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序章 神降臨
第1話 プロローグ
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第1話 プロローグ
――あるところに、優しい“光の神様メシア”と、悪い“闇の神様メシス”が住んでいました――
その出だしで始まる絵本【メシアとメシス】は、チョコランタ王国で代々語り継がれ、老若男女問わず有名な――遥か昔に本当に起こったお話――
そんなふたりの神様に加護を授かると【魔法】が使えるようになるんだって。
でも、加護を授かったのはチョコランタ王国の【王族】だけで、生まれてきた子供は使えるけど、嫁いで来た人は使えないんだとか――
「――くそ! あのガキどこいった!」
「探せ!」
(ふー……何とか撒けた……)
バタバタと遠ざかっていく男達の複数の足音を、私は物陰に隠れてやり過ごし、ホッと胸を撫で下ろす。
私は今、チョコランタ王国の城下街に、 幼なじみと買い出しに来ていたんだけど――
初めて見る街に興奮して幼なじみとはぐれちゃって、あげくにさっきの人達に追いかけられてるんだ――
(……そろそろいいかな?)
私は物陰から出て、幼なじみと合流すべく再び歩き出す――
あ! 申し遅れました! 私の名前はメシア! 今は2歳の可愛い女の子です!
神様と同じ名前、同じ白銀の髪、サファイアのように輝く青い瞳。絵本の神様も幼い子供のような姿で見た目もそっくり。
それで、今もフード付きマントを深くかぶって髪と瞳を隠しているんだけど、その理由は――
「あ! 小さい子供! あそこにいた!」
「あ! みちゅかった!」
振り返るとさっきの追っ手とわかり、私は人混みに紛れるように必死に走って逃げる――
私が追われる理由もさっき言いかけた事と同じで、遡ること約3年前――
毎年秋に催される女神誕生祭の日、私は赤ちゃんの姿で空から降りて来たらしい――
その時の事は私は眠ってて覚えてないけど、目覚めて最初に見たのは――
白銀の髪ときれいな青い瞳で、猫耳と猫のようなしっぽのある【獣人】の幼い男の子。
当時5歳ぐらいにも関わらず、私のお世話をしてくれた――
――当時を思い返していると、どこからともなくチリーンと鈴の音が響き、ハッと街中に意識が戻る――
「メティー!」
(あ! 噂をすれば!)
声のした民家の屋根の上を見上げると、獣人とバレないようにマントのフードを深くかぶった、当時より少し成長した幼なじみの姿があった。
“メティー”というのは、私が自分の名前を上手く言えなくて、メティアと言ったのがきっかけで付いたあだ名なの。
今の私がいるのはこの命の恩人、シアのおかげ。
「しーちゃん!」
私が笑顔でそう呼ぶと、しーちゃんはいつも恥ずかしそうに困った顔をする。だから、フードを深くかぶってても赤くなった頬が見えた。
しーちゃんは、屋根から軽やかに私の前に飛び降りた。
「いたぞ! あそこだ!」
「っ……だから“岩穴”で待っててって言ったのに」
追っ手に見つかり、しーちゃんは不貞腐れながらも私を素早く抱っこして走り出す――
(わ! さすが獣人のしーちゃん! 速い!)
私は落ちないように必死にしーちゃんにしがみつくと、鈴が付いた首輪が見えた――
これがさっきの鈴の音の正体――
私が何気なしに使った“神の力で出来た鈴”――
――あ! “岩穴”というのは、今私達が隠れ住んでいる“お家”のこと。
私がひとりで留守番はヤダと駄々をこね、無理に連れてきてもらって……結果、こうして迷惑をかけちゃったんだ――
なんで追われているか?
それは、私が降りてきたっていう日に“お触れ”が出されたの。
『絵本のような白銀の髪と、サファイアの様な青い瞳をもつ者を探せ!』
絵本のような……つまり、小さい子供――
普通の大人は、子供ってだけでチラ見はされても、マントで隠していれば無理に捕まえようとしない。
でも、さっきみたいな少しガラの悪い人達は、子供ってだけで追ってくる――
捕まって髪や瞳を見られたらアウト! だから、私は見つかったらいけないの――
しーちゃん曰く、私は本当に神だからって――
――え? 2歳にしては随分喋れるって?
それは、私の中身が大人だからなんだよね――
だから、最初今はって言ったの。自分の事を“可愛い”と言うのは、痛い子だと重々知ってる。
だからこそ、初めて自分の姿を鏡で見た時“違和感”を感じた。前の私とは、似ても似つかない可愛さレベルだと思うんだよね。
――そう、前の私……つまり私、どうやら異世界転生したっぽいの――
なんでさっきから“曖昧な言い方”なのかというと――私は前世の記憶を失ってるから――
――あるところに、優しい“光の神様メシア”と、悪い“闇の神様メシス”が住んでいました――
その出だしで始まる絵本【メシアとメシス】は、チョコランタ王国で代々語り継がれ、老若男女問わず有名な――遥か昔に本当に起こったお話――
そんなふたりの神様に加護を授かると【魔法】が使えるようになるんだって。
でも、加護を授かったのはチョコランタ王国の【王族】だけで、生まれてきた子供は使えるけど、嫁いで来た人は使えないんだとか――
「――くそ! あのガキどこいった!」
「探せ!」
(ふー……何とか撒けた……)
バタバタと遠ざかっていく男達の複数の足音を、私は物陰に隠れてやり過ごし、ホッと胸を撫で下ろす。
私は今、チョコランタ王国の城下街に、 幼なじみと買い出しに来ていたんだけど――
初めて見る街に興奮して幼なじみとはぐれちゃって、あげくにさっきの人達に追いかけられてるんだ――
(……そろそろいいかな?)
私は物陰から出て、幼なじみと合流すべく再び歩き出す――
あ! 申し遅れました! 私の名前はメシア! 今は2歳の可愛い女の子です!
神様と同じ名前、同じ白銀の髪、サファイアのように輝く青い瞳。絵本の神様も幼い子供のような姿で見た目もそっくり。
それで、今もフード付きマントを深くかぶって髪と瞳を隠しているんだけど、その理由は――
「あ! 小さい子供! あそこにいた!」
「あ! みちゅかった!」
振り返るとさっきの追っ手とわかり、私は人混みに紛れるように必死に走って逃げる――
私が追われる理由もさっき言いかけた事と同じで、遡ること約3年前――
毎年秋に催される女神誕生祭の日、私は赤ちゃんの姿で空から降りて来たらしい――
その時の事は私は眠ってて覚えてないけど、目覚めて最初に見たのは――
白銀の髪ときれいな青い瞳で、猫耳と猫のようなしっぽのある【獣人】の幼い男の子。
当時5歳ぐらいにも関わらず、私のお世話をしてくれた――
――当時を思い返していると、どこからともなくチリーンと鈴の音が響き、ハッと街中に意識が戻る――
「メティー!」
(あ! 噂をすれば!)
声のした民家の屋根の上を見上げると、獣人とバレないようにマントのフードを深くかぶった、当時より少し成長した幼なじみの姿があった。
“メティー”というのは、私が自分の名前を上手く言えなくて、メティアと言ったのがきっかけで付いたあだ名なの。
今の私がいるのはこの命の恩人、シアのおかげ。
「しーちゃん!」
私が笑顔でそう呼ぶと、しーちゃんはいつも恥ずかしそうに困った顔をする。だから、フードを深くかぶってても赤くなった頬が見えた。
しーちゃんは、屋根から軽やかに私の前に飛び降りた。
「いたぞ! あそこだ!」
「っ……だから“岩穴”で待っててって言ったのに」
追っ手に見つかり、しーちゃんは不貞腐れながらも私を素早く抱っこして走り出す――
(わ! さすが獣人のしーちゃん! 速い!)
私は落ちないように必死にしーちゃんにしがみつくと、鈴が付いた首輪が見えた――
これがさっきの鈴の音の正体――
私が何気なしに使った“神の力で出来た鈴”――
――あ! “岩穴”というのは、今私達が隠れ住んでいる“お家”のこと。
私がひとりで留守番はヤダと駄々をこね、無理に連れてきてもらって……結果、こうして迷惑をかけちゃったんだ――
なんで追われているか?
それは、私が降りてきたっていう日に“お触れ”が出されたの。
『絵本のような白銀の髪と、サファイアの様な青い瞳をもつ者を探せ!』
絵本のような……つまり、小さい子供――
普通の大人は、子供ってだけでチラ見はされても、マントで隠していれば無理に捕まえようとしない。
でも、さっきみたいな少しガラの悪い人達は、子供ってだけで追ってくる――
捕まって髪や瞳を見られたらアウト! だから、私は見つかったらいけないの――
しーちゃん曰く、私は本当に神だからって――
――え? 2歳にしては随分喋れるって?
それは、私の中身が大人だからなんだよね――
だから、最初今はって言ったの。自分の事を“可愛い”と言うのは、痛い子だと重々知ってる。
だからこそ、初めて自分の姿を鏡で見た時“違和感”を感じた。前の私とは、似ても似つかない可愛さレベルだと思うんだよね。
――そう、前の私……つまり私、どうやら異世界転生したっぽいの――
なんでさっきから“曖昧な言い方”なのかというと――私は前世の記憶を失ってるから――
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