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平和な世界線in女体化
女になっちまいました20
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数日後、夕方に来客があった。誰だろうとインターホンをとると、矢崎柘榴の秘書の楠さんであった。来訪理由を訊ねると、明日の夜に川田グループの20周年を記念するガーデンパーティーがあるとの事で、参加してほしいと要望があった。
なぜ俺がと訊き返すと、仕事場での直の事を知るいい機会だからと話した。それってなんて拷問?頭が痛くなるわ。
断ろうとしたが、半ば強引に招待状を押し付けられて返す暇もなかった。渡し逃げとかムカつくわ。男であったなら全力で追いかけて突っ返していたのに。
はあ、最悪――と言う事で、嫌々参加させられた翌日、立派で荘厳な大豪邸の威容を前に、何度来ても場違いな場所に足を踏みしめた。
送迎付きの車を降りてすぐに周りを見渡せば、大物俳優から大物政治家までのたくさんの着飾った重鎮が談笑しあっている。もちろんどの人物も英語やらフランス語などの外国語で会話をしていて、何話しているか全くわからん。やっぱり俺には場違いだ。帰って美少女エロゲしていた方がマシだ。
ガーデンパーティーということで広い庭での立食会。自分も楠さんに用意された青いミニドレスを着用しているが、自分だけ誰とも会話をしていないので浮いているような気がしてならない。
「御嬢さん、キュートだね。どこのご令嬢デスカ?」
「へ?あ、いや……あの、の、ノーセンキューでごわす!しーゆーあげいん!」
生粋のガタイの良い白人に声をかけられてしまい、なんとなく怖くなって申し訳ないがその場を走り去ってしまった。外国人のナンパはよくないと直から教えてもらった事があるので、言いつけ通りに回避しただけのつもりである。が、ヒールの高い靴で走ったのがよくなかった。
慣れない靴のせいか足首をひねってしまい、その場で盛大にずっこけてしまった。しかも、ずっこけた際に通りすがりのボーイも足をひっかけたらしく、手に持っていたワインやエビのチリソース的な食べ物を頭から浴びてしまった。周りからはどっと笑い声が響き渡った。
周りはこちらを見て英語やらフランス語で明らかに嘲笑している。次第に羞恥心がこみあげてくる。
最悪だ。ドレスがエビのソースやらワインのシミやらで汚れてしまった。おまけに頭にもかかってしまい、全身がワインソースまみれでひどい有様。誰か拭く物を貸してくれないかなと周囲に視線を移すと、秘書の楠さんがこちらを助ける事無く一緒に笑っている姿が目に入った。
ひでえな。これはあんまりだろ。ここに俺を呼んだのはこんな幼稚な真似をして恥をかかせるためだったんじゃないかって疑ってしまう。いろんな意味での仕込みかと。
「痛っ……!」
立ち上がろうとしたら、足首を捻ったせいか立ち上がれない。捻挫をしたみたいで力を入れると余計に痛みが走る。片足で力を入れて歩かなければならない状況だ。しかも、周りは誰も助けてはくれない状況で、未だに誰もが好奇に笑っているだけ。社交界というのは思ったほど冷たい世界なんだと思い知る。
でもこんな場所にいつまでもいたくないと思い、足を引きずりながらなんとか会場外へ向かう。が、途中また転びそうになった時――誰かが腰を持って支えてくれた。
「大丈夫?甲斐ちゃん」
「あ、相田……?」
相田が体を支えてくれていた。自分のスーツが汚れるのもお構いなしに。
「とりあえず着替えと足の手当てをしに行こっか」
「あ、あの……お前のスーツが汚れちまうよ」
「いいよ別に。スーツの一つや二つくらい。一人の可憐な女の子が困っているのに、誰一人助けようとしないここにいる奴ら全員にムカついているもの」
「相田……」
「この場には誰も紳士や淑女はいないわけだぁ。薄情な奴らばっかだよねー社交界って。矢崎柘榴の派閥も川田グループもクソみたいな奴ばっかって象徴してるもんじゃーん」
相田の睨むような視線と当てつけのような台詞に、周囲が凍りつく。裏社会のトップに立つ男の孫の発言は、矢崎直と同等の発言力と影響力があり、相田も実はそれなりな雲の上の存在なんだと後に知る。
「ま、あとで誰かの家と立場が消えてても文句言わないでよね。ここに来ている全員が薄情なクズの集まりだって爺様に言っておくから~」
ざわつく会場内。青褪める面々。相田は俺を支えながら連れ出した。
「これでよし、と」
別室で着替えて相田から手当てを受けた。もうドレスは着たくなかったのでスーツを借りた。
「ありがとう。お前がいなかったらあの姿で帰る羽目になっただろうし」
「いーのいーの。おいらは甲斐ちゃんのお助け王子様でありたいから」
「なんでそこまで……。そりゃあ助かるけど、あんたって損得で動くような人間ていうか、どうでもいい事に首突っ込むような人間じゃないというか……」
「いいよ。その通りだし。オイラはどうでもいい事に首突っ込む程ヒマな人間じゃない。でも、甲斐ちゃんの事はどうでもいいなんて思った事ないけど」
「え、そうなのか」
「うん。だって一緒にいて退屈しそうにないし、楽しいって思うもん。ぶっちゃけもっといたいって思ってる」
「……えっ」
どきっとした。まるで求愛に聞こえたような気がしたが、きっと友達として言ってくれたんだろう。そう思う事にする。
「あらその顔、もしかしてドキっとしちゃった?まるで求愛されたみたいで意識しちゃったとか」
「っ……何言ってんだよ。深掘りしすぎだ。お前の言い方が誤解しそうで困るんだよ。とにかくありがとな。俺は帰……うわ」
立ち上がった途端に足のバランスを崩してか、それとも相田に引き寄せられたのかわからないが、相田の胸の中で抱き止められていた。
「っあ……ちょっ……」
慌ててすぐに離れようとするが、抱き寄せられていて動けない。
「動かないで。ウイッグが服にひっかかってるよ……」
抱き寄せられたまま耳元で囁かれた。鳥肌がぞわりと立った。
「っ……じゃあ早くとればいいだろ」
「なら、じっとしてて」
相田が引っかかっているうなじ部分に唇を近づけてきた。よりにもよって、なんでこの体勢で口で取ろうとするんだと思いながらもじっとする。うなじに唇の感覚と吐息の熱がかかり、妙にドキドキしてしまう。やっと服と毛が取れた瞬間、俺は慌てて離れた。
「感じちゃった?」
おどけた態度の相田に緊張した俺がバカだった。
「アホか。わざとおちょくる真似しやがって楽しんでんじゃねぇよ」
「だって本気にしてくれたらまたさらに面白いなあって思ったも~ん」
「お前となんぞ冗談はよしこさんだ。とにかく捻挫の手当てサンキュー。俺は帰るからな」
逃げるようにその部屋を出る。相田のあの熱っぽい視線が息苦しくて見ていられなかった。あのまま一緒にいたらどうなっていたのだろう。と、想像するのも怖くなったので止めた。
中庭でまだガーデンパーティーが開かれている中、さっさと帰ろうとタクシー乗り場に向かっていると、副社長のオバさんがこちらに気づいて呼び止めてきた。
「先ほどは不快な思いをさせてしまったようで詫びますわ。申し訳なかったわね」
そう謝罪しながらも、こちらを嘲笑う態度が見え見えだった。社長とか位の高い人間ってみんなこういう人間ばっかなのか。呆れるわ。
「謝らなくていいんで。帰ります」
さっきのずっこけもどうせ仕込みでわざとだろうし、謝られても何も心に響かない。こいつら矢崎財閥に付き合ってられるか。
「もう帰るの?」
「足を捻挫したので」
「では最後に直の様子を見に行かれてはどうかしら。そのためにあなたをここに呼んだのですから」
「……」
逢いたいような、でも逢ってはいけないような、複雑な気持ちが渦巻く。逢えばきっと結婚する事実から目をそむける事ができなくなるような気がして怖い。だけど、いずれはその現実を知ることになるのなら、今それを知った上で納得した方がまだ傷も少ない。だから「遠くからなら」と、自分に言い聞かせるようにして頷いた。
オバさんに連れられて目立たない場所に移動した。向こうの方で人だかりが見え、その隙間から直の姿を見つけることができた。ああ、一年ぶりに見る生の直だ。長い間離れ離れになっていた懐かしさのようなものを感じて、ぎゅっと胸が締め付けられる。
あれが、直なんだな。
直が別人のように思えた。自分の知らない次期社長としての社交界での顔を初めて見る。何か国もの外国語を流暢に話し、どんな企業主やグループの社長とも堂々とした振る舞いで会話をしている。とても立派であり、凛々しい。どこからどう見てもトップに立つ威厳を持つ者の姿だった。
「直はこれから何千何万という部下の上に立ち、動かしていく人間となるのですよ」
そう、その言葉の通りだ。もう手が届かないような雲の上の存在のようにも見えて、俺は直が知らない人のように思えた。
「生半可な気持ちではトップとしての威厳を損なってしまう。直には恋愛に溺れて自分の立場を忘れてほしくないのです」
「…………」
「だから、直の事はもうお忘れなさい」
隣でオバさんが直と別れるようにと語りかける中で、俺はぼんやり直の姿を捉えていた。
その後、どんよりとした気分で踵を返す。さっさとこの場を後にしようと車に乗り込む際、向こうの方で直が秘書の久瀬さんと歩いてくるのが見えた。直の方も場所を移動するのだろう。その隣には噂の婚約者の川田凛々子が直と腕を組んでいる。見たくなくて、俺は急いでタクシーに乗り込んだ。
*
「直様、これからクラウンホテルの方に……直様?」
オレは首元のネクタイを緩めた。なんだか先ほどから体が熱くて頭がぼうっとしている気がする。付き合いでの酒を少し呷りすぎたか。だが今はそんな些細なことはどうだってよかった。
「っ……オレ、抜ける。後の事は頼んだ」
「しかしこれからホテルで改めて晩餐会がございますが……」
「オレがいなくても大丈夫だろう。ババアと正之がほとんど仕切っている」
「しかし……」
「車を用意しろ久瀬。命令だ」
オレが強く要求すると、久瀬は仕方ないと溜息を吐いてスマホを取り出した。久瀬が車の準備をしている間にオレは改めて電話を掛ける。しかし、肝心の相手はやっぱり繋がらない。やっぱりまだ着信拒否をされている。
「甲斐……っ」
すれ違いが憎らしい。逢いたい。
「私を蔑にして誰に電話をしているのです?」
川田が赤い顔をして寄ってくる。フラフラで足元はおぼつかない。
「お前に関係ない。消えろ」
「ふふ、相変わらずですのね」
川田の手には何杯目かわからないワイングラスが握られている。
「また悪酔いしているのか。面倒くせぇ女だな。酒を飲まないとオレと対等に話す事もできねぇくせして二重人格め」
「こうでもしなければあなたは私に見向きもしませんから」
川田が不敵に笑う。そういえば先ほど、付き合いで酒を飲んだ時、近くにこの女もいた事を思い出す。重役共と談笑をしていた時だ。そのワインを用意したのはまぎれもなくこの女だった。久瀬が別の案件でその場を離れていた時だったので、秘書の仕事をこの女がしていても不思議ではない。
「……何を飲ませた」
オレが鋭く川田を睨む。
「なんの事でしょう?」
「とぼけるな。お前がワインを持ってきていた事は知っている。オレはそのワイン以外は口にしなかったからな」
追及するように睨み続けると、観念したように川田は笑う。
「そんなに怖い顔をしないでください。ただのワインに少しばかりの媚薬を入れただけですよ」
「そんなモノを飲ませてオレの心が手に入るとでも?」
「思いません。でも、体は好きにできます。あなたはセックスがうまい女が好きなのだと聞きましたから」
薄ら笑う川田の手がオレの襟袖の中へ忍ぶ。が、
「オレに触るな!!」
嫌悪感に乱暴に払いのけた。
「たしかに昔はそうだったが、今はどんな女だろうがなんの魅力も湧きはしない。この世でたった一人を除いて」
「っ、あなたが……いつもうつつを抜かしている平民女の事ですか……?」
川田の顔が歪む。
「お前には関係ない。話す理由もない。婚約者だろうが秘書だろうが、プライベートまでお前と関わるつもりはない」
川田をもう一度睨みつけて、久瀬の運転する車に向かって乗り込む。川田が混入した媚薬のせいでますます熱さが上昇し、じんわり体に疼きがわいてきた。車の中ではひたすら我慢してポーカーフェイスを装う。久瀬に体調が悪いのかと心配されたが、酒のせいだとごまかした。
*
自宅に帰った俺はソファーでうなだれていた。直はあの川田凛々子と結婚するのかな。一年も離れていて、メールも電話もしていないから今更連絡を取りづらい。とは言っても、自分が辛くて嫉妬して勝手に連絡を絶ったに過ぎない。だってあの時は、本当に逢いたくなくて何も信じられなかったからだ。
でも、俺……どんなに傷ついても、直が別の人を選んでも、直が大好きなんだよな……。
今更変えられない事実に、やっぱりこの片思いは一生背負っていく羽目になりそうだ。
ピンポーン
自宅のチャイムが鳴ってびくっとした。入浴中の母ちゃんが代わりに出てくれというので、インターホン越しのカメラを眺めると固まった。
どうして……許嫁の女性と一緒にいるんじゃ……。
『甲斐。いるんだろ、わかってる』
思わず居留守を使おうと思ったけれど、こんな夜だ。いるのがばれてしまっているので出ないわけにはいかない。
「や、やあ……おひさ~。で、どうしたんだよこんな時間に。子供はもうウンコして歯を磨いて寝る時間だろぉ~」
一年弱ぶりの挨拶がこれってどうなんだと思うが、なんて言ったらいいかわからなかったのだ。
『逢いに来たに決まってるだろ……っ……ハア……ハア……』
なんだか直の動悸が苦しそうだ。
「顔色悪いようだけど、どうしたんだよ」
『気にするなよ。ただ、オレは……甲斐のそばにいたくて……いてもたってもいられなかったから……だから……逢いに、きた……っ』
とりあえずこのまま放っておけないので、扉を開けた途端、その手首を掴まれて引き寄せられた。あっという間に直の胸の中へ包まれて強く抱きしめられてしまった。
「っ、甲斐……逢いたかった」
「……っ」
「離れている間……ずっと、ずっとこうしたかった。触れたかった」
「直……っ」
熱い吐息が頬にかかる。顔も体もとても熱かった。
「甲斐……オレの愛しい甲斐。さみしかった……あえないのが辛かった」
抱きしめる腕が強くなって、苦しいと言っても弱めてはくれず、首筋や頬に唇を寄せてくる。
「っちょ……あんた体熱い……熱でも「ねぇよ」
「甲斐を抱きたい。抱いたら直るから」
「は、なんだよそりゃっ……」
「頼むからオレを拒まないで。逃げないで。オレだけを見て」
そう言っている直の顔は熱そうなのに、とても泣きそうだった。
「甲斐がそばにいるって信じさせて。もうお前と一時も離れていたくないんだ。ずっとずっとそばにいてくれ」
そうしてすぐに唇を奪われていた。息もできない様な痺れるくらいの熱いキスだった。そして、唇を離した途端、直にじっと至近距離で見つめられる。
「もう……離さないから」
「……え」
「全部片づけて、今度こそお前をもらうから」
直はそう言うけど、俺はまだ腑に落ちない。
「あんたは……あの川田って人が……」
「なんでもないから。あの女は無理やりババアがオレに宛がってきた女だ。オレとお前を引き離すために用意された刺客みたいなもの。あのキスだってあいつがいきなりしたものだから」
「っ、でも……今更そんな事……」
「遅くなってごめん。一年も何も弁解できなくて……っていうかお前はオレの事を信じてなかったのかよ……」
「……信じてた。信じてたけど、あんたがあの人とキスしているのを見てすっごくショックで、不安で、悲しくて……一時期、あんたを信じられなくなりそうで……冷静になるために音信不通になってしばらく距離を置こうと思ったんだ。今は……あれは仕込みだったんだなって理解してる。あんたも立場的に大変だったんだなって事も……わかってる」
俺は直の腕の中で震えながら話す。
「だけど、あれから一年以上も離れてりゃ寂しくて、もう俺の事なんか好きじゃないと思……」
もう一度、直によって唇を塞がれた。濃厚で激しいキスに腰がガクガクして痺れて、直に腰を支えてもらった。
「お前も同じ気持ちだったんだな……甲斐。寂しいって、うれしい……」
「っ……嬉しくなんかねーよバカがっ。お前のせいだよ。元々、こんな我慢が出来ない様な性格じゃなかったのに……お前のせいで、お前が好きすぎるせいでっ……我慢すらできなくなった。どうしてくれるんだよ」
「責任とって生涯面倒見るよ。お前を一生の伴侶にする。不安にさせてごめん……ごめんな、甲斐」
好きが限界まであふれて、さらにぎゅっと強く抱きしめあった。今すぐにでも二人きりになって求めあいたかった。だから母ちゃんに直の家に泊ると告げると、今度こそ離すんじゃないわよって言われた。おまけに去り際にグッドラックなんて言われてしまい、いろいろと察しられて恥ずかしかった。
「あの時のアンタ、俺の知ってる直とは別人で知らない人みたいだって思ったんだ」
久しぶりに横になる馴染みのベットの上で、俺は直に抱き寄せられている。何度目かの行為で疲れて一息ついている所。熱かった肌も少しだけ冷めて、直の手が何度も俺の頭を撫でながら髪を指で梳いた。
「あの会場に来てたのは驚いたよ。あんまり見てほしくなかったけど……」
「あんたが遠い人間のように見えて、さらに不安になった」
「仕事中のオレは所詮は矢崎直という作られたキャラだ。素のオレの事はお前がよく知っているだろう?」
「……うん。知ってる……」
抱き寄せられた手が俺の手を取って絡められる。温かい手だ。大好きな腕と胸の中で安心する。
「不安なのはオレも同じだった。寂しかった。メールも電話もお前が出ない時、オレがどれだけ悲しかったか……。もしかして嫌われたんじゃないかって、好きじゃないって言われるのが恐くて……」
「嫌いにならないよ。そう簡単にアンタを嫌いになんてなれない。大好きなんだから……」
「……嬉しい」
直が抱き寄せながら唇を重ねてくる。一度唇を離してじっと愛おしそうに見つめあうと、また再び熱に溺れていった。
なぜ俺がと訊き返すと、仕事場での直の事を知るいい機会だからと話した。それってなんて拷問?頭が痛くなるわ。
断ろうとしたが、半ば強引に招待状を押し付けられて返す暇もなかった。渡し逃げとかムカつくわ。男であったなら全力で追いかけて突っ返していたのに。
はあ、最悪――と言う事で、嫌々参加させられた翌日、立派で荘厳な大豪邸の威容を前に、何度来ても場違いな場所に足を踏みしめた。
送迎付きの車を降りてすぐに周りを見渡せば、大物俳優から大物政治家までのたくさんの着飾った重鎮が談笑しあっている。もちろんどの人物も英語やらフランス語などの外国語で会話をしていて、何話しているか全くわからん。やっぱり俺には場違いだ。帰って美少女エロゲしていた方がマシだ。
ガーデンパーティーということで広い庭での立食会。自分も楠さんに用意された青いミニドレスを着用しているが、自分だけ誰とも会話をしていないので浮いているような気がしてならない。
「御嬢さん、キュートだね。どこのご令嬢デスカ?」
「へ?あ、いや……あの、の、ノーセンキューでごわす!しーゆーあげいん!」
生粋のガタイの良い白人に声をかけられてしまい、なんとなく怖くなって申し訳ないがその場を走り去ってしまった。外国人のナンパはよくないと直から教えてもらった事があるので、言いつけ通りに回避しただけのつもりである。が、ヒールの高い靴で走ったのがよくなかった。
慣れない靴のせいか足首をひねってしまい、その場で盛大にずっこけてしまった。しかも、ずっこけた際に通りすがりのボーイも足をひっかけたらしく、手に持っていたワインやエビのチリソース的な食べ物を頭から浴びてしまった。周りからはどっと笑い声が響き渡った。
周りはこちらを見て英語やらフランス語で明らかに嘲笑している。次第に羞恥心がこみあげてくる。
最悪だ。ドレスがエビのソースやらワインのシミやらで汚れてしまった。おまけに頭にもかかってしまい、全身がワインソースまみれでひどい有様。誰か拭く物を貸してくれないかなと周囲に視線を移すと、秘書の楠さんがこちらを助ける事無く一緒に笑っている姿が目に入った。
ひでえな。これはあんまりだろ。ここに俺を呼んだのはこんな幼稚な真似をして恥をかかせるためだったんじゃないかって疑ってしまう。いろんな意味での仕込みかと。
「痛っ……!」
立ち上がろうとしたら、足首を捻ったせいか立ち上がれない。捻挫をしたみたいで力を入れると余計に痛みが走る。片足で力を入れて歩かなければならない状況だ。しかも、周りは誰も助けてはくれない状況で、未だに誰もが好奇に笑っているだけ。社交界というのは思ったほど冷たい世界なんだと思い知る。
でもこんな場所にいつまでもいたくないと思い、足を引きずりながらなんとか会場外へ向かう。が、途中また転びそうになった時――誰かが腰を持って支えてくれた。
「大丈夫?甲斐ちゃん」
「あ、相田……?」
相田が体を支えてくれていた。自分のスーツが汚れるのもお構いなしに。
「とりあえず着替えと足の手当てをしに行こっか」
「あ、あの……お前のスーツが汚れちまうよ」
「いいよ別に。スーツの一つや二つくらい。一人の可憐な女の子が困っているのに、誰一人助けようとしないここにいる奴ら全員にムカついているもの」
「相田……」
「この場には誰も紳士や淑女はいないわけだぁ。薄情な奴らばっかだよねー社交界って。矢崎柘榴の派閥も川田グループもクソみたいな奴ばっかって象徴してるもんじゃーん」
相田の睨むような視線と当てつけのような台詞に、周囲が凍りつく。裏社会のトップに立つ男の孫の発言は、矢崎直と同等の発言力と影響力があり、相田も実はそれなりな雲の上の存在なんだと後に知る。
「ま、あとで誰かの家と立場が消えてても文句言わないでよね。ここに来ている全員が薄情なクズの集まりだって爺様に言っておくから~」
ざわつく会場内。青褪める面々。相田は俺を支えながら連れ出した。
「これでよし、と」
別室で着替えて相田から手当てを受けた。もうドレスは着たくなかったのでスーツを借りた。
「ありがとう。お前がいなかったらあの姿で帰る羽目になっただろうし」
「いーのいーの。おいらは甲斐ちゃんのお助け王子様でありたいから」
「なんでそこまで……。そりゃあ助かるけど、あんたって損得で動くような人間ていうか、どうでもいい事に首突っ込むような人間じゃないというか……」
「いいよ。その通りだし。オイラはどうでもいい事に首突っ込む程ヒマな人間じゃない。でも、甲斐ちゃんの事はどうでもいいなんて思った事ないけど」
「え、そうなのか」
「うん。だって一緒にいて退屈しそうにないし、楽しいって思うもん。ぶっちゃけもっといたいって思ってる」
「……えっ」
どきっとした。まるで求愛に聞こえたような気がしたが、きっと友達として言ってくれたんだろう。そう思う事にする。
「あらその顔、もしかしてドキっとしちゃった?まるで求愛されたみたいで意識しちゃったとか」
「っ……何言ってんだよ。深掘りしすぎだ。お前の言い方が誤解しそうで困るんだよ。とにかくありがとな。俺は帰……うわ」
立ち上がった途端に足のバランスを崩してか、それとも相田に引き寄せられたのかわからないが、相田の胸の中で抱き止められていた。
「っあ……ちょっ……」
慌ててすぐに離れようとするが、抱き寄せられていて動けない。
「動かないで。ウイッグが服にひっかかってるよ……」
抱き寄せられたまま耳元で囁かれた。鳥肌がぞわりと立った。
「っ……じゃあ早くとればいいだろ」
「なら、じっとしてて」
相田が引っかかっているうなじ部分に唇を近づけてきた。よりにもよって、なんでこの体勢で口で取ろうとするんだと思いながらもじっとする。うなじに唇の感覚と吐息の熱がかかり、妙にドキドキしてしまう。やっと服と毛が取れた瞬間、俺は慌てて離れた。
「感じちゃった?」
おどけた態度の相田に緊張した俺がバカだった。
「アホか。わざとおちょくる真似しやがって楽しんでんじゃねぇよ」
「だって本気にしてくれたらまたさらに面白いなあって思ったも~ん」
「お前となんぞ冗談はよしこさんだ。とにかく捻挫の手当てサンキュー。俺は帰るからな」
逃げるようにその部屋を出る。相田のあの熱っぽい視線が息苦しくて見ていられなかった。あのまま一緒にいたらどうなっていたのだろう。と、想像するのも怖くなったので止めた。
中庭でまだガーデンパーティーが開かれている中、さっさと帰ろうとタクシー乗り場に向かっていると、副社長のオバさんがこちらに気づいて呼び止めてきた。
「先ほどは不快な思いをさせてしまったようで詫びますわ。申し訳なかったわね」
そう謝罪しながらも、こちらを嘲笑う態度が見え見えだった。社長とか位の高い人間ってみんなこういう人間ばっかなのか。呆れるわ。
「謝らなくていいんで。帰ります」
さっきのずっこけもどうせ仕込みでわざとだろうし、謝られても何も心に響かない。こいつら矢崎財閥に付き合ってられるか。
「もう帰るの?」
「足を捻挫したので」
「では最後に直の様子を見に行かれてはどうかしら。そのためにあなたをここに呼んだのですから」
「……」
逢いたいような、でも逢ってはいけないような、複雑な気持ちが渦巻く。逢えばきっと結婚する事実から目をそむける事ができなくなるような気がして怖い。だけど、いずれはその現実を知ることになるのなら、今それを知った上で納得した方がまだ傷も少ない。だから「遠くからなら」と、自分に言い聞かせるようにして頷いた。
オバさんに連れられて目立たない場所に移動した。向こうの方で人だかりが見え、その隙間から直の姿を見つけることができた。ああ、一年ぶりに見る生の直だ。長い間離れ離れになっていた懐かしさのようなものを感じて、ぎゅっと胸が締め付けられる。
あれが、直なんだな。
直が別人のように思えた。自分の知らない次期社長としての社交界での顔を初めて見る。何か国もの外国語を流暢に話し、どんな企業主やグループの社長とも堂々とした振る舞いで会話をしている。とても立派であり、凛々しい。どこからどう見てもトップに立つ威厳を持つ者の姿だった。
「直はこれから何千何万という部下の上に立ち、動かしていく人間となるのですよ」
そう、その言葉の通りだ。もう手が届かないような雲の上の存在のようにも見えて、俺は直が知らない人のように思えた。
「生半可な気持ちではトップとしての威厳を損なってしまう。直には恋愛に溺れて自分の立場を忘れてほしくないのです」
「…………」
「だから、直の事はもうお忘れなさい」
隣でオバさんが直と別れるようにと語りかける中で、俺はぼんやり直の姿を捉えていた。
その後、どんよりとした気分で踵を返す。さっさとこの場を後にしようと車に乗り込む際、向こうの方で直が秘書の久瀬さんと歩いてくるのが見えた。直の方も場所を移動するのだろう。その隣には噂の婚約者の川田凛々子が直と腕を組んでいる。見たくなくて、俺は急いでタクシーに乗り込んだ。
*
「直様、これからクラウンホテルの方に……直様?」
オレは首元のネクタイを緩めた。なんだか先ほどから体が熱くて頭がぼうっとしている気がする。付き合いでの酒を少し呷りすぎたか。だが今はそんな些細なことはどうだってよかった。
「っ……オレ、抜ける。後の事は頼んだ」
「しかしこれからホテルで改めて晩餐会がございますが……」
「オレがいなくても大丈夫だろう。ババアと正之がほとんど仕切っている」
「しかし……」
「車を用意しろ久瀬。命令だ」
オレが強く要求すると、久瀬は仕方ないと溜息を吐いてスマホを取り出した。久瀬が車の準備をしている間にオレは改めて電話を掛ける。しかし、肝心の相手はやっぱり繋がらない。やっぱりまだ着信拒否をされている。
「甲斐……っ」
すれ違いが憎らしい。逢いたい。
「私を蔑にして誰に電話をしているのです?」
川田が赤い顔をして寄ってくる。フラフラで足元はおぼつかない。
「お前に関係ない。消えろ」
「ふふ、相変わらずですのね」
川田の手には何杯目かわからないワイングラスが握られている。
「また悪酔いしているのか。面倒くせぇ女だな。酒を飲まないとオレと対等に話す事もできねぇくせして二重人格め」
「こうでもしなければあなたは私に見向きもしませんから」
川田が不敵に笑う。そういえば先ほど、付き合いで酒を飲んだ時、近くにこの女もいた事を思い出す。重役共と談笑をしていた時だ。そのワインを用意したのはまぎれもなくこの女だった。久瀬が別の案件でその場を離れていた時だったので、秘書の仕事をこの女がしていても不思議ではない。
「……何を飲ませた」
オレが鋭く川田を睨む。
「なんの事でしょう?」
「とぼけるな。お前がワインを持ってきていた事は知っている。オレはそのワイン以外は口にしなかったからな」
追及するように睨み続けると、観念したように川田は笑う。
「そんなに怖い顔をしないでください。ただのワインに少しばかりの媚薬を入れただけですよ」
「そんなモノを飲ませてオレの心が手に入るとでも?」
「思いません。でも、体は好きにできます。あなたはセックスがうまい女が好きなのだと聞きましたから」
薄ら笑う川田の手がオレの襟袖の中へ忍ぶ。が、
「オレに触るな!!」
嫌悪感に乱暴に払いのけた。
「たしかに昔はそうだったが、今はどんな女だろうがなんの魅力も湧きはしない。この世でたった一人を除いて」
「っ、あなたが……いつもうつつを抜かしている平民女の事ですか……?」
川田の顔が歪む。
「お前には関係ない。話す理由もない。婚約者だろうが秘書だろうが、プライベートまでお前と関わるつもりはない」
川田をもう一度睨みつけて、久瀬の運転する車に向かって乗り込む。川田が混入した媚薬のせいでますます熱さが上昇し、じんわり体に疼きがわいてきた。車の中ではひたすら我慢してポーカーフェイスを装う。久瀬に体調が悪いのかと心配されたが、酒のせいだとごまかした。
*
自宅に帰った俺はソファーでうなだれていた。直はあの川田凛々子と結婚するのかな。一年も離れていて、メールも電話もしていないから今更連絡を取りづらい。とは言っても、自分が辛くて嫉妬して勝手に連絡を絶ったに過ぎない。だってあの時は、本当に逢いたくなくて何も信じられなかったからだ。
でも、俺……どんなに傷ついても、直が別の人を選んでも、直が大好きなんだよな……。
今更変えられない事実に、やっぱりこの片思いは一生背負っていく羽目になりそうだ。
ピンポーン
自宅のチャイムが鳴ってびくっとした。入浴中の母ちゃんが代わりに出てくれというので、インターホン越しのカメラを眺めると固まった。
どうして……許嫁の女性と一緒にいるんじゃ……。
『甲斐。いるんだろ、わかってる』
思わず居留守を使おうと思ったけれど、こんな夜だ。いるのがばれてしまっているので出ないわけにはいかない。
「や、やあ……おひさ~。で、どうしたんだよこんな時間に。子供はもうウンコして歯を磨いて寝る時間だろぉ~」
一年弱ぶりの挨拶がこれってどうなんだと思うが、なんて言ったらいいかわからなかったのだ。
『逢いに来たに決まってるだろ……っ……ハア……ハア……』
なんだか直の動悸が苦しそうだ。
「顔色悪いようだけど、どうしたんだよ」
『気にするなよ。ただ、オレは……甲斐のそばにいたくて……いてもたってもいられなかったから……だから……逢いに、きた……っ』
とりあえずこのまま放っておけないので、扉を開けた途端、その手首を掴まれて引き寄せられた。あっという間に直の胸の中へ包まれて強く抱きしめられてしまった。
「っ、甲斐……逢いたかった」
「……っ」
「離れている間……ずっと、ずっとこうしたかった。触れたかった」
「直……っ」
熱い吐息が頬にかかる。顔も体もとても熱かった。
「甲斐……オレの愛しい甲斐。さみしかった……あえないのが辛かった」
抱きしめる腕が強くなって、苦しいと言っても弱めてはくれず、首筋や頬に唇を寄せてくる。
「っちょ……あんた体熱い……熱でも「ねぇよ」
「甲斐を抱きたい。抱いたら直るから」
「は、なんだよそりゃっ……」
「頼むからオレを拒まないで。逃げないで。オレだけを見て」
そう言っている直の顔は熱そうなのに、とても泣きそうだった。
「甲斐がそばにいるって信じさせて。もうお前と一時も離れていたくないんだ。ずっとずっとそばにいてくれ」
そうしてすぐに唇を奪われていた。息もできない様な痺れるくらいの熱いキスだった。そして、唇を離した途端、直にじっと至近距離で見つめられる。
「もう……離さないから」
「……え」
「全部片づけて、今度こそお前をもらうから」
直はそう言うけど、俺はまだ腑に落ちない。
「あんたは……あの川田って人が……」
「なんでもないから。あの女は無理やりババアがオレに宛がってきた女だ。オレとお前を引き離すために用意された刺客みたいなもの。あのキスだってあいつがいきなりしたものだから」
「っ、でも……今更そんな事……」
「遅くなってごめん。一年も何も弁解できなくて……っていうかお前はオレの事を信じてなかったのかよ……」
「……信じてた。信じてたけど、あんたがあの人とキスしているのを見てすっごくショックで、不安で、悲しくて……一時期、あんたを信じられなくなりそうで……冷静になるために音信不通になってしばらく距離を置こうと思ったんだ。今は……あれは仕込みだったんだなって理解してる。あんたも立場的に大変だったんだなって事も……わかってる」
俺は直の腕の中で震えながら話す。
「だけど、あれから一年以上も離れてりゃ寂しくて、もう俺の事なんか好きじゃないと思……」
もう一度、直によって唇を塞がれた。濃厚で激しいキスに腰がガクガクして痺れて、直に腰を支えてもらった。
「お前も同じ気持ちだったんだな……甲斐。寂しいって、うれしい……」
「っ……嬉しくなんかねーよバカがっ。お前のせいだよ。元々、こんな我慢が出来ない様な性格じゃなかったのに……お前のせいで、お前が好きすぎるせいでっ……我慢すらできなくなった。どうしてくれるんだよ」
「責任とって生涯面倒見るよ。お前を一生の伴侶にする。不安にさせてごめん……ごめんな、甲斐」
好きが限界まであふれて、さらにぎゅっと強く抱きしめあった。今すぐにでも二人きりになって求めあいたかった。だから母ちゃんに直の家に泊ると告げると、今度こそ離すんじゃないわよって言われた。おまけに去り際にグッドラックなんて言われてしまい、いろいろと察しられて恥ずかしかった。
「あの時のアンタ、俺の知ってる直とは別人で知らない人みたいだって思ったんだ」
久しぶりに横になる馴染みのベットの上で、俺は直に抱き寄せられている。何度目かの行為で疲れて一息ついている所。熱かった肌も少しだけ冷めて、直の手が何度も俺の頭を撫でながら髪を指で梳いた。
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「あんたが遠い人間のように見えて、さらに不安になった」
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