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学園トップスピンオフ
四天王とは
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※十九章後
「きゃああー!四天王よー!」
相変わらずにぎやかで騒がしい開星学園の校門前には、黄色い声援が響き渡っている。
現れた四人組はこの開星学園の顔であり、今最も有名な金持ち四人衆。この学園どころか日本中の若者(特に女性)から絶大な支持を得る王者的存在で、一般ピープルからすれば雲の上の存在。
四大貴族。別名、四天王――。
国内五本指に入る権力と財力持ち。眉目秀麗で頭脳明晰。運動神経抜群で武闘派。あらゆる知識に精通し、車の運転から航空機の操縦までなんでもこなす。何より、いろんな人間を引き付けるそのカリスマ性は女性のみならず男性も引き付ける。まさしくチート集団である。
あまりにいろんな方面で秀でているゆえに、テレビや雑誌で人気のイケメン俳優など足元にも及ばない程の人気を誇っている。おかげで彼らが写真集やスナップなどを出せば飛ぶように売れ、テレビに出れば高視聴率を叩き出し、好きな有名人ランキングや抱かれたい男ランキングでは常にトップ4を独占。
もはや彼らが歩く広告塔である。
そんな四天王のファン達は、今日も今日とて性懲りもなく朝の最初に彼らを目に焼き付けて、一日の始まりを迎えるのが毎日の日課であるそうな。特に四人そろった時なんて出待ちの数が半端ない。それぞれの気に入った推しのグッズを片手に声援を送り続けるのだ。もちろん帰りも彼らの姿を焼き付けてお見送りする事もまた忘れない。
「きゃあああああ!」
「イヤアアア!」
「四天王様ぁーー!!」
「素敵――っ!!」
「抱いてェええ!!」
声援に応えるように手を振るのは、腹黒チャラ男の相田拓実。茶髪をハーフアップにしたワインレッドの瞳が特徴的の派手な男。
日本の裏社会を牛耳る「青龍会」の総統の孫であり、次期総統候補と言われている。青龍会自体が成金程度の金持ちには知られておらず、上位クラスの上級国民のみが知る日本最大の反社勢力である。バイクとゲームが好きで楽しい事が大好き。彼のバイクの後ろは、彼が認めた人しか乗せないと噂があるらしいが、真相は定かではない。箱入りお嬢様やギャル系女子からの支持が圧倒的である。
その隣には胡散臭い笑みを絶やさない穂高尚也。深緑の瞳に金髪ツーブロックのマッシュヘアが爽やか。
常に笑顔を絶やさず、瞳の下の泣き黒子が印象的。歴代の総理大臣を何人も輩出した政治家の家系で、四天王で二番目に財力と権力がある。大の猫好きで、猫グッズを持ち歩いている事からファンも同じく猫好きが多い。というか本人は動物全般が好きらしい。子供っぽくて甘えたな部分が母性本能をくすぐられるのか、年上の女性ファンを虜にしまくっている熟女キラー。
その背後にはどうでもいいとばかりに歩いている寡黙でクール眼鏡の久瀬晴也。黒髪のアシンメトリーに紫の瞳の眼鏡優等生タイプ。
いつもパソコンか本を持ち歩いており、暇さえあれば株をしている。金持ちでありながら料理が好きという意外な趣味を持っている。反応が薄く、寡黙で何もしゃべらない事が多いが、四天王で一番庶民に近いのではないかと言われている。それでも家柄は医者の家系であり、厳格な両親を持つ。クソ真面目だけど少し抜けたところがファンの間では可愛いと言われている。品行方正なため、真面目ながり勉女子から絶大な支持を得ている。
そして、四天王で一番の色気があるサラサラな銀髪とダークブルーの瞳が目を引く矢崎直。
普段は無表情だが、時々見せる愁いを帯びた瞳が色気を醸し出している。矢崎財閥御曹司という肩書きで四天王で一番の財力と権力があり、顔もハーフ顔なので女性以上に美しいと評判。まさしく絵に描いたようなセクシー王子様キャラ。俺様ドSで傍若無人に振舞うが、そんな所もドM女子からすればたまらず、言葉責めされたいと思う女子が続出中。ドM女子と内向的女子の人気が絶大。そして、言わずもがな四天王で一番モテているのも彼である。
「はあ……直様、今日も超美しいし色気がダダ漏れてる。ちらちら見える鎖骨がエロすぎ」
「あの色白で美しすぎる顔と色気はマジで天性の才能よね。俺様ドSだなんてドM女子からすれば最高」
「あたしは拓実様が好きだわ。人懐っこくて話しかけやすいし、時々真顔になるところなんてゾクゾクする」
「私は尚也様がいい~。あの笑顔が可愛いんだもん!猫好きで子供っぽい所が世話したくなっちゃう」
「わたしは晴也様~。普段クールな彼がデレる瞬間とか最高じゃない?意外にオトメンな感じするしっ」
「あたしは四天王全員好きー!全員超美形イケメンだしもう誰だっていいわ~!全員愛せちゃう!」
「みんな仲良くしてくれたらいいよね~!ずっと独身のままいつまでもあたしらのプリンスでいてほしい!」
「「「ああん四天王最高ーーーっ!!」」」
一癖も二癖もあるこの個性的な四人衆と仲良くなりたい世の女性達は、天にも祈る思いで日々追っかけをしている。名前を覚えてもらいたい。あわよくば誰でもいいから言葉を交わしたい。仲良くなれたら最高だろうと夢のまた夢の願望を脳内に思い描くのだ。
脳内で思い描く彼らは、皆の心の中でそれぞれの恋人として存在する。たとえ現実にはありえないとしても、妄想するだけタダなのだから。世の女性達の心の中の恋人。それが四天王なのだから。
当然ながら面白くない顔で見ている生徒も少なからずいるが、表立って彼らに危害を加えようとしたり、逆らう者はほとんどいない。なぜなら、彼らの機嫌を損ねて怒りを買えば、彼らの一存の元で合理的な手段で表舞台から姿を消されるからだ。
例えば、該当者の親の会社を倒産に追い込んだりだ。その上で破産や借金地獄に追い込ませてカニ漁船に乗せられたり、風俗に売られたり、海外に追放されたりなど様々。本当かどうかは定かではないが、静かに社会的に抹殺させるのだ。
「ねーねー今日久々に四人そろったんだから甲斐ちゃんの手料理食べに行こうよー!」
「あ?なんでテメエが勝手に決めてんだよ。オレの嫁のメシをアテにすんな!」
「たまにはいいじゃない。直ばっかり甲斐ちゃん独占してずるいし。二人ともそう思うでしょ?」
「まあ……俺もたまには架谷の料理が食べたい。最近は弁当の交換をしていないからな」
「ボクも甲斐くんと遊びたいなー。最近会ってないし、新しい猫グッズ送りたいと思ってたんだよね」
「チッ……」
久しぶりに勢ぞろいした四人は、開星学園VIP専用ラウンジに向かいながら能天気な会話を繰り広げている。仲がよくもなく悪くもなく、四人はマイペースに行動している。とても恐れられている四人衆とは思えないほどリラックスしていた。
「おい四天王!いつも調子こきやがって腹立つんだよ!」
「ガキが格好つけていい気になりやがって!裏の世界の怖さを思い知らせてやる!」
「そのうち貴様ら殺してやるからな!そのイケメン面をグジャグジャにしてやるぜ!」
ごくたまに、こうして命知らずのような連中が絡んでくる事もある。人気でカリスマ性もあるため、妬みや嫉みが大半。それ以外では会社経営から大人顔負けの汚い闇仕事もこなすため、恨みを買ったり買ってやったり、あらゆる方面から狙われる事が多い。
「……誰?拓実君てばまた怨み買うような事した?」
「してない……と、思う。でも最近いろんなシンジケートを潰しに潰してきたからちょっと自信ないなあ」
「全く。拓実のせいで俺らまで巻き添えをくらうのは勘弁してほしいものだ」
「ホントそうだよねー。拓実君のせいでボクら全員いっしょくたにされて狙われるんだから」
「あはは~ごめーん!でも、雑魚ばかりだから、ね。ゆるしてちょ」
相田がウインクをすると、その雑魚という単語に憤った一人が拳銃を向けてきた。
「四天王!死ねっ!!」
相手が引き金を引く前に、ハルが持っていたボールペンを投げつけて拳銃を弾き、相田と穂高がそれぞれ素早く動いて手刀や足払いをかける。あっさり圧倒する四天王の力を前に焦った一人が逃げようとする。が、近くにいた直が片手で男の襟袖を掴んで持ち上げ、近くにあった噴水に放り投げた。盛大な水しぶきをあげて目をまわして男は気絶。全員をたわいなく制圧した。
「直くんってほんと馬鹿力。片手であんな大男をよく持ち上げられるもんだよ」
「ぷぷ、150キロ超えの男を片手で持ち上げるなんて人間離れしててゴリラみたい」
「うるせえぞ貴様ら。貴様らも持ち上げられたいか」
「そう言いながら自販機を持ち上げるなよ直……」
今なら重機すら持ち上げそうな直に、重量挙げの五輪にでも出れば金メダル間違いなしではないかと思う三人であった。
「で、こいつらどうする?」
「拓実、お前がいつも通り処分しとけよ。東京湾にドラム缶で沈めるのがお前の仕事だろ」
「えー面倒くさい。っつーか東京湾にだけ沈めるのが仕事じゃないし。そんな昔ながらのステレオタイプみたいな事今時しないよ。でも、雑魚とはいえおいら達の命を狙った不届き者だしね。生かしておくわけにはいかないのが決まりだからなぁ」
「じゃ、楽しく死ぬまで拷問にかけちゃう?」
「それもいいけど、新薬のモルモットに丁度いいかな。おいらが御贔屓にしてる某反社の皆にヤク中が多くってね」
「くわばらくわばら。あまり関わりたくない連中だなお前の周りは」
「仕方ないじゃない。青龍会は反社のお友達が多いんだから」
四天王にケンカを売った者はもれなく地獄行きである。闇に葬られ、二度と明るい陽の光へは歩けないのだ。
「まさかいきなり来るなんて思わなかったけど、たくさん作っといてよかった」
玄関を開けた途端、美味しそうな匂いが玄関先から漂ってきた。エプロン姿の甲斐が夕食作りに忙しなく動いている。
「いきなりおしかけてごめんねー甲斐ちゃん」
「久しぶりに甲斐くんの手料理食べたくってね」
「架谷の料理の腕がさらに上がったと聞いてな。お邪魔する」
ハルはともかく相田と穂高は遠慮なくあがる。
「甲斐、悪いな。こいつらがきかなくて」
「や、別にいいよ。たくさん作りすぎたし」
シレッとお帰りのキスをしあう二人。相変わらずのラブラブなようで、他四天王の三人はもれなく「リア充爆発しろ」と呟いたのだった。
「きゃああー!四天王よー!」
相変わらずにぎやかで騒がしい開星学園の校門前には、黄色い声援が響き渡っている。
現れた四人組はこの開星学園の顔であり、今最も有名な金持ち四人衆。この学園どころか日本中の若者(特に女性)から絶大な支持を得る王者的存在で、一般ピープルからすれば雲の上の存在。
四大貴族。別名、四天王――。
国内五本指に入る権力と財力持ち。眉目秀麗で頭脳明晰。運動神経抜群で武闘派。あらゆる知識に精通し、車の運転から航空機の操縦までなんでもこなす。何より、いろんな人間を引き付けるそのカリスマ性は女性のみならず男性も引き付ける。まさしくチート集団である。
あまりにいろんな方面で秀でているゆえに、テレビや雑誌で人気のイケメン俳優など足元にも及ばない程の人気を誇っている。おかげで彼らが写真集やスナップなどを出せば飛ぶように売れ、テレビに出れば高視聴率を叩き出し、好きな有名人ランキングや抱かれたい男ランキングでは常にトップ4を独占。
もはや彼らが歩く広告塔である。
そんな四天王のファン達は、今日も今日とて性懲りもなく朝の最初に彼らを目に焼き付けて、一日の始まりを迎えるのが毎日の日課であるそうな。特に四人そろった時なんて出待ちの数が半端ない。それぞれの気に入った推しのグッズを片手に声援を送り続けるのだ。もちろん帰りも彼らの姿を焼き付けてお見送りする事もまた忘れない。
「きゃあああああ!」
「イヤアアア!」
「四天王様ぁーー!!」
「素敵――っ!!」
「抱いてェええ!!」
声援に応えるように手を振るのは、腹黒チャラ男の相田拓実。茶髪をハーフアップにしたワインレッドの瞳が特徴的の派手な男。
日本の裏社会を牛耳る「青龍会」の総統の孫であり、次期総統候補と言われている。青龍会自体が成金程度の金持ちには知られておらず、上位クラスの上級国民のみが知る日本最大の反社勢力である。バイクとゲームが好きで楽しい事が大好き。彼のバイクの後ろは、彼が認めた人しか乗せないと噂があるらしいが、真相は定かではない。箱入りお嬢様やギャル系女子からの支持が圧倒的である。
その隣には胡散臭い笑みを絶やさない穂高尚也。深緑の瞳に金髪ツーブロックのマッシュヘアが爽やか。
常に笑顔を絶やさず、瞳の下の泣き黒子が印象的。歴代の総理大臣を何人も輩出した政治家の家系で、四天王で二番目に財力と権力がある。大の猫好きで、猫グッズを持ち歩いている事からファンも同じく猫好きが多い。というか本人は動物全般が好きらしい。子供っぽくて甘えたな部分が母性本能をくすぐられるのか、年上の女性ファンを虜にしまくっている熟女キラー。
その背後にはどうでもいいとばかりに歩いている寡黙でクール眼鏡の久瀬晴也。黒髪のアシンメトリーに紫の瞳の眼鏡優等生タイプ。
いつもパソコンか本を持ち歩いており、暇さえあれば株をしている。金持ちでありながら料理が好きという意外な趣味を持っている。反応が薄く、寡黙で何もしゃべらない事が多いが、四天王で一番庶民に近いのではないかと言われている。それでも家柄は医者の家系であり、厳格な両親を持つ。クソ真面目だけど少し抜けたところがファンの間では可愛いと言われている。品行方正なため、真面目ながり勉女子から絶大な支持を得ている。
そして、四天王で一番の色気があるサラサラな銀髪とダークブルーの瞳が目を引く矢崎直。
普段は無表情だが、時々見せる愁いを帯びた瞳が色気を醸し出している。矢崎財閥御曹司という肩書きで四天王で一番の財力と権力があり、顔もハーフ顔なので女性以上に美しいと評判。まさしく絵に描いたようなセクシー王子様キャラ。俺様ドSで傍若無人に振舞うが、そんな所もドM女子からすればたまらず、言葉責めされたいと思う女子が続出中。ドM女子と内向的女子の人気が絶大。そして、言わずもがな四天王で一番モテているのも彼である。
「はあ……直様、今日も超美しいし色気がダダ漏れてる。ちらちら見える鎖骨がエロすぎ」
「あの色白で美しすぎる顔と色気はマジで天性の才能よね。俺様ドSだなんてドM女子からすれば最高」
「あたしは拓実様が好きだわ。人懐っこくて話しかけやすいし、時々真顔になるところなんてゾクゾクする」
「私は尚也様がいい~。あの笑顔が可愛いんだもん!猫好きで子供っぽい所が世話したくなっちゃう」
「わたしは晴也様~。普段クールな彼がデレる瞬間とか最高じゃない?意外にオトメンな感じするしっ」
「あたしは四天王全員好きー!全員超美形イケメンだしもう誰だっていいわ~!全員愛せちゃう!」
「みんな仲良くしてくれたらいいよね~!ずっと独身のままいつまでもあたしらのプリンスでいてほしい!」
「「「ああん四天王最高ーーーっ!!」」」
一癖も二癖もあるこの個性的な四人衆と仲良くなりたい世の女性達は、天にも祈る思いで日々追っかけをしている。名前を覚えてもらいたい。あわよくば誰でもいいから言葉を交わしたい。仲良くなれたら最高だろうと夢のまた夢の願望を脳内に思い描くのだ。
脳内で思い描く彼らは、皆の心の中でそれぞれの恋人として存在する。たとえ現実にはありえないとしても、妄想するだけタダなのだから。世の女性達の心の中の恋人。それが四天王なのだから。
当然ながら面白くない顔で見ている生徒も少なからずいるが、表立って彼らに危害を加えようとしたり、逆らう者はほとんどいない。なぜなら、彼らの機嫌を損ねて怒りを買えば、彼らの一存の元で合理的な手段で表舞台から姿を消されるからだ。
例えば、該当者の親の会社を倒産に追い込んだりだ。その上で破産や借金地獄に追い込ませてカニ漁船に乗せられたり、風俗に売られたり、海外に追放されたりなど様々。本当かどうかは定かではないが、静かに社会的に抹殺させるのだ。
「ねーねー今日久々に四人そろったんだから甲斐ちゃんの手料理食べに行こうよー!」
「あ?なんでテメエが勝手に決めてんだよ。オレの嫁のメシをアテにすんな!」
「たまにはいいじゃない。直ばっかり甲斐ちゃん独占してずるいし。二人ともそう思うでしょ?」
「まあ……俺もたまには架谷の料理が食べたい。最近は弁当の交換をしていないからな」
「ボクも甲斐くんと遊びたいなー。最近会ってないし、新しい猫グッズ送りたいと思ってたんだよね」
「チッ……」
久しぶりに勢ぞろいした四人は、開星学園VIP専用ラウンジに向かいながら能天気な会話を繰り広げている。仲がよくもなく悪くもなく、四人はマイペースに行動している。とても恐れられている四人衆とは思えないほどリラックスしていた。
「おい四天王!いつも調子こきやがって腹立つんだよ!」
「ガキが格好つけていい気になりやがって!裏の世界の怖さを思い知らせてやる!」
「そのうち貴様ら殺してやるからな!そのイケメン面をグジャグジャにしてやるぜ!」
ごくたまに、こうして命知らずのような連中が絡んでくる事もある。人気でカリスマ性もあるため、妬みや嫉みが大半。それ以外では会社経営から大人顔負けの汚い闇仕事もこなすため、恨みを買ったり買ってやったり、あらゆる方面から狙われる事が多い。
「……誰?拓実君てばまた怨み買うような事した?」
「してない……と、思う。でも最近いろんなシンジケートを潰しに潰してきたからちょっと自信ないなあ」
「全く。拓実のせいで俺らまで巻き添えをくらうのは勘弁してほしいものだ」
「ホントそうだよねー。拓実君のせいでボクら全員いっしょくたにされて狙われるんだから」
「あはは~ごめーん!でも、雑魚ばかりだから、ね。ゆるしてちょ」
相田がウインクをすると、その雑魚という単語に憤った一人が拳銃を向けてきた。
「四天王!死ねっ!!」
相手が引き金を引く前に、ハルが持っていたボールペンを投げつけて拳銃を弾き、相田と穂高がそれぞれ素早く動いて手刀や足払いをかける。あっさり圧倒する四天王の力を前に焦った一人が逃げようとする。が、近くにいた直が片手で男の襟袖を掴んで持ち上げ、近くにあった噴水に放り投げた。盛大な水しぶきをあげて目をまわして男は気絶。全員をたわいなく制圧した。
「直くんってほんと馬鹿力。片手であんな大男をよく持ち上げられるもんだよ」
「ぷぷ、150キロ超えの男を片手で持ち上げるなんて人間離れしててゴリラみたい」
「うるせえぞ貴様ら。貴様らも持ち上げられたいか」
「そう言いながら自販機を持ち上げるなよ直……」
今なら重機すら持ち上げそうな直に、重量挙げの五輪にでも出れば金メダル間違いなしではないかと思う三人であった。
「で、こいつらどうする?」
「拓実、お前がいつも通り処分しとけよ。東京湾にドラム缶で沈めるのがお前の仕事だろ」
「えー面倒くさい。っつーか東京湾にだけ沈めるのが仕事じゃないし。そんな昔ながらのステレオタイプみたいな事今時しないよ。でも、雑魚とはいえおいら達の命を狙った不届き者だしね。生かしておくわけにはいかないのが決まりだからなぁ」
「じゃ、楽しく死ぬまで拷問にかけちゃう?」
「それもいいけど、新薬のモルモットに丁度いいかな。おいらが御贔屓にしてる某反社の皆にヤク中が多くってね」
「くわばらくわばら。あまり関わりたくない連中だなお前の周りは」
「仕方ないじゃない。青龍会は反社のお友達が多いんだから」
四天王にケンカを売った者はもれなく地獄行きである。闇に葬られ、二度と明るい陽の光へは歩けないのだ。
「まさかいきなり来るなんて思わなかったけど、たくさん作っといてよかった」
玄関を開けた途端、美味しそうな匂いが玄関先から漂ってきた。エプロン姿の甲斐が夕食作りに忙しなく動いている。
「いきなりおしかけてごめんねー甲斐ちゃん」
「久しぶりに甲斐くんの手料理食べたくってね」
「架谷の料理の腕がさらに上がったと聞いてな。お邪魔する」
ハルはともかく相田と穂高は遠慮なくあがる。
「甲斐、悪いな。こいつらがきかなくて」
「や、別にいいよ。たくさん作りすぎたし」
シレッとお帰りのキスをしあう二人。相変わらずのラブラブなようで、他四天王の三人はもれなく「リア充爆発しろ」と呟いたのだった。
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