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第2章 神奮闘~マカダミア王国編~
第33話 届かぬ恋の自覚
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ティスさん救出作戦会議から一夜明け、みんなで和気あいあいと朝食を食べ終わると――
サンセは、カイトにメティーとクロウさんの護衛を任せ、街に情報収集へ出掛けていく――
サンセはどこか不機嫌そうな面持ちで、ご飯の時は普通に目も合ったのに、今は私に目も合わせてくれなかった。
(サンセどうしたんだろ? 私に声も掛けずに行っちゃったし……私、ご飯の時なんかした!?)
思い返しても、クロウさんのお手伝いが何なのか楽しみでニコニコしてた記憶しかない――
そんな私の不安をよそに、カイトが黙って外に出て行こうとしていた。
(サンセといい、みんなに声を掛けずに出掛けるのは普通なの?)
見てればわかるけど、見てなかったらわからないわけで、さっきまで居たはずの人がいないと心配するのは余計なお世話なのだろうか――
「カイトー どこいくのー?」
そう慌てて声を掛けた私に、カイトは振り返って無表情のまま首を傾げた。
「…………上」
「ん? うえ?」
そう言葉少なにゆったりと答えたカイトに、今度は私が首を傾げる番だった。
すると、カイトは黙って外に出てチラッとこっちを見ると、足に力を込めたかと思うや上へと姿が消えた――
「え!?」
私は驚いて外に出て上を見上げると、カイトが屋根の上にいた。
(あー……なるほど、さっきサンセが頼んでた事を踏まえて察しろって事ね)
カイトは廃墟の屋根の上から危険が迫っていないか見張り、何かあれば持ち前のスピードで即座に駆けつけれる距離で護衛をしてくれるのだと悟る――
(……うん。言葉足らず過ぎじゃない!? けど、カイトの言いたい事わかってきたかも!?)
私はそんな呆れ半分嬉しさ半分の笑顔を浮かべてカイトに手を振ると、カイトは頷いて屋根の上にあぐらをかいて座り、ぼんやりと周囲を眺めだした――
(今の頷きはどういう意味?……えっと、ごめんなさい。さっきの訂正します! わかってきたとか調子こいてすいませんでしたー!)
誰に言うわけでもない冗談じみた反省をしつつ、カイトを傍から見たら、ぼんやり日向ぼっこしてるようにしか見えないと思ってしまったのは秘密である――
廃墟の中へ戻ろうとすると、ふと入口の脇に生えた薄紫の花に目が止まった。
(あれ? この花……)
女神誕生祭を見に行く途中、具合いの悪そうなしーちゃんの為に詰んだ花だった。その時は何の知識もなく、ただ花だと思って色まで意識せず、視界に入った花を詰んでただけだった――
(……何て名前の花だろう?)
「――メティー? どうしたの?」
ドアを開けたまま入口から動かない私を見て、クロウさんが声を掛けてくれた。クロウさんは私の視線の先を見て納得したのか口元が微笑んだ。
「紫苑の花見てたんだ?」
「しおん?」
クロウさんが伝えた花の名に、不思議と変な感じがして、興味深くその花を眺めた――
「メティーはこの花好きなんだ?」
「あ……」
ずっと眺めてたから、クロウさんにそう思われても当然だった――
でも、私の漠然とした感情は、好きだからなのかわからず答えに詰まった。そのまま返事しないのも失礼だと、考えた挙句に黙って頷いた。
「そっか……もうすぐ時期も終わっちゃうから、今のうちにメティーがたくさん見てあげたらその花も喜ぶよ」
「っ!」
クロウさんはそう言って微笑み、まだ朝食の片付けの途中だったのか中へと戻って行った。
それを見届けたかのタイミングで、ジワジワと頬が火照っていくのがわかる――
(……私が見てあげたら喜ぶって……恥ずか死ぬから! 昨日のお姫様呼びといい、お子ちゃまに向けた言葉がこうも破壊力あるってどうなの!?)
そして、私は顔の火照りが冷めるまで花を眺めた後、昨夜言われたお手伝いの詳細を聞こうと、クロウさんの下へ駆け寄った――
「くりょーしゃん! おてつだい なぁにー?」
子供の私でも何か役立てる嬉しさに、ニコニコしながらクロウさんの服の袖を引っ張る――
「メティー、朝からずっとご機嫌だね」
クロウさんはそう言って優しく微笑み、ふわっと優しく頭を撫でられた。クロウさんに撫でられるのは嬉しいのに、未だに慣れず心臓が無駄にドキドキする――
「メティーに手伝って欲しい事なんだけど……」
クロウさんは少し言いにくそうに頬を掻いた後、私の目線に合わせてしゃがみ、意を決した口元が微笑んだ――
「……僕のそばで笑ってて?」
(へ!?)
私は言われた事にドキッと動揺して、顔が一気に火照った――
「ふふっ。メティーまた顔真っ赤。……可愛い」
クロウさんに言われた事に、私は昨夜の顔接近事件を思い出してしまい、更に追い打ちをかける言葉に動揺して茹でダコ状態だ――
(……っ! クロウさんは私を揶揄って遊んでる!)
私は火照ったままの頬を膨らませ、クロウさんをムスッとした顔で見つめた。
「くりょーしゃん! わたちは ほんきでやくに たちたいのに……かりゃかうなんて――」
「僕は本気で言ってるけど?」
揶揄うなんて酷いと続けるはずだった言葉を、クロウさんは至って真面目な声のトーンで遮った――
(え……?)
私はまたドキッとして言葉が出ず、クロウさんを直視するのも恥ずかしくて俯いた――
「……僕は研究者達から逃げて……ここでひとりで過ごしてる時……ずっと怯えてた……。怖かった……。見つかれば、僕は――」
クロウさんの声がその怖さを物語るような、聞いているだけで泣いてしまいそうな悲痛な声に、私はクロウさんの怖い気持ちに改めて気付かされた――
(……当然だ……。おじいさんに初めて会った時、春に蒔く種を貰ったって言ってたから、春から……ううん、きっと一緒に研究してたティスさんが操り人形にされて、誰にも心許せずに研究所にいた頃から秋の今までずっと……毎日ひとりで命を狙われる恐怖と戦ってたんだ……。怖くないわけがない……)
クロウさんのその辛さを思うと、私は自然と涙が零れていた――
「……そこにメティー達が来てくれた……。メティーが笑ってくれると、怖くて震えてた心が安らいだ……。明日が来ることが怖かったのに“明日もメティーは僕に笑ってくれるかな?”って思うだけで怖くなくなる気がする……。だから……笑って?」
クロウさんはそう言って、私の零れ続ける涙を手で優しく拭ってくれた。
私は今、無性にクロウさんの表情を隠す眼鏡を外したいと思ってしまった。
今どんな表情で涙を拭ってくれたのか、どんな表情で恐怖を打ち明けたのか、私が笑うとどんな顔をしてくれるのか――
昨日、お姫様と言ってくれた時はどんな顔で微笑んでくれたんだろう――
クロウさんの事を知りたい思いがどんどん溢れてきて、気付いたら私はクロウさんの眼鏡に手を伸ばしていた――
「っ! 待って!」
クロウさんは私に眼鏡を外されまいと慌てて立ち上がった。
「また……ひみちゅ?」
「……うん」
クロウさんの返事に私はしょんぼりと俯いた。
「……それに……きっと今、僕は変な顔してる……」
そう言われて私は再びクロウさんを見上げると、クロウさんは顔を赤く染めていた――
「くりょーしゃん! おかお あかい!」
私は素顔を見せてくれなかった寂しさをごまかすように、さっき揶揄われた仕返しとばかりに揶揄った。
「……だって……メティーがあんな顔するから――っ!」
クロウさんは咄嗟に自分の手で口を塞いだ。
「あんなかおー?」
「っ! 秘密!……この話はもうおしまい!」
そう言ってクロウさんは家庭菜園へ逃げるように早足で歩きだす――
(どんな顔でクロウさんを見てたんだろ?)
そう思いながら、私は当然クロウさんの後を追いかけ、ダメ元で気になった事を尋ねる――
「そのめがね いつから ちてりゅのー?」
すると、クロウさんはピタッと足を止め、振り返らず「……おじいさんがくれた」とだけ答えて再び歩き出した――
(種をくれたおじいさん? じゃあ、わりと最近? あ……そっか。命を狙われてるんだから、普通に外を歩けるわけないんだ……。クロウさんにとって、眼鏡を外す事はとても怖い事なのかも……。なのに私ったら……なんて事を……)
私はさっきの行動を反省しながらクロウさんの後に続いて歩き出す――
(……にしても、あの変わった眼鏡はおじいさんのセンスかぁ……)
妙に納得して、それが何だか無性に可笑しいやら微笑ましいやらで、私はしばらくクロウさんを眺めながらニコニコと笑っていた――
(――ハッ! しまった!)
我に返ると黙々と畑仕事をしているクロウさんの姿が目に映る――
(手伝いもせず何してんの私!)
そう自分の過ちを攻めていると、それに気付いたクロウさんは――
「ん? ずっと笑ってくれてていいよ? 僕が頼んだんだから」
サラッとそう言った口元が微笑み、楽しげに作業を再開した。
(くっ……なるほど……)
私は火照った頬を隠すように触れる――
(クロウさんはこうやって今まで女の子達の心を手玉にとっているのね!? 私ばっかりドキドキしてフクザ……ツ……え? これって……)
“複雑”だと思って、どうしてそう思うのか気付いたのに、気付かぬ振りでその感情を必死に追い出そうと試みる――
(確かにクロウさんは私の気持ちをわかってくれるいい人で、何度かドキッとしたりもしたけど…………っ……違う違う!)
考えれば考える程にドツボに嵌っていく――
(クロウさんにとったら私はお子ちゃまで“恋愛対象”に見られてるわけない……)
ズキッと痛んだ胸が隠せぬ証拠で、芽吹きそうな想いを必死に閉じ込める――
(……せめて……辛い時期を過ごしたクロウさんが、どうかこれから――)
――“幸せでありますように”――
そう脳裏にチラついた思いにハッとした――
(……私は神様で……願いが“力”……)
そう思うと同時に、今まで神の力を使った場面が呼び起こされる――
自分が神様だという自覚も実感もなく過ごしてきた時から、主に誰かを助けたいと思った時に使ってきた力――
(……私の“邪な気持ち”で願っちゃダメ……)
そう自分に言い聞かせるように釘を刺す――
(っ……でもそうだとしたら……神様は誰も“好き”になっちゃだめってことで……っ! クロウさんを“好き”? っ……違う! 好きなわけない! 私はお子ちゃまだから――)
あえて言葉にしていなかった“好き”という言葉を思考してしまって、パニックになって必死にその感情を否定する――
「――メティー!? どうしたの!?」
クロウさんの驚愕した声に、その時はじめて自分が泣いてる事に気付いた――
(っ……苦しい……胸が痛い……)
「っ……メティー……」
クロウさんが優しく名前を呼んで、慰めるように抱きしめ頭を撫でてくれる――
(やめて……優しくしないで……想いが溢れてしまう……止められない。……届かない恋ほど惨めなものはない……。忘れなきゃ――)
『――ワスレタイノ?』
感情のない声が脳内に響き、私はビクッと反応した――
(この声は……夢のあの子?)
忘れるという言葉に背筋がゾクッとした――
(この子の言う忘れるは……ほんとに忘れされちゃう……っ)
私は恐怖のあまり、我を忘れてクロウさんに縋る様にしがみつき、子供の様に泣きじゃくった――
クロウさんは泣いてる訳を無理に聞きだそうとせず、黙って優しく抱きしめ、背中をさすってくれた――
程なくして、お子様特有の泣き疲れて眠くなる現象が起こった。近くにいるはずのクロウさんの心配そうな声が遠くで聞こえ、意識がだんだん遠のいていく――
それは、記憶を忘れていく感覚とよく似ていて、夢のあの子を連想させた――
(嫌だ……)
「――わすれたくない――」
消え入るようなか細い声で、涙と共に零れた言葉を最後に私は眠りについた――
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
気が付くと私はベッドに寝かされていた。窓から差す明るさで、お昼過ぎ頃だとわかる――
(……あのまま泣いて寝ちゃった? 急に泣き出して眠るとか……ほんとお子ちゃまじゃないか……)
まだボンヤリする頭で思い出し、クロウさんに迷惑かけてしまった事に申し訳なく思う。
(……クロウさんがまた運んでくれたのかな?)
そう思うと、お姫様抱っこされた時を思い出して胸が高鳴った。
(あ……消されてない……)
高鳴った鼓動に芽吹いた想いがちゃんと残っているとわかり、安心するのに胸が苦しい――
(せめて中身もほんとにお子ちゃまだったら、きっと恋なんてしなかったのに……。“転生させた神様”は残酷…………え?)
無意識に考えていた事を再び思い出そうとすると、これまでの痛みが可愛く思える程の強烈な痛みに襲われた――
(っ! またあの頭痛!?……っ――)
あまりの痛みに、私は目覚めてから早々にまた意識を失った――
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
私は暗闇の中を歩いていた――
歩いても歩いてもずっと真っ暗な場所――
(……また夢か……覚えてる夢はいつも真っ暗)
何度か見た夢の場所だから、すぐこれが夢だと察した。私は辺りを見回しながら、暗闇を彷徨う――
(いつも夢に誰かしら出てくるのに……誰もいない?)
ふと、背後から誰かに見られている気がして振り返ると、前に夢に出てきた女の子がいた。
でも、よく見ると前より顔立ちがわかった。黒い布で目元は見えないけど――
(あれは……前世の私?……っ……名前が……)
前世の顔と名前が一瞬浮かんだのに、シャボン玉が破裂するようにすぐ消えてしまった――
「言ッタデショ? 知ル事ハ アナタノ望ジャナイノ」
突然背後から、感情が少し感じられる声がして振り向くと、顔が黒い靄で見えない以前見た姿の女の子がいた――
(え!? さっきは向こうに……)
再びさっき見ていた方を向くと目隠しの女の子がいて、また背後を見ても顔が靄で見えない女の子がいる。
(え!? ふたり? どういう事!?)
「驚イタ? デモ、安心シテ? コレモ忘レチャウカラ」
そう言うや否や、頭に手を翳される――
「っ! やだ! わすれたくない!」
どんなに叫んでも無情にも記憶を失っていく感覚がわかって涙が零れる――
「わすれ……たく……ないのに……どう……して――」
夢の中で更に深い眠りに落ちるように、私は意識を失った――
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
見渡す限り真っ白なメティーの深層にある精神世界――
そこに横たわるメティーのそばに、ふたつの人影が現れた――
「ドウイウツモリ? 貴女ガ望ンダノニ。貴女ト“接触”スレバ、コノ子ハ全テ思イ出ス……」
「……っ……」
顔を黒い靄で覆った女は、責めるようでいてどこか楽しげで、対照的に目元を黒い布で隠した女は唇を噛み締めて震えていた――
「言ッテオクケド、コノ子ガ 全テ思イ出シタ時ハ、“私”ノ力デモ消セナイヨ?」
黒い靄からうっすら覗かせた口元が不敵な笑みを浮かべた。
「……元はと言えばあなたの所為じゃない! この子と夢で話した“あなたの記憶”を消さないから――」
「……私ハ貴女ノ“オ願イ”ヲ“ヒトツダケ”聞ク約束ダモノ。ダカラ消サナカッタダケ。ダッテ、不公平デショ? “コノ子モ貴女”ナノダカラ――」
そう言い残し、口元に嘲笑うような笑みを浮かべながら精神世界に溶け込むように消えていく――
「……少しずつ感情や顔が露わに……っ……」
目元を布で隠した女が崩れ落ちるようにドサッと座り込むと、膝を抱え蹲った。
「どうしたら“私”を忘れてくれるの? お願いだから“私”を思い出さないで――」
そんな悲痛な声に応えるように、傍らに横たわるメティーの胸元が白くぼんやりと光った。
そこから白くて丸い光の塊がふわりと浮かび上がり、チカチカとまるで励ますように優しく瞬いていた――
蹲まったままの女は、それに気づくことはなかった――
▼ ▼ ▼ ▼ ▼
次回はサンセ視点でお送りします!
サンセが不機嫌だった理由は一体!? 初めて醜い僕で戦った日の過去が少しわかる!? 新たな王族近衛騎士も登場し、何やらティスと関わりが!?
サンセは、カイトにメティーとクロウさんの護衛を任せ、街に情報収集へ出掛けていく――
サンセはどこか不機嫌そうな面持ちで、ご飯の時は普通に目も合ったのに、今は私に目も合わせてくれなかった。
(サンセどうしたんだろ? 私に声も掛けずに行っちゃったし……私、ご飯の時なんかした!?)
思い返しても、クロウさんのお手伝いが何なのか楽しみでニコニコしてた記憶しかない――
そんな私の不安をよそに、カイトが黙って外に出て行こうとしていた。
(サンセといい、みんなに声を掛けずに出掛けるのは普通なの?)
見てればわかるけど、見てなかったらわからないわけで、さっきまで居たはずの人がいないと心配するのは余計なお世話なのだろうか――
「カイトー どこいくのー?」
そう慌てて声を掛けた私に、カイトは振り返って無表情のまま首を傾げた。
「…………上」
「ん? うえ?」
そう言葉少なにゆったりと答えたカイトに、今度は私が首を傾げる番だった。
すると、カイトは黙って外に出てチラッとこっちを見ると、足に力を込めたかと思うや上へと姿が消えた――
「え!?」
私は驚いて外に出て上を見上げると、カイトが屋根の上にいた。
(あー……なるほど、さっきサンセが頼んでた事を踏まえて察しろって事ね)
カイトは廃墟の屋根の上から危険が迫っていないか見張り、何かあれば持ち前のスピードで即座に駆けつけれる距離で護衛をしてくれるのだと悟る――
(……うん。言葉足らず過ぎじゃない!? けど、カイトの言いたい事わかってきたかも!?)
私はそんな呆れ半分嬉しさ半分の笑顔を浮かべてカイトに手を振ると、カイトは頷いて屋根の上にあぐらをかいて座り、ぼんやりと周囲を眺めだした――
(今の頷きはどういう意味?……えっと、ごめんなさい。さっきの訂正します! わかってきたとか調子こいてすいませんでしたー!)
誰に言うわけでもない冗談じみた反省をしつつ、カイトを傍から見たら、ぼんやり日向ぼっこしてるようにしか見えないと思ってしまったのは秘密である――
廃墟の中へ戻ろうとすると、ふと入口の脇に生えた薄紫の花に目が止まった。
(あれ? この花……)
女神誕生祭を見に行く途中、具合いの悪そうなしーちゃんの為に詰んだ花だった。その時は何の知識もなく、ただ花だと思って色まで意識せず、視界に入った花を詰んでただけだった――
(……何て名前の花だろう?)
「――メティー? どうしたの?」
ドアを開けたまま入口から動かない私を見て、クロウさんが声を掛けてくれた。クロウさんは私の視線の先を見て納得したのか口元が微笑んだ。
「紫苑の花見てたんだ?」
「しおん?」
クロウさんが伝えた花の名に、不思議と変な感じがして、興味深くその花を眺めた――
「メティーはこの花好きなんだ?」
「あ……」
ずっと眺めてたから、クロウさんにそう思われても当然だった――
でも、私の漠然とした感情は、好きだからなのかわからず答えに詰まった。そのまま返事しないのも失礼だと、考えた挙句に黙って頷いた。
「そっか……もうすぐ時期も終わっちゃうから、今のうちにメティーがたくさん見てあげたらその花も喜ぶよ」
「っ!」
クロウさんはそう言って微笑み、まだ朝食の片付けの途中だったのか中へと戻って行った。
それを見届けたかのタイミングで、ジワジワと頬が火照っていくのがわかる――
(……私が見てあげたら喜ぶって……恥ずか死ぬから! 昨日のお姫様呼びといい、お子ちゃまに向けた言葉がこうも破壊力あるってどうなの!?)
そして、私は顔の火照りが冷めるまで花を眺めた後、昨夜言われたお手伝いの詳細を聞こうと、クロウさんの下へ駆け寄った――
「くりょーしゃん! おてつだい なぁにー?」
子供の私でも何か役立てる嬉しさに、ニコニコしながらクロウさんの服の袖を引っ張る――
「メティー、朝からずっとご機嫌だね」
クロウさんはそう言って優しく微笑み、ふわっと優しく頭を撫でられた。クロウさんに撫でられるのは嬉しいのに、未だに慣れず心臓が無駄にドキドキする――
「メティーに手伝って欲しい事なんだけど……」
クロウさんは少し言いにくそうに頬を掻いた後、私の目線に合わせてしゃがみ、意を決した口元が微笑んだ――
「……僕のそばで笑ってて?」
(へ!?)
私は言われた事にドキッと動揺して、顔が一気に火照った――
「ふふっ。メティーまた顔真っ赤。……可愛い」
クロウさんに言われた事に、私は昨夜の顔接近事件を思い出してしまい、更に追い打ちをかける言葉に動揺して茹でダコ状態だ――
(……っ! クロウさんは私を揶揄って遊んでる!)
私は火照ったままの頬を膨らませ、クロウさんをムスッとした顔で見つめた。
「くりょーしゃん! わたちは ほんきでやくに たちたいのに……かりゃかうなんて――」
「僕は本気で言ってるけど?」
揶揄うなんて酷いと続けるはずだった言葉を、クロウさんは至って真面目な声のトーンで遮った――
(え……?)
私はまたドキッとして言葉が出ず、クロウさんを直視するのも恥ずかしくて俯いた――
「……僕は研究者達から逃げて……ここでひとりで過ごしてる時……ずっと怯えてた……。怖かった……。見つかれば、僕は――」
クロウさんの声がその怖さを物語るような、聞いているだけで泣いてしまいそうな悲痛な声に、私はクロウさんの怖い気持ちに改めて気付かされた――
(……当然だ……。おじいさんに初めて会った時、春に蒔く種を貰ったって言ってたから、春から……ううん、きっと一緒に研究してたティスさんが操り人形にされて、誰にも心許せずに研究所にいた頃から秋の今までずっと……毎日ひとりで命を狙われる恐怖と戦ってたんだ……。怖くないわけがない……)
クロウさんのその辛さを思うと、私は自然と涙が零れていた――
「……そこにメティー達が来てくれた……。メティーが笑ってくれると、怖くて震えてた心が安らいだ……。明日が来ることが怖かったのに“明日もメティーは僕に笑ってくれるかな?”って思うだけで怖くなくなる気がする……。だから……笑って?」
クロウさんはそう言って、私の零れ続ける涙を手で優しく拭ってくれた。
私は今、無性にクロウさんの表情を隠す眼鏡を外したいと思ってしまった。
今どんな表情で涙を拭ってくれたのか、どんな表情で恐怖を打ち明けたのか、私が笑うとどんな顔をしてくれるのか――
昨日、お姫様と言ってくれた時はどんな顔で微笑んでくれたんだろう――
クロウさんの事を知りたい思いがどんどん溢れてきて、気付いたら私はクロウさんの眼鏡に手を伸ばしていた――
「っ! 待って!」
クロウさんは私に眼鏡を外されまいと慌てて立ち上がった。
「また……ひみちゅ?」
「……うん」
クロウさんの返事に私はしょんぼりと俯いた。
「……それに……きっと今、僕は変な顔してる……」
そう言われて私は再びクロウさんを見上げると、クロウさんは顔を赤く染めていた――
「くりょーしゃん! おかお あかい!」
私は素顔を見せてくれなかった寂しさをごまかすように、さっき揶揄われた仕返しとばかりに揶揄った。
「……だって……メティーがあんな顔するから――っ!」
クロウさんは咄嗟に自分の手で口を塞いだ。
「あんなかおー?」
「っ! 秘密!……この話はもうおしまい!」
そう言ってクロウさんは家庭菜園へ逃げるように早足で歩きだす――
(どんな顔でクロウさんを見てたんだろ?)
そう思いながら、私は当然クロウさんの後を追いかけ、ダメ元で気になった事を尋ねる――
「そのめがね いつから ちてりゅのー?」
すると、クロウさんはピタッと足を止め、振り返らず「……おじいさんがくれた」とだけ答えて再び歩き出した――
(種をくれたおじいさん? じゃあ、わりと最近? あ……そっか。命を狙われてるんだから、普通に外を歩けるわけないんだ……。クロウさんにとって、眼鏡を外す事はとても怖い事なのかも……。なのに私ったら……なんて事を……)
私はさっきの行動を反省しながらクロウさんの後に続いて歩き出す――
(……にしても、あの変わった眼鏡はおじいさんのセンスかぁ……)
妙に納得して、それが何だか無性に可笑しいやら微笑ましいやらで、私はしばらくクロウさんを眺めながらニコニコと笑っていた――
(――ハッ! しまった!)
我に返ると黙々と畑仕事をしているクロウさんの姿が目に映る――
(手伝いもせず何してんの私!)
そう自分の過ちを攻めていると、それに気付いたクロウさんは――
「ん? ずっと笑ってくれてていいよ? 僕が頼んだんだから」
サラッとそう言った口元が微笑み、楽しげに作業を再開した。
(くっ……なるほど……)
私は火照った頬を隠すように触れる――
(クロウさんはこうやって今まで女の子達の心を手玉にとっているのね!? 私ばっかりドキドキしてフクザ……ツ……え? これって……)
“複雑”だと思って、どうしてそう思うのか気付いたのに、気付かぬ振りでその感情を必死に追い出そうと試みる――
(確かにクロウさんは私の気持ちをわかってくれるいい人で、何度かドキッとしたりもしたけど…………っ……違う違う!)
考えれば考える程にドツボに嵌っていく――
(クロウさんにとったら私はお子ちゃまで“恋愛対象”に見られてるわけない……)
ズキッと痛んだ胸が隠せぬ証拠で、芽吹きそうな想いを必死に閉じ込める――
(……せめて……辛い時期を過ごしたクロウさんが、どうかこれから――)
――“幸せでありますように”――
そう脳裏にチラついた思いにハッとした――
(……私は神様で……願いが“力”……)
そう思うと同時に、今まで神の力を使った場面が呼び起こされる――
自分が神様だという自覚も実感もなく過ごしてきた時から、主に誰かを助けたいと思った時に使ってきた力――
(……私の“邪な気持ち”で願っちゃダメ……)
そう自分に言い聞かせるように釘を刺す――
(っ……でもそうだとしたら……神様は誰も“好き”になっちゃだめってことで……っ! クロウさんを“好き”? っ……違う! 好きなわけない! 私はお子ちゃまだから――)
あえて言葉にしていなかった“好き”という言葉を思考してしまって、パニックになって必死にその感情を否定する――
「――メティー!? どうしたの!?」
クロウさんの驚愕した声に、その時はじめて自分が泣いてる事に気付いた――
(っ……苦しい……胸が痛い……)
「っ……メティー……」
クロウさんが優しく名前を呼んで、慰めるように抱きしめ頭を撫でてくれる――
(やめて……優しくしないで……想いが溢れてしまう……止められない。……届かない恋ほど惨めなものはない……。忘れなきゃ――)
『――ワスレタイノ?』
感情のない声が脳内に響き、私はビクッと反応した――
(この声は……夢のあの子?)
忘れるという言葉に背筋がゾクッとした――
(この子の言う忘れるは……ほんとに忘れされちゃう……っ)
私は恐怖のあまり、我を忘れてクロウさんに縋る様にしがみつき、子供の様に泣きじゃくった――
クロウさんは泣いてる訳を無理に聞きだそうとせず、黙って優しく抱きしめ、背中をさすってくれた――
程なくして、お子様特有の泣き疲れて眠くなる現象が起こった。近くにいるはずのクロウさんの心配そうな声が遠くで聞こえ、意識がだんだん遠のいていく――
それは、記憶を忘れていく感覚とよく似ていて、夢のあの子を連想させた――
(嫌だ……)
「――わすれたくない――」
消え入るようなか細い声で、涙と共に零れた言葉を最後に私は眠りについた――
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
気が付くと私はベッドに寝かされていた。窓から差す明るさで、お昼過ぎ頃だとわかる――
(……あのまま泣いて寝ちゃった? 急に泣き出して眠るとか……ほんとお子ちゃまじゃないか……)
まだボンヤリする頭で思い出し、クロウさんに迷惑かけてしまった事に申し訳なく思う。
(……クロウさんがまた運んでくれたのかな?)
そう思うと、お姫様抱っこされた時を思い出して胸が高鳴った。
(あ……消されてない……)
高鳴った鼓動に芽吹いた想いがちゃんと残っているとわかり、安心するのに胸が苦しい――
(せめて中身もほんとにお子ちゃまだったら、きっと恋なんてしなかったのに……。“転生させた神様”は残酷…………え?)
無意識に考えていた事を再び思い出そうとすると、これまでの痛みが可愛く思える程の強烈な痛みに襲われた――
(っ! またあの頭痛!?……っ――)
あまりの痛みに、私は目覚めてから早々にまた意識を失った――
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
私は暗闇の中を歩いていた――
歩いても歩いてもずっと真っ暗な場所――
(……また夢か……覚えてる夢はいつも真っ暗)
何度か見た夢の場所だから、すぐこれが夢だと察した。私は辺りを見回しながら、暗闇を彷徨う――
(いつも夢に誰かしら出てくるのに……誰もいない?)
ふと、背後から誰かに見られている気がして振り返ると、前に夢に出てきた女の子がいた。
でも、よく見ると前より顔立ちがわかった。黒い布で目元は見えないけど――
(あれは……前世の私?……っ……名前が……)
前世の顔と名前が一瞬浮かんだのに、シャボン玉が破裂するようにすぐ消えてしまった――
「言ッタデショ? 知ル事ハ アナタノ望ジャナイノ」
突然背後から、感情が少し感じられる声がして振り向くと、顔が黒い靄で見えない以前見た姿の女の子がいた――
(え!? さっきは向こうに……)
再びさっき見ていた方を向くと目隠しの女の子がいて、また背後を見ても顔が靄で見えない女の子がいる。
(え!? ふたり? どういう事!?)
「驚イタ? デモ、安心シテ? コレモ忘レチャウカラ」
そう言うや否や、頭に手を翳される――
「っ! やだ! わすれたくない!」
どんなに叫んでも無情にも記憶を失っていく感覚がわかって涙が零れる――
「わすれ……たく……ないのに……どう……して――」
夢の中で更に深い眠りに落ちるように、私は意識を失った――
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
見渡す限り真っ白なメティーの深層にある精神世界――
そこに横たわるメティーのそばに、ふたつの人影が現れた――
「ドウイウツモリ? 貴女ガ望ンダノニ。貴女ト“接触”スレバ、コノ子ハ全テ思イ出ス……」
「……っ……」
顔を黒い靄で覆った女は、責めるようでいてどこか楽しげで、対照的に目元を黒い布で隠した女は唇を噛み締めて震えていた――
「言ッテオクケド、コノ子ガ 全テ思イ出シタ時ハ、“私”ノ力デモ消セナイヨ?」
黒い靄からうっすら覗かせた口元が不敵な笑みを浮かべた。
「……元はと言えばあなたの所為じゃない! この子と夢で話した“あなたの記憶”を消さないから――」
「……私ハ貴女ノ“オ願イ”ヲ“ヒトツダケ”聞ク約束ダモノ。ダカラ消サナカッタダケ。ダッテ、不公平デショ? “コノ子モ貴女”ナノダカラ――」
そう言い残し、口元に嘲笑うような笑みを浮かべながら精神世界に溶け込むように消えていく――
「……少しずつ感情や顔が露わに……っ……」
目元を布で隠した女が崩れ落ちるようにドサッと座り込むと、膝を抱え蹲った。
「どうしたら“私”を忘れてくれるの? お願いだから“私”を思い出さないで――」
そんな悲痛な声に応えるように、傍らに横たわるメティーの胸元が白くぼんやりと光った。
そこから白くて丸い光の塊がふわりと浮かび上がり、チカチカとまるで励ますように優しく瞬いていた――
蹲まったままの女は、それに気づくことはなかった――
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次回はサンセ視点でお送りします!
サンセが不機嫌だった理由は一体!? 初めて醜い僕で戦った日の過去が少しわかる!? 新たな王族近衛騎士も登場し、何やらティスと関わりが!?
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