ。」
真瀬莉緒
「そうなんですね。夢……ですか。」
月川タクト
「……も、もしかしてシキアのパートナー?」
真瀬莉緒
「は、はい。そうです。」
月川タクト
「そうか……さっきのエレキギターはシキアのか……じゃあ、シキアの夢のこともまだ教えてもらってはないかな?」
真瀬莉緒
「そうですね……。なんか……夢に対して否定的な様子はありますね。」
月川タクト
「やっぱり……シキアにも音楽の才能はあるとは思うんだけど……。」
真瀬莉緒
「あ、彼女に何があったのか知っているんですか?」
月川タクト
「うん。けど……俺から話すことではないね……。」
真瀬莉緒
「そうですか……。」
月川タクト
「ところでさ……。もしかして双子?」
真瀬莉緒
「はい。志奈という姉がいます。」
月川タクト
「やっぱり!どおりで似ていると思ったんだ。君のお姉さん、僕の課題のパートナーなんだ。」
真瀬莉緒
「そうなんですね!姉をよろしくお願いします!」
月川タクト
「もちろん、それにかしこまらなくて大丈夫だよ!フランクに行こう!莉緒!」
真瀬莉緒
「あ、うん。よろしく!」
月川タクト
「じゃあ、俺は少し出かけるからゆっくりしていてね。」
そう言ってタクトくんは部屋から出て行った。
せっかく1人になれたから、あれを見ようと思った。
最近ハマっているVtuberの動画だ。名前は綺羅星メルマ(きらぼし めるま)。ここ最近で登録者数が60万人を超えた、今1番勢いのある女性Vtuberだ。
綺羅星メルマ
「星々のみんな~!みんなのアース。綺羅星メルマで~す!」
いつものかけ声にいつもの挨拶。最近の心の拠り所だ。
タクトくんの机をふと見ると、綺羅星メルマのステッカーが置いてあった。
彼には趣味を隠す必要はあまりないかもしれない。
その後、楽しく綺羅星メルマの動画を見た後、寝る支度の準備をした。
真瀬莉緒
「さて……寝るとするか……。」
そう呟き、寝床についた。
??
「……はぁ……。朝か……。」
僕の名前は真瀬莉緒(まなせ りお) 。この春に6つの高等学校が合併した、六郭星学園に通う高校3年生だ。
真瀬莉緒
「僕は今日から六郭星学園の生徒か…。」
今日から新たな友達と授業を受ける。そう思っただけでドキドキした。
真瀬莉緒
「大丈夫…大丈夫…。」
僕はそう言い聞かせながら支度をし、六郭星学園に向かった。
六郭星学園 校門
真瀬莉緒
「ここが六郭星学園…」
??
「何か…すごいところね。」
この人は真瀬志奈(まなせ しな)。僕の双子の姉。
姉さんもこの学園に通う高校3年生だ。
真瀬莉緒
「でも、合併して方針が変わって全寮制になるなんて思わなかったよ。」
真瀬志奈
「でも寝坊しなくなるんじゃない?」
姉さんは笑顔でそう言った。
真瀬莉緒
「それ言わないでよ…。」
僕は照れながらそう言いました。
姉さんは僕をからかうのが好きなんだ。
真瀬莉緒
「…で、姉さんはどこのクラスだったの?」
真瀬志奈
「私は…Eクラスね。」
真瀬莉緒
「へぇ…俺はKクラスだったよ。バラバラになっちゃったね。」
真瀬志奈
「そうね。学校内でも会えるし、問題ないわよ。」
真瀬莉緒
「それもそうだね。じゃあ、そろそろ自分たちの教室行こう。」
真瀬志奈
「えぇ。」
六郭星学園 校内
真瀬莉緒
「へぇ……広いね……。」
さすがは六郭星学園。6つの学校が合併しただけあって校内はかなりの広さだ。
ふと、屋上はどんなところなのか気になってしまった。時間もまだあるため、屋上をのぞくことにした。
六郭星学園 屋上
真瀬莉緒
「ここが屋上か……。」
屋上はかなり広かった。地面からもかなり高く、良い眺めだ。
??
「……誰?」
真瀬莉緒
「えっ……?」
そこにいたのは1人の女性だった。
若竹色のリボンをつけ、制服を着ている。
どうやら学生のようだ。
真瀬莉緒
「…………。」
??
「…………。」
初対面なのか、僕も相手も沈黙が続く。
すると、背後から声が聞こえた。
??
「どうしましたか?そろそろ始業時間よ。」
真瀬莉緒
「あ、すみません。今すぐ戻ります。」
??
「……?」
僕はトイレを済ませて、教室に戻った。
六郭星学園 Kクラス
教室のドアを開けると、そこにはさっきの女性がいた。
??
「あ、さっきの。」
??
「どうやら同じクラスだったみたいですね。」
どうやら背後から声をかけた女の子も同じクラスだった。
するといきなり後ろから肩を掴まれた。
??
「お~。お兄ちゃん、シキアっちょとナナ様のお友達?よろしくね~!」
??
「まだ知り合ったばかりよ。」
シキアっちょと呼ばれている人はあしらうようにそう言った。
古金ミカ
「私、古金ミカ(こがね みか)だから~よろしく~!」
星野シキア
「自己紹介まだだったわね。星野シキア(ほしの しきあ)。よろしくね。」
来川ナナ
「来川ナナ(らいかわ なな)と申します。よろしくお願いいたします。」
真瀬莉緒
「真瀬莉緒です。よろしくお願いします!」
自己紹介を済ませて僕は自分の席についた。
チャイムが鳴りホームルームが始まり、教室に担任の先生が入ってきた。担任の先生は見知らぬ先生だった。
??
「おはようございます。今日からKクラスの担任になります。笛花奏(ふえばな かなで)といいます。教科は音楽です。よろしくお願いします!」
笛花先生か……優しそうな人だな……。
笛花奏
「皆さんもご存知の通り、6つの学校が合併をして、新しく六郭星学園となりました。皆さんも親しい人や見慣れない人もいるかもしれません。1年間という短い期間ではありますが仲良く過ごしましょう!」
先生がそういうとクラスメイトは「はい。」と返事をする。
そして、先生が次に出た発言は唐突な発言だった。
笛花奏
「いきなりではありますが、これから皆さんにはある課題をしてもらいます。」
それを聞いた時、クラスはざわつく……
笛花奏
「いきなりでごめんね。これから2人1組たりない場合は3人1組になってもらいます。そのペアで、課題をしてもらいます。」
男子生徒A
「課題の内容はなんですか?」
笛花奏
「良い質問。課題の内容は自由研究です。6月に皆さんの前で発表してもらいます!課題のペアはこちらの席からくじを引いてもらいます。」
言われるがまま、くじを引いていく……
そして、僕の順番が回ってきた……周りの人を見るとくじの中身はカラーボールだ。僕が箱の中に手を入れて引いたボールの色は……若竹色だった。
笛花奏
「それでは、同じ色のカラーボールを持っている人とペアになってください。」
僕は同じ色のボールを持った人を探す……
同じ色のボールを持っていたのは……。
星野シキア
「……あ、同じボールね。」
星野さんだった。これからこの人と課題をするとなると……少し不安だ。話が持つかがわからない……
真瀬莉緒
「星野さん。よろしくお願いします。」
星野シキア
「よろしく……莉緒。」
いきなり下の名前で呼ばれた……。何を考えているか少しわからなくなってきた……。
笛花奏
「皆さん同じペアの人わかりましたね。では……自己紹介をしていきましょう!では、そちらの方から!」
古金ミカ
「はい!古金ミカで~す!みなみなよろしくお願いしま~す!」
笛花奏
「……明るい子ね。じゃあ次の人。」
来川ナナ
「はい。来川ナナです。1年間という短い期間ではありますが、皆さんよろしくお願いいたします。」
笛花奏
「真面目な子ね。頑張ってね!じゃあ、次は君!」
真瀬莉緒
「はい。真瀬莉緒です。特技は楽器という楽器はほとんど弾けます。よろしくお願いします!」
笛花奏
「お、これは期待ね!今度聞かせてね!」
真瀬莉緒
「あ、ありがとうございます!」
笛花奏
「じゃあ、次はあなた。」
星野シキア
「はい。星野シキアです。趣味は読書です。よろしくお願いいたします。」
笛花奏
「はい。よろしくお願いします。」
こうして順番に自己紹介をしていく……
笛花奏
「はい。これで皆さん自己紹介しましたね。では、ホームルームを終えます。改めてよろしくお願いします!」
そして、先生は教室から出て行った。
先生が出て行ったあとはクラスメイトたちは周りの人と雑談をしている。
僕はあまり雑談は得意ではないが、さっき知り合った女子たちが話しかけてきた。
古金ミカ
「ねえねえ、君ってどこの学校出身なの?」
来川ナナ
「ミカ!いきなり話しかけないの!……まあ、気になるのはわかるけど……。」
星野シキア
「莉緒は……桃乃木音楽高等学校よね。」
真瀬莉緒
「えっ……どうしてそれを!?」
星野シキア
「楽器を弾けるとしたらそこしかないわよ。私は翠木高等学校よ。」
真瀬莉緒
「かなりの偏差値の高校ですよね。すごいですね。」
古金ミカ
「私は紅影高等学校。偏差値は低いかもしれないけど、学年ではトップ10に入るくらいだからよろしく。」
真瀬莉緒
「おお……それは期待ですね。」
来川ナナ
「私は蒼沼化学学校です。親は病院を経営していますが、医療専門の高等学校がなかったので……」
真瀬莉緒
「そうなんですね。親が病院の経営か……。すごいですね!」
そういえばこの3人は親しい様子だけど、知り合いなのだろうか?
真瀬莉緒
「ちなみにみなさんはお知り合いなんですか?」
星野シキア
「ええ、合併説明会の時に知り合ったばかりだけどね。その後の説明会の後の謝恩会で意気投合して……こんな感じにね。」
古金ミカ
「あの時は楽しかったね!今も楽しいけど。」
来川ナナ
「ええ、これからも楽しみね。真瀬さんもこれからよろしくお願いします!」
真瀬莉緒
「はい。よろしくお願いします。」
その後もたわいもない話をして、僕たちは帰路に着いた。
寮制度は明日からであり、2人1組の部屋になっている。
翌日……教室に入ると、星野さんがいた。
星野シキア
「おはよう。」
真瀬莉緒
「おはようございます。」
ペアを組んで、まだ1日。どこかぎこちない。
何か話そうかと思った時に、星野さんの方から話を振られた。
星野シキア
「ねえ、課題だけど……。音楽系で。」
真瀬莉緒
「えっ……。」
いきなりだったため、言葉が出ない。僕自身は音楽はやらないつもりでいたが、相手から言われ、少し動揺をしている。
星野シキア
「莉緒は……楽器弾けるんでしょ。私も楽器弾けるの。エレキギターね。」
真瀬莉緒
「エレキギター?すごいですね!」
星野シキア
「……まあね。お互いに楽器弾けるんだったら音楽を弾きましょうよ。」
真瀬莉緒
「そうですね。それなら……作曲ですかね?でもせっかくなら星野さんの実力を見てみたいです。」
星野シキア
「そうね。じゃあ、放課後音楽室に行きましょうか。」
真瀬莉緒
「はい。そうしましょう。」
僕たちは放課後に音楽室に行くことを約束して、今日のオリエンテーションを受けた。
そして、約束の放課後になった。
六郭星学園 音楽室
真瀬莉緒
「ここが……音楽室……。広いな……。」
星野シキア
「ええ、すごいわね。かなりの設備ね。」
音楽室はかなりの広さで、ありとあらゆる楽器が置かれている。さすがは母校が合併しただけある。
星野シキア
「それじゃあ、弾くわね。」
星野さんはエレキギターを即興で弾く。即興で弾いた割にはすごく良い出来だった……。ただ、星野さんの表情はどことなく、不安と迷いがあった。
星野シキア
「どうかしら?」
真瀬莉緒
「すごいです。それでは……僕も。」
僕は星野さんのエレキギターを手に取り、かき鳴らす……。
エレキギターを弾き終えると星野さんは驚いた様子で見ていた。
星野シキア
「…………。なかなかやるわね。」
真瀬莉緒
「ありがとうございます。」
僕は素直にお礼を言った。
星野シキア
「やっぱり……私には夢を持つこと……」
真瀬莉緒
「夢……?」
疑問に思ったその時、音楽室の片隅からアコースティックギターの音が聞こえてきた。
真瀬莉緒
「アコギ……?誰が弾いているんだろう?」
星野シキア
「タクトよ……。」
真瀬莉緒
「タクト?」
星野シキア
「月川タクト(つきかわ たくと)。私の知り合い。彼もギターを弾くけど、私とは違う。」
真瀬莉緒
「星野さんとは違う?」
星野シキア
「タクトは夢を追いかけているの。私と違ってね。」
夢……?私と違ってってことは……星野さんには夢がないのかな?
星野シキア
「タクトは……私にとってはある種の憎き存在なのかもしれないわね。……まあ、そろそろ寮に入る準備をしましょう。」
真瀬莉緒
「…………はい。」
僕は星野さんについて心残りがあるまま、音楽室を離れた。
六郭星学園寮 莉緒の部屋
真瀬莉緒
「ここが……僕の部屋か……。」
部屋は1部屋に2人入る。つまり、もう1人の人と1年間過ごすことになる。どんな人と一緒になるのか……緊張する。
緊張を抱えたまま、ドアを開ける。
真瀬莉緒
「……!?」
部屋の中にいたのは目が見えるか見えないかぐらいの髪型で、目つきも悪い男子だった。
第1印象は……怖い。それしかなかった。
??
「こんばんは!君が僕の部屋のパートナーだね!」
真瀬莉緒
「あ、はい!」
その人は笑顔で迎えてくれた。怖い人ではなさそうだ。
月川タクト
「僕は月川タクトです。よろしく!」
月川タクト……?星野さんが言っていた人かな?
真瀬莉緒
「真瀬莉緒です。Kクラスです。よろしくお願いします。」
月川タクト
「よろしく!……ところで、Kクラスってことは……シキアのクラスかな?」
真瀬莉緒
「はい。そうです。……ところで、さっき音楽室でギターを弾いていたのは……?」
月川タクト
「そうだよ。俺は夢があってさ、声優さんに作曲をしたいという夢があるんだ。」
真瀬莉緒
「そうなんですね。夢……ですか。」
月川タクト
「……も、もしかしてシキアのパートナー?」
真瀬莉緒
「は、はい。そうです。」
月川タクト
「そうか……さっきのエレキギターはシキアのか……じゃあ、シキアの夢のこともまだ教えてもらってはないかな?」
真瀬莉緒
「そうですね……。なんか……夢に対して否定的な様子はありますね。」
月川タクト
「やっぱり……シキアにも音楽の才能はあるとは思うんだけど……。」
真瀬莉緒
「あ、彼女に何があったのか知っているんですか?」
月川タクト
「うん。けど……俺から話すことではないね……。」
真瀬莉緒
「そうですか……。」
月川タクト
「ところでさ……。もしかして双子?」
真瀬莉緒
「はい。志奈という姉がいます。」
月川タクト
「やっぱり!どおりで似ていると思ったんだ。君のお姉さん、僕の課題のパートナーなんだ。」
真瀬莉緒
「そうなんですね!姉をよろしくお願いします!」
月川タクト
「もちろん、それにかしこまらなくて大丈夫だよ!フランクに行こう!莉緒!」
真瀬莉緒
「あ、うん。よろしく!」
月川タクト
「じゃあ、俺は少し出かけるからゆっくりしていてね。」
そう言ってタクトくんは部屋から出て行った。
せっかく1人になれたから、あれを見ようと思った。
最近ハマっているVtuberの動画だ。名前は綺羅星メルマ(きらぼし めるま)。ここ最近で登録者数が60万人を超えた、今1番勢いのある女性Vtuberだ。
綺羅星メルマ
「星々のみんな~!みんなのアース。綺羅星メルマで~す!」
いつものかけ声にいつもの挨拶。最近の心の拠り所だ。
タクトくんの机をふと見ると、綺羅星メルマのステッカーが置いてあった。
彼には趣味を隠す必要はあまりないかもしれない。
その後、楽しく綺羅星メルマの動画を見た後、寝る支度の準備をした。
真瀬莉緒
「さて……寝るとするか……。」
そう呟き、寝床についた。
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