学園トップ~&ユカイのスピンオフ

いとこんドリア

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ユカイなスピンオフ

夫婦の受難

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「ねーねーパパとママさいきんいっしょにねないけど……けんたいき?れすってやつ?」
「ぶっ!」

 朝食時、甲梨のマセた何気ない疑問に俺はお茶を吹き出していた。

「あかちゃんきたいしてるのに」

 朝食時の会話内容がこれってどうよ。つか甲梨は相変わらずこの時代でも早熟だな。レスとか倦怠期なんて言葉は前世で覚えたのかそれとも最近覚えたのか知らんが、そもそも男同士なんで赤ん坊はできません。

「あかちゃんできりゅの?」

 直樹が口の周りをご飯粒だらけにして目をキラキラさせている。

「いや、できないからね」

 そうして直樹の口の周りをふきふきする俺。子供が変な事を覚えてくるたびに説明が大変だ。純粋な面持ちで訊ねてくるものだから変にごまかすと後が大変だしよ。

「できないの?じゃあどーやってあかちゃんできりゅの?」

 それを説明しろというのか。朝食時に。とりあえず純粋無垢な直樹にはコウノトリが運んでくると言った方がいいだろうか。まだ二歳だもんな。

「ばかねーなおき。よるにぱぱとままがでぷろれすごっこしてたらできるのよ」
「ちょっ……」

 コウノトリが運んでくるという説明をする前に、甲梨がオブラートに包まないような包んだような説明に直樹はきょとんとしている。

「そーなの?」

 直樹の純粋そうな疑問に俺が固まっている横で、直は何食わぬ顔で「そうだな」って肯定しながらズズっと味噌汁をすすっている。他人事みたいな反応だなこやつ。

 ぷろれすごっこ……まあ、傍から見ればそうなんだろうけど、裸でっていうパワーワードに真白が顔を赤くさせている。中身は純粋な17歳だもんな。まだまだお年頃だもんな。その反面、甲夜は150歳以上の大人だから動揺もせずにニコニコしている。

「ま、真白、パパとママいる時、邪魔しない方がイイ、かな?」
「父様母様、うちも配慮した方がいいでしょうか?甲梨と直樹はウチが夜に面倒みますよ」
「や……そこはそういうの気を使わなくていいから」

 旦那とは別に倦怠期というわけではない。普通に仲良くしているし、不満があるわけでもない。ちょっと昨日はささいな事でケンカしたけど。

 ただ、最近すれ違いが多いという事だけ。二人きりになれる時間がほとんどないのだ。

 本業の学園生活はもちろんの事、バイトに修行、子供達の面倒や育児もあるので、おかげで疲れて夜の営みはご無沙汰レス状態だ。子供達と一緒に寝る事も増えたしな。だから、これは仕方のない事なんだと思っていた。





「直様、最近なんだかお疲れよねー」
「ねー。顔色悪い感じもするし、休めてないのかしら」
「心配だわ~」

 親衛隊の連中が直の顔色の悪さを把握している。この頃は帰ってくるのが遅いので、そりゃあ疲れがたまっている事だろうと思っていた。さっきの全校集会でも、矢崎直としている時の機嫌の悪さと顔色の優れなさは話題であった。仕事の疲労もそうだけど、一番の原因はだろうな。

「直様、なんかさっきの数学の授業すっごい顔してたわねェ。あんた達、なんかあったの?」
「ちょっとしたケンカだよ」
「なんのケンカしたの?」
「えー……最近、営みが……ご無沙汰だから……かな」

 こういう男同士の性的話題は他の皆にはしづらいものがある。健一も宮本君らもノンケだし、悠里に至っては双子の兄の性事情なんて知りたくないだろうし。

 だから、いろいろ経験している篠宮や、新宿二丁目感覚で話せるオネエの五反田には話しやすい。五反田は自分も男の彼氏がいるとカミングアウトしてくれたので、こういう問題は一番の適任だろう。

「あーそういう事ね。よくあるパターンだわ。アタシもそれでよく彼氏とケンカしたわよォ」

 五反田はポッキーを片手に頬杖をついて膝を組んでいる。ポッキーではなくて煙草だったらスナックのママ感出ていてサマになるものだ。

「多忙であえない時とかすれ違いなんて多くなると不満も溜まるでしょ。しかも相手は直だしね」
「篠宮も宮本君と……」
「まあ、今のアンタと同じ悩みでたまにケンカにはなるな。あたしは性欲強い方だからね。直もあたしと同じで強いから、できないとなるとすっごいストレス感じてるんじゃない」

 篠宮もなんかスナックにいるママな感じが似合っている。

「でも、彼氏が体調悪そうにしてたなら、あたしなら忙しくてもどこかで時間作るわ。それこそ寝る間も惜しんで尽くしてあげたいと思うわけ」
「そうね。愛に見返りは求めちゃダメなんだから。そこは彼氏のためだと思って、忙しくてもどこかで時間取らないと」
「そーだよなぁ……」

 自分自身も欲求不満でそろそろ辛い。女以上に男って性欲がたまって発散させないとやばいのだ。

 そろそろ何かで発散させるか……。二次元の美少女で……いや、最近二次元だけじゃ勃たなくなった。現実の気持ちよさを知ってしまうと二次元ってすべてが娯楽のように思えてしまうから不思議だ。

 

 ピンポンパンポーン


『えーEクラスの架谷甲斐。すぐに上のラウンジに来い。繰り返す。架谷甲斐は~』

 いきなりの校内放送で旦那の声が響き渡った。俺は呆然として聞いていた。

「あら、お呼び出し」
「ついに愛しのカレが我慢できなくて権力行使で呼び出そうって事ね」
「へ……」
「先生には早退って言っておくわネ」
「腰痛には気を付けな。明日は無理して学校来なくていいから。じゃあな」

 五反田と篠宮は問題が片付いたと言わんばかりにあっさりと去って行った。その台詞をよく考えずに俺は四天王専用VIPラウンジに向かう。矢崎直の従者として。実際、俺は未だに従者だからな。



「甲斐、来たな」
「え……あ、あのっ……っあ」

 ぎゅっといきなり抱き締められて、尻を躊躇いもなく撫でまわされた。性欲が溜まりに溜まっているので、それだけで股間に熱がこもるのを感じる。

「もう我慢できないんだ。溜まりすぎてイライラと不調が多くてマジやばいんだよ。仕事もミスばかりでっ」

 切羽詰まった表情の直は顔色が朝より悪そうだ。欲求不満のせいで仕事も失敗ばかりだという。

「っ……ま、まさか……呼び出した理由って……」
「家では子供らがいてできないし、なかなか二人きりにもなれない。だから、もうここでしかできないだろ」
「ッ――!」


 その言葉を最後に、濃厚なキスで唇を塞がれた。もう言葉はいらんだろ、ヤラセロと行動に移された。

 キスだけで腰がガクガクした俺は直に横抱きで持ち上げられ、仮眠室として使っているベットに押し倒された。

 あっさりと服を取っ払われ、下着も脱がされ、そして、一気に貪り尽くされた。もうこれでもかってくらい直に欲望をぶちまけられ、激しくも甘く抱かれまくって、放課後になるあたりまで抱き潰されましたとさ。

 当然、俺は途中で白濁だらけのグチャドロで気絶していた。計7回も中出しとかこいつ頭おかしくね?絶倫すぎだろ。


 *


「パパ!ママ、どうしちゃったの?」
「あー……いろいろあって疲れたみたいだ」

 気絶した甲斐を横抱きで持ち帰ったその晩、子供達に純粋な視線を向けられたのが心苦しかったが、まあ仕方のない事だ。適度に発散させないと絶倫な自分にとっては毒なのだ。許せ、甲斐。

「まま、まいにちいそがしいもんね」
「おかしゃ、だいじょぶ?」
「休んでれば大丈夫だ」
「じゃあ今日はウチが家事をがんばります!父様は母様の看病よろしくお願いしますね」

 にこっと笑う甲夜はさすが中身が大人だけあって事情は察しているようだ。

「あ、そうそう。今日から甲梨と直樹はウチの部屋で寝ようね」
「まあ、しかたないよねー」
「えーー!かよねえちゃん、なんで?」

 甲梨は変に事情がわかっているが、純粋培養の直樹は不満そうだ。

「父様と母様が大変だからですよ」
「おとしゃとおかしゃたいへんなの?」
「そりゃたいへんよ。ふうふなんだからよるにイチャイチャできないもん。ね?ぱぱ」

 さすが甲梨。オレに似てその年齢ながらマセているものだ。

「ま、まあな。でも、たまになら一緒に寝てもいいからな」
「……ほんと?」
「ああ。子供達との時間も大事にしたいからな」

 という事で、これからの甲斐との夜の営みの時間はなんとか確保できそうだ。これで平和な毎日を送れるようになる事だろう……



「……って思うかバカ!お前にとっては平和だが俺にとっては地獄だよ!あんたの無限大な性欲地獄に抱きつぶされて日々大変なんだからな!少しは自重しろっ!」
「まあまあ。毎日じゃねーから。せいぜい週3くらいの三回中出しペースだから」
「その三回で地獄を見るんだよバカ野郎!ううう、マジで俺……直に抱き殺されるんですけど。テクノブレイクで死ぬ……」


 完

 夫婦の受難ではなく、甲斐の受難でした。
 



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