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ユカイなスピンオフ(本編スピンオフ)
モーホー喫茶
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※時期的に三章前後
「バカ理事長の娘が経営している喫茶店!?」
宮本君と本木君が最近のバカ理事長の動向を探っていたらしい。
なんとか秘密の花園の情報を少しでも手に入れたい俺は、その吉報を聞いて俄然やる気になっていた。
「このあたりの繁華街で開店したみたいなんだ。娘が腐女子らしくて、BL喫茶みたいなのをほとんど自分の趣味で始めた店で、何から何まで部下にやらせて経営者気分になってるみたい」
「ようするに、金持ちの道楽で始めた店ってことか。いいよなー暇な金持ちは」
そんな暇と金があるならもっと有意義に使えよと呆れるものだ。
「だけど、その娘を調べれば秘密の花園の何かを掴めるかもしれない」と、本木君。
「BL喫茶なのが抵抗あるけどね」
「たしかに抵抗はあるが、これも理事長と校長の悪事を阻止するためだからな。壊滅させるにはやはりもっと情報が欲しい。だらかこそやるしかない」
という事で、俺と宮本君と本木君は嫌々ながらその店にに潜入する事にした。ついでにその話を聞いていたキモオタ仲間のオタ熊を巻き添えにして。
「この制服を着ればいいのか」
「ただのよくある学校の制服だよね」
「BL喫茶だからBLを扱ったコンセプトカフェみたいなもんだと思うよ。今回は学園をモチーフにしてるのかも」
「なるほど。しかし、拙者は制服ではなくてキャロリンちゃんの衣装を着たかったでござる」
「ここは二次元コスプレ喫茶じゃねーからな。モーホー喫茶って事を忘れるなよ」
そういえばBL喫茶って何するんだっけ?ただホモい感じで接すればいいだけなのかな。
まあ、メイド喫茶の野郎バージョンだと思えばいいか。それだけならちょっと嫌ではあるが我慢できるだろう……たぶん。
「はいはーい!君達は新入りちゃんね~?アタシはオーナーの出舞好っていう美少女経営者よ。今日からあたしのためにたくさん稼いできなさいよね。一日一人一万以上は稼がないとバイト代なしだから」
理事長の娘のデブス女がキャバ嬢のような服を着て説明した。クラスメートにいる花野に顔が似ているので、一瞬本人かと思ってしまったよ。あの鼻の穴が三つある具合といい、あの巨体な見た目といい、まんま花野の別個体である。
デブスは俺達を品定めした後、ぐふふと笑みを浮かべつつ「これは濡れるわね」などと呟き、野郎同士のイチャコラを妄想している。きめえ。
ていうか一人一日一万って……ノルマ制な上に稼げないと無給だなんてブラックすぎだろ。
「あなたは顔は可愛いし綺麗だからすぐモテるわよ~」
「は、はあ……」
宮本君は女顔なのでたしかにモテるだろう。本人はノンケなので嫌そうではあるが。
「あなたは純粋な野球少年って感じで魔性のゲイにモテそうね。亀甲縛りしたらバエそうだわ。アタシのためにSM好きな少年という設定で働きなさい」
「ううう」
本木君は青い顔をしてふらついていた。亀甲縛りという単語が秘密の花園を連想させる地雷のようで、彼をここに連れてこない方がよかったなと今更ながら後悔。
「で、平凡地味そうなアンタとキモオタブサメンなあんたはゲテモノ扱いってことでその辺に突っ立ってなさい。あんたらブサはただの引き立て役。いいわね?」
俺とオタ熊はてきとーな扱い方を受けた。この差ひどくね?と、言いたいところだが、そっちの方がモーホーに狙われないで済むので黙って頷く。
「拙者達はただ突っ立っているだけでいいようでござる。助かったでござるー」
「宮本君と本木君が心配だけどな」
ここは普通のBL喫茶とは違い、ちょっとのおさわりやキスも合法となり、客の要望に応えないといけないのだ。客が女の場合は、指定があれば店員同士とのイチャツキをしなければならず、客がゲイの場合はそのゲイ客に奉仕とやらをしないといけない。
おい……もはやただのBL喫茶じゃねーだろここ。っつーかただのおさわりパブと変わらねえじゃねえか!!
「「いらっしゃいませー!学園ホモ喫茶へようこそ!」」
俺は平凡地味な学生設定でレジ接客係を任された。ただ突っ立ってるだけだが、せめてレジと接客くらいはしろと言われたので入口に立たされた。そんなオタ熊も俺と同じで店内清掃係を任される。オタ熊はゲテモノ設定だからほとんど掃除係だけどな。
俺もオタ熊もどーせ指名される事はないので、注文入るまでのんびりエロゲでもしてよーっと。
「えーと……この白濁精液ジュース(カルピス)と~柔らか受け子のおちんちん(ソーセージとポテト)がいいですー」
「えーとせいえきじゅ、じゅーすと……受け子のおちんちんですね……オーダー入りまーす!」
つーかなんなんだよこのひでえメニューの名前は……っ!露骨すぎて引くわ。
「すいませーん!私達、あの子とあの子が押し倒されてケツ掘られる所みたいんですけどー」
「はいはーい。その両者は今掘り合い中(別客を接客中)なのでちょっと待っててくださいねー」
俺やオタ熊は当然ながらゲテモノ扱いなので、今のところほぼ指名されることはない。このまま指名されませんよーに。
しばらくすると……
「きみ!きみだよきみ!」
「は、はい?」
どうせ指名はされないだろうと美少女エロゲをしていたら、見た目がグロくてハゲでデブなおっさんに声をかけられた。常連客らしい。
「きみ、平凡地味だと思っていたらよく見ると……結構可愛い顔してるね」
「は、はぁ……」
野郎から可愛い言われてもオエってなるが、とりあえず営業スマイル。
「磨けば光るような顔してるから、髪形をお洒落にして色気を身に着ければきっとモテモテになるよ。見た目に反してキミ、結構筋肉質だし……」
「そうですかー格闘やってるんでアリガトウゴザイマース」
テキトーに相槌を打っていたら、おっさんは「じゃあ君を指名するよ」と言い出した。
「え、えーとぼくですか?」
「うん。君だよ。ぼくのこのイチモツをキミに綺麗にしてほしいんだけどいいかな?」
イチモツって……嫌な予感がした俺は焦る。そんなおっさんはいきなりズボンのジッパーを下ろし、グロテスクにそそり立った赤黒い物体を見せつけてきた。げ……!!
「さ、さすがにそちらのオプションサービスは当店では受け付けておりませんのでー……」
おっさんの汚い金玉の清掃なんてもはや喫茶店の範囲を超えている。勘弁してくれ。俺はノンケなんで。
「この店ではこれくらい大丈夫って聞いてるよ~?」
「いや、それは隠れてやっている連中の事でして、表ではフェラ行為は禁止というかなんというか「別にそれくらいいいだろうが!!」
グロイおっさんがいきなり声を荒げた。本性を表したらしい。
「せっかく一日一度も指名のないお前で抜いてやろうってのにお客に逆らうってのか!!ああ!?」
「そ、そういうわけでは……」
いや、指名なんていらねーっす。こっちは楽なレジと接客だけでいいんで。
「最近の店員はお客様は神様って事もしらねーようだな!ありがたく金払ってやってんのにサービスの一つくらいできねーんだもんなぁ?ここは可愛い男の子と楽しむ店ってのに、こういう店員が一匹いるだけで興が失せた。この能無しゲテモノ店員がよ」
カチン。このおっさんの横柄な態度に、短気な俺はついに切れてしまった。
「うるせえな……黙って下に出てりゃあ好き放題文句言いやがって……お客だからってなんでもかんでも偉そうにできると思ったら大間違いだ!この変態クレーマー野郎!!」
「ちょ、甲斐殿!」
オタ熊が制止に入ろうとするが、俺はもう我慢ならん。
もうクビで構わない!そもそも俺達にはこういう所で働くのがそもそもの間違いだったんだ!!
「おれ様を誰だと思っている!!この店のオーナーの弟だぞ!」
「お前はただの迷惑な変態客だろうが!!客に無理やりフェラ行為要求するなら警察呼んでやるよ!」
あのデブスの弟って事はデブ理事長の息子なのか。親子そろってドスケベ変態性癖一族とは救いようがねえな。
もう秘密の花園の秘密を探るどころじゃない。自分の精神ダメージの方を心配した俺は、クビ覚悟でこのグロイ客をねじ伏せようとする。と――……
「こらキミ。そんな乱暴な態度は良くない」
そんな時、向こうから長身の男がやってきた。無茶な要求をしてくるこのおっさんじゃなくて、俺を咎めにやってきた変な野郎が……って、なんかどこかで見たことがあるなと思えば……
「そんなお前にはお仕置きが必要だな」
なんでお前がここにいるんだよ!矢崎直っ!!
「キャーあの人カッコよすぎ!!」
「超イケメン!!最近入った店員の人かな」
「あの人指名したーい!」
女性客達が頬を染めて現れた矢崎に見惚れている。
矢崎は眼鏡をかけた教師のような格好をしていて、理系のような白衣を着ている。無駄に似合っているのが憎らしいが、もしかしてお前も教師として潜り込んでいるのか?
「さあ、お客様に無礼を働いたんだ。お前にはオレが教師としてお仕置きしてやる」
「は……お仕置きって……」
もうホモごっこをする気がない俺は、そのまま帰ろうとすると、矢崎はだんっと俺のすぐ隣を壁ドンする。
「黙って先生であるオレの言う事をききなさい」
「っ……」
「さあ、お仕置きの開始だ」
俺を助けるための演技なのか、それとも本気なのかは知らないが、あろう事か矢崎は俺の着ている制服の胸ボタンを両手で引きちぎり、そこに顔を埋めた。
「は!?ちょ……ひい!やめ、何しやがる!!」
くすぐったい。くすぐったいから~~~~っ!
「黙りなさい。これはお仕置きだと言っているだろう。お前に拒否権はない」
「だ、だからってなんでこんな……」
こんな服脱がされて首筋にキスされまくってんだよおお!?
逃げ腰な俺を引っ掴む矢崎。それに興奮して盛り上がるお客様たち。唖然としているおっさん。
「んぅ~~!?」
そして、思いっきり唇にキスをされた。
ちょ、苦しい。いくらBL喫茶でも野郎とキスなんて冗談じゃないし、それに俺はこいつなんて……
やめ、そこは……いやああ~~~~!!
「はっ!!」
我に返った次の瞬間、目の前は見慣れた天井であった。こ、これは……
ぜーぜー……な、なんだ……夢、か。
「はぁ~……矢崎に犯されるかと思っちまったよ~……」
なんか最近変な夢ばかり見るな。矢崎と射精しないと出れない部屋に閉じ込められるやつとか、今みたいに襲われるようなのとか。どれも矢崎が登場してるってのが腑に落ちない。
俺……そんなにも矢崎相手を潜在的に意識してんのかも……。
本格的に心療内科を受診した方がいいだろうかと思う今日この頃であった。
完
「バカ理事長の娘が経営している喫茶店!?」
宮本君と本木君が最近のバカ理事長の動向を探っていたらしい。
なんとか秘密の花園の情報を少しでも手に入れたい俺は、その吉報を聞いて俄然やる気になっていた。
「このあたりの繁華街で開店したみたいなんだ。娘が腐女子らしくて、BL喫茶みたいなのをほとんど自分の趣味で始めた店で、何から何まで部下にやらせて経営者気分になってるみたい」
「ようするに、金持ちの道楽で始めた店ってことか。いいよなー暇な金持ちは」
そんな暇と金があるならもっと有意義に使えよと呆れるものだ。
「だけど、その娘を調べれば秘密の花園の何かを掴めるかもしれない」と、本木君。
「BL喫茶なのが抵抗あるけどね」
「たしかに抵抗はあるが、これも理事長と校長の悪事を阻止するためだからな。壊滅させるにはやはりもっと情報が欲しい。だらかこそやるしかない」
という事で、俺と宮本君と本木君は嫌々ながらその店にに潜入する事にした。ついでにその話を聞いていたキモオタ仲間のオタ熊を巻き添えにして。
「この制服を着ればいいのか」
「ただのよくある学校の制服だよね」
「BL喫茶だからBLを扱ったコンセプトカフェみたいなもんだと思うよ。今回は学園をモチーフにしてるのかも」
「なるほど。しかし、拙者は制服ではなくてキャロリンちゃんの衣装を着たかったでござる」
「ここは二次元コスプレ喫茶じゃねーからな。モーホー喫茶って事を忘れるなよ」
そういえばBL喫茶って何するんだっけ?ただホモい感じで接すればいいだけなのかな。
まあ、メイド喫茶の野郎バージョンだと思えばいいか。それだけならちょっと嫌ではあるが我慢できるだろう……たぶん。
「はいはーい!君達は新入りちゃんね~?アタシはオーナーの出舞好っていう美少女経営者よ。今日からあたしのためにたくさん稼いできなさいよね。一日一人一万以上は稼がないとバイト代なしだから」
理事長の娘のデブス女がキャバ嬢のような服を着て説明した。クラスメートにいる花野に顔が似ているので、一瞬本人かと思ってしまったよ。あの鼻の穴が三つある具合といい、あの巨体な見た目といい、まんま花野の別個体である。
デブスは俺達を品定めした後、ぐふふと笑みを浮かべつつ「これは濡れるわね」などと呟き、野郎同士のイチャコラを妄想している。きめえ。
ていうか一人一日一万って……ノルマ制な上に稼げないと無給だなんてブラックすぎだろ。
「あなたは顔は可愛いし綺麗だからすぐモテるわよ~」
「は、はあ……」
宮本君は女顔なのでたしかにモテるだろう。本人はノンケなので嫌そうではあるが。
「あなたは純粋な野球少年って感じで魔性のゲイにモテそうね。亀甲縛りしたらバエそうだわ。アタシのためにSM好きな少年という設定で働きなさい」
「ううう」
本木君は青い顔をしてふらついていた。亀甲縛りという単語が秘密の花園を連想させる地雷のようで、彼をここに連れてこない方がよかったなと今更ながら後悔。
「で、平凡地味そうなアンタとキモオタブサメンなあんたはゲテモノ扱いってことでその辺に突っ立ってなさい。あんたらブサはただの引き立て役。いいわね?」
俺とオタ熊はてきとーな扱い方を受けた。この差ひどくね?と、言いたいところだが、そっちの方がモーホーに狙われないで済むので黙って頷く。
「拙者達はただ突っ立っているだけでいいようでござる。助かったでござるー」
「宮本君と本木君が心配だけどな」
ここは普通のBL喫茶とは違い、ちょっとのおさわりやキスも合法となり、客の要望に応えないといけないのだ。客が女の場合は、指定があれば店員同士とのイチャツキをしなければならず、客がゲイの場合はそのゲイ客に奉仕とやらをしないといけない。
おい……もはやただのBL喫茶じゃねーだろここ。っつーかただのおさわりパブと変わらねえじゃねえか!!
「「いらっしゃいませー!学園ホモ喫茶へようこそ!」」
俺は平凡地味な学生設定でレジ接客係を任された。ただ突っ立ってるだけだが、せめてレジと接客くらいはしろと言われたので入口に立たされた。そんなオタ熊も俺と同じで店内清掃係を任される。オタ熊はゲテモノ設定だからほとんど掃除係だけどな。
俺もオタ熊もどーせ指名される事はないので、注文入るまでのんびりエロゲでもしてよーっと。
「えーと……この白濁精液ジュース(カルピス)と~柔らか受け子のおちんちん(ソーセージとポテト)がいいですー」
「えーとせいえきじゅ、じゅーすと……受け子のおちんちんですね……オーダー入りまーす!」
つーかなんなんだよこのひでえメニューの名前は……っ!露骨すぎて引くわ。
「すいませーん!私達、あの子とあの子が押し倒されてケツ掘られる所みたいんですけどー」
「はいはーい。その両者は今掘り合い中(別客を接客中)なのでちょっと待っててくださいねー」
俺やオタ熊は当然ながらゲテモノ扱いなので、今のところほぼ指名されることはない。このまま指名されませんよーに。
しばらくすると……
「きみ!きみだよきみ!」
「は、はい?」
どうせ指名はされないだろうと美少女エロゲをしていたら、見た目がグロくてハゲでデブなおっさんに声をかけられた。常連客らしい。
「きみ、平凡地味だと思っていたらよく見ると……結構可愛い顔してるね」
「は、はぁ……」
野郎から可愛い言われてもオエってなるが、とりあえず営業スマイル。
「磨けば光るような顔してるから、髪形をお洒落にして色気を身に着ければきっとモテモテになるよ。見た目に反してキミ、結構筋肉質だし……」
「そうですかー格闘やってるんでアリガトウゴザイマース」
テキトーに相槌を打っていたら、おっさんは「じゃあ君を指名するよ」と言い出した。
「え、えーとぼくですか?」
「うん。君だよ。ぼくのこのイチモツをキミに綺麗にしてほしいんだけどいいかな?」
イチモツって……嫌な予感がした俺は焦る。そんなおっさんはいきなりズボンのジッパーを下ろし、グロテスクにそそり立った赤黒い物体を見せつけてきた。げ……!!
「さ、さすがにそちらのオプションサービスは当店では受け付けておりませんのでー……」
おっさんの汚い金玉の清掃なんてもはや喫茶店の範囲を超えている。勘弁してくれ。俺はノンケなんで。
「この店ではこれくらい大丈夫って聞いてるよ~?」
「いや、それは隠れてやっている連中の事でして、表ではフェラ行為は禁止というかなんというか「別にそれくらいいいだろうが!!」
グロイおっさんがいきなり声を荒げた。本性を表したらしい。
「せっかく一日一度も指名のないお前で抜いてやろうってのにお客に逆らうってのか!!ああ!?」
「そ、そういうわけでは……」
いや、指名なんていらねーっす。こっちは楽なレジと接客だけでいいんで。
「最近の店員はお客様は神様って事もしらねーようだな!ありがたく金払ってやってんのにサービスの一つくらいできねーんだもんなぁ?ここは可愛い男の子と楽しむ店ってのに、こういう店員が一匹いるだけで興が失せた。この能無しゲテモノ店員がよ」
カチン。このおっさんの横柄な態度に、短気な俺はついに切れてしまった。
「うるせえな……黙って下に出てりゃあ好き放題文句言いやがって……お客だからってなんでもかんでも偉そうにできると思ったら大間違いだ!この変態クレーマー野郎!!」
「ちょ、甲斐殿!」
オタ熊が制止に入ろうとするが、俺はもう我慢ならん。
もうクビで構わない!そもそも俺達にはこういう所で働くのがそもそもの間違いだったんだ!!
「おれ様を誰だと思っている!!この店のオーナーの弟だぞ!」
「お前はただの迷惑な変態客だろうが!!客に無理やりフェラ行為要求するなら警察呼んでやるよ!」
あのデブスの弟って事はデブ理事長の息子なのか。親子そろってドスケベ変態性癖一族とは救いようがねえな。
もう秘密の花園の秘密を探るどころじゃない。自分の精神ダメージの方を心配した俺は、クビ覚悟でこのグロイ客をねじ伏せようとする。と――……
「こらキミ。そんな乱暴な態度は良くない」
そんな時、向こうから長身の男がやってきた。無茶な要求をしてくるこのおっさんじゃなくて、俺を咎めにやってきた変な野郎が……って、なんかどこかで見たことがあるなと思えば……
「そんなお前にはお仕置きが必要だな」
なんでお前がここにいるんだよ!矢崎直っ!!
「キャーあの人カッコよすぎ!!」
「超イケメン!!最近入った店員の人かな」
「あの人指名したーい!」
女性客達が頬を染めて現れた矢崎に見惚れている。
矢崎は眼鏡をかけた教師のような格好をしていて、理系のような白衣を着ている。無駄に似合っているのが憎らしいが、もしかしてお前も教師として潜り込んでいるのか?
「さあ、お客様に無礼を働いたんだ。お前にはオレが教師としてお仕置きしてやる」
「は……お仕置きって……」
もうホモごっこをする気がない俺は、そのまま帰ろうとすると、矢崎はだんっと俺のすぐ隣を壁ドンする。
「黙って先生であるオレの言う事をききなさい」
「っ……」
「さあ、お仕置きの開始だ」
俺を助けるための演技なのか、それとも本気なのかは知らないが、あろう事か矢崎は俺の着ている制服の胸ボタンを両手で引きちぎり、そこに顔を埋めた。
「は!?ちょ……ひい!やめ、何しやがる!!」
くすぐったい。くすぐったいから~~~~っ!
「黙りなさい。これはお仕置きだと言っているだろう。お前に拒否権はない」
「だ、だからってなんでこんな……」
こんな服脱がされて首筋にキスされまくってんだよおお!?
逃げ腰な俺を引っ掴む矢崎。それに興奮して盛り上がるお客様たち。唖然としているおっさん。
「んぅ~~!?」
そして、思いっきり唇にキスをされた。
ちょ、苦しい。いくらBL喫茶でも野郎とキスなんて冗談じゃないし、それに俺はこいつなんて……
やめ、そこは……いやああ~~~~!!
「はっ!!」
我に返った次の瞬間、目の前は見慣れた天井であった。こ、これは……
ぜーぜー……な、なんだ……夢、か。
「はぁ~……矢崎に犯されるかと思っちまったよ~……」
なんか最近変な夢ばかり見るな。矢崎と射精しないと出れない部屋に閉じ込められるやつとか、今みたいに襲われるようなのとか。どれも矢崎が登場してるってのが腑に落ちない。
俺……そんなにも矢崎相手を潜在的に意識してんのかも……。
本格的に心療内科を受診した方がいいだろうかと思う今日この頃であった。
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