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第2章 神奮闘~マカダミア王国編~
【番外編】敬愛するあなたへ~ミスティーの過去~④
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あれから、ミスティーはサンセに言われた邪念を振り払う勢いでトレーニングに励んだ。
それは、定期的に開かれる茶会でビターを眺める事も、サンセの冷やかしを恐れて封印するまでに――
(“好き”という感情を考えて、トレーニングを疎かにして試験に落ちたら、今までの頑張りが全部無駄になるもの……。何より、協力してくれた姉様とキール様に合わせる顔がない……今は無心あるのみ!)
そんなミスティーの頑張りもあり、キールから絶対合格出来ると太鼓判を貰い、ついに試験当日を迎えた――
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
ミスティーが試験会場でもある城へ足を踏み入れると、既にたくさんの志願者達が集っていた――
この時になって初めて“女が兵士見習い試験を受ける”という事が明るみになり、ミスティーの存在に周囲は騒然となった。
この年は貴族の志願者は少なかった為、ミスティーの男嫌いを知る者は少なかった。皆ミスティーを見てヘラヘラと浮ついた笑みを浮かべ、ヒソヒソと喋っている――
「(あの子すっげー可愛いくね?)」
「(誰か話しかけてみろよ)」
しかし、ミスティーと目が合った者達の顔が続々と引き攣り、忽ち静かになった。
この年、同じく試験を受けるサンセも、この周囲の様子にクスリと笑ってからミスティーへ近付いて声を掛けた。
「結局、頼って来なかったね?」
「……あなたの協力なんて頼んでないので」
「……はいはい、まぁ精々頑張って?」
サンセはそう言ってミスティーを見る事なく手をヒラヒラと振り、ミスティーから離れた場所で試験の指示を待つ。
(何あの言い方! 私を苛立たせる天才!?……っ……いけないいけない。またサンセのペースに巻き込まれて“素”が出てる。“騎士”はどんな時も冷静に、それでいて“素敵なレディ”の振る舞いも忘れずに……)
ミスティーがそう言い聞かせると、ちょうど試験内容を伝える衛兵が志願者達の前に姿を現した。告げられた試験内容は、運動能力や持久面を見るものだった――
(あ……だからキール様合格出来るって……。絶対緊張すると思ってたのに、姉様とキール様のおかげでリラックス出来てる)
ミスティーは“今まで頑張ってきた事をやるだけ”と落ち着き、その表情にはふたりへの感謝の微笑みが浮かんでいた。
他の志願者達も、試験内容に拍子抜けしたように余裕の笑みを見せていた……が――
持久走の試験が始まると、一部の志願者達の顔が険しいものへと変わっていった。
いつ終わるかも、どのぐらい走るかも知らされぬまま、“歩いたり止まったら失格”とだけ告げられて始まった為、肉体的にも精神的にも限界という所まで追い込まれた。
そんな彼らの横を、ミスティーは顔色を変える事無く平然と走っていた――
(なんでそんな平気な顔してられるんだよ……)
(疲れてないのか!?)
(俺がこの子より劣ってる!?)
ミスティーが彼らの視線を感じ、スピードをあげて追い越して前を走ると、彼らの表情が血迷った企みの顔へと変わった。
――女なんかに負ける? そんな事になれば笑い物になる……そんな事になる訳にはいかない。なら、道ずれにすればいい――
そんな悪魔の囁きとも言える考えが彼らの頭の中を支配しかけた時、別の悪魔の囁きが――
「そんな事する方が恥晒しだと思うけど?」
いつの間にか彼らの横へ気配なくやって来ていたサンセが、平然と低い声でそう告げた。
「なっ! いつの間に俺らの横に!?」
「そ、そんな事って何だよ!」
「そ、そうだよ! 変な言いがかりはやめろよ」
「変な言いがかり? 悪巧みしてる顔してたのに?」
そう冷たい目で告げたサンセに、彼らは恐怖で足が縺れて揃って転び失格となる――
(……こんな簡単に自滅するなら元から兵士に向いてないね)
サンセは走りながら振り返り、転んだ彼らに冷酷な微笑みを向けると、何事もなかった顔付きで走り去った――
「……あ、悪魔だ……」
彼らは顔面蒼白で震え、それに疲れも加わってしばらく立ち上がる事が出来なかった。
この件がトラウマになったのか、彼らはサンセのせいで転んだ等と騒ぎ立てる事もなく、大人しく試験会場を去っていった――
一方、そんな事が起こっていたとは露知らずのミスティーは、無事完走したものの疲れて座り込み、息切れで喋る事も困難な程に疲労困憊していた。
(試験前のリラックスして安心しきってた自分を叱りたい……。命をかける危険な仕事の試験が“生易しいものではない”と考えればわかるのに……。もっと……もっと頑張らなくちゃ……まだまだ頑張りが足りない……)
ミスティーはそう気を改めて前を見ると、サンセが平然と壁に寄りかかって立っているのが視界に入った。
(全然疲れてない?…………負けた……悔しい……)
ミスティーは勝負していた訳でもないのに、サンセの余裕すら感じられる姿に勝手に敗北感を味わい、更にライバル心に火がついたのだった――
暫しの休憩の後、最終試験の面接が行われた。王と数名の王族近衛騎士の強者とわかる存在感に圧倒され、その視線を一斉に浴びて上手く言葉が出ない志願者が多数いた。
ミスティーもその内のひとりで、聞かれた事を答えたそばから、自分が何を聞かれてどう答えたか覚えていない程に緊張で混乱していた。
そんな状態だったからこそ、ミスティーは素直な気持ちをそのまま喋ってしまった――
「――では、あなたは女性ですが、なぜ兵士に志願したのですか?」
「……ビター様のお役に立ちたいからです」
ミスティーのその答えに、王族近衛騎士達は顔を見合わせて反応に困る顔をした。
そんな中、王は楽しげにニッコリ笑った。
「へぇー、ビターの役に? それはどうしてだい?」
「……助けてもらった恩返しがしたいんです」
「そっかそっかー。ビターに恩返しをねー」
ブライのウキウキと弾んだ声に、王族近衛騎士達は顔を見合わせ、諦めたように黙った。
「……この国の未来は明るいね。本試験も頑張ってくれたら嬉しいな」
そう言ってニッコリ微笑んだブライの顔は、しっかりした王としてでなく、息子が慕われている事を喜ぶ優しい父親の顔をしていた――
その言葉はすなわち合格だと言っているようなものなのだが、緊張していたミスティーは数日後に届いた合格通知で結果を知る事となる――
ミスティーの合格を姉は喜んだが、両親は複雑な気持ちで喜べずにいた。
合格とは言ってもあくまで見習い兵士で、本試験で兵士になれるかが決まる為、ミスティーは両親と再び約束をした。
16歳の本試験でダメだったら諦めると――
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
ミスティーが兵士見習い試験に合格し、城で日々訓練を行っているという噂は瞬く間に広がった――
試験後初となる茶会では、ミスティーが会場に入るや注目の的だった。大抵は遠目からヒソヒソと変な物を見る目で話されていたが、サンセ信者の令嬢達だけはズカズカとミスティーの前に進み、ミスティーはあっという間に囲まれた。
「あなた……兵士に志願して合格したそうね?……そこまでしてサンセ様のそばにいたい訳!?」
(……え? あんな人のそばにいたいなんてこれっぽっちも思ってな――)
「普段全然興味ないフリして抜け駆け!? 正気なの? 信じらんなぁーい」
「……違います。何か誤解されているのでは?」
ミスティーは呆れてため息を吐き、冷静に言葉を選んでそう伝えたが、ミスティーの視線は彼女達には不愉快だと言いたげな生意気な視線に見えていた。
「何よその目! 違う訳ないでしょ!? 女が兵士? そんな野蛮な事してでもそばにいたいなんて……」
その言葉を皮切りに、クスクスとミスティーを嗤い侮辱する陰口がミスティーの耳に聞こえてきた――
「(そういえば、前は男にもてはやされていい気になってたかと思えば、最近はすっかり男の取り巻きがいないわよね?)」
「(決まってるじゃない! この女の本性に気付いて離れて行ったんでしょ?)」
「(なんでも、上から目線で睨みつけてるらしいじゃない。そりゃ離れもするわねー)」
「(ましてや、女なのに兵士に志願する野蛮な女なんて……願い下げよね?)」
ミスティーがそう思ってもいない事や、事実を都合のいいように捉え、憶測の出来事を作り出してクスクス嗤う令嬢達の醜悪さに、ミスティーは言葉も出ずに俯いた――
(聞こえるように陰口かぁ……。事実じゃないから何ともないはずなのに……私はあの子達にそんな風に見えてたのかと思うと……ちょっと……辛いかも……)
ミスティーはサンセ信者の言うように、思惑は違えど、結果サンセに近付いた事が祟った神からの罰のように思えた。
(“触らぬ神に祟りなし”……近付く事勿れ……わかってたのに……。イケメンは神様にもモテるんだ?)
ミスティーはこの時、精一杯の強がりからの冗談でクスリと笑うつもりだった――
(笑うつもりが……ちっとも笑えない。……こんな人達が“お淑やかな素敵なレディ”なの? っ……これじゃ私も同じ……)
ミスティーは自分の中に“皮肉して侮辱する感情”がある事に、目の前の醜悪な令嬢達と何ら変わらない事実に幻滅していた――
「(さっきから俯いちゃって……まさか泣いちゃう? か弱い女ぶってまた取り巻きの男達に慰めて貰えば――)」
「ねえ、それは美しくないんじゃない?」
突然聞こえた声に令嬢達は騒然と色めき、ミスティーは呆然とその人物を見つめた――
(なんで……サンセがいるの?)
「……みんなにはこんな醜い事似合わないと思うなぁ……」
サンセがそう儚げに呟けば、一際色めく奇声があちこちで上がり、口々に「サンセ様がそう仰るなら――」と声を上げ「サンセ様、私達とお喋りしましょう?」と令嬢達は目を輝かせた。
「あ、ごめん。実はビター達が待ってるんだよね」
サンセの言葉に再び色めく奇声が上がり、それならむしろ大歓迎とばかりに、令嬢達は喜んでサンセのそばを離れて行った――
それもこれも全てサンセの思惑通りで、どう言えば面倒な事なく場が収まるかの最善の手だった訳だが――
ミスティーは自分に対するサンセの態度の違いに驚き、吐きそうなまでの気持ち悪いものを見たような顔をしていた。
「何その顔。助けた恩人に対してあんまりじゃ――」
「近付かないで! ゲインさん!」
おどけた口振りで近付いてきたサンセの言葉が終わるよりも早く、ミスティーは直接的な言葉と間接的な苗字呼びでサンセを拒絶した。
ミスティーは“近付く事勿れ”という自分の教訓を身をもって体験し、それを実践しなければまた何か言われかねない事が、ただただ怖かった――
「……びっくりした……初めてそんな風に呼ばれたかも。サンセでいいのに」
「では、サンセットさん……近付かないで下さい」
今度はサンセに愛称呼びでいいと言われたのに、ミスティーはあえて名前呼びと敬語で再び拒絶の意思を示した。
「……確かに……僕が近付いたら迷惑だよね……浅はかだった……ごめん」
サンセは申し訳なさそうにそう言ってミスティーのそばを去っていく――
(……ごめんなさいサンセットさん……。私が勝手にライバル心を持ってただけで、サンセットさんは何も悪くないのに……。私がこれ以上傷つきたくないからって酷い態度で遠ざけて……ごめんなさい……)
ミスティーはサンセの後ろ姿を見つめ、懺悔するようにそう思った。サンセが見えなくなるまでミスティーが頭を下げていると、そこに近付いてきた人物がいた――
▼ ▼ ▼ ▼ ▼
【おまけのSS~サンセ視点~】
そう、それは本当に偶然だったんだ――
その日サンセは、昔お世話になったおばさんの本屋に行って、貴族の邸宅が点々と並ぶ道まで戻ってきた所だった――
(ひとりで出掛ける許可は出ても、平民の城下街に行ったなんて知られたら煩そうだし……貴族街の店でもなんか買って帰った方が怪しまれずに済むかな?……ん? あれは……キール?)
僕は、偶然キールが人目を避けるように脇道へ入って行くのを見てしまった。
(あの先って確か……何もないはず……)
僕はそう思ってキールの後を追うように脇道の手前まで駆け出し、塀に隠れながらキールの行った方向をそっと覗うと、道には誰もいなかった。
(え……この短時間で見えなくなる距離じゃない。と、なると……この邸宅は……ランズベリー家?)
僕はキールがランズベリー家の中に入ったとしか思えなかった。
(キールなら容易くこの塀は越えられるだろうけど……こっそり塀から入るなんて怪しい――)
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
家に帰った僕は、ここ最近のキールの様子で気になる点を考える――
そういえば、キールの次の休みに稽古してもらう約束をすると、“その日は用事があってダメなんだ”って言われる事がちょいちょいあったっけ――
それでいて、ビターですらその用事を知らないから仕事じゃない――
キールは家出中の身だから“クルスナー家関連”でもないし――
(……まさか、女関連? 女より剣を選びそうなキールが? それはないな……)
そう頭で否定しつつも、僕の頭の中は幼少期に叩き込まれた貴族リストのランズベリー家の事を思い出していた。
確か、令嬢はふたりいて、僕と同い年の子と、2こ上だったはずだ――
(……キールって……ロリコン?)
僕はそう冗談っぽく苦い笑みを浮かべてから再び真面目に考える――
ランズベリー家に仕える侍女やメイドの線もあるけど――
それだと、明らかにキールの“地位名誉目当て”で近付く、僕も嫌いなパターンだ――
(キールは優しいから騙されそう…………)
そして、僕の中でプツリと何かが切れた――
うだうだ考えてても埒が明かないし、直接聞いた方が早いに決まってる。キールに問い詰めたら本性バレそうだし、ミスティーに聞こう――
茶会でビターをよく見ているあの子は、いつもひとりで友人らしき人もいなそうだから、バラされる事もない。仮にバラされても、茶会で猫を被った僕を知ってる人はどうせ誰も信じない――
幸い、あの子とはちゃんと話した事もないから、当然猫を被った僕を知らない。今後関わる事もないから聞くには最適な人物――
そう思ってたのに――
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
いざ、茶会であの子に聞いて返ってきた内容は想定外で唖然とした――
(ビターのそばで役立つ為に王族近衛騎士に?……うわぁ……めちゃくちゃ今後も関わるし……早まったかも……)
僕はそう後悔しながら話を聞いていた――
なぜか、不思議と“王族近衛騎士になれないかも”なんて考えもしなかった。
きっと、いつか王族近衛騎士になるんだろうと思っていた。
なぜなら、真剣な目で語られた話から、キールと特訓してる懸命な努力が伝わってきたっていうのもあるけど――
単に、“誰かの為”っていうのが僕と似てるから、頑張って欲しかっただけかもしれない――
だから、“協力する”って言った気持ちに偽りはない。けど、僕が嘘で聞き出した事で信用は地に落ちた――
そもそも、近付いた理由も最低過ぎたし、それは当然だろう。
直接助けるのは嫌がられるだろうから、間接的に陰から助けるぐらいはしないと――
僕はバカじゃないから、この先“ミスティー”に降り掛かる困難ぐらいわかる――
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
案の定試験当日に、ミスティーを嵌めようと企む連中を阻止したまではよかったけど、茶会で想定外の事が起こった――
令嬢達が動く事は想定していたから、令嬢達がいる時にミスティーに近づかなければ大丈夫だと思っていた。
でも、令嬢達はミスティーに詰め寄った。僕の判断ミスでミスティーを傷付けて、近付く事を拒絶された――
元々、深く関わるつもりなかったんだし、これでよかったのかもしれない――
それでも、陰ながら助ける事は続けて償うつもりだ。
もし、僕が浅はかにミスティーに近付いてなかったら、ミスティーが困っていようが放っておいただろう。そう考えると、ちょっと感慨深い――
(さよなら……初めての友人……)
その日、僕は令嬢初の友人と思える存在を失った――
▼ ▼ ▼ ▼ ▼
次回、ミスティーに近付く人物とは!? 作中でビターに伝えた言葉のミスティーの心の内も明らかに!?
※近況ボードに前回の次回予告についての謝罪等書いてます
それは、定期的に開かれる茶会でビターを眺める事も、サンセの冷やかしを恐れて封印するまでに――
(“好き”という感情を考えて、トレーニングを疎かにして試験に落ちたら、今までの頑張りが全部無駄になるもの……。何より、協力してくれた姉様とキール様に合わせる顔がない……今は無心あるのみ!)
そんなミスティーの頑張りもあり、キールから絶対合格出来ると太鼓判を貰い、ついに試験当日を迎えた――
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
ミスティーが試験会場でもある城へ足を踏み入れると、既にたくさんの志願者達が集っていた――
この時になって初めて“女が兵士見習い試験を受ける”という事が明るみになり、ミスティーの存在に周囲は騒然となった。
この年は貴族の志願者は少なかった為、ミスティーの男嫌いを知る者は少なかった。皆ミスティーを見てヘラヘラと浮ついた笑みを浮かべ、ヒソヒソと喋っている――
「(あの子すっげー可愛いくね?)」
「(誰か話しかけてみろよ)」
しかし、ミスティーと目が合った者達の顔が続々と引き攣り、忽ち静かになった。
この年、同じく試験を受けるサンセも、この周囲の様子にクスリと笑ってからミスティーへ近付いて声を掛けた。
「結局、頼って来なかったね?」
「……あなたの協力なんて頼んでないので」
「……はいはい、まぁ精々頑張って?」
サンセはそう言ってミスティーを見る事なく手をヒラヒラと振り、ミスティーから離れた場所で試験の指示を待つ。
(何あの言い方! 私を苛立たせる天才!?……っ……いけないいけない。またサンセのペースに巻き込まれて“素”が出てる。“騎士”はどんな時も冷静に、それでいて“素敵なレディ”の振る舞いも忘れずに……)
ミスティーがそう言い聞かせると、ちょうど試験内容を伝える衛兵が志願者達の前に姿を現した。告げられた試験内容は、運動能力や持久面を見るものだった――
(あ……だからキール様合格出来るって……。絶対緊張すると思ってたのに、姉様とキール様のおかげでリラックス出来てる)
ミスティーは“今まで頑張ってきた事をやるだけ”と落ち着き、その表情にはふたりへの感謝の微笑みが浮かんでいた。
他の志願者達も、試験内容に拍子抜けしたように余裕の笑みを見せていた……が――
持久走の試験が始まると、一部の志願者達の顔が険しいものへと変わっていった。
いつ終わるかも、どのぐらい走るかも知らされぬまま、“歩いたり止まったら失格”とだけ告げられて始まった為、肉体的にも精神的にも限界という所まで追い込まれた。
そんな彼らの横を、ミスティーは顔色を変える事無く平然と走っていた――
(なんでそんな平気な顔してられるんだよ……)
(疲れてないのか!?)
(俺がこの子より劣ってる!?)
ミスティーが彼らの視線を感じ、スピードをあげて追い越して前を走ると、彼らの表情が血迷った企みの顔へと変わった。
――女なんかに負ける? そんな事になれば笑い物になる……そんな事になる訳にはいかない。なら、道ずれにすればいい――
そんな悪魔の囁きとも言える考えが彼らの頭の中を支配しかけた時、別の悪魔の囁きが――
「そんな事する方が恥晒しだと思うけど?」
いつの間にか彼らの横へ気配なくやって来ていたサンセが、平然と低い声でそう告げた。
「なっ! いつの間に俺らの横に!?」
「そ、そんな事って何だよ!」
「そ、そうだよ! 変な言いがかりはやめろよ」
「変な言いがかり? 悪巧みしてる顔してたのに?」
そう冷たい目で告げたサンセに、彼らは恐怖で足が縺れて揃って転び失格となる――
(……こんな簡単に自滅するなら元から兵士に向いてないね)
サンセは走りながら振り返り、転んだ彼らに冷酷な微笑みを向けると、何事もなかった顔付きで走り去った――
「……あ、悪魔だ……」
彼らは顔面蒼白で震え、それに疲れも加わってしばらく立ち上がる事が出来なかった。
この件がトラウマになったのか、彼らはサンセのせいで転んだ等と騒ぎ立てる事もなく、大人しく試験会場を去っていった――
一方、そんな事が起こっていたとは露知らずのミスティーは、無事完走したものの疲れて座り込み、息切れで喋る事も困難な程に疲労困憊していた。
(試験前のリラックスして安心しきってた自分を叱りたい……。命をかける危険な仕事の試験が“生易しいものではない”と考えればわかるのに……。もっと……もっと頑張らなくちゃ……まだまだ頑張りが足りない……)
ミスティーはそう気を改めて前を見ると、サンセが平然と壁に寄りかかって立っているのが視界に入った。
(全然疲れてない?…………負けた……悔しい……)
ミスティーは勝負していた訳でもないのに、サンセの余裕すら感じられる姿に勝手に敗北感を味わい、更にライバル心に火がついたのだった――
暫しの休憩の後、最終試験の面接が行われた。王と数名の王族近衛騎士の強者とわかる存在感に圧倒され、その視線を一斉に浴びて上手く言葉が出ない志願者が多数いた。
ミスティーもその内のひとりで、聞かれた事を答えたそばから、自分が何を聞かれてどう答えたか覚えていない程に緊張で混乱していた。
そんな状態だったからこそ、ミスティーは素直な気持ちをそのまま喋ってしまった――
「――では、あなたは女性ですが、なぜ兵士に志願したのですか?」
「……ビター様のお役に立ちたいからです」
ミスティーのその答えに、王族近衛騎士達は顔を見合わせて反応に困る顔をした。
そんな中、王は楽しげにニッコリ笑った。
「へぇー、ビターの役に? それはどうしてだい?」
「……助けてもらった恩返しがしたいんです」
「そっかそっかー。ビターに恩返しをねー」
ブライのウキウキと弾んだ声に、王族近衛騎士達は顔を見合わせ、諦めたように黙った。
「……この国の未来は明るいね。本試験も頑張ってくれたら嬉しいな」
そう言ってニッコリ微笑んだブライの顔は、しっかりした王としてでなく、息子が慕われている事を喜ぶ優しい父親の顔をしていた――
その言葉はすなわち合格だと言っているようなものなのだが、緊張していたミスティーは数日後に届いた合格通知で結果を知る事となる――
ミスティーの合格を姉は喜んだが、両親は複雑な気持ちで喜べずにいた。
合格とは言ってもあくまで見習い兵士で、本試験で兵士になれるかが決まる為、ミスティーは両親と再び約束をした。
16歳の本試験でダメだったら諦めると――
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
ミスティーが兵士見習い試験に合格し、城で日々訓練を行っているという噂は瞬く間に広がった――
試験後初となる茶会では、ミスティーが会場に入るや注目の的だった。大抵は遠目からヒソヒソと変な物を見る目で話されていたが、サンセ信者の令嬢達だけはズカズカとミスティーの前に進み、ミスティーはあっという間に囲まれた。
「あなた……兵士に志願して合格したそうね?……そこまでしてサンセ様のそばにいたい訳!?」
(……え? あんな人のそばにいたいなんてこれっぽっちも思ってな――)
「普段全然興味ないフリして抜け駆け!? 正気なの? 信じらんなぁーい」
「……違います。何か誤解されているのでは?」
ミスティーは呆れてため息を吐き、冷静に言葉を選んでそう伝えたが、ミスティーの視線は彼女達には不愉快だと言いたげな生意気な視線に見えていた。
「何よその目! 違う訳ないでしょ!? 女が兵士? そんな野蛮な事してでもそばにいたいなんて……」
その言葉を皮切りに、クスクスとミスティーを嗤い侮辱する陰口がミスティーの耳に聞こえてきた――
「(そういえば、前は男にもてはやされていい気になってたかと思えば、最近はすっかり男の取り巻きがいないわよね?)」
「(決まってるじゃない! この女の本性に気付いて離れて行ったんでしょ?)」
「(なんでも、上から目線で睨みつけてるらしいじゃない。そりゃ離れもするわねー)」
「(ましてや、女なのに兵士に志願する野蛮な女なんて……願い下げよね?)」
ミスティーがそう思ってもいない事や、事実を都合のいいように捉え、憶測の出来事を作り出してクスクス嗤う令嬢達の醜悪さに、ミスティーは言葉も出ずに俯いた――
(聞こえるように陰口かぁ……。事実じゃないから何ともないはずなのに……私はあの子達にそんな風に見えてたのかと思うと……ちょっと……辛いかも……)
ミスティーはサンセ信者の言うように、思惑は違えど、結果サンセに近付いた事が祟った神からの罰のように思えた。
(“触らぬ神に祟りなし”……近付く事勿れ……わかってたのに……。イケメンは神様にもモテるんだ?)
ミスティーはこの時、精一杯の強がりからの冗談でクスリと笑うつもりだった――
(笑うつもりが……ちっとも笑えない。……こんな人達が“お淑やかな素敵なレディ”なの? っ……これじゃ私も同じ……)
ミスティーは自分の中に“皮肉して侮辱する感情”がある事に、目の前の醜悪な令嬢達と何ら変わらない事実に幻滅していた――
「(さっきから俯いちゃって……まさか泣いちゃう? か弱い女ぶってまた取り巻きの男達に慰めて貰えば――)」
「ねえ、それは美しくないんじゃない?」
突然聞こえた声に令嬢達は騒然と色めき、ミスティーは呆然とその人物を見つめた――
(なんで……サンセがいるの?)
「……みんなにはこんな醜い事似合わないと思うなぁ……」
サンセがそう儚げに呟けば、一際色めく奇声があちこちで上がり、口々に「サンセ様がそう仰るなら――」と声を上げ「サンセ様、私達とお喋りしましょう?」と令嬢達は目を輝かせた。
「あ、ごめん。実はビター達が待ってるんだよね」
サンセの言葉に再び色めく奇声が上がり、それならむしろ大歓迎とばかりに、令嬢達は喜んでサンセのそばを離れて行った――
それもこれも全てサンセの思惑通りで、どう言えば面倒な事なく場が収まるかの最善の手だった訳だが――
ミスティーは自分に対するサンセの態度の違いに驚き、吐きそうなまでの気持ち悪いものを見たような顔をしていた。
「何その顔。助けた恩人に対してあんまりじゃ――」
「近付かないで! ゲインさん!」
おどけた口振りで近付いてきたサンセの言葉が終わるよりも早く、ミスティーは直接的な言葉と間接的な苗字呼びでサンセを拒絶した。
ミスティーは“近付く事勿れ”という自分の教訓を身をもって体験し、それを実践しなければまた何か言われかねない事が、ただただ怖かった――
「……びっくりした……初めてそんな風に呼ばれたかも。サンセでいいのに」
「では、サンセットさん……近付かないで下さい」
今度はサンセに愛称呼びでいいと言われたのに、ミスティーはあえて名前呼びと敬語で再び拒絶の意思を示した。
「……確かに……僕が近付いたら迷惑だよね……浅はかだった……ごめん」
サンセは申し訳なさそうにそう言ってミスティーのそばを去っていく――
(……ごめんなさいサンセットさん……。私が勝手にライバル心を持ってただけで、サンセットさんは何も悪くないのに……。私がこれ以上傷つきたくないからって酷い態度で遠ざけて……ごめんなさい……)
ミスティーはサンセの後ろ姿を見つめ、懺悔するようにそう思った。サンセが見えなくなるまでミスティーが頭を下げていると、そこに近付いてきた人物がいた――
▼ ▼ ▼ ▼ ▼
【おまけのSS~サンセ視点~】
そう、それは本当に偶然だったんだ――
その日サンセは、昔お世話になったおばさんの本屋に行って、貴族の邸宅が点々と並ぶ道まで戻ってきた所だった――
(ひとりで出掛ける許可は出ても、平民の城下街に行ったなんて知られたら煩そうだし……貴族街の店でもなんか買って帰った方が怪しまれずに済むかな?……ん? あれは……キール?)
僕は、偶然キールが人目を避けるように脇道へ入って行くのを見てしまった。
(あの先って確か……何もないはず……)
僕はそう思ってキールの後を追うように脇道の手前まで駆け出し、塀に隠れながらキールの行った方向をそっと覗うと、道には誰もいなかった。
(え……この短時間で見えなくなる距離じゃない。と、なると……この邸宅は……ランズベリー家?)
僕はキールがランズベリー家の中に入ったとしか思えなかった。
(キールなら容易くこの塀は越えられるだろうけど……こっそり塀から入るなんて怪しい――)
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
家に帰った僕は、ここ最近のキールの様子で気になる点を考える――
そういえば、キールの次の休みに稽古してもらう約束をすると、“その日は用事があってダメなんだ”って言われる事がちょいちょいあったっけ――
それでいて、ビターですらその用事を知らないから仕事じゃない――
キールは家出中の身だから“クルスナー家関連”でもないし――
(……まさか、女関連? 女より剣を選びそうなキールが? それはないな……)
そう頭で否定しつつも、僕の頭の中は幼少期に叩き込まれた貴族リストのランズベリー家の事を思い出していた。
確か、令嬢はふたりいて、僕と同い年の子と、2こ上だったはずだ――
(……キールって……ロリコン?)
僕はそう冗談っぽく苦い笑みを浮かべてから再び真面目に考える――
ランズベリー家に仕える侍女やメイドの線もあるけど――
それだと、明らかにキールの“地位名誉目当て”で近付く、僕も嫌いなパターンだ――
(キールは優しいから騙されそう…………)
そして、僕の中でプツリと何かが切れた――
うだうだ考えてても埒が明かないし、直接聞いた方が早いに決まってる。キールに問い詰めたら本性バレそうだし、ミスティーに聞こう――
茶会でビターをよく見ているあの子は、いつもひとりで友人らしき人もいなそうだから、バラされる事もない。仮にバラされても、茶会で猫を被った僕を知ってる人はどうせ誰も信じない――
幸い、あの子とはちゃんと話した事もないから、当然猫を被った僕を知らない。今後関わる事もないから聞くには最適な人物――
そう思ってたのに――
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
いざ、茶会であの子に聞いて返ってきた内容は想定外で唖然とした――
(ビターのそばで役立つ為に王族近衛騎士に?……うわぁ……めちゃくちゃ今後も関わるし……早まったかも……)
僕はそう後悔しながら話を聞いていた――
なぜか、不思議と“王族近衛騎士になれないかも”なんて考えもしなかった。
きっと、いつか王族近衛騎士になるんだろうと思っていた。
なぜなら、真剣な目で語られた話から、キールと特訓してる懸命な努力が伝わってきたっていうのもあるけど――
単に、“誰かの為”っていうのが僕と似てるから、頑張って欲しかっただけかもしれない――
だから、“協力する”って言った気持ちに偽りはない。けど、僕が嘘で聞き出した事で信用は地に落ちた――
そもそも、近付いた理由も最低過ぎたし、それは当然だろう。
直接助けるのは嫌がられるだろうから、間接的に陰から助けるぐらいはしないと――
僕はバカじゃないから、この先“ミスティー”に降り掛かる困難ぐらいわかる――
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
案の定試験当日に、ミスティーを嵌めようと企む連中を阻止したまではよかったけど、茶会で想定外の事が起こった――
令嬢達が動く事は想定していたから、令嬢達がいる時にミスティーに近づかなければ大丈夫だと思っていた。
でも、令嬢達はミスティーに詰め寄った。僕の判断ミスでミスティーを傷付けて、近付く事を拒絶された――
元々、深く関わるつもりなかったんだし、これでよかったのかもしれない――
それでも、陰ながら助ける事は続けて償うつもりだ。
もし、僕が浅はかにミスティーに近付いてなかったら、ミスティーが困っていようが放っておいただろう。そう考えると、ちょっと感慨深い――
(さよなら……初めての友人……)
その日、僕は令嬢初の友人と思える存在を失った――
▼ ▼ ▼ ▼ ▼
次回、ミスティーに近付く人物とは!? 作中でビターに伝えた言葉のミスティーの心の内も明らかに!?
※近況ボードに前回の次回予告についての謝罪等書いてます
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