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第2章 神奮闘~マカダミア王国編~
第34話 醜い僕の執着と厄介な後輩の執着①
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サンセは足早にメティーのいる廃墟からマカダミアの街へ逃げ出した――
せっかく離れたというのに、僕の頭の中は朝食時のメティーの様子が、残酷に傷を抉るように蘇る――
(メティーの事、変に考えたくなくて奥底へ押し込んだつもりだったのに……。昨夜といい、こう何度も簡単に引っ張りだされちゃうとはね……)
昨夜、クロウがメティーの頬を舐めたと思ってプツリと何かが切れ、クロウに斬りかかりそうになった自分を思い出して苦い笑みが浮かんだ。
一見普段と何ら変わらない朝食時の愛らしいメティーの笑顔。そのちょっとした変化を、僕が見落とすわけもない――
クロウに向ける笑顔だけが、僕らに向ける笑顔とは違う特別な笑顔に見えた――
それは単なる僕の憶測で、それだけの事なのに苛立ち、一度そう見えた笑顔はそれ以外に見える訳もなく、認めざるを得なかった。
――メティーがクロウに恋していると――
(はぁ……ほんと目敏い自分を憾むよ……)
それがわかって、その場から逃げ出す程に苛立って動揺している時点で、僕が何度も押し込めようとしていた想いも恐らく――
(……いくら初恋とはいえ、正気? あんな幼いメティーを……。……まさか、僕ってロリコンなの?)
昔、キールに対して思った冗談が自分へと返ってきたのが滑稽なのに笑えない――
(でも極稀に、令嬢が親と同じかそれ以上の年配者と婚姻させられるケースもあるって聞くし……って何考えてんだか――)
ロリコンの言い訳をするように開き直り、いかにも“将来自分にも可能性はある”と言いたげな思考をしていた自分に心底呆れてしまう。
そんな僕の頭の中に、とある日先輩の家族に言われた言葉が響いた――
『――おっきくなったらサンセにーちゃんのお嫁さんになるのー』
『あらあら、この子ったら可愛らしい事言って――』
――このふたりは、とある事情で償うべく今も関わる僕を慕う7歳の女の子とその母親――
(あの後、あの子の母親には無礼をお許し下さいって何度も頭下げられたけど……。子供が大人を想う分には可愛らしいで許されて済むとか……理不尽じゃない?)
自分は許されなくて当然な事を冗談のように思って鼻で笑った。
(……でも、おかげで思い出せた――)
――7年前の16歳の時、理性を失って初めて醜い僕で戦ったあの日の事を――
◆ ◆ ◆ ◆ ◆
「――ゆ、許してくれ! たの――」
懇願する怯えた男を容赦なく斬る――
「ヒッ……こ、金色の化け物……っ! こ、こここ来ないでくれ――」
戦意喪失して逃げ出す者すらも容赦なく仕留める――
見渡す限り血の海の中に、見るも残虐極まりない姿で転がる無数の屍と、僕に望みを託して無念に散った先輩――
その中で意識を失い血塗れの姿で救い出された僕は、傷ひとつ無かった――
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
部分的にフラッシュバックしたあの日の光景の一部が、僕から自身を皮肉るような乾いた笑いを零させた。
(……醜い僕はメティーのそばにいる事すら相応しくないって、初めからわかってた筈なのに――)
なのに、何でこうも執着してしまうのか――
(……絵本のメシス様を抱きしめたみたいに、醜い僕でも許されて抱きしめて……選んでもらえるとでも?)
ズボンのポケットに手を忍ばすと、いつも戒めに持ち歩くようにしている“先輩に託された望み”に行き着いた。
そっとそれを取り出し現れたのは、片方の手だけで包み込んで隠せる程小さな白くて青い瞳の血で汚れたうさぎのぬいぐるみ――
(……こんな血で汚れた物、先輩の忘れ形見の愛娘に渡せるわけないのに……)
先輩の最期の面影が脳裏にチラついて表情が暗く陰っていく――
(これを見れば、いかに自分が醜く異常でメティーに相応しくないか教えてくれる)
――金色の化け物――
あの日、僕に殺された奴が僕を見て恐怖に震えながらそう言っていた――
僕の髪や瞳、当時身につけていた物で金色のものは一切無い。それなのに、何で“金色”なのか、未だによくわからないままだ――
(確かに、あの日の僕は異常な化け物だった……)
メティーの怖がった“醜い僕”が、まだ恐ろしくないと思える程に――
あの日の僕は、醜い僕よりも力も速さも上だった――
だからなのか、醜い僕になってもあの日の僕程の強さを発揮出来ていない現状――
自分でも恐ろしく思い、“メシア様を狙う欲望に塗れた者だけに醜い僕で戦う”と当時決めたぐらいだから――
(無意識に力を抑えてる? それとも何かが足りない?)
あの日の僕は発動後、暫くして体が重くなって意識を失う程の反動があった――
(……脅威的な強さは諸刃の剣か……。メティーを狙う奴との戦いで簡単に意識を失う訳にはいかない。確実に仕留めなければ……)
そんな邪悪な負の考えで、容易く“醜い僕”へと変わったとわかり、僕は目を片手で隠した。
(……こんな恐ろしい事を考えてるような醜い僕を、メシア様に見られたくないと思うのも、軽蔑されて心優しいあの方が離れていく事を恐れてるだけ……)
その割に、戦闘時でない日常からこんな簡単に醜い僕が出てきて、この目を既に何度か見られる始末――
その事実に呆れたように長く息を吐くと、気持ちが静まって“普段の僕”へと戻り、目を隠していた手を下げた。
(……メティーの事になると余裕無さすぎでしょ)
そう思うと再び乾いた笑いが零れた。
僕のメティーに対する想いは、醜く歪んでいる――
それは、ブライ様に揶揄われた時には“綺麗な感情じゃない”と自分でもわかっていたのに――
幼い頃に初恋して敬愛した気持ちも本心なら、醜い僕が縋るように必死にそばに繋ぎ止めておきたい気持ちも本心――
(それで他の男が近付くと不愉快で苛立つ? ほんと身勝手にも程がある……)
押し込めようとした想いの正体と向き合い、やっと自分の中で腑に落ちた気がした――
けれど、僕はこの想いをメティーに伝える事はないだろう――
僕が望むのはメティーの幸せであって、困らせる事じゃないからだ――
(困るに決まってるでしょ……こんな醜い感情を伝えられても……。とりあえず、気晴らしに情報収集するとしますか――)
メティーがクロウに恋してる時点で、最早いくら考えても無駄な“失恋”をしたようなものだ――
そう強引に気持ちを切り替えないと、いつまでも考えてしまいそうだったから――
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
最初にクロウが僕らを連れ、廃墟へと導いた道順通りに狭い路地を歩いていてふと気付く――
(これ……明らかに遠回りだよね……。クロウも最初は僕らを警戒して遠回りを? それなら最初から廃墟に招くわけないし――)
近道とクロウの選んだ道の違いを見比べる様に歩くと、近道には民家の窓があって人目に着きやすい――
逆にクロウの選んだ道は、塀や壁等で窓がなくて人目に着きにくい――
(道理でぐねぐね曲がった訳か。逃亡者ならではの心理だね。僕らも目立つのは避けたいし、今後も活用させてもらう事になるだろう――)
様々な店が並ぶ大通りに出ると、買い物をする人達や、仕入れた物や出荷する物を積んだ馬車が通るのを見かけた。
人への聞き込みは悪目立ちするから、マントのフードをかぶって普通の旅人を装い、目で見る情報と聞こえてくる情報を静かに探るように周囲を観察して歩く――
(うーん……見た感じ至って普通の平和な街並みで、なんか拍子抜けかも)
クロウの話を聞く限りじゃ、何かを探し回る様な不審者が多いのかと思っていたのに、今のところいない――
つまり、それはメティーを探す者もいないという事――
(まぁ、その方がいいんだけど――)
「――はぁ!? 使い捨てで5,000G!? ぼったくりだろ!」
突如、平和な街並みを壊すような怒鳴り声が聞こえてきた――
騒ぎの元を探ると、中年の男が店主と思われる男の胸ぐらを掴み揉めているようだった。
ひとまず僕は、騒ぎを聞きつけた野次馬の人混みに紛れて様子を窺う事にした――
「その気持ちは俺だって痛い程わかるけどよ。でも、命あってなんぼだろ? ぼったくりだろうが持っておくべきだって」
「っ……クソ! 研究所の奴らはなんてはた迷惑なもんを作り出してくれたんだか……。しかも、それを春から定期的に森に放すなんて……奴ら頭おかしいだろ!?」
(研究所? 春から定期的に森に放すって……もしかして異形生物の事? じゃあ、持っておくべき物って?)
主語を探るように周辺を観察すると、店先の貼り紙が目に付いた――
それには、“旅のお供に簡易版異形生物避け”と書いてあり、今年の春頃からチョコランタでも売られだした物だった。
それは、人には聞こえない異形生物が嫌う音で近付けさせないという道具の簡易版で、形はペンダント型やブレスレット型があるらしい――
簡易版と言われるのは、本来チョコランタでは国境の門に設置する柱状の物の上に取り付けられる大きな球体の道具で、マカダミアの街の入口にもあるはずだけど――
(……僕らには必要ない無縁な物だし、興味も無いから気にして見てなかったけど、メティーには教えてあげるべきだったね……。にしても、マカダミアの人も研究所の事をよく思ってなさそうなのは意外かな)
今まで聞かされたイメージから、マカダミアの人は研究所に対して好意的な意見ばかりだろうと勝手に思い込んでいた。
(聞かされる話より、自分で実際見ないと本当の事は何もわからないって子供の頃痛感したのに……興味無い事にはほんと疎いな)
僕がひとり反省していると、騒ぎは周りにいた野次馬達も加わって更に騒がしくなっていた。
「異形生物自体はもっと前から作ってたよな? 不定期に“実験”やってたろ?」
「ああ、街から出ないようにって通達が来た日の事でしょ?」
「なんでも、隣国チョコランタの最強と言われる王族近衛騎士達を呼び寄せて――」
聞こえてきた話題に異形生物討伐任務の事が過ぎり、気に食わないような心底ウンザリするような複雑な気持ちになった。
(……あれは実験ね……まぁ、わかってたけど。危険な異形生物が脱走する一大事が何度も起こるのは異常だしね)
「――マカダミアがチョコランタに嫌われてるのそのせいなんじゃないの?」
「それでも、春以降は毎日王族近衛騎士の誰かしらがマカダミアの森をパトロールしてくれてるみたいだし……マジかっけーよな!」
「ほんと素敵よねー!」
今聞こえてきた話題こそが、メティーを隠して国境を抜ける際、門番に怪しまれずにすんなり通れた理由だった。
(……チョコランタを嫌う人ばかりじゃないっていうのは本当か……。考えてみれば、後輩にマカダミア出身のチョコランタが好き過ぎる例外の変人がいるぐらいだし……)
それでも、どこか半信半疑だったのは自分の心が汚れてるんだろうと鼻で笑う――
「おいおい……何言ってんだ? 強い奴らがパトロールすんのは当然だろ」
「は!? チョコランタは自国だけでなくマカダミアの民も守ってくれてるっていうのにその言い方……何様のつもりだ!」
「マカダミアの兵じゃ異形生物に歯が立たないんだから強いチョコランタ様々ってか? ギャハハハハ――」
「っ……お前みたいな奴らがいるから――」
最初の騒ぎが静まったと思えば、今度はチョコランタに友好的な男と、非友好的な男の取っ組み合いの喧嘩が始まってしまった。
(やっぱり嫌う人も当然いるわけか――)
近くにいたら危ないと思った野次馬達は、一斉にその場から少し離れた所で心配そうに傍観し、僕もその人の波を利用して近くの物陰に隠れて様子を窺う――
残ったのは店の前で喧嘩されて困っている店主と、騒ぎの当人達だけだ――
(……どうすんのこれ……)
素人の戦いを少し見てわかるのは、防御や避ける事を考えないめちゃくちゃな戦いで、放っておけば大怪我どころの話じゃなくなる――
(はぁ……マカダミアで目立つ行動は避けたいんだけど――)
止めに入ろうかと物陰から出た矢先、見覚えのある青髪の若い男が走って向かってくるのが見え、瞬時に気配を消して物陰へと隠れる――
「店の前で何してるっす!」
(なんでアイツがここに……ってマカダミア出身だから、休暇でここに? 見つかったら厄介な奴だっていうのに……)
この青髪の若い男こそが、例外の変人こと、ランス・フォーベルト。後輩の王族近衛騎士だ――
(……まぁ、気になる点もあったし……この機会にちょっと探ってみようか……)
ランスに感づかれない程度のチラ見で様子見しつつ、気になる点を思い起こしていく――
確か、最初にランスの事を認識したのは、僕が王族近衛騎士になるひと月前の見習い兵士試験で、マカダミア出身の者が例外的に合格したと話題になっていた頃――
その話題とはランスの面接の内容の事で、いかに自分がチョコランタの王族や王族近衛騎士の事が好きかを熱弁したらしい――
面接に立ち会った王族近衛騎士達がドン引きする中、当時の王ブライ様は大爆笑だったとか――
(はぁ……アホらし過ぎて何も言えない)
その3年後、ランスの父親の訃報が届き、一旦マカダミアへ帰っていくランスの痛々しい後ろ姿に、声を掛けれなかったのを覚えている――
その後、チョコランタに戻って気丈にも懸命に訓練するランスの姿に、周りの見習い兵士達も心を打たれ、助け合って遅くまで稽古していたのが印象深い――
当時の僕は3人同時に王族近衛騎士なった内のひとりとして、兵士達からも未だに注目されていた。
僕らに手合わせ稽古をして欲しい列が出来過ぎて逆に訓練にならないと、僕らに手合わせ禁止令が出される程に――
ランスはそんな僕にわざわざ近付いて、土下座までして頼み込んできた。
(ランスが頑張ってるのは知ってたから、こっそり稽古をつけてあげた事もあったっけ――)
その翌年にあたる今年の春、ランスが王族近衛騎士に相応しい人物か見定める場に僕も立ち会った――
そこでランスは何を聞いても「ティス様をお守りしたい」の一点張りで、詳しい事情は言えないようだった――
当然、そのランスの鬼気迫る必死な様子は僕にも怪しく映り、脳裏に悪い思考が渦巻いた――
マカダミアにいるティス様と、チョコランタにいたランスにどんな接点があるのか――
ティス様がチョコランタにいた頃も、頻繁には訓練場に来る事がなかったから、接点はあまりないはずだ――
そんな風に、ランスがマカダミア出身というだけで、普通ならスパイや暗殺目的を疑われても仕方がない状況――
でも、僕はランスの人柄も、懸命に訓練する真面目な努力家な事も知っている――
何よりランスの真剣な眼差しや、濁りのない綺麗な瞳の輝きは“人を害する目”じゃないし、チョコランタへの悪意は感じられない――
それはビターも同じように感じていたのか、ランスを王族近衛騎士に昇級する事を決め、僕もそれに賛成したわけだけど――
(……ビターは今回のティス様の件はランスには伝えてないはず……。ランスが知れば我こそはと名乗り出るのがわかりきってるし、疑ってる訳じゃなくても、理由がわからない以上は――)
「――ねえ、ランス君! いつもの早く見せて!」
(ん?)
先程の緊迫した騒ぎとは真逆の楽しげな騒がしさが聞こえてきて、再び様子を窺うと――
さっきの喧嘩の仲裁は終わったようで、周りの大人達が協力してふたりを手当てしていて、ランスは同年代ぐらいの令嬢達に囲まれいた。
「仕方ないっすねー……大事な物だから丁寧に扱うっすよ?」
ランスが言葉とは裏腹に、見せたくてウズウズした面持ちで取り出したのは、見覚えのあるスケッチブック――
(は!?)
僕は嫌な予感しかしなかった――
▼ ▼ ▼ ▼ ▼
次回もサンセ視点で続きます!
サンセの嫌な予感的中!? ランスが変人と言われる由縁が判明!? ティスの居場所の情報がランスにも聞かれて!? サンセがあの日の自分を重ね、先輩らしくランスに説教!?
せっかく離れたというのに、僕の頭の中は朝食時のメティーの様子が、残酷に傷を抉るように蘇る――
(メティーの事、変に考えたくなくて奥底へ押し込んだつもりだったのに……。昨夜といい、こう何度も簡単に引っ張りだされちゃうとはね……)
昨夜、クロウがメティーの頬を舐めたと思ってプツリと何かが切れ、クロウに斬りかかりそうになった自分を思い出して苦い笑みが浮かんだ。
一見普段と何ら変わらない朝食時の愛らしいメティーの笑顔。そのちょっとした変化を、僕が見落とすわけもない――
クロウに向ける笑顔だけが、僕らに向ける笑顔とは違う特別な笑顔に見えた――
それは単なる僕の憶測で、それだけの事なのに苛立ち、一度そう見えた笑顔はそれ以外に見える訳もなく、認めざるを得なかった。
――メティーがクロウに恋していると――
(はぁ……ほんと目敏い自分を憾むよ……)
それがわかって、その場から逃げ出す程に苛立って動揺している時点で、僕が何度も押し込めようとしていた想いも恐らく――
(……いくら初恋とはいえ、正気? あんな幼いメティーを……。……まさか、僕ってロリコンなの?)
昔、キールに対して思った冗談が自分へと返ってきたのが滑稽なのに笑えない――
(でも極稀に、令嬢が親と同じかそれ以上の年配者と婚姻させられるケースもあるって聞くし……って何考えてんだか――)
ロリコンの言い訳をするように開き直り、いかにも“将来自分にも可能性はある”と言いたげな思考をしていた自分に心底呆れてしまう。
そんな僕の頭の中に、とある日先輩の家族に言われた言葉が響いた――
『――おっきくなったらサンセにーちゃんのお嫁さんになるのー』
『あらあら、この子ったら可愛らしい事言って――』
――このふたりは、とある事情で償うべく今も関わる僕を慕う7歳の女の子とその母親――
(あの後、あの子の母親には無礼をお許し下さいって何度も頭下げられたけど……。子供が大人を想う分には可愛らしいで許されて済むとか……理不尽じゃない?)
自分は許されなくて当然な事を冗談のように思って鼻で笑った。
(……でも、おかげで思い出せた――)
――7年前の16歳の時、理性を失って初めて醜い僕で戦ったあの日の事を――
◆ ◆ ◆ ◆ ◆
「――ゆ、許してくれ! たの――」
懇願する怯えた男を容赦なく斬る――
「ヒッ……こ、金色の化け物……っ! こ、こここ来ないでくれ――」
戦意喪失して逃げ出す者すらも容赦なく仕留める――
見渡す限り血の海の中に、見るも残虐極まりない姿で転がる無数の屍と、僕に望みを託して無念に散った先輩――
その中で意識を失い血塗れの姿で救い出された僕は、傷ひとつ無かった――
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
部分的にフラッシュバックしたあの日の光景の一部が、僕から自身を皮肉るような乾いた笑いを零させた。
(……醜い僕はメティーのそばにいる事すら相応しくないって、初めからわかってた筈なのに――)
なのに、何でこうも執着してしまうのか――
(……絵本のメシス様を抱きしめたみたいに、醜い僕でも許されて抱きしめて……選んでもらえるとでも?)
ズボンのポケットに手を忍ばすと、いつも戒めに持ち歩くようにしている“先輩に託された望み”に行き着いた。
そっとそれを取り出し現れたのは、片方の手だけで包み込んで隠せる程小さな白くて青い瞳の血で汚れたうさぎのぬいぐるみ――
(……こんな血で汚れた物、先輩の忘れ形見の愛娘に渡せるわけないのに……)
先輩の最期の面影が脳裏にチラついて表情が暗く陰っていく――
(これを見れば、いかに自分が醜く異常でメティーに相応しくないか教えてくれる)
――金色の化け物――
あの日、僕に殺された奴が僕を見て恐怖に震えながらそう言っていた――
僕の髪や瞳、当時身につけていた物で金色のものは一切無い。それなのに、何で“金色”なのか、未だによくわからないままだ――
(確かに、あの日の僕は異常な化け物だった……)
メティーの怖がった“醜い僕”が、まだ恐ろしくないと思える程に――
あの日の僕は、醜い僕よりも力も速さも上だった――
だからなのか、醜い僕になってもあの日の僕程の強さを発揮出来ていない現状――
自分でも恐ろしく思い、“メシア様を狙う欲望に塗れた者だけに醜い僕で戦う”と当時決めたぐらいだから――
(無意識に力を抑えてる? それとも何かが足りない?)
あの日の僕は発動後、暫くして体が重くなって意識を失う程の反動があった――
(……脅威的な強さは諸刃の剣か……。メティーを狙う奴との戦いで簡単に意識を失う訳にはいかない。確実に仕留めなければ……)
そんな邪悪な負の考えで、容易く“醜い僕”へと変わったとわかり、僕は目を片手で隠した。
(……こんな恐ろしい事を考えてるような醜い僕を、メシア様に見られたくないと思うのも、軽蔑されて心優しいあの方が離れていく事を恐れてるだけ……)
その割に、戦闘時でない日常からこんな簡単に醜い僕が出てきて、この目を既に何度か見られる始末――
その事実に呆れたように長く息を吐くと、気持ちが静まって“普段の僕”へと戻り、目を隠していた手を下げた。
(……メティーの事になると余裕無さすぎでしょ)
そう思うと再び乾いた笑いが零れた。
僕のメティーに対する想いは、醜く歪んでいる――
それは、ブライ様に揶揄われた時には“綺麗な感情じゃない”と自分でもわかっていたのに――
幼い頃に初恋して敬愛した気持ちも本心なら、醜い僕が縋るように必死にそばに繋ぎ止めておきたい気持ちも本心――
(それで他の男が近付くと不愉快で苛立つ? ほんと身勝手にも程がある……)
押し込めようとした想いの正体と向き合い、やっと自分の中で腑に落ちた気がした――
けれど、僕はこの想いをメティーに伝える事はないだろう――
僕が望むのはメティーの幸せであって、困らせる事じゃないからだ――
(困るに決まってるでしょ……こんな醜い感情を伝えられても……。とりあえず、気晴らしに情報収集するとしますか――)
メティーがクロウに恋してる時点で、最早いくら考えても無駄な“失恋”をしたようなものだ――
そう強引に気持ちを切り替えないと、いつまでも考えてしまいそうだったから――
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
最初にクロウが僕らを連れ、廃墟へと導いた道順通りに狭い路地を歩いていてふと気付く――
(これ……明らかに遠回りだよね……。クロウも最初は僕らを警戒して遠回りを? それなら最初から廃墟に招くわけないし――)
近道とクロウの選んだ道の違いを見比べる様に歩くと、近道には民家の窓があって人目に着きやすい――
逆にクロウの選んだ道は、塀や壁等で窓がなくて人目に着きにくい――
(道理でぐねぐね曲がった訳か。逃亡者ならではの心理だね。僕らも目立つのは避けたいし、今後も活用させてもらう事になるだろう――)
様々な店が並ぶ大通りに出ると、買い物をする人達や、仕入れた物や出荷する物を積んだ馬車が通るのを見かけた。
人への聞き込みは悪目立ちするから、マントのフードをかぶって普通の旅人を装い、目で見る情報と聞こえてくる情報を静かに探るように周囲を観察して歩く――
(うーん……見た感じ至って普通の平和な街並みで、なんか拍子抜けかも)
クロウの話を聞く限りじゃ、何かを探し回る様な不審者が多いのかと思っていたのに、今のところいない――
つまり、それはメティーを探す者もいないという事――
(まぁ、その方がいいんだけど――)
「――はぁ!? 使い捨てで5,000G!? ぼったくりだろ!」
突如、平和な街並みを壊すような怒鳴り声が聞こえてきた――
騒ぎの元を探ると、中年の男が店主と思われる男の胸ぐらを掴み揉めているようだった。
ひとまず僕は、騒ぎを聞きつけた野次馬の人混みに紛れて様子を窺う事にした――
「その気持ちは俺だって痛い程わかるけどよ。でも、命あってなんぼだろ? ぼったくりだろうが持っておくべきだって」
「っ……クソ! 研究所の奴らはなんてはた迷惑なもんを作り出してくれたんだか……。しかも、それを春から定期的に森に放すなんて……奴ら頭おかしいだろ!?」
(研究所? 春から定期的に森に放すって……もしかして異形生物の事? じゃあ、持っておくべき物って?)
主語を探るように周辺を観察すると、店先の貼り紙が目に付いた――
それには、“旅のお供に簡易版異形生物避け”と書いてあり、今年の春頃からチョコランタでも売られだした物だった。
それは、人には聞こえない異形生物が嫌う音で近付けさせないという道具の簡易版で、形はペンダント型やブレスレット型があるらしい――
簡易版と言われるのは、本来チョコランタでは国境の門に設置する柱状の物の上に取り付けられる大きな球体の道具で、マカダミアの街の入口にもあるはずだけど――
(……僕らには必要ない無縁な物だし、興味も無いから気にして見てなかったけど、メティーには教えてあげるべきだったね……。にしても、マカダミアの人も研究所の事をよく思ってなさそうなのは意外かな)
今まで聞かされたイメージから、マカダミアの人は研究所に対して好意的な意見ばかりだろうと勝手に思い込んでいた。
(聞かされる話より、自分で実際見ないと本当の事は何もわからないって子供の頃痛感したのに……興味無い事にはほんと疎いな)
僕がひとり反省していると、騒ぎは周りにいた野次馬達も加わって更に騒がしくなっていた。
「異形生物自体はもっと前から作ってたよな? 不定期に“実験”やってたろ?」
「ああ、街から出ないようにって通達が来た日の事でしょ?」
「なんでも、隣国チョコランタの最強と言われる王族近衛騎士達を呼び寄せて――」
聞こえてきた話題に異形生物討伐任務の事が過ぎり、気に食わないような心底ウンザリするような複雑な気持ちになった。
(……あれは実験ね……まぁ、わかってたけど。危険な異形生物が脱走する一大事が何度も起こるのは異常だしね)
「――マカダミアがチョコランタに嫌われてるのそのせいなんじゃないの?」
「それでも、春以降は毎日王族近衛騎士の誰かしらがマカダミアの森をパトロールしてくれてるみたいだし……マジかっけーよな!」
「ほんと素敵よねー!」
今聞こえてきた話題こそが、メティーを隠して国境を抜ける際、門番に怪しまれずにすんなり通れた理由だった。
(……チョコランタを嫌う人ばかりじゃないっていうのは本当か……。考えてみれば、後輩にマカダミア出身のチョコランタが好き過ぎる例外の変人がいるぐらいだし……)
それでも、どこか半信半疑だったのは自分の心が汚れてるんだろうと鼻で笑う――
「おいおい……何言ってんだ? 強い奴らがパトロールすんのは当然だろ」
「は!? チョコランタは自国だけでなくマカダミアの民も守ってくれてるっていうのにその言い方……何様のつもりだ!」
「マカダミアの兵じゃ異形生物に歯が立たないんだから強いチョコランタ様々ってか? ギャハハハハ――」
「っ……お前みたいな奴らがいるから――」
最初の騒ぎが静まったと思えば、今度はチョコランタに友好的な男と、非友好的な男の取っ組み合いの喧嘩が始まってしまった。
(やっぱり嫌う人も当然いるわけか――)
近くにいたら危ないと思った野次馬達は、一斉にその場から少し離れた所で心配そうに傍観し、僕もその人の波を利用して近くの物陰に隠れて様子を窺う――
残ったのは店の前で喧嘩されて困っている店主と、騒ぎの当人達だけだ――
(……どうすんのこれ……)
素人の戦いを少し見てわかるのは、防御や避ける事を考えないめちゃくちゃな戦いで、放っておけば大怪我どころの話じゃなくなる――
(はぁ……マカダミアで目立つ行動は避けたいんだけど――)
止めに入ろうかと物陰から出た矢先、見覚えのある青髪の若い男が走って向かってくるのが見え、瞬時に気配を消して物陰へと隠れる――
「店の前で何してるっす!」
(なんでアイツがここに……ってマカダミア出身だから、休暇でここに? 見つかったら厄介な奴だっていうのに……)
この青髪の若い男こそが、例外の変人こと、ランス・フォーベルト。後輩の王族近衛騎士だ――
(……まぁ、気になる点もあったし……この機会にちょっと探ってみようか……)
ランスに感づかれない程度のチラ見で様子見しつつ、気になる点を思い起こしていく――
確か、最初にランスの事を認識したのは、僕が王族近衛騎士になるひと月前の見習い兵士試験で、マカダミア出身の者が例外的に合格したと話題になっていた頃――
その話題とはランスの面接の内容の事で、いかに自分がチョコランタの王族や王族近衛騎士の事が好きかを熱弁したらしい――
面接に立ち会った王族近衛騎士達がドン引きする中、当時の王ブライ様は大爆笑だったとか――
(はぁ……アホらし過ぎて何も言えない)
その3年後、ランスの父親の訃報が届き、一旦マカダミアへ帰っていくランスの痛々しい後ろ姿に、声を掛けれなかったのを覚えている――
その後、チョコランタに戻って気丈にも懸命に訓練するランスの姿に、周りの見習い兵士達も心を打たれ、助け合って遅くまで稽古していたのが印象深い――
当時の僕は3人同時に王族近衛騎士なった内のひとりとして、兵士達からも未だに注目されていた。
僕らに手合わせ稽古をして欲しい列が出来過ぎて逆に訓練にならないと、僕らに手合わせ禁止令が出される程に――
ランスはそんな僕にわざわざ近付いて、土下座までして頼み込んできた。
(ランスが頑張ってるのは知ってたから、こっそり稽古をつけてあげた事もあったっけ――)
その翌年にあたる今年の春、ランスが王族近衛騎士に相応しい人物か見定める場に僕も立ち会った――
そこでランスは何を聞いても「ティス様をお守りしたい」の一点張りで、詳しい事情は言えないようだった――
当然、そのランスの鬼気迫る必死な様子は僕にも怪しく映り、脳裏に悪い思考が渦巻いた――
マカダミアにいるティス様と、チョコランタにいたランスにどんな接点があるのか――
ティス様がチョコランタにいた頃も、頻繁には訓練場に来る事がなかったから、接点はあまりないはずだ――
そんな風に、ランスがマカダミア出身というだけで、普通ならスパイや暗殺目的を疑われても仕方がない状況――
でも、僕はランスの人柄も、懸命に訓練する真面目な努力家な事も知っている――
何よりランスの真剣な眼差しや、濁りのない綺麗な瞳の輝きは“人を害する目”じゃないし、チョコランタへの悪意は感じられない――
それはビターも同じように感じていたのか、ランスを王族近衛騎士に昇級する事を決め、僕もそれに賛成したわけだけど――
(……ビターは今回のティス様の件はランスには伝えてないはず……。ランスが知れば我こそはと名乗り出るのがわかりきってるし、疑ってる訳じゃなくても、理由がわからない以上は――)
「――ねえ、ランス君! いつもの早く見せて!」
(ん?)
先程の緊迫した騒ぎとは真逆の楽しげな騒がしさが聞こえてきて、再び様子を窺うと――
さっきの喧嘩の仲裁は終わったようで、周りの大人達が協力してふたりを手当てしていて、ランスは同年代ぐらいの令嬢達に囲まれいた。
「仕方ないっすねー……大事な物だから丁寧に扱うっすよ?」
ランスが言葉とは裏腹に、見せたくてウズウズした面持ちで取り出したのは、見覚えのあるスケッチブック――
(は!?)
僕は嫌な予感しかしなかった――
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次回もサンセ視点で続きます!
サンセの嫌な予感的中!? ランスが変人と言われる由縁が判明!? ティスの居場所の情報がランスにも聞かれて!? サンセがあの日の自分を重ね、先輩らしくランスに説教!?
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