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平和な世界線in女体化
女になっちまいました16
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*
次に目を覚ますと、見た事のある天井と直の寝顔が見えた。彼の自宅のベットに連れて来てくれて、俺を看病しているうちに疲れて座ったまま寝てしまったのだろう。腕を枕にして寝息を立てている。
直にはまた迷惑をかけてしまった。自分は弱いくせに女子を助けようとして逆に手籠めにされそうになっているなんて、情けない事この上ない。
外の夕暮れを見て今何時だろうとふとスマホを見ると、自分が知っている日付よりかなり進んでいた事に驚いた。どうやら二日間も眠ってしまっていたらしい。薬の影響か、それともトラウマのせいで疲れていたのか、自分があまりにも不甲斐無くて、次第に涙腺が緩んで頬に川を作っていた。
「甲斐……目が覚めたのか……ってどうした!?」
起きた直が震えて泣いている俺を見て狼狽えている。
「どこか具合が悪いのか。それともオレが近づきすぎたから震えて……」
「違うっ」
すぐ俺が否定を入れるも涙は止まらない。いろんな事が重なって感情的になりやすくなっているのかもしれない。
「俺……あんたに迷惑かけ通しだなって情けなくて……それに休みの日っていうかもう今日だけど……せっかくの休みも眠ったままで何もできなくて……悲しくなっちまったっていうか……っ、ひ、く」
ああ、悲しいのが止まらない。止めたいのに、絶え間なく涙が出てくる。
「甲斐……泣くな。泣くなよ」
直は俺が泣いているのを見て落ち着かない。
「や、なかなか止まらなくて……っ、直のお荷物になりっぱなしで……ごめ、ん」
自分だってわからない。この嗚咽をどうしたら止められるのか。止める術をこちらが教えてほしいくらいだ。次から次へと溢れてくる涙腺に震えていると、唇に生暖かいものが振れた。目の前に直の顔がすぐ近くにあって茫然とした。
「泣くなって言っているだろ」
「直……っ」
驚いたせいか涙は少し引っ込んだ。
「ごめん……驚かせて。でも、お前が泣いている姿を見ていられなくて、近づかれて嫌だったか?」
俺はふるふると顔を横に振る。
「いやじゃないよ。むしろ……あんたにもっと……ふ、触れたいなって」
直は驚いている。俺は熱くなる頬と恥ずかしくなる気持ちを抑えて素直になっていた。このもどかしい距離感も今じゃ逆に辛いだけ。
「甲斐……っ」
「むしろ、なんで遠慮しているんだって思ってた。俺が怖がらないように気を使って距離を取ってくれていたんだろうけど、触れられないのも逆に寂しいよ」
「そんな事言ったら、我慢がきかなくなる。お前にいっぱい触れてしまう。いいのか」
「俺は……あんたの事だけは拒んだりしないよ。恐怖だって感じない」
そっと直の手に自分のを重ねた。握りしめると、直もそれが合図になったのか握り絡めて、深海のような瞳にじっと見つめられる。
「本当にいいんだな。止めてと言っても止めてやらないから」
「……いいよ。お互いに我慢しすぎていたんだから……」
もう言葉はいらなかった。どちらからともなく顔を寄せ合って、唇を重ね合った。やっぱり思った通り、体が強張る事も恐怖もなかった。好きな人だからこそ、何をされても受け入れたし触れたかった。
*
「久瀬、悪いが出発は明日の早朝にしてほしい」
甲斐が入浴している間、オレは久瀬にスケジュールの変更連絡を入れていた。きっと渋った反応をされるだろうがそれも承知のうえでだ。
『いいんですか?一日ずれると先方の予定もずれてさらに一か月は帰れなくなりますよ』
「今はどうしても甲斐のそばにいてやりたいんだ。このまま半年も逢えなくなると絶対後悔しそうだから。だから……なんとかして先方に話して予定を調整してほしい」
こんな状態の甲斐を明日には置いていくのも心苦しいが、せめて今晩だけ――。
『……全く。あなたはいつも突然ああしろこうしろって突拍子なんですから』
「すまない」
オレがそうして自然と謝罪を口にすると、久瀬は電話口で一瞬だけ黙るとため息が聞こえた。
『……わかりましたよ。今回は甲斐さんに免じて何かと理由を付けて予定をずらしておきます。あなたが謝るなんて貴重ですからね。明日は早朝に迎えに行くので遅れないでください』
「わかってる。よろしくたのむ」
そうしてスマホを切り、オレも浴室へ向かった。
*
直が久瀬さんや部下に連絡を入れている間、俺はぼんやりしながら念入りに体を清めていた。特に手足や大事な部分を何度も洗いつつ、長い夜に備えるのだ。しかし、あんな事を言った手前、緊張して心臓がバクバクだった。今更怖気づいたなんて言えないし、逃げるなんて架谷家の長男としての名が廃る。
「甲斐、オレも入る」
「っひ――な、直!?」
突然直が入ってきて俺は恥ずかしくなって浴槽にダイブした。ほんと今更恥ずかしがってバカみたいだが、いざそういう事をするとなると童貞なので緊張してしまう。いや、童貞じゃなくて処女か?わからん。
「な、なんで一緒にっ」
「……だめなのかよ」
「だめじゃないけど……こ、心の準備をしているんだよ」
「今しろよ。オレが洗ってる最中に」
直は俺が恥ずかし気に背中を向けている最中、体を静かに清めていた。背中を向けながらこそこそ尻目に様子を窺うと、直の男らしくてたくましい体つきに女としてドキドキしてしまう。筋肉質な胸肌、割れた腹筋、二の腕。均衡のとれたバランスのいい体つき。
男であった時の俺より高身長なのが未だに納得いかないが、自分も男だった時はこのくらい筋肉はあった。でも今はひょろくてひ弱な女。考え方も男であった時より少し違った目線で見えているため、妙に直視できなくなった。これが異性を意識するって事なんだろうか。
そんな事を延々と考えていると、直が体を洗い終えたのかシレッと湯舟に入ってきた。
「終わったけど」
「あ、う……そ、そう」
艶のある銀髪が濡れているせいか、いつも以上に色気のある姿にますます顔を合わせづらい。水も滴るイイ男というのはこういう奴の事をいうのだろう。なんか元男だからこそムカつくな。
「それでいつまでソッチ向いてんだよ」
「い、今その葛藤と必死に戦っているわけででな……」
俺の顔は頬どころか耳まで赤くなっているに違いない。
「そんなんじゃ明日の朝になっちまうぞ」
「うう……」
「仕方ねーな。ちょっと強引だけど今更嫌ってのはナシだから」
「え、あ……ちょっ」
背後から直の手が俺の腹に伸びてきて、俺のうなじや耳にキスをして舌を這わせてきた。
「っぅあ……な、お……い、いきなり……」
「お前がこっち向いてくれないのが悪い」
「ひ……どこ触って……」
「甲斐の乳」
「っ、ちょ、っあ」
素手で包み込むようにじかに触れられる。
「っ……は、う……っ……」
直は楕円を描くように何度も何度も優しく胸を揉み始めた。
「オレが揉んででかくしてやるよ。これからずっと」
「変態ジジイかお前」
「甲斐限定でなら変態でもなんでもいい」
胸を揉みつつ頬や首筋にキスが落とされていく。
「いい加減こっち向けよ……甲斐」
耳元で色っぽく名前を囁かれて、俺はもう覚悟を決めてゆっくり振り向いた。俺の顔面はきっと見事なくらい赤味たっぷりのトマトだろう。
「さっきはあんなに決意した顔していたのに……怖気づいたのか」
「そんな事は、あ」
腰に腕を回されて、直の逞しい体格に引き寄せられて抱きしめられた。ぎょええーーっ!肌と肌が密着してるうううう。む、胸があたってるし……!
「直のあ、あほっ!スケベ!変態!」
文句を言いながらも心地いいものだ。
「ひでー言いようだな」
「だって、こんな状態で普通でいろなんて無理だ。お前は慣れてるかもしれんが俺には刺激が強すぎるっ」
いくら二次元エロを見慣れていると言っても、自分がその立場に立ったら恥ずかしさが全然違う。所詮は現実と二次元じゃ次元がちがうのだ。
「じゃあ、そのうち何も考えられなくさせる」
後頭部を引き寄せられて唇を重ねられた。ああ、くそ、こいつキス上手いよな。手慣れている感じがムカつく。経験豊富な所が元童貞男を苛立たせるものだ。でも、気持ちのいいキスのせいか、次第に従順になったように知らず知らずのうちに直の背中に腕をまわしていた。
「は……なお……」
「もっとしてほしい?」
直の優しい問いにこくんと頷くと、バスタオルで軽く水滴を拭かれて横抱きに持ち上げられた。
「ベットに行こう」
ガウンを羽織らせられて軽くキスをされる。軽々と連行される俺は寝室のダブルベットの上まで運ばれた。ゆっくり寝かせられて、その上に直が覆いかぶさってくる。熱に浮かされたような直の瞳と目があって、そのまま何度めかのキスが降ってきた。
「な……たのむよ……電気、消してほしい……恥ずかしすぎてだな……」
直からの優しい愛撫を受けながら切実に願う。心の準備はできてもやっぱり恥ずかしさは消えない。
「だめだな」
「なんで……」
「お前の全部を目に焼き付けておきたいから。全部知りたい」
「っそんなの無理っ……こんなカッコ……」
「そのうち慣れる。恥ずかしいより、気持ちのいい事いっぱい体験させてやるから」
直は俺が羽織っているガウンをあっけなく取り払った。
「ひ……はずい」
手で隠そうとするもその手をどかされる。
「大丈夫。どこもおかしくない。綺麗な躰だ」
足を開かせられての大事な場所さえも曝け出されて、至る所に直のキスの痕が残されていく。そんな羞恥心に必死に耐えている俺を微笑ましそうに見ている直。余裕がある所が悔しくて、これが経験の差なんだろう。
「怖い?」
「怖くない」
直だけは受け入れると約束した。その言葉通り、直にだけは恐怖心も嫌悪感も何も感じない。ただ、行為自体の恥ずかしさと緊張感だけ。
「っ……あ、っ、く、う」
念入りに溶かした入口に直自信をゆっくり受け入れて、何度目かの生理的涙が頬を伝い、それを直が舌で舐めとる。広くて大きな背中に腕をまわして、必死に圧迫感に耐えて荒い呼吸を吐き続けた。
「痛くないか?」
「さいしょ、だけっ……」
直は何度も俺を気遣ってくれる。俺が怯えて泣きださないようにとても優しくしてくれる。いつも以上に紳士的だ。学校では考えられない優しい一面に胸がギュッとなる。
「甲斐……可愛い」
「かわいくなんか、ないっ」
「お前がなんと言おうと可愛い。こんなにも甲斐が愛おしくてしょうがないんだから」
胸が締め付けられる。俺だって直が……
「直が大好きだよ」
そう恥ずかしげに改めて言えば、直は悶々とした顔になった。
「っ、最初は控えめで行こうと思ったのに……これじゃあ無理だ。寝かせてやれない」
「は……あっ、ちょ、突然、動くな。っあ」
急な刺激に一気に熱が昂ってしまう。
「お前が煽るから……ああ、もう愛してる。甲斐」
「っ、あ、ああっ、なおっ、直っ」
問答無用で直に求められて、一晩中愛されて、気が付いたら俺は疲れ果てて気を失ったように眠っていた。
ふと目が覚めた。人肌の温かみを感じて隣を眺めると、直が自分を抱き寄せながら寝息をたてて眠っている。眠っていても完璧すぎる顔面パーツは色気も追加されていてドキっとしてしまう。相変わらず色気だけはすさまじい奴だ。
この愛しい存在とこの気だるさは、紛れもなく夢じゃない事を思い出させてくれる。昨晩は何度も愛されて、求められて、気づいたら直の抱き枕にされていた。薄暗い部屋と暗い外を眺めると、まだ夜明け前。
服、着ないと。自分を抱き寄せている直の腕から離れ、服を取ろうとベットから滑り降りようとすると、不意に腕を掴まれて、そのままシーツに引き戻された。
「どこ行くんだよ」
直が眠そうに覆いかぶさってきた。
「起きてたのか。そんな気はしていたけど」
「寝てた。でも、お前が離れていくのだけはすぐにわかる。たとえ寝てても、体温高めの抱き枕がいなくなるとすぐにわかるんだよ。だから、勝手に離れるな」
「いや、ただ服を着ようと思って」
当然疲れ切って寝てしまったためにお互いは裸のままだ。
「まだ、いいだろ……」
そのまま深く抱きしめられた。人肌の温かさというものは心地いい。
「しばらくお前の素肌に浸っていたいんだ。せっかくの幸せな時間だから」
「っ……」
「今は少しでも離れるの……嫌だから。甲斐の存在を自分に染み込ませておきたい」
顔中に直からの縋るようなキスを受け続けてくすぐったい。
「お前が離れていくと不安だから一緒にいて。オレが出かける間まではずっと」
「ん、ぅ……わ、わかったよ。わかったから」
相変わらずの寂しがり屋だなって思いつつ、こちらからも直を抱きしめ返す。直の腕の中は昨晩のような興奮した熱さほどではないけれど、自分を温めてくれるには十分すぎる温かさが染み渡る。この体温と匂いはひどく安心した。
早朝、スーツに着替えて支度を整えている直を寂し気に見つめる。半年も離れ離れは寂しいけれど、直は矢崎財閥の次期社長様だ。いろんな社員の面倒を見て食わせていかなければならない。民間人の俺が口を挟める立場じゃないのだ。
先の事はわからないけれど、そんな俺は直とどうなっているのだろう。社長と一般人という関係でも将来一緒にいられるのだろうか。直はなんとかするとか言っているけど、そう簡単じゃない事はその世界をよく知らない俺でもわかっている。相当ないばらの道だって事が。
「甲斐、左手出して」
「え?」
「ほら」
促されて左手を出すと、直はきらりと光ったものを出して、流れるように俺の左手の薬指にはめていく。まるで映画のワンシーンみたいで仰天した。
「これって……!」
小さなダイヤが散りばめられたティアラのようなリングが薬指で煌めいている。しかもサイズはピッタリだった。すっげぇ高そうだな。
「お前と恋人になった瞬間から考えてた。もっと早くに渡したかったが、いろいろバタバタしていたし、お前に触れてもいいお許しも出ていなかったから……」
「……そう、だったのか。つかいつの間に指のサイズ……」
「お前をエステに連れて行った時にもう測らせてもらってた。いつかこの日が来るかなって念のためだったが、役に立ったな」
そんな時から知っていたのか。用意周到というか気が早いというか。
「オレは必ずお前を嫁にするって決めてる。言っただろう?親も周りも黙らせるって。甲斐以外は絶対に考えられないから」
「俺も……直以外は嫌だよ……」
そう言ったら、直は満足そうに微笑む。
「だから、そのお互いの約束の証でもある。束縛アイテムなんて基本的に嫌いだが、お前は別だよ」
直が言うには、今まで付き合いのあった女にネックレスや指輪などのアクセサリーをあげてはいたが、全部久瀬さんや部下が選んだ既製品ばかりを送っていたらしい。有名な高いブランド物を送っておけば文句はないだろうとビジネス上の付き合いで。
しかし、この指輪は直自身が自分で考えて、自分でオーダーメイドしたものだという。
「そっかぁ~すっげえ高そうだな。いくらなんだ?」
俺が煌めく左手をチラチラ見ながら訊ねた。
「オレのポケットマネーで数百万ドル……って野暮な事訊くんじゃねえよ」
「うげっ、まじかよ!」
今、すっげえ金額が聞こえた気がする。数百万ドルって日本円で数億超えって事だろ。途方もない値段に開いた口が塞がらなかった。
「まあ、値段なんかどうでもいい。お前への愛を形にしただけのものだ。元より値段なんてつけられん。てことで……」
直は急に真剣な顔になって俺を見つめる。
「必ず幸せにする。お前を泣かせたりしないし、悪いクソ男共からもお前を守る。だから……」
指輪をはめた俺の左手を取って、そっと甲にキスをしながら――
「オレと結婚してください」
今の俺にとっては何ものも代え難い台詞だった。
*
「直様、昨夜はお楽しみでしたね」
甲斐に見送られてからしばらく、矢崎の専用滑走路がある米国行きのビジネスジェットに乗り込む。
「全てお見通しな台詞だな」
「そりゃあ。その顔はとても有意義な夜を過ごされたのが一目瞭然ですよ」
甲斐と心も体も深く結ばれて、将来の約束をしたのだ。幸せな気分にならないはずがない。
「しかし、いい気分で申し訳ありませんが、社長が米国のニューヨーク支社でお待ちです」
「……正之が?」
嫌な予感がした。こういう時に限って奴からの呼び出しはほぼ悪い事が多い。
「また奴は何を企んでいるのやら」
会社の業績しか頭になく、オレを次期社長に担ぎ上げるために黒崎家からオレを無理やりさらってきたクソ義父だ。こいつのせいでオレの普通の一般人として過ごす16年は台無しにされ、御曹司としての英才教育を施された。本当の家族と引き離した最低最悪な元凶。しかし、甲斐のおかげで実の両親と再会でき、実の双子の妹の悠里と弟の直純とも血の繋がりが判明した。
「逢いたくはないが、米国に到着したら準備ができ次第ニューヨークへ向かう。正之にはそう連絡を入れておけ」
「わかりました」
*
ハウスキーパーとして直の自宅に住むようになってから数日、朝食のトーストを食べながらぼうっと朝のニュース番組を眺める。テキトーにつけているTVのワイドショーは、くだらない芸能人の不倫やらAV出演疑惑やらのスクープを報じているが、心底どうでもよくてなんとなく見ていた。すると、矢崎財閥に関する事も報じている。その文字を見ただけで、直に逢いたい気持ちが募った。
まだ数日しか経っていないのにもう寂しさを感じた。肌恋しさもあいまって、急激に直に抱かれたくもなった。あの大きな腕で抱きしめられたいなって。キスしたいって。
俺、変だな。おかしくなっちまってるのかも。こんなにも直の存在を恋しいと思うなんて。自分が自分じゃない程、俺は直の存在に心を占領されていた。
薬指の指輪を愛おしそうに眺めて、そっと口づけを落とす。このエンゲージリングがなんだか直と繋がっているみたいで、寂しい気持ちを少しだけ緩和させてくれる。
早く逢いたいなぁ。半年後なんてまだまだ先だ。電話も三日に一度くらいしかできないのがもどかしいけど、今は我慢するほかない。
『たった今、特大ニュースの速報が入ってきましたー。えー……』
TVは芸能ニュースに切り替わると、俺を大いに動揺させる内容のスクープが報じられた。
『四天王の矢崎直に婚約者!?アメリカで美人令嬢と縁談!』
は……?
次に目を覚ますと、見た事のある天井と直の寝顔が見えた。彼の自宅のベットに連れて来てくれて、俺を看病しているうちに疲れて座ったまま寝てしまったのだろう。腕を枕にして寝息を立てている。
直にはまた迷惑をかけてしまった。自分は弱いくせに女子を助けようとして逆に手籠めにされそうになっているなんて、情けない事この上ない。
外の夕暮れを見て今何時だろうとふとスマホを見ると、自分が知っている日付よりかなり進んでいた事に驚いた。どうやら二日間も眠ってしまっていたらしい。薬の影響か、それともトラウマのせいで疲れていたのか、自分があまりにも不甲斐無くて、次第に涙腺が緩んで頬に川を作っていた。
「甲斐……目が覚めたのか……ってどうした!?」
起きた直が震えて泣いている俺を見て狼狽えている。
「どこか具合が悪いのか。それともオレが近づきすぎたから震えて……」
「違うっ」
すぐ俺が否定を入れるも涙は止まらない。いろんな事が重なって感情的になりやすくなっているのかもしれない。
「俺……あんたに迷惑かけ通しだなって情けなくて……それに休みの日っていうかもう今日だけど……せっかくの休みも眠ったままで何もできなくて……悲しくなっちまったっていうか……っ、ひ、く」
ああ、悲しいのが止まらない。止めたいのに、絶え間なく涙が出てくる。
「甲斐……泣くな。泣くなよ」
直は俺が泣いているのを見て落ち着かない。
「や、なかなか止まらなくて……っ、直のお荷物になりっぱなしで……ごめ、ん」
自分だってわからない。この嗚咽をどうしたら止められるのか。止める術をこちらが教えてほしいくらいだ。次から次へと溢れてくる涙腺に震えていると、唇に生暖かいものが振れた。目の前に直の顔がすぐ近くにあって茫然とした。
「泣くなって言っているだろ」
「直……っ」
驚いたせいか涙は少し引っ込んだ。
「ごめん……驚かせて。でも、お前が泣いている姿を見ていられなくて、近づかれて嫌だったか?」
俺はふるふると顔を横に振る。
「いやじゃないよ。むしろ……あんたにもっと……ふ、触れたいなって」
直は驚いている。俺は熱くなる頬と恥ずかしくなる気持ちを抑えて素直になっていた。このもどかしい距離感も今じゃ逆に辛いだけ。
「甲斐……っ」
「むしろ、なんで遠慮しているんだって思ってた。俺が怖がらないように気を使って距離を取ってくれていたんだろうけど、触れられないのも逆に寂しいよ」
「そんな事言ったら、我慢がきかなくなる。お前にいっぱい触れてしまう。いいのか」
「俺は……あんたの事だけは拒んだりしないよ。恐怖だって感じない」
そっと直の手に自分のを重ねた。握りしめると、直もそれが合図になったのか握り絡めて、深海のような瞳にじっと見つめられる。
「本当にいいんだな。止めてと言っても止めてやらないから」
「……いいよ。お互いに我慢しすぎていたんだから……」
もう言葉はいらなかった。どちらからともなく顔を寄せ合って、唇を重ね合った。やっぱり思った通り、体が強張る事も恐怖もなかった。好きな人だからこそ、何をされても受け入れたし触れたかった。
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「久瀬、悪いが出発は明日の早朝にしてほしい」
甲斐が入浴している間、オレは久瀬にスケジュールの変更連絡を入れていた。きっと渋った反応をされるだろうがそれも承知のうえでだ。
『いいんですか?一日ずれると先方の予定もずれてさらに一か月は帰れなくなりますよ』
「今はどうしても甲斐のそばにいてやりたいんだ。このまま半年も逢えなくなると絶対後悔しそうだから。だから……なんとかして先方に話して予定を調整してほしい」
こんな状態の甲斐を明日には置いていくのも心苦しいが、せめて今晩だけ――。
『……全く。あなたはいつも突然ああしろこうしろって突拍子なんですから』
「すまない」
オレがそうして自然と謝罪を口にすると、久瀬は電話口で一瞬だけ黙るとため息が聞こえた。
『……わかりましたよ。今回は甲斐さんに免じて何かと理由を付けて予定をずらしておきます。あなたが謝るなんて貴重ですからね。明日は早朝に迎えに行くので遅れないでください』
「わかってる。よろしくたのむ」
そうしてスマホを切り、オレも浴室へ向かった。
*
直が久瀬さんや部下に連絡を入れている間、俺はぼんやりしながら念入りに体を清めていた。特に手足や大事な部分を何度も洗いつつ、長い夜に備えるのだ。しかし、あんな事を言った手前、緊張して心臓がバクバクだった。今更怖気づいたなんて言えないし、逃げるなんて架谷家の長男としての名が廃る。
「甲斐、オレも入る」
「っひ――な、直!?」
突然直が入ってきて俺は恥ずかしくなって浴槽にダイブした。ほんと今更恥ずかしがってバカみたいだが、いざそういう事をするとなると童貞なので緊張してしまう。いや、童貞じゃなくて処女か?わからん。
「な、なんで一緒にっ」
「……だめなのかよ」
「だめじゃないけど……こ、心の準備をしているんだよ」
「今しろよ。オレが洗ってる最中に」
直は俺が恥ずかし気に背中を向けている最中、体を静かに清めていた。背中を向けながらこそこそ尻目に様子を窺うと、直の男らしくてたくましい体つきに女としてドキドキしてしまう。筋肉質な胸肌、割れた腹筋、二の腕。均衡のとれたバランスのいい体つき。
男であった時の俺より高身長なのが未だに納得いかないが、自分も男だった時はこのくらい筋肉はあった。でも今はひょろくてひ弱な女。考え方も男であった時より少し違った目線で見えているため、妙に直視できなくなった。これが異性を意識するって事なんだろうか。
そんな事を延々と考えていると、直が体を洗い終えたのかシレッと湯舟に入ってきた。
「終わったけど」
「あ、う……そ、そう」
艶のある銀髪が濡れているせいか、いつも以上に色気のある姿にますます顔を合わせづらい。水も滴るイイ男というのはこういう奴の事をいうのだろう。なんか元男だからこそムカつくな。
「それでいつまでソッチ向いてんだよ」
「い、今その葛藤と必死に戦っているわけででな……」
俺の顔は頬どころか耳まで赤くなっているに違いない。
「そんなんじゃ明日の朝になっちまうぞ」
「うう……」
「仕方ねーな。ちょっと強引だけど今更嫌ってのはナシだから」
「え、あ……ちょっ」
背後から直の手が俺の腹に伸びてきて、俺のうなじや耳にキスをして舌を這わせてきた。
「っぅあ……な、お……い、いきなり……」
「お前がこっち向いてくれないのが悪い」
「ひ……どこ触って……」
「甲斐の乳」
「っ、ちょ、っあ」
素手で包み込むようにじかに触れられる。
「っ……は、う……っ……」
直は楕円を描くように何度も何度も優しく胸を揉み始めた。
「オレが揉んででかくしてやるよ。これからずっと」
「変態ジジイかお前」
「甲斐限定でなら変態でもなんでもいい」
胸を揉みつつ頬や首筋にキスが落とされていく。
「いい加減こっち向けよ……甲斐」
耳元で色っぽく名前を囁かれて、俺はもう覚悟を決めてゆっくり振り向いた。俺の顔面はきっと見事なくらい赤味たっぷりのトマトだろう。
「さっきはあんなに決意した顔していたのに……怖気づいたのか」
「そんな事は、あ」
腰に腕を回されて、直の逞しい体格に引き寄せられて抱きしめられた。ぎょええーーっ!肌と肌が密着してるうううう。む、胸があたってるし……!
「直のあ、あほっ!スケベ!変態!」
文句を言いながらも心地いいものだ。
「ひでー言いようだな」
「だって、こんな状態で普通でいろなんて無理だ。お前は慣れてるかもしれんが俺には刺激が強すぎるっ」
いくら二次元エロを見慣れていると言っても、自分がその立場に立ったら恥ずかしさが全然違う。所詮は現実と二次元じゃ次元がちがうのだ。
「じゃあ、そのうち何も考えられなくさせる」
後頭部を引き寄せられて唇を重ねられた。ああ、くそ、こいつキス上手いよな。手慣れている感じがムカつく。経験豊富な所が元童貞男を苛立たせるものだ。でも、気持ちのいいキスのせいか、次第に従順になったように知らず知らずのうちに直の背中に腕をまわしていた。
「は……なお……」
「もっとしてほしい?」
直の優しい問いにこくんと頷くと、バスタオルで軽く水滴を拭かれて横抱きに持ち上げられた。
「ベットに行こう」
ガウンを羽織らせられて軽くキスをされる。軽々と連行される俺は寝室のダブルベットの上まで運ばれた。ゆっくり寝かせられて、その上に直が覆いかぶさってくる。熱に浮かされたような直の瞳と目があって、そのまま何度めかのキスが降ってきた。
「な……たのむよ……電気、消してほしい……恥ずかしすぎてだな……」
直からの優しい愛撫を受けながら切実に願う。心の準備はできてもやっぱり恥ずかしさは消えない。
「だめだな」
「なんで……」
「お前の全部を目に焼き付けておきたいから。全部知りたい」
「っそんなの無理っ……こんなカッコ……」
「そのうち慣れる。恥ずかしいより、気持ちのいい事いっぱい体験させてやるから」
直は俺が羽織っているガウンをあっけなく取り払った。
「ひ……はずい」
手で隠そうとするもその手をどかされる。
「大丈夫。どこもおかしくない。綺麗な躰だ」
足を開かせられての大事な場所さえも曝け出されて、至る所に直のキスの痕が残されていく。そんな羞恥心に必死に耐えている俺を微笑ましそうに見ている直。余裕がある所が悔しくて、これが経験の差なんだろう。
「怖い?」
「怖くない」
直だけは受け入れると約束した。その言葉通り、直にだけは恐怖心も嫌悪感も何も感じない。ただ、行為自体の恥ずかしさと緊張感だけ。
「っ……あ、っ、く、う」
念入りに溶かした入口に直自信をゆっくり受け入れて、何度目かの生理的涙が頬を伝い、それを直が舌で舐めとる。広くて大きな背中に腕をまわして、必死に圧迫感に耐えて荒い呼吸を吐き続けた。
「痛くないか?」
「さいしょ、だけっ……」
直は何度も俺を気遣ってくれる。俺が怯えて泣きださないようにとても優しくしてくれる。いつも以上に紳士的だ。学校では考えられない優しい一面に胸がギュッとなる。
「甲斐……可愛い」
「かわいくなんか、ないっ」
「お前がなんと言おうと可愛い。こんなにも甲斐が愛おしくてしょうがないんだから」
胸が締め付けられる。俺だって直が……
「直が大好きだよ」
そう恥ずかしげに改めて言えば、直は悶々とした顔になった。
「っ、最初は控えめで行こうと思ったのに……これじゃあ無理だ。寝かせてやれない」
「は……あっ、ちょ、突然、動くな。っあ」
急な刺激に一気に熱が昂ってしまう。
「お前が煽るから……ああ、もう愛してる。甲斐」
「っ、あ、ああっ、なおっ、直っ」
問答無用で直に求められて、一晩中愛されて、気が付いたら俺は疲れ果てて気を失ったように眠っていた。
ふと目が覚めた。人肌の温かみを感じて隣を眺めると、直が自分を抱き寄せながら寝息をたてて眠っている。眠っていても完璧すぎる顔面パーツは色気も追加されていてドキっとしてしまう。相変わらず色気だけはすさまじい奴だ。
この愛しい存在とこの気だるさは、紛れもなく夢じゃない事を思い出させてくれる。昨晩は何度も愛されて、求められて、気づいたら直の抱き枕にされていた。薄暗い部屋と暗い外を眺めると、まだ夜明け前。
服、着ないと。自分を抱き寄せている直の腕から離れ、服を取ろうとベットから滑り降りようとすると、不意に腕を掴まれて、そのままシーツに引き戻された。
「どこ行くんだよ」
直が眠そうに覆いかぶさってきた。
「起きてたのか。そんな気はしていたけど」
「寝てた。でも、お前が離れていくのだけはすぐにわかる。たとえ寝てても、体温高めの抱き枕がいなくなるとすぐにわかるんだよ。だから、勝手に離れるな」
「いや、ただ服を着ようと思って」
当然疲れ切って寝てしまったためにお互いは裸のままだ。
「まだ、いいだろ……」
そのまま深く抱きしめられた。人肌の温かさというものは心地いい。
「しばらくお前の素肌に浸っていたいんだ。せっかくの幸せな時間だから」
「っ……」
「今は少しでも離れるの……嫌だから。甲斐の存在を自分に染み込ませておきたい」
顔中に直からの縋るようなキスを受け続けてくすぐったい。
「お前が離れていくと不安だから一緒にいて。オレが出かける間まではずっと」
「ん、ぅ……わ、わかったよ。わかったから」
相変わらずの寂しがり屋だなって思いつつ、こちらからも直を抱きしめ返す。直の腕の中は昨晩のような興奮した熱さほどではないけれど、自分を温めてくれるには十分すぎる温かさが染み渡る。この体温と匂いはひどく安心した。
早朝、スーツに着替えて支度を整えている直を寂し気に見つめる。半年も離れ離れは寂しいけれど、直は矢崎財閥の次期社長様だ。いろんな社員の面倒を見て食わせていかなければならない。民間人の俺が口を挟める立場じゃないのだ。
先の事はわからないけれど、そんな俺は直とどうなっているのだろう。社長と一般人という関係でも将来一緒にいられるのだろうか。直はなんとかするとか言っているけど、そう簡単じゃない事はその世界をよく知らない俺でもわかっている。相当ないばらの道だって事が。
「甲斐、左手出して」
「え?」
「ほら」
促されて左手を出すと、直はきらりと光ったものを出して、流れるように俺の左手の薬指にはめていく。まるで映画のワンシーンみたいで仰天した。
「これって……!」
小さなダイヤが散りばめられたティアラのようなリングが薬指で煌めいている。しかもサイズはピッタリだった。すっげぇ高そうだな。
「お前と恋人になった瞬間から考えてた。もっと早くに渡したかったが、いろいろバタバタしていたし、お前に触れてもいいお許しも出ていなかったから……」
「……そう、だったのか。つかいつの間に指のサイズ……」
「お前をエステに連れて行った時にもう測らせてもらってた。いつかこの日が来るかなって念のためだったが、役に立ったな」
そんな時から知っていたのか。用意周到というか気が早いというか。
「オレは必ずお前を嫁にするって決めてる。言っただろう?親も周りも黙らせるって。甲斐以外は絶対に考えられないから」
「俺も……直以外は嫌だよ……」
そう言ったら、直は満足そうに微笑む。
「だから、そのお互いの約束の証でもある。束縛アイテムなんて基本的に嫌いだが、お前は別だよ」
直が言うには、今まで付き合いのあった女にネックレスや指輪などのアクセサリーをあげてはいたが、全部久瀬さんや部下が選んだ既製品ばかりを送っていたらしい。有名な高いブランド物を送っておけば文句はないだろうとビジネス上の付き合いで。
しかし、この指輪は直自身が自分で考えて、自分でオーダーメイドしたものだという。
「そっかぁ~すっげえ高そうだな。いくらなんだ?」
俺が煌めく左手をチラチラ見ながら訊ねた。
「オレのポケットマネーで数百万ドル……って野暮な事訊くんじゃねえよ」
「うげっ、まじかよ!」
今、すっげえ金額が聞こえた気がする。数百万ドルって日本円で数億超えって事だろ。途方もない値段に開いた口が塞がらなかった。
「まあ、値段なんかどうでもいい。お前への愛を形にしただけのものだ。元より値段なんてつけられん。てことで……」
直は急に真剣な顔になって俺を見つめる。
「必ず幸せにする。お前を泣かせたりしないし、悪いクソ男共からもお前を守る。だから……」
指輪をはめた俺の左手を取って、そっと甲にキスをしながら――
「オレと結婚してください」
今の俺にとっては何ものも代え難い台詞だった。
*
「直様、昨夜はお楽しみでしたね」
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「……正之が?」
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「逢いたくはないが、米国に到着したら準備ができ次第ニューヨークへ向かう。正之にはそう連絡を入れておけ」
「わかりました」
*
ハウスキーパーとして直の自宅に住むようになってから数日、朝食のトーストを食べながらぼうっと朝のニュース番組を眺める。テキトーにつけているTVのワイドショーは、くだらない芸能人の不倫やらAV出演疑惑やらのスクープを報じているが、心底どうでもよくてなんとなく見ていた。すると、矢崎財閥に関する事も報じている。その文字を見ただけで、直に逢いたい気持ちが募った。
まだ数日しか経っていないのにもう寂しさを感じた。肌恋しさもあいまって、急激に直に抱かれたくもなった。あの大きな腕で抱きしめられたいなって。キスしたいって。
俺、変だな。おかしくなっちまってるのかも。こんなにも直の存在を恋しいと思うなんて。自分が自分じゃない程、俺は直の存在に心を占領されていた。
薬指の指輪を愛おしそうに眺めて、そっと口づけを落とす。このエンゲージリングがなんだか直と繋がっているみたいで、寂しい気持ちを少しだけ緩和させてくれる。
早く逢いたいなぁ。半年後なんてまだまだ先だ。電話も三日に一度くらいしかできないのがもどかしいけど、今は我慢するほかない。
『たった今、特大ニュースの速報が入ってきましたー。えー……』
TVは芸能ニュースに切り替わると、俺を大いに動揺させる内容のスクープが報じられた。
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