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第2章 神奮闘~マカダミア王国編~
第41話 動き出す闇
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サンセはランスの勝手な行動を未然に防ぐ事に成功し、これでひとまずランスがティス様の所に乗り込む心配はないと思いたい――
(説教してすぐ乗り込まれたら、その神経疑うレベルだし……)
むしろ、そっちの心配よりも――
「……ランスはこの後どうするの?」
「休みっすから…………観察っすかね!」
ランスは僕の方をジーっと見て満面の笑みで答えた。“絵の対象物”が身近にいれば、余程の用事でもない限りそれを逃す手はないと言わんばかりのランスの熱い視線に僕はウンザリする――
(やっぱり……)
どうやってランスとそれとなく別れるか――
それこそが、最大の難関だ――
(ランスがバカをやらかさないように逆に見張れる利点はあるけど、明らかに僕の苦痛度合いの方が大きい……。てか、何でこんなくだらない事に頭を悩ませないといけないんだか……あ、でも――)
朝見たメティーとクロウの様子に沈んでた事を、今ふと思い出すまで忘れてたぐらいには、このくだらなさに救われていると気付かされた――
(少し癪だけど……ランスのおかげかな。とは言っても、このままランスといたら僕の任務内容がバレる……そうならない為には――)
ランスがティス様に執着するきっかけと関係あるかわからないけど、ランスが変わったのは父親の訃報でマカダミアに帰り、チョコランタに戻って来てからだ――
周囲には父親の死の悲しみを考えないで済むよう、がむしゃらに訓練に励んでいるように見えていた――
でも、その訓練で王族近衛騎士になるまでの強さを得て、口にした言葉は“ティス様を守りたい”だった――
ランスがマカダミアに戻った時に、ティス様の何かを知ったとすれば辻褄は合う――
だけど、ランスはそれを詳しく話す気はない――
(それなら――)
「……僕もティス様の事一緒に調べてあげようか?」
「え!? いいんっすか!?」
「だって、ランスは気になるんでしょ? かと言ってひとりで勝手な行動をさせる訳にもいかないなら、僕も一緒ならひとりにはならないし?」
ランスが調べたいのを手伝うって事にすれば、僕の任務もバレずにティス様の情報収集が出来て、尚且つランスの監視も出来る――
「うわぁー! さすがサンセ様っす! 頭良いっす!」
(……ランスが単純で良かった。……単なる屁理屈で十分勝手な行動だから、ビターには後でグチグチ言われそうだけど――)
こうして、ひとまず僕とランスは一緒にティス様の件を調べる事になった――
◆ ◆ ◆ ◆ ◆
時は、ティスとセルフィーがマカダミアの姫が用意した王家の紋章入りの馬車で、マカダミアの街へ向かっていた日の深夜へと遡る――
「ちょっと止まって下さい」
街の入口へ差し掛かると、セルフィーが御者へそう声を掛け、程なくして馬車は止まった――
「すぐ確認するので少し待っていて下さい」
セルフィーだけ馬車から降りて御者へそう伝えると、セルフィーは街の入口の単なる飾りのような柱の上部を見上げた――
そこには、ぼんやりと光る球体の装置があり、他にも同じ物が一定間隔で配置されていた。
入口の柱だけは一部に開きそうな切り込みがあり、セルフィーが首に下げた研究員証で触れると、ロックが解除されて開いた。
そこには、街の外周にある全ての装置を管理する電子パネルがあり、配置された柱の数だけ青緑に点灯していた――
(全て異常なし……メンテナンスの必要はなさそうね)
セルフィーの見た“装置”とは、異形生物避けの事だ――
研究所は、異形生物避けをチョコランタとマカダミアに高値で売り付け、それを研究資金にしていた――
(“彼”を捕まえる為に異形生物を定期的に森に放つなんてやり過ぎよ……。ましてや、異形生物を作り出した張本人がそれで金儲けなんて……用意周到過ぎ。“彼”という名目がなくても、いずれそうするつもりだったって事だもの……ありえない)
セルフィーは冷ややかな顔に反して、強く握りしめられた拳は熱い苛立ちで震えていた。
(あの人達の元へ行ってから、私の全てが変わった……。“素敵なレディ”の振る舞いなんて、何の役に立ちもしない。聞き分けのいい扱いやすい手駒……“冷酷非道な女”を演じなければ――)
セルフィーは暗い面持ちで唇を噛み締めながら馬車の所へ戻り、御者に出発を促し馬車の中へ入ると、ティスは生気を宿していない虚ろな目のままセルフィーを見つめていた――
「……心配してくれてるの? 私は大丈夫よ」
セルフィーはそう言って儚げに微笑み、優しくティスの頭を撫でた。
「……不思議ね。“彼”が研究所から逃れた後、あなたと居る時間が多かったから、何となくそう思ってくれてる気がしたの。でも……もう少しでお別れね」
「…………」
セルフィーが虚ろな目のティスへと声を掛けるも、返事が返ってくる事はないが、ティスの手はまるで名残惜しそうにセルフィーの腕を掴んだ。
「……ひとりで心細い?……大丈夫よ。きっと“彼”があなたを迎えに来てくれるわ。だから、どうか無事に“彼”と逃げて――」
セルフィーは到着までティスを安心させるように頭を優しく撫で続けた――
そして、程なくして馬車は城門に到着して止まり、セルフィーはティスを兵士へと引き渡した――
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
ティスを送り届ける役目を終えたセルフィーは、帰りも馬車で送ってもらえそうだったのを断り、ひとり夜の街を歩いていた――
(……やる事があるから断ったものの……すごいジロジロ見られてる……)
夜中とはいえ、城まで続く大通りは明かりが灯され、酒場に行く人で賑わっていた――
その為、セルフィーが城門から街の方へ歩き出しただけで、“王家の紋章の馬車から出てきた人”として注目を浴びていた――
(……やっぱり、王家の紋章入りの馬車が原因よね。私も行きで乗る馬車が見えた時、てっきり目立たない普通の馬車だと思っていたから驚いたもの……。これは……やる事を済ます為にも、一旦宿に入って身を隠した方が良さそうね……)
元々泊まって朝一で帰るつもりだったセルフィーは、酒場兼宿屋に入ると2階の宿屋へ向かった――
料金を支払うと泊まる部屋に入るや否や、セルフィーはベッドにドサリと倒れ込む――
(……疲れた……。研究所から出て今だけは自由の身だと思うと少しだけ解放感あるわね――)
セルフィーの今までの重荷を全ておろした軽やかな気分は、鞄の中にある“ロイドに頼まれた物”の存在ですぐに現実へと引き戻された――
(……この“木箱”は一体何なのかしら? ロイドは“絶対に開けるな”と言っていたけど――)
セルフィーは出発前の記憶を思い起こす――
◆ ◆ ◆ ◆ ◆
「……待ちなさい。ついでにもうひとつ頼まれてくれますか?」
ロイドはそう声を掛けてセルフィー達を引き止めると、その目は愉しげに嗤っていた――
(またろくでもない事を企んでるのかしら)
セルフィーは嫌悪感を隠しながらロイドを見ると、ロイドは後ろに組んでいた手を差し出した。その手には宝箱型の小さい“古い木箱”が乗せられていた――
「……? この“古臭い木箱”は何?」
「古臭い?……いけませんね……そんな罰当たりな事を……」
セルフィーが怪訝そうに尋ねた顔は、ロイドの冷酷な微笑みを前にして強ばった。
(っ……罰当たり? あの中には何が――)
「――中身が気になりますか?」
セルフィーの思考を見透かすようなロイドの発言に、セルフィーは動揺する――
「フハハハ……開けてはいけませんよー? 激怒した“白銀の髪の赤い瞳の悪魔”が現れて、とばっちりを食らうかもしれませんし――」
ロイドが狂気的に嗤うのを見て、セルフィーはゾクッと怯え震えた――
「おっと、怖がらせてしまいましたか? これでも、か弱いあなたには優しく振舞っているつもりなんですがね……」
ロイドのセルフィーへの振る舞いは、ケールへの威圧的態度とは違い、物腰の柔らかな口調で話していた。
その為、セルフィーも研究所に来た当初はケールに比べたら、ロイドはまだ話の通じる“まともな方”だと思っていた――
(……あなたに言われるがままに従った私の罪が、あの日を招いた……。そんなあなたの振る舞いを“優しい”なんて思える訳がないじゃない……っ……)
セルフィーはロイドを直視出来ずに俯き、拳を握りしめた。もはや、恐怖で震えているのか怒りで震えているのか分からない程、セルフィーの感情は錯乱していた――
「おやおや、こんなに震えて可哀想に……。それだけ“この箱”は危険だと伝えたかっただけで……。これでも、あなたの事は気に入っているのですよ? そんなあなたに、何かあったら大変ですからねぇ」
ロイドは心配そうにセルフィーの肩に触れて微笑みを浮かべる――
しかし、セルフィーには冷たい眼差しで笑っていないように見えた所為か、ロイドが言い含めた言葉が想像出来た――
――気に入っているのですよ? 真面目で従順なあなたをね――
(っ…………私には……従う事でしか守れない……)
俯いて唇を噛み締めたセルフィーは、意を決したように顔を上げ、ロイドを強い眼差しで見据えた――
「……“その箱”をどうすれば?」
「おっと、そうでしたね。では……賑やかで尚且つ静かな所……そこへ置いてきてもらいましょうか――」
そう告げて愉しげに微笑むロイドは、穏やかな声や口調だったにも関わらず、セルフィーにはその瞳は恐ろしく見えた――
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
(……この木箱が何にせよ、木箱を置くべき場所の目星はついてる……。目立たないように行動するには、酒場のお客がいっぱいの今がチャンスよね……。でも、このフードを深くかぶった私こそが怪しくて悪目立ち――)
セルフィーは意を決した顔でマントを脱ぐと、後ろでひとつに結んだ長い薄紫の髪や、紫の瞳が露になる――
その顔はミスティーにどこか似ていて、紛うことなき姉妹なのだとわかる顔立ちだった――
(ずっと研究所に篭っていたから、久々の外で顔を見せるのは……なんだか怖い……)
セルフィーはティスを送り届ける役目を任された際に、持って行くものを準備して鞄に詰めた中から、セルフィーは1冊の本を取り出した――
(……キール様がミスティーの為にくれた本……。私はミスティーが持つべきだと言ったら“姉様にと渡されたものだから”って――)
セルフィーが本を開くと、栞代わりになると理由をつけて大切にしていたキールのメモが挟まれていた。そのメモの文字をセルフィーは愛しそうに触れて擦った――
それは、セルフィーの“精神安定剤”の役割を果たし、辛く挫けそうな時、自信がない時、どんな時でもセルフィーに元気や勇気と、幸せな気分をくれた――
(……キール様……もう二度と会う事はないのかしら……会いたい――)
セルフィーの脳裏に、ミスティーに稽古をつけに家に通ってくれていた頃のキールの数々の面影が浮かんでは消えて行く――
(こんな事考えたらダメじゃない……せっかく外に出る勇気をもらったのに沈んじゃう……)
セルフィーは気分を持ち直す為に、またメモをしばらく眺め続けた――
30分後――
やっと外に出る決心がついたセルフィーは、木箱だけ持って部屋を出ると、何やら1階の酒場が騒がしかった――
(何かあったのかしら……)
セルフィーは吹き抜けになっている階段近くまで行き、上から様子を窺った――
「――ティスが捕まったじゃと!? デタラメを言うでない!」
「ちょ、おじいさん! 落ち着いて下さい!」
(っ!?……壁に貼られた手配書を兵士が剥がしに来て、それを見たおじいさんが声を上げた……って所かしら…………あのおじいさんは知り合いなの?)
セルフィーはおじいさんの様子を観察し、単に酔っ払いが絡むのではなく、ちゃんとティスを心配するあまりの怒りなのだと伝わってきた――
(話してみて信用置けそうなら……あのおじいさんに託しましょう)
セルフィーは部屋に戻って木箱を置き、代わりに鞄から厚さ2cm程の掌サイズの四角い物体と、小さな記録媒体(※この世界のUSB的なもの)を取り出すと、おじいさんの下へ話し合いに向かった――
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
おじいさんとの話し合いを終えたセルフィーは休む間もなく、今度はロイドに頼まれた木箱を持って酒場の外へ出た――
(賑やかで……静かな所……。それが当てはまるのはここしかないけど……)
セルフィーは酒場の脇にある暗い路地の奥を見据えたが、いかにも治安が悪そうな不気味さに、この道を好き好んで通る人はいないだろうと足が竦む――
(……さっさと置いて戻りましょう)
セルフィーは早足で路地裏を歩くと、猫の鳴き声が聞こえてそちらを見ると、酒場裏のゴミ捨て場に数匹の野良猫が残飯を漁っているようだった――
セルフィーに気付いた猫達はセルフィーの方へと歩み出した――
「え……ごめんなさい……あなた達にあげられるようなものは何も持ってなくて――」
セルフィーが野良猫達にそう伝えた瞬間、突然背後から両肩をガシッと掴まれた――
「え!?」
「よぉ……綺麗な嬢ちゃん」
「こんな人気のない所に来るなんて……どうなるかわかるよなぁ?」
セルフィーの左右には、いかにもガラの悪い男ふたりが、下心丸出しの下品な笑いを浮かべていた。野良猫達は男達と何か因縁があったのか、威嚇の鳴き声を上げている――
「離して下さい!」
「暴れんなよ」
セルフィーは震える手で木箱を持ちながら逃げようと必死に抵抗するも、男ひとりにガッシリ掴まれ振りほどく事も出来ない――
「お前らもニャーニャーうるせぇんだよ!」
もうひとりの男は鳴き止まない猫達を黙らせようと1匹の猫を蹴り飛ばした――
「っ! やめて!!」
セルフィーは日頃から異形生物の扱いに胸を痛めていた。だからこそ、酷い扱いを見ていられず声を上げ、猫達を助けようと必死に男から逃れるべく暴れる――
すると、抵抗して暴れた勢いでセルフィーの手から木箱が投げ出され、地面に落ちると蓋が開いた――
「っ!?」
◆ ◆ ◆ ◆ ◆
一方アビスはセルフィー達が研究所を出発した頃、異形生物を保管する檻が無数に並ぶ研究所の地下通路を不機嫌そうに歩いていた――
(アイツの気配でイライラする……)
アビスの言うアイツとは、アビスが以前に壊したモノであり――
アビスと同じモノである肉片の塊で、ロイドがディザルド様と呼ぶモノの事だ――
(……ケールも派手に使ったね……)
檻の大半は普通の異形生物だったが、3体は彼の肉片を混ぜた実験体だった――
(僕が壊して量も少なかっただろうに……。ここまで派手に使ったら絶対ロイドにバレてる……。それすら黙認して、ヒョロ黒は何企んで…………っ!)
すると、アビスはこことは別の所で移動しているディザルドの気配を感じた――
(……気配が弱いからあの木箱を持って移動してる? こっちは僕を引きつけるオトリ?)
「(……僕の事舐めてくれちゃってさぁ……)」
アビスは殺気を放って冷酷な瞳でボソリと呟くと、周辺の異形生物達が怯えて逃げようと暴れだした――
(……ヒョロ黒は僕が気付いたら、憂さ晴らしに緑頭の作った異形生物達を全部壊すとでも思ってるんだろうね?)
「ああ……怯えさせちゃってごめんね? 大丈夫……まだ壊したりしないから安心してよ……」
アビスは異形生物に向かってそう言うも伝わるわけもない。
すると、アビスの瞳が赤く光る――
「だから……大人しくしてて?」
アビスの力のこもった声に、異形生物達はピタリと暴れるのを止めて静まり返ると、アビスは再び動く気配を探る――
(この方角……メティーの気配があるマカダミアの街の方?……自分で“簡単に近付けると思うな”なんて言った癖にカッコ悪……だけど――)
『――お願い――』
アビスの頭にあの日のシアの声が響く――
あの時シアに言われた事を、深く考えれば考える程に、アビスは身動きが取れなくなっていた――
「あーーもう! どいつもこいつも僕に面倒かけすぎじゃない!?……ムカつく――」
『――めてぃしゅくん――』
『――いっちゃやーの!……いっちょがいーの!――』
アビスの脳裏に、最後にメティーとまともに会った日の別れ際が過ぎる――
アビスの苛立ちを和ますようなメティーの声に、アビスの荒れた心はサッと静まった――
「っ……メティー……僕もメティーと一緒がいいよ――」
アビスは哀しげに儚く呟いたその時――
マカダミアの方角にある、動く気配の存在が一際大きくなった――
「っ!」
アビスはメティーに危険が迫る事態を察知して、深く考えるよりも身体が勝手に動いていた――
黒い靄を出してマカダミアの街の上空へ一気に移動し、魔力で作り出した黒い翼で空を飛びながら気配を探す――
(……さっきは箱が開いたぐらいでこの気配の大きさは異常だと思ったけど…………また小さい気配に戻った?)
アビスは不思議に思いながらも、その小さい気配の場所を特定するや否や急いで向かった――
そこは暗い路地裏で、セルフィーがひとり意識を失い倒れていた――
「……誰このヒョロ女」
アビスはセルフィーと面識はなかったが、そばに開いた木箱が落ちている事から研究所の人間なのかと察する――
「……いちお見とくか――」
アビスはセルフィーの頭に手をあて、記憶を覗いて身元の特定や、何があったか把握していく――
(はぁ……また面倒な……。だから人間に関わりたくないんだけど……とりあえず、研究所に連れ帰った方がいいか――)
アビスはセルフィーをお姫様抱っこで抱き上げると、小さな気配の方向を睨む――
「……聞こえてるよね? お前が何を企んでるのか知らないけど、僕にも考えがある……。だから、今は“敢えて”自由に泳がせてあげるよ――」
アビスは黒い靄を出し、その中へと消えて行くと、静まった辺りには猫の鳴き声だけが響いていた――
▼ ▼ ▼ ▼ ▼
次回、サンセとランスはセルフィーの残した痕跡を辿る!? 捜査でサンセは何かを勘づく!? 倒れたメティーが目覚める!?
(説教してすぐ乗り込まれたら、その神経疑うレベルだし……)
むしろ、そっちの心配よりも――
「……ランスはこの後どうするの?」
「休みっすから…………観察っすかね!」
ランスは僕の方をジーっと見て満面の笑みで答えた。“絵の対象物”が身近にいれば、余程の用事でもない限りそれを逃す手はないと言わんばかりのランスの熱い視線に僕はウンザリする――
(やっぱり……)
どうやってランスとそれとなく別れるか――
それこそが、最大の難関だ――
(ランスがバカをやらかさないように逆に見張れる利点はあるけど、明らかに僕の苦痛度合いの方が大きい……。てか、何でこんなくだらない事に頭を悩ませないといけないんだか……あ、でも――)
朝見たメティーとクロウの様子に沈んでた事を、今ふと思い出すまで忘れてたぐらいには、このくだらなさに救われていると気付かされた――
(少し癪だけど……ランスのおかげかな。とは言っても、このままランスといたら僕の任務内容がバレる……そうならない為には――)
ランスがティス様に執着するきっかけと関係あるかわからないけど、ランスが変わったのは父親の訃報でマカダミアに帰り、チョコランタに戻って来てからだ――
周囲には父親の死の悲しみを考えないで済むよう、がむしゃらに訓練に励んでいるように見えていた――
でも、その訓練で王族近衛騎士になるまでの強さを得て、口にした言葉は“ティス様を守りたい”だった――
ランスがマカダミアに戻った時に、ティス様の何かを知ったとすれば辻褄は合う――
だけど、ランスはそれを詳しく話す気はない――
(それなら――)
「……僕もティス様の事一緒に調べてあげようか?」
「え!? いいんっすか!?」
「だって、ランスは気になるんでしょ? かと言ってひとりで勝手な行動をさせる訳にもいかないなら、僕も一緒ならひとりにはならないし?」
ランスが調べたいのを手伝うって事にすれば、僕の任務もバレずにティス様の情報収集が出来て、尚且つランスの監視も出来る――
「うわぁー! さすがサンセ様っす! 頭良いっす!」
(……ランスが単純で良かった。……単なる屁理屈で十分勝手な行動だから、ビターには後でグチグチ言われそうだけど――)
こうして、ひとまず僕とランスは一緒にティス様の件を調べる事になった――
◆ ◆ ◆ ◆ ◆
時は、ティスとセルフィーがマカダミアの姫が用意した王家の紋章入りの馬車で、マカダミアの街へ向かっていた日の深夜へと遡る――
「ちょっと止まって下さい」
街の入口へ差し掛かると、セルフィーが御者へそう声を掛け、程なくして馬車は止まった――
「すぐ確認するので少し待っていて下さい」
セルフィーだけ馬車から降りて御者へそう伝えると、セルフィーは街の入口の単なる飾りのような柱の上部を見上げた――
そこには、ぼんやりと光る球体の装置があり、他にも同じ物が一定間隔で配置されていた。
入口の柱だけは一部に開きそうな切り込みがあり、セルフィーが首に下げた研究員証で触れると、ロックが解除されて開いた。
そこには、街の外周にある全ての装置を管理する電子パネルがあり、配置された柱の数だけ青緑に点灯していた――
(全て異常なし……メンテナンスの必要はなさそうね)
セルフィーの見た“装置”とは、異形生物避けの事だ――
研究所は、異形生物避けをチョコランタとマカダミアに高値で売り付け、それを研究資金にしていた――
(“彼”を捕まえる為に異形生物を定期的に森に放つなんてやり過ぎよ……。ましてや、異形生物を作り出した張本人がそれで金儲けなんて……用意周到過ぎ。“彼”という名目がなくても、いずれそうするつもりだったって事だもの……ありえない)
セルフィーは冷ややかな顔に反して、強く握りしめられた拳は熱い苛立ちで震えていた。
(あの人達の元へ行ってから、私の全てが変わった……。“素敵なレディ”の振る舞いなんて、何の役に立ちもしない。聞き分けのいい扱いやすい手駒……“冷酷非道な女”を演じなければ――)
セルフィーは暗い面持ちで唇を噛み締めながら馬車の所へ戻り、御者に出発を促し馬車の中へ入ると、ティスは生気を宿していない虚ろな目のままセルフィーを見つめていた――
「……心配してくれてるの? 私は大丈夫よ」
セルフィーはそう言って儚げに微笑み、優しくティスの頭を撫でた。
「……不思議ね。“彼”が研究所から逃れた後、あなたと居る時間が多かったから、何となくそう思ってくれてる気がしたの。でも……もう少しでお別れね」
「…………」
セルフィーが虚ろな目のティスへと声を掛けるも、返事が返ってくる事はないが、ティスの手はまるで名残惜しそうにセルフィーの腕を掴んだ。
「……ひとりで心細い?……大丈夫よ。きっと“彼”があなたを迎えに来てくれるわ。だから、どうか無事に“彼”と逃げて――」
セルフィーは到着までティスを安心させるように頭を優しく撫で続けた――
そして、程なくして馬車は城門に到着して止まり、セルフィーはティスを兵士へと引き渡した――
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
ティスを送り届ける役目を終えたセルフィーは、帰りも馬車で送ってもらえそうだったのを断り、ひとり夜の街を歩いていた――
(……やる事があるから断ったものの……すごいジロジロ見られてる……)
夜中とはいえ、城まで続く大通りは明かりが灯され、酒場に行く人で賑わっていた――
その為、セルフィーが城門から街の方へ歩き出しただけで、“王家の紋章の馬車から出てきた人”として注目を浴びていた――
(……やっぱり、王家の紋章入りの馬車が原因よね。私も行きで乗る馬車が見えた時、てっきり目立たない普通の馬車だと思っていたから驚いたもの……。これは……やる事を済ます為にも、一旦宿に入って身を隠した方が良さそうね……)
元々泊まって朝一で帰るつもりだったセルフィーは、酒場兼宿屋に入ると2階の宿屋へ向かった――
料金を支払うと泊まる部屋に入るや否や、セルフィーはベッドにドサリと倒れ込む――
(……疲れた……。研究所から出て今だけは自由の身だと思うと少しだけ解放感あるわね――)
セルフィーの今までの重荷を全ておろした軽やかな気分は、鞄の中にある“ロイドに頼まれた物”の存在ですぐに現実へと引き戻された――
(……この“木箱”は一体何なのかしら? ロイドは“絶対に開けるな”と言っていたけど――)
セルフィーは出発前の記憶を思い起こす――
◆ ◆ ◆ ◆ ◆
「……待ちなさい。ついでにもうひとつ頼まれてくれますか?」
ロイドはそう声を掛けてセルフィー達を引き止めると、その目は愉しげに嗤っていた――
(またろくでもない事を企んでるのかしら)
セルフィーは嫌悪感を隠しながらロイドを見ると、ロイドは後ろに組んでいた手を差し出した。その手には宝箱型の小さい“古い木箱”が乗せられていた――
「……? この“古臭い木箱”は何?」
「古臭い?……いけませんね……そんな罰当たりな事を……」
セルフィーが怪訝そうに尋ねた顔は、ロイドの冷酷な微笑みを前にして強ばった。
(っ……罰当たり? あの中には何が――)
「――中身が気になりますか?」
セルフィーの思考を見透かすようなロイドの発言に、セルフィーは動揺する――
「フハハハ……開けてはいけませんよー? 激怒した“白銀の髪の赤い瞳の悪魔”が現れて、とばっちりを食らうかもしれませんし――」
ロイドが狂気的に嗤うのを見て、セルフィーはゾクッと怯え震えた――
「おっと、怖がらせてしまいましたか? これでも、か弱いあなたには優しく振舞っているつもりなんですがね……」
ロイドのセルフィーへの振る舞いは、ケールへの威圧的態度とは違い、物腰の柔らかな口調で話していた。
その為、セルフィーも研究所に来た当初はケールに比べたら、ロイドはまだ話の通じる“まともな方”だと思っていた――
(……あなたに言われるがままに従った私の罪が、あの日を招いた……。そんなあなたの振る舞いを“優しい”なんて思える訳がないじゃない……っ……)
セルフィーはロイドを直視出来ずに俯き、拳を握りしめた。もはや、恐怖で震えているのか怒りで震えているのか分からない程、セルフィーの感情は錯乱していた――
「おやおや、こんなに震えて可哀想に……。それだけ“この箱”は危険だと伝えたかっただけで……。これでも、あなたの事は気に入っているのですよ? そんなあなたに、何かあったら大変ですからねぇ」
ロイドは心配そうにセルフィーの肩に触れて微笑みを浮かべる――
しかし、セルフィーには冷たい眼差しで笑っていないように見えた所為か、ロイドが言い含めた言葉が想像出来た――
――気に入っているのですよ? 真面目で従順なあなたをね――
(っ…………私には……従う事でしか守れない……)
俯いて唇を噛み締めたセルフィーは、意を決したように顔を上げ、ロイドを強い眼差しで見据えた――
「……“その箱”をどうすれば?」
「おっと、そうでしたね。では……賑やかで尚且つ静かな所……そこへ置いてきてもらいましょうか――」
そう告げて愉しげに微笑むロイドは、穏やかな声や口調だったにも関わらず、セルフィーにはその瞳は恐ろしく見えた――
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
(……この木箱が何にせよ、木箱を置くべき場所の目星はついてる……。目立たないように行動するには、酒場のお客がいっぱいの今がチャンスよね……。でも、このフードを深くかぶった私こそが怪しくて悪目立ち――)
セルフィーは意を決した顔でマントを脱ぐと、後ろでひとつに結んだ長い薄紫の髪や、紫の瞳が露になる――
その顔はミスティーにどこか似ていて、紛うことなき姉妹なのだとわかる顔立ちだった――
(ずっと研究所に篭っていたから、久々の外で顔を見せるのは……なんだか怖い……)
セルフィーはティスを送り届ける役目を任された際に、持って行くものを準備して鞄に詰めた中から、セルフィーは1冊の本を取り出した――
(……キール様がミスティーの為にくれた本……。私はミスティーが持つべきだと言ったら“姉様にと渡されたものだから”って――)
セルフィーが本を開くと、栞代わりになると理由をつけて大切にしていたキールのメモが挟まれていた。そのメモの文字をセルフィーは愛しそうに触れて擦った――
それは、セルフィーの“精神安定剤”の役割を果たし、辛く挫けそうな時、自信がない時、どんな時でもセルフィーに元気や勇気と、幸せな気分をくれた――
(……キール様……もう二度と会う事はないのかしら……会いたい――)
セルフィーの脳裏に、ミスティーに稽古をつけに家に通ってくれていた頃のキールの数々の面影が浮かんでは消えて行く――
(こんな事考えたらダメじゃない……せっかく外に出る勇気をもらったのに沈んじゃう……)
セルフィーは気分を持ち直す為に、またメモをしばらく眺め続けた――
30分後――
やっと外に出る決心がついたセルフィーは、木箱だけ持って部屋を出ると、何やら1階の酒場が騒がしかった――
(何かあったのかしら……)
セルフィーは吹き抜けになっている階段近くまで行き、上から様子を窺った――
「――ティスが捕まったじゃと!? デタラメを言うでない!」
「ちょ、おじいさん! 落ち着いて下さい!」
(っ!?……壁に貼られた手配書を兵士が剥がしに来て、それを見たおじいさんが声を上げた……って所かしら…………あのおじいさんは知り合いなの?)
セルフィーはおじいさんの様子を観察し、単に酔っ払いが絡むのではなく、ちゃんとティスを心配するあまりの怒りなのだと伝わってきた――
(話してみて信用置けそうなら……あのおじいさんに託しましょう)
セルフィーは部屋に戻って木箱を置き、代わりに鞄から厚さ2cm程の掌サイズの四角い物体と、小さな記録媒体(※この世界のUSB的なもの)を取り出すと、おじいさんの下へ話し合いに向かった――
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
おじいさんとの話し合いを終えたセルフィーは休む間もなく、今度はロイドに頼まれた木箱を持って酒場の外へ出た――
(賑やかで……静かな所……。それが当てはまるのはここしかないけど……)
セルフィーは酒場の脇にある暗い路地の奥を見据えたが、いかにも治安が悪そうな不気味さに、この道を好き好んで通る人はいないだろうと足が竦む――
(……さっさと置いて戻りましょう)
セルフィーは早足で路地裏を歩くと、猫の鳴き声が聞こえてそちらを見ると、酒場裏のゴミ捨て場に数匹の野良猫が残飯を漁っているようだった――
セルフィーに気付いた猫達はセルフィーの方へと歩み出した――
「え……ごめんなさい……あなた達にあげられるようなものは何も持ってなくて――」
セルフィーが野良猫達にそう伝えた瞬間、突然背後から両肩をガシッと掴まれた――
「え!?」
「よぉ……綺麗な嬢ちゃん」
「こんな人気のない所に来るなんて……どうなるかわかるよなぁ?」
セルフィーの左右には、いかにもガラの悪い男ふたりが、下心丸出しの下品な笑いを浮かべていた。野良猫達は男達と何か因縁があったのか、威嚇の鳴き声を上げている――
「離して下さい!」
「暴れんなよ」
セルフィーは震える手で木箱を持ちながら逃げようと必死に抵抗するも、男ひとりにガッシリ掴まれ振りほどく事も出来ない――
「お前らもニャーニャーうるせぇんだよ!」
もうひとりの男は鳴き止まない猫達を黙らせようと1匹の猫を蹴り飛ばした――
「っ! やめて!!」
セルフィーは日頃から異形生物の扱いに胸を痛めていた。だからこそ、酷い扱いを見ていられず声を上げ、猫達を助けようと必死に男から逃れるべく暴れる――
すると、抵抗して暴れた勢いでセルフィーの手から木箱が投げ出され、地面に落ちると蓋が開いた――
「っ!?」
◆ ◆ ◆ ◆ ◆
一方アビスはセルフィー達が研究所を出発した頃、異形生物を保管する檻が無数に並ぶ研究所の地下通路を不機嫌そうに歩いていた――
(アイツの気配でイライラする……)
アビスの言うアイツとは、アビスが以前に壊したモノであり――
アビスと同じモノである肉片の塊で、ロイドがディザルド様と呼ぶモノの事だ――
(……ケールも派手に使ったね……)
檻の大半は普通の異形生物だったが、3体は彼の肉片を混ぜた実験体だった――
(僕が壊して量も少なかっただろうに……。ここまで派手に使ったら絶対ロイドにバレてる……。それすら黙認して、ヒョロ黒は何企んで…………っ!)
すると、アビスはこことは別の所で移動しているディザルドの気配を感じた――
(……気配が弱いからあの木箱を持って移動してる? こっちは僕を引きつけるオトリ?)
「(……僕の事舐めてくれちゃってさぁ……)」
アビスは殺気を放って冷酷な瞳でボソリと呟くと、周辺の異形生物達が怯えて逃げようと暴れだした――
(……ヒョロ黒は僕が気付いたら、憂さ晴らしに緑頭の作った異形生物達を全部壊すとでも思ってるんだろうね?)
「ああ……怯えさせちゃってごめんね? 大丈夫……まだ壊したりしないから安心してよ……」
アビスは異形生物に向かってそう言うも伝わるわけもない。
すると、アビスの瞳が赤く光る――
「だから……大人しくしてて?」
アビスの力のこもった声に、異形生物達はピタリと暴れるのを止めて静まり返ると、アビスは再び動く気配を探る――
(この方角……メティーの気配があるマカダミアの街の方?……自分で“簡単に近付けると思うな”なんて言った癖にカッコ悪……だけど――)
『――お願い――』
アビスの頭にあの日のシアの声が響く――
あの時シアに言われた事を、深く考えれば考える程に、アビスは身動きが取れなくなっていた――
「あーーもう! どいつもこいつも僕に面倒かけすぎじゃない!?……ムカつく――」
『――めてぃしゅくん――』
『――いっちゃやーの!……いっちょがいーの!――』
アビスの脳裏に、最後にメティーとまともに会った日の別れ際が過ぎる――
アビスの苛立ちを和ますようなメティーの声に、アビスの荒れた心はサッと静まった――
「っ……メティー……僕もメティーと一緒がいいよ――」
アビスは哀しげに儚く呟いたその時――
マカダミアの方角にある、動く気配の存在が一際大きくなった――
「っ!」
アビスはメティーに危険が迫る事態を察知して、深く考えるよりも身体が勝手に動いていた――
黒い靄を出してマカダミアの街の上空へ一気に移動し、魔力で作り出した黒い翼で空を飛びながら気配を探す――
(……さっきは箱が開いたぐらいでこの気配の大きさは異常だと思ったけど…………また小さい気配に戻った?)
アビスは不思議に思いながらも、その小さい気配の場所を特定するや否や急いで向かった――
そこは暗い路地裏で、セルフィーがひとり意識を失い倒れていた――
「……誰このヒョロ女」
アビスはセルフィーと面識はなかったが、そばに開いた木箱が落ちている事から研究所の人間なのかと察する――
「……いちお見とくか――」
アビスはセルフィーの頭に手をあて、記憶を覗いて身元の特定や、何があったか把握していく――
(はぁ……また面倒な……。だから人間に関わりたくないんだけど……とりあえず、研究所に連れ帰った方がいいか――)
アビスはセルフィーをお姫様抱っこで抱き上げると、小さな気配の方向を睨む――
「……聞こえてるよね? お前が何を企んでるのか知らないけど、僕にも考えがある……。だから、今は“敢えて”自由に泳がせてあげるよ――」
アビスは黒い靄を出し、その中へと消えて行くと、静まった辺りには猫の鳴き声だけが響いていた――
▼ ▼ ▼ ▼ ▼
次回、サンセとランスはセルフィーの残した痕跡を辿る!? 捜査でサンセは何かを勘づく!? 倒れたメティーが目覚める!?
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