colorful〜rainbow stories〜

宮来らいと

文字の大きさ
上 下
13 / 32
第1部 柊木アイ編

第3章 赤く高い壁 (柊木アイ編) 前編

しおりを挟む
秋。私は……ある準備をしていた。
そう……柊木さんを助けに行くんだ。

月川タクト
「真瀬さん……本当に行くの?」

真瀬志奈
「もちろんです。柊木さんを助けに行きます。」

夜坂ケント
「やめた方がいいんじゃないのか?それにアイの実家はあの赤い壁を乗り越えないといけない。頑丈なあの壁を。」

そう。柊木さんの実家は六郭七富豪の1つ。つまり、相当な高い壁があり、広大な敷地でもある。

夜坂ケント
「それに家の中も入りくんでいるかもしれないんだぞ。1人で行くのは無茶だ。」

真瀬志奈
「構いません。私は柊木さんを救います。」

月川タクト
「……ねえ、どうしてそこまでアイのことを心配するの?」

真瀬志奈
「……パートナー……だからじゃダメですか?」

月川タクト
「パートナーだとしてもやりすぎな感じもするんだ。パートナーは理由があれば変えれるし、なんなら3人ペアで課題もできる。なんでアイにこだわるの?」

真瀬志奈
「……うっ……それは……。」

確かに月川さんの言う通りだ。私は……なんでこうして柊木さんにこだわるんだろう……。私は……柊木さんは……。

柊木アイ
(実は僕、お父さんを早くに亡くして母親1人で育ったんだ。過保護なのかお母さんにこうして青空の下で、横になって同級生と話すのしたことなかったんだよね。)

柊木アイ
(ずっと魚は青っぽいとか白っぽいとか思っていたんだ。だけど、テレビでクマノミを見てこんな色の魚もいるんだって思ったんだ。それから僕はオレンジ色が好きになったんだ。)

柊木アイ
(楽しかった……真瀬さんといる時間は……。僕は好きなことが出来ずにずっと過保護に育てられていた……けど、寮になって自由になれた。そう思ったんだ。……嬉しかった……。そこに真瀬さんもいる……今は最高……に……楽しい……。)


私は……柊木さんの……

真瀬志奈
「私は……柊木さんが好きです。パートナーとしても恋人としても。だから私は柊木さんを救います。1人だけでも……。」

私は思わず付き合ってもいないのに恋人と言ってしまった。でも後悔はしていない。

月川タクト
「…………。」

夜坂ケント
「…………。」

2人は何も言わずに教室から出てしまった……。

真瀬志奈
「……私は絶対に救います。たとえ誰が何を言おうと……。」

と言うと……目の前から眩い光に包まれ、爆発音がなる。

真瀬志奈
「な……何!?」

あたりを見ると1人の男性がいた。

??
「やあ、真瀬志奈さん。僕は虹谷サイ。驚かせてごめんね。」

真瀬志奈
「えっ……あっ……。」

動揺を隠せない私だったが、虹谷と言う方は淡々と話を続けた。

虹谷サイ
「彼……柊木アイには容疑がかけられている。そんな人を救うのかい?」

真瀬志奈
「……容疑……?」

虹谷サイ
「しかもそれは重い罪。許されない行為だ。それでも君は彼を救うのかい?」

真瀬志奈
「……初対面の人にそんなこと言われたくないです……!」

虹谷サイ
「…………。」

真瀬志奈
「私は救わなくちゃいけないんです!邪魔をしないでください!!」

虹谷サイ
「…………。それだけ言うならわかりました。真瀬さん……。またどこかでお会いしましょう。」

虹谷という人は再び光と共に消えていった。

真瀬志奈
「なんだったの……?」

不思議だった。……ただ今はそんなことを考えている暇はない。柊木さん……待っててね。

決行は2日後……それまでに準備をしないと!


六郭星学園 図書室


真瀬志奈
「…………。」

私は図書室に行き、柊木さんの家の場所を知るために地図を確認した。
六郭七富豪の家なら調べたらすぐにわかる。

真瀬志奈
「あった……。」

ここが柊木さんの家……。確認できた。
次は……。

六郭星学園 購買部


真瀬志奈
「これと……これを……。」

私は必要な道具を買った。これで最低限の準備はできた。

真瀬志奈
「あとは……私1人か……。」

協力者はいない。私1人の力で柊木さんを救わないといけない……と廊下で歩きながら考えていた……。




その時……。






ギギ……ガガ……。


真瀬志奈
「な……なに……?この耳鳴り……!?」


ギギ……ガガ……。


苦しい……助けて……。


そこに1人の男性が、近づいてきた。

??
「…………。」

真瀬志奈
「えっ……?」

その驚きで耳鳴りは治った。

??
「……大丈夫ですか?」

真瀬志奈
「はい……。」

??
「おーい!キョウゴ!」

そこに見知らぬ先生がやってきた。

??
「何かあったのか?」

キョウゴ
「いえ、別に……。」

真瀬志奈
「あの……ありがとうございます。……あのところで……。」

綿垣キョウゴ
「失礼……綿垣キョウゴ(わたがき きょうご)。Bクラス。」

真瀬志奈
「綿垣……?」

綿垣キョウゴ
「失礼します……。」

綿垣さんはそう言い残しその場を離れた。

凪野雪緒
「大丈夫か?俺は凪野雪緒(なぎの ゆきお)。Bクラスの担任で、国語を担当している。」

真瀬志奈
「はぁ……よろしくお願いします。」

凪野雪緒
「キョウゴとは……何かあったのか?」

真瀬志奈
「いえ、むしろ助けてくれました……。」

凪野雪緒
「そうか……。なら良かった……大丈夫そうだな。じゃあ、戻るな!また今度、課題発表の時に会おうな!」

凪野先生はそのままその場を離れていった。

真瀬志奈
「……よし!」

私は気持ちを入れ替え、準備に取り掛かった。


六郭星学園 寮 志奈・ミカの部屋


決行の日に備えて早く寝ようと就寝準備をしている時、あるものが目に入った。

真瀬志奈
「このボール……。」

オレンジ色のボールが目に入る。そういえばここから私たちの関係が本格的に始まったんだ。

一緒にお弁当を食べたり、水族館に行ったりと楽しい思いをしてきた……。

真瀬志奈
「……待っててね。」
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

今更気付いてももう遅い。

ユウキ
恋愛
ある晴れた日、卒業の季節に集まる面々は、一様に暗く。 今更真相に気付いても、後悔してももう遅い。何もかも、取り戻せないのです。

【完結】愛も信頼も壊れて消えた

miniko
恋愛
「悪女だって噂はどうやら本当だったようね」 王女殿下は私の婚約者の腕にベッタリと絡み付き、嘲笑を浮かべながら私を貶めた。 無表情で吊り目がちな私は、子供の頃から他人に誤解される事が多かった。 だからと言って、悪女呼ばわりされる筋合いなどないのだが・・・。 婚約者は私を庇う事も、王女殿下を振り払うこともせず、困った様な顔をしている。 私は彼の事が好きだった。 優しい人だと思っていた。 だけど───。 彼の態度を見ている内に、私の心の奥で何か大切な物が音を立てて壊れた気がした。 ※感想欄はネタバレ配慮しておりません。ご注意下さい。

夫が寵姫に夢中ですので、私は離宮で気ままに暮らします

希猫 ゆうみ
恋愛
王妃フランチェスカは見切りをつけた。 国王である夫ゴドウィンは踊り子上がりの寵姫マルベルに夢中で、先に男児を産ませて寵姫の子を王太子にするとまで嘯いている。 隣国王女であったフランチェスカの莫大な持参金と、結婚による同盟が国を支えてるというのに、恩知らずも甚だしい。 「勝手にやってください。私は離宮で気ままに暮らしますので」

私がもらっても構わないのだろう?

Ruhuna
恋愛
捨てたのなら、私がもらっても構わないのだろう? 6話完結予定

アルバートの屈辱

プラネットプラント
恋愛
妻の姉に恋をして妻を蔑ろにするアルバートとそんな夫を愛するのを諦めてしまった妻の話。 『詰んでる不憫系悪役令嬢はチャラ男騎士として生活しています』の10年ほど前の話ですが、ほぼ無関係なので単体で読めます。

娼館で元夫と再会しました

無味無臭(不定期更新)
恋愛
公爵家に嫁いですぐ、寡黙な夫と厳格な義父母との関係に悩みホームシックにもなった私は、ついに耐えきれず離縁状を机に置いて嫁ぎ先から逃げ出した。 しかし実家に帰っても、そこに私の居場所はない。 連れ戻されてしまうと危惧した私は、自らの体を売って生計を立てることにした。 「シーク様…」 どうして貴方がここに? 元夫と娼館で再会してしまうなんて、なんという不運なの!

好きな人に『その気持ちが迷惑だ』と言われたので、姿を消します【完結済み】

皇 翼
恋愛
「正直、貴女のその気持ちは迷惑なのですよ……この場だから言いますが、既に想い人が居るんです。諦めて頂けませんか?」 「っ――――!!」 「賢い貴女の事だ。地位も身分も財力も何もかもが貴女にとっては高嶺の花だと元々分かっていたのでしょう?そんな感情を持っているだけ時間が無駄だと思いませんか?」 クロエの気持ちなどお構いなしに、言葉は続けられる。既に想い人がいる。気持ちが迷惑。諦めろ。時間の無駄。彼は止まらず話し続ける。彼が口を開く度に、まるで弾丸のように心を抉っていった。 ****** ・執筆時間空けてしまった間に途中過程が気に食わなくなったので、設定などを少し変えて改稿しています。

セレナの居場所 ~下賜された側妃~

緑谷めい
恋愛
 後宮が廃され、国王エドガルドの側妃だったセレナは、ルーベン・アルファーロ侯爵に下賜された。自らの新たな居場所を作ろうと努力するセレナだったが、夫ルーベンの幼馴染だという伯爵家令嬢クラーラが頻繁に屋敷を訪れることに違和感を覚える。

処理中です...