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第二話
しおりを挟む案の定、といったところだろうか。
氷の国行きの寝台特急の中で、私に二通の電信が届いた。内容は、一方が私の両親からの悲鳴、もう一通がダイノス家からの公式な非難だった。
ダイノス家からの方には、ちゃっかりカインの名前も入っている。やはり、彼は嘘をついたのだ。
電信の中では、私は結婚に嫌気がさし、知らない男と駆け落ちしたことになっていた。
しかも、私のこれまでの成績は、ナーラを脅してカンニングして手に入れた不正なものだということになっている。
ありえない。私は彼女と話したことはほとんどないし、確かに彼女も平均以上の成績を持ってはいたが、私との差は歴然としている。こんなくだらないデマに、私の両親までもが騙されてしまうなんて、どれほど彼らが私のことを見ていなかったかがわかる。
ともかくこれで、カインとしては邪魔な私を追い出し、愛するナーラと結婚する手はずを整えたつもりだろう。
ですが、彼の考えなど全て読めている。
「こんなことで、私を貶められるものですか......」
そんな私の笑みは、カインにだけではなく、ナーラにも向いていた。
そう、この計略の首謀者はカインではない。無関係を装って、ずっとあの女が裏で糸を引いていたのだ。
それが、もうすぐ暴かれるはずだ。
朝一番で電信を送ったのは両親たちだけではない。私も、彼らに電信を送っておいたのだ。
どうしようもないあいつらに、そして馬鹿な両親たちに、残酷なまでに真実を突きつける手紙を。
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