婚約者に言わせれば私は要らないらしいので、喜んで出ていきます

第二話

　その晩、家族にこの陰惨なできごとを話した時、私は怒りを抑えられませんでした。母はショックで息を呑み、ヘンリー様がエリザベスと情熱的に抱擁しているのを目撃したと言った時、父は怒って顔を歪めました。

「その邪悪な男は全てを否定し、彼女は結婚式の準備を手伝う『大切な友人』に過ぎないと主張しました。私が彼の嘘を信じないから、彼は婚約を解消したのです」

「なんという厚かましさでしょう!」

　母は叫びました。

「自分の軽率な行為の責任をあなたに押し付けるなんて。かわいそうに、婚約者に裏切られたんですもの」

　母は私の手をぎゅっと握ってくれました。

　父は椅子から立ち上がり、部屋を往来しながら言いました。

「あの邪悪な男はお前の名誉を傷つけ、我が家の評判を損なった。とんでもないことをしてくれたものだ」

　私は顔を上げて言いました。

「そのとおりです、父上。ヘンリー様は卑劣な行為の代償を払わなければなりません」

　私は、両親に願い出ました。

「あの男への制裁について、ご助言をいただけませんか。あの男が苦悶するところが見たいのです」

　母はヘンリーさんの男らしさについて悪いうわさを流すことを提案しました。父は部屋を歩き回りながら物思いにふけっていました。母の考えは興味深かったですが、私はもっと具体的な方法で彼を罰したいと思っていました。

「彼の家業の邪魔をするのはいかがでしょうか」

　私はふと思いついて、言いました。

「彼は貿易で財を成しました。要人や投資家とのつながりを絶つのです」

　父は納得された様子で頷かれました。

「良い考えだ。影響力のある人物を何人か知っている。私が話せば、あの男に深手を負わせるくらいはできる」

　私はヘンリー様が私を騙したことを深く後悔することを想像し、満足しました。本当のところ、私はそれほどヘンリー様が堕ちる様が見たいわけではありませんでした。ただ、何もせずに引き下がるのでは、あまりに気が済まなかったのです。