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学園トップスピンオフ
夢の中の邂逅 ※R15
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※時期的に3章前後
「くそっ!この扉っ!なんで開かない!?」
「冗談じゃねーっつうの!このクソ扉!」
ガチャガチャと何度ドアノブをまわしても開かない所かびくともしない扉が憎らしく思える。
だってこんな密室空間に閉じ込められたんだ。大嫌いな奴と。
見た目はちゃちな茶色の開け戸だというのに見た目に反して傷一つつかない屈強なドア。押してダメなら引いてみろとありとあらゆる方向へ力を入れてみてもだめ。蹴破ろうとしたり体当たりをしてみても自分の体を痛めるだけでまったく効果なし。
おまけに扉の前には『お互いに射精しないと扉は開きません』という張り紙と文字。
その内容もふざけているが、この空間に大嫌いな奴と閉じ込めるなんてこの扉めは狙っていると言わんばかりである。
「なんでテメーなんかと閉じ込められなきゃいけねーんだよ!オレ様頭痛い」
「その台詞そっくりそのまま返してやるよクソ財閥。頭どころか気分悪くて吐き気さえするわい」
俺になんの恨みがあるんですか扉の神様よ。
こいつと閉じ込めるなんて辱めを受けて死ねというんですか。更生させるとは言いましたが、さすがこいつとは今は仲良くとかはできそうもないといいますか……それとこれとは別なんですって。
「くそッ!無理か……」
30分ほど扉と格闘してみたがやっぱり開かない。
射精しない限り出してはくれないらしい。なんで射精なんだか。破廉恥な扉だな。
だからと言って、こんな野郎の前で自慰なんて嫌である。やはり辱めを受けさせて俺の人生に大いなるトラウマ与えて死なせる気だこの扉は。
ちくしょう、この扉作った奴覚えていろよ。
「仕方ねーな。テメーなんかとやってやるか」
「テメーなんかって……本気かよてめえ」
ぞっとしつつ矢崎の野郎を見上げると、奴は睨み返してきた。
「やらねーと出れねーなら嫌でもやるしかねーだろうが。テメーみたいな平凡地味のしかも冴えない野郎の姿見ても可哀想なオレ様はイケるかどうか不安だが、いつまでもこんな狭い部屋なんかにジッとしたくねーんだよ。とっとと出たいんだクソが」
「こんな部屋からとっとと出たいって意見は大いに賛成だが、冴えない平凡地味野郎で申し訳ございませんわねぇ。俺だっててめえの使いまくった中古品のちんぽ見てイケるか不安だってのにお前だけが悲劇のヒーロー気取りでいるんじゃねーぜよ」
「じゃあ二次元かAV女優の体でも妄想してイケるよーに努力しろよ。お互い出すもん出さないと出れんみたいだからオレ様の足を引っ張るな愚民」
「そっちこそセレブ女とヤリまくってるせいでシコるだけじゃ勃たないとか勘弁しろよな。ヤリすぎて早漏ってのも逆にお笑いだけど」
「テメ……やっぱ生意気だな」
「どっちが生意気なんだか」
お互いに睨みあい、視線をバチバチさせつつズボンのベルトをガチャガチャ外しにかかる俺と奴。そしてパンツをずりおろす俺達。
あー最悪。こいつの前でパンツ脱ぐ羽目になるなんて屈辱と汚点だ。でも矢崎の野郎も考えている事は同じだろうからお互いさまって事で我慢するしかないな。嫌々ながらも出すもん出さないと出られんし。
ていうか本当に射精できるのだろうか……。
矢崎の姿見て余計に萎えてイケなくなりそうな気がしないでもないんですけど。
いくら昨日見た二次元の想像をしても所詮二次元は二次元なんだよなあ。意地でも妄想すればなんとかなりそうだが……
実際観ながらならともかく内容を思い出しつつシコるなんて俺は不得意である。童貞だからな。
生身を経験していない身としては想像だけじゃピンとこない。だがしかし、意地でもやるっきゃない。俺の股間よ、今日ぐらいは精力出したまえ。
「っ……く、……は」
しばらく右手で執拗に自分の象徴を扱きながら昨日観たエロアニメを思い返してみる。
くそ……やっぱ昨日観たエロアニメを思い出すだけじゃなかなか波が打ち寄せてこないな……。抜いたばかりだからなかなか勃たないし。
エロアニメ動画を現在進行形で観れりゃあまだなんとかなったかもなのに、思ったほど想像だけではオカズが足りないようだ。残念ながらスマホも手元にないし。
焦燥にかられてふと矢崎の野郎をちら見すると、矢崎もこちらに視線を向けたのか視線があった。
あ………。
俺を見る目がとてもギラギラした雄本能丸出しの顔だった。途端、背中がぞくりとして鳥肌がたつ。
なんだこいつの眼――。
気まずくなって視線をすぐに外す。が、矢崎のギラギラ視線が脳裏に焼きつく。
あんな目で俺を見ていたなんて意外に悪趣味だなアイツ。ドスケベで貧乏人だなんだ言っている割にはガン見してやがるなんてどんなツンデレだよ。
こんな下半身をおっ勃てた姿を滑稽と好奇心で笑ってやりたいんだろうけど、そうは見えなかった。ていうか奴の視線を肩越しから感じて手を動かしにくいし集中できん。それに……
ぞくぞくと高揚する体に異変を感じる。なんだ俺、変だ。体が熱くなる。
なんでこいつに見られているって思うだけで興奮してくるんだよ俺。
「架谷」
パニックになっている俺はびくっとして反射的に矢崎の方を向く。そこには先ほど見たままの興奮した奴の顔がある。しまった。視線を合わせるんじゃなかった。
「お前、全然進んでないじゃねぇか」
「あ、いや、これは……」
矢崎の奴は吐息を荒く吐き乱しながら近寄ってくる。おい、なぜ近寄ってくる。
後ずさりしたかったが、奴はお構いなしに距離を縮めてくる。
「ちょ……く、来るなって」
そうは言ってもこの状況だ。
なかなかイケずにうまくいかなくて無意識に矢崎に助けを求めていたのかもしれない。足を開いてしまったのだ、自ら俺は。
おかげで、矢崎の眼前に露わになる自分自身がまた一段と興奮して大きくなった。
「仕方ないからオレがイカせてやる」
「そ、そんな事……」
「じゃないと……いつまでたってもテメーはモタついてイキそうもないだろ。自分で足開いたくせに」
「っ……」
たしかにその通りだが……だからと言ってコイツの助けなんて……うう。グジグジ反論しようとする前に、矢崎の手が俺のに触れていた。
「ひゃ、ちょ……タンマだって」
制止する俺を矢崎が鋭い視線で威圧する。
「動くな。黙れ。おとなしくしないと……犯す」
視線で射抜かれて、俺は大人しくならざるを得ない。
大体犯すってオマエな。心にもない事を言いやがって。野郎相手に犯されたら俺マジ生きていけないっつうの。俺にソッチの趣味はねーんだからよっ。
グチュグチュと俺のモノを扱く矢崎の手から水音が奏でられる。先走りと汗が混ざった粘膜がこすれ合う音がなんとも卑猥だ。
「っぁ……ん」
だめだ、変になる。他人に触られると気持ちがいいなんてよく聞くけど、これほどまでだなんて知らない。エロゲしたりAV観るなんかより、自分でするより断然気持ちいいじゃないか。
「架谷」
色気のある声根で名前を呼ばれた。それだけで胸がギュッと締め付けられる。
なんだってこいつも俺も欲情しているんだよ。お互い嫌いあっているのに、こんなにお互いの下半身をさらけ出して触れ合っているなんて可笑しいにも程があるだろ。
心と体はやっぱり別なんだろうか……。好きじゃなくても体さえよければ心は二の次……なのか。心より目先の快楽に負ける気持ちが少しは分からないでもない、かも。
「っ……あ、っふ、ぅ……」
声を押し殺すのも無理なくらい他人の愛撫に思考力が低下している。俺ってこんな甲高い声だっけ。
「……カワイイ反応……」
矢崎のぼそぼそとしたつぶやきは聞き間違いか?でも小声だったからよくわからないしありえない。そうじゃなきゃ俺がカワイイだなんて気色悪いにも程がある。
「架谷……気持ちいい、か?」
「っ……きく、なよ、そんな事」
恥かしげにそっぽを向くと、矢崎は微笑んで顔を寄せてきた。
「可愛い……」
「え……んーーっ!?」
油断している隙に重ねられる唇。まさかキスされるなんて思ってもみなくて茫然とする。俺はそっちの趣味はない。だからやめたまえ。と、言いたいのにこいつ巧すぎ。
キスがこんなにも気持ちいいなんてのも驚き。
俺もこいつもこの空間の魔力におかしくなっているんじゃないのか……。
角度を変えられてのキスを繰り返されて、興奮はもう止まらない。絶頂が近くなって波が最大までむせあがる。
も、出る……。
矢崎の親指の腹が先端を強くこすった瞬間に耐えきれずに吐き出した。勢いよくだったので飛沫が矢崎の顔や髪にかかってしまう。
「あ、ごめん」
反射的に出た言葉に自分自身でもなんだか呆れた。なんで謝罪しているんだか俺。いや、たしかにこいつは憎き野郎だけども、いきなり出してしまったのを恥じたわけであってだな……。
そんな矢崎は俺の謝罪を知らん顔してにやりと笑う。
「今度はオレの番だからな」
「え……」
「だからオレがイク番」
その顔と言葉にゾッとして悪寒が走った。
「貴様だけいい気分ですっきりなんて不平等もいい所だからな。お前も手伝ってもらおうか」
「う……やっぱり。で、じゃあ何をすれば……」
「銜えろ」
「はい……?」
「だから銜えろって言ってンだ。オレ様はただ扱かれるだけじゃあイケないみたいでなァ……貴様の口と手を使って満足させろって事」
「そ、そげなっ……!」
冗談じゃねえという前に顎を鷲掴みにされて力づくで壁に張りつけにされた。
「いいから銜えろって言ってンだろクソ愚民がよ……」
出た出た。鬼畜ドSモード。瞳孔開いてやがるし。
コイツの恐ろしい威圧感と鬼畜ドSなこの態度で今まで何人屈服させてきたんだか。そんなものに俺は負けやしないと気をしっかり持ってしても、こいつの鋭くて絶対零度みたいな冷たい瞳は直視するとやっぱり恐ろしいと思う。何者も逆らえない威力があるというのか根っからの帝王気質というのか……全く厄介この上ない。
「ン、ぐ」
体を押さえつけられたまま無理やり口をこじ開けられて、銜えさせられて、俺はむせかえりそうになった。
熱くて太くて苦しい。ちくしょう、こいつ巨根だな。
顔面偏差値最高な上に大金持ちで、巨根ちんぽだけで女を虜にしそうなこんな野郎が存在するなんて、世の中は不条理にも程がある。
「歯を立てたら……殺す」
犯すから殺すかよ。随分と殺気だってやんの。
「んっ……ぐ……ふ、あ」
「裏の方も奉仕しろよな。でなきゃイケねーんだよオレ様。お前の舌使いにかかっているからがんばれよ」
何ががんばれよだなにが。人の口に無駄にデケェちんぽ突っ込んどいて腹立つ。
「ん、ぐ……ん、ぐ」
とりあえずAVのように見よう見まねフェラをしてみるが意外にうまくいかない。何度も矢崎に下手くそと言われるが、そんなもの右から左に流す。
傍から見れば服従させられている奴隷みたいだ。でも我慢だ。我慢。後で思いっきりこのクソ野郎をぶん殴ってボコボコにしてやるつもりだ。それくらいはしていいだろ。こんな屈辱的な事させているんだからよ。
「下手くそな割にがんばるじゃないか。一生童貞予備軍」
愉悦に嗤う何様俺様矢崎様とやら。
童貞をバカにしていい気になりやがって。ウットリしつつも口先は相変わらず嫌味な野郎でカチンとくるものだ。俺の頭を掴んでわざとらしく腰まで動かし始めていやがるし。
卑怯であり過剰奉仕だ。よって追加でかかと落としも見舞ってやるからな。覚えておれ。
と、虎視眈々と次の一手を考えていると、矢崎が小さく呻いた。
「ん!?」
口の中に生暖かい液体がどっと広がる。ちょ、苦っ。超苦っ。苦しい。
おい、出すなら出すって言えよ。口の中で出すなんて聞いてないぞてめー。
すぐに吐き出そうとするも矢崎が俺の口を押えて睨む。
「飲みこめ」
そいつは無理な話だ。と、離れようとするも引っ掴まれる。
「いいから飲みこめ」
強引に唇を重ねられて矢崎の舌が口内に入ってくる。無理やり飲みこませようとして口の中でお互い攻防を繰り広げたが、舌使いの百戦錬磨である矢崎に敵うはずもなく、喉を動かさざるを得なかった。
「愉しかった、架谷クン」
着衣の乱れを直しつつ嫌味なくらい上機嫌な矢崎の笑顔に、頭カチ割ってやろうかと怒りを覚えた。
さて、これからこいつめの仕返しの時間だと拳を握ると、ガチャリと鍵が開く音がした。
ようやく脱出できるようだ。このクソ扉め。手こずらせおってからに。とりあえず扉の外に出てからこのバカ財閥に報復開始だと外に出ると、
「……あれ……?」
いつの間にか画面が真っ白になって、自室のベットの上で俺は目を覚ましていた。
え、今の夢?夢だったの?えーー……。
俺は沈むように一気に脱力した。
「なんだ……夢だったのかよぉ……もー……最悪な夢だったあ……」
夢でよかったのやら、物足りないやら……なんとまあ拍子抜けな終わりだ。
あ、物足りないというのは奴に報復できなかったからという意味であって、決してシ足りないという意味ではないから間違えないように。もちろんパンツの中は案の定のグショグショでやっちまいました。朝から洗濯まわさないとな。あーいそがしいそがし。
それにしてもこんな夢見るなんて俺って頭おかしいのかも。一度、心療内科に診てもらった方がいいのだろうか。俺ってば繊細。でもあくまで夢だからなかったことにしようっと。
その後、学校で矢崎とすれ違った時、矢崎の奴がどうしてかしばらくよそよそしかったのは気のせいだろう。
そんな俺も、たかが夢の内容のせいで矢崎の顔をまともに見れなかったのは内緒。あんな卑猥な夢だったからな。同性同士であんなこと……俺はホモじゃないしソッチの趣味はないんだから。
だけど、俺は知らない。実は矢崎も同じ夢を見ていたなんて。それ所か、矢崎も夢が原因で変に俺に意識し始めているなんて知る由もなかった。
完
「くそっ!この扉っ!なんで開かない!?」
「冗談じゃねーっつうの!このクソ扉!」
ガチャガチャと何度ドアノブをまわしても開かない所かびくともしない扉が憎らしく思える。
だってこんな密室空間に閉じ込められたんだ。大嫌いな奴と。
見た目はちゃちな茶色の開け戸だというのに見た目に反して傷一つつかない屈強なドア。押してダメなら引いてみろとありとあらゆる方向へ力を入れてみてもだめ。蹴破ろうとしたり体当たりをしてみても自分の体を痛めるだけでまったく効果なし。
おまけに扉の前には『お互いに射精しないと扉は開きません』という張り紙と文字。
その内容もふざけているが、この空間に大嫌いな奴と閉じ込めるなんてこの扉めは狙っていると言わんばかりである。
「なんでテメーなんかと閉じ込められなきゃいけねーんだよ!オレ様頭痛い」
「その台詞そっくりそのまま返してやるよクソ財閥。頭どころか気分悪くて吐き気さえするわい」
俺になんの恨みがあるんですか扉の神様よ。
こいつと閉じ込めるなんて辱めを受けて死ねというんですか。更生させるとは言いましたが、さすがこいつとは今は仲良くとかはできそうもないといいますか……それとこれとは別なんですって。
「くそッ!無理か……」
30分ほど扉と格闘してみたがやっぱり開かない。
射精しない限り出してはくれないらしい。なんで射精なんだか。破廉恥な扉だな。
だからと言って、こんな野郎の前で自慰なんて嫌である。やはり辱めを受けさせて俺の人生に大いなるトラウマ与えて死なせる気だこの扉は。
ちくしょう、この扉作った奴覚えていろよ。
「仕方ねーな。テメーなんかとやってやるか」
「テメーなんかって……本気かよてめえ」
ぞっとしつつ矢崎の野郎を見上げると、奴は睨み返してきた。
「やらねーと出れねーなら嫌でもやるしかねーだろうが。テメーみたいな平凡地味のしかも冴えない野郎の姿見ても可哀想なオレ様はイケるかどうか不安だが、いつまでもこんな狭い部屋なんかにジッとしたくねーんだよ。とっとと出たいんだクソが」
「こんな部屋からとっとと出たいって意見は大いに賛成だが、冴えない平凡地味野郎で申し訳ございませんわねぇ。俺だっててめえの使いまくった中古品のちんぽ見てイケるか不安だってのにお前だけが悲劇のヒーロー気取りでいるんじゃねーぜよ」
「じゃあ二次元かAV女優の体でも妄想してイケるよーに努力しろよ。お互い出すもん出さないと出れんみたいだからオレ様の足を引っ張るな愚民」
「そっちこそセレブ女とヤリまくってるせいでシコるだけじゃ勃たないとか勘弁しろよな。ヤリすぎて早漏ってのも逆にお笑いだけど」
「テメ……やっぱ生意気だな」
「どっちが生意気なんだか」
お互いに睨みあい、視線をバチバチさせつつズボンのベルトをガチャガチャ外しにかかる俺と奴。そしてパンツをずりおろす俺達。
あー最悪。こいつの前でパンツ脱ぐ羽目になるなんて屈辱と汚点だ。でも矢崎の野郎も考えている事は同じだろうからお互いさまって事で我慢するしかないな。嫌々ながらも出すもん出さないと出られんし。
ていうか本当に射精できるのだろうか……。
矢崎の姿見て余計に萎えてイケなくなりそうな気がしないでもないんですけど。
いくら昨日見た二次元の想像をしても所詮二次元は二次元なんだよなあ。意地でも妄想すればなんとかなりそうだが……
実際観ながらならともかく内容を思い出しつつシコるなんて俺は不得意である。童貞だからな。
生身を経験していない身としては想像だけじゃピンとこない。だがしかし、意地でもやるっきゃない。俺の股間よ、今日ぐらいは精力出したまえ。
「っ……く、……は」
しばらく右手で執拗に自分の象徴を扱きながら昨日観たエロアニメを思い返してみる。
くそ……やっぱ昨日観たエロアニメを思い出すだけじゃなかなか波が打ち寄せてこないな……。抜いたばかりだからなかなか勃たないし。
エロアニメ動画を現在進行形で観れりゃあまだなんとかなったかもなのに、思ったほど想像だけではオカズが足りないようだ。残念ながらスマホも手元にないし。
焦燥にかられてふと矢崎の野郎をちら見すると、矢崎もこちらに視線を向けたのか視線があった。
あ………。
俺を見る目がとてもギラギラした雄本能丸出しの顔だった。途端、背中がぞくりとして鳥肌がたつ。
なんだこいつの眼――。
気まずくなって視線をすぐに外す。が、矢崎のギラギラ視線が脳裏に焼きつく。
あんな目で俺を見ていたなんて意外に悪趣味だなアイツ。ドスケベで貧乏人だなんだ言っている割にはガン見してやがるなんてどんなツンデレだよ。
こんな下半身をおっ勃てた姿を滑稽と好奇心で笑ってやりたいんだろうけど、そうは見えなかった。ていうか奴の視線を肩越しから感じて手を動かしにくいし集中できん。それに……
ぞくぞくと高揚する体に異変を感じる。なんだ俺、変だ。体が熱くなる。
なんでこいつに見られているって思うだけで興奮してくるんだよ俺。
「架谷」
パニックになっている俺はびくっとして反射的に矢崎の方を向く。そこには先ほど見たままの興奮した奴の顔がある。しまった。視線を合わせるんじゃなかった。
「お前、全然進んでないじゃねぇか」
「あ、いや、これは……」
矢崎の奴は吐息を荒く吐き乱しながら近寄ってくる。おい、なぜ近寄ってくる。
後ずさりしたかったが、奴はお構いなしに距離を縮めてくる。
「ちょ……く、来るなって」
そうは言ってもこの状況だ。
なかなかイケずにうまくいかなくて無意識に矢崎に助けを求めていたのかもしれない。足を開いてしまったのだ、自ら俺は。
おかげで、矢崎の眼前に露わになる自分自身がまた一段と興奮して大きくなった。
「仕方ないからオレがイカせてやる」
「そ、そんな事……」
「じゃないと……いつまでたってもテメーはモタついてイキそうもないだろ。自分で足開いたくせに」
「っ……」
たしかにその通りだが……だからと言ってコイツの助けなんて……うう。グジグジ反論しようとする前に、矢崎の手が俺のに触れていた。
「ひゃ、ちょ……タンマだって」
制止する俺を矢崎が鋭い視線で威圧する。
「動くな。黙れ。おとなしくしないと……犯す」
視線で射抜かれて、俺は大人しくならざるを得ない。
大体犯すってオマエな。心にもない事を言いやがって。野郎相手に犯されたら俺マジ生きていけないっつうの。俺にソッチの趣味はねーんだからよっ。
グチュグチュと俺のモノを扱く矢崎の手から水音が奏でられる。先走りと汗が混ざった粘膜がこすれ合う音がなんとも卑猥だ。
「っぁ……ん」
だめだ、変になる。他人に触られると気持ちがいいなんてよく聞くけど、これほどまでだなんて知らない。エロゲしたりAV観るなんかより、自分でするより断然気持ちいいじゃないか。
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「っ……あ、っふ、ぅ……」
声を押し殺すのも無理なくらい他人の愛撫に思考力が低下している。俺ってこんな甲高い声だっけ。
「……カワイイ反応……」
矢崎のぼそぼそとしたつぶやきは聞き間違いか?でも小声だったからよくわからないしありえない。そうじゃなきゃ俺がカワイイだなんて気色悪いにも程がある。
「架谷……気持ちいい、か?」
「っ……きく、なよ、そんな事」
恥かしげにそっぽを向くと、矢崎は微笑んで顔を寄せてきた。
「可愛い……」
「え……んーーっ!?」
油断している隙に重ねられる唇。まさかキスされるなんて思ってもみなくて茫然とする。俺はそっちの趣味はない。だからやめたまえ。と、言いたいのにこいつ巧すぎ。
キスがこんなにも気持ちいいなんてのも驚き。
俺もこいつもこの空間の魔力におかしくなっているんじゃないのか……。
角度を変えられてのキスを繰り返されて、興奮はもう止まらない。絶頂が近くなって波が最大までむせあがる。
も、出る……。
矢崎の親指の腹が先端を強くこすった瞬間に耐えきれずに吐き出した。勢いよくだったので飛沫が矢崎の顔や髪にかかってしまう。
「あ、ごめん」
反射的に出た言葉に自分自身でもなんだか呆れた。なんで謝罪しているんだか俺。いや、たしかにこいつは憎き野郎だけども、いきなり出してしまったのを恥じたわけであってだな……。
そんな矢崎は俺の謝罪を知らん顔してにやりと笑う。
「今度はオレの番だからな」
「え……」
「だからオレがイク番」
その顔と言葉にゾッとして悪寒が走った。
「貴様だけいい気分ですっきりなんて不平等もいい所だからな。お前も手伝ってもらおうか」
「う……やっぱり。で、じゃあ何をすれば……」
「銜えろ」
「はい……?」
「だから銜えろって言ってンだ。オレ様はただ扱かれるだけじゃあイケないみたいでなァ……貴様の口と手を使って満足させろって事」
「そ、そげなっ……!」
冗談じゃねえという前に顎を鷲掴みにされて力づくで壁に張りつけにされた。
「いいから銜えろって言ってンだろクソ愚民がよ……」
出た出た。鬼畜ドSモード。瞳孔開いてやがるし。
コイツの恐ろしい威圧感と鬼畜ドSなこの態度で今まで何人屈服させてきたんだか。そんなものに俺は負けやしないと気をしっかり持ってしても、こいつの鋭くて絶対零度みたいな冷たい瞳は直視するとやっぱり恐ろしいと思う。何者も逆らえない威力があるというのか根っからの帝王気質というのか……全く厄介この上ない。
「ン、ぐ」
体を押さえつけられたまま無理やり口をこじ開けられて、銜えさせられて、俺はむせかえりそうになった。
熱くて太くて苦しい。ちくしょう、こいつ巨根だな。
顔面偏差値最高な上に大金持ちで、巨根ちんぽだけで女を虜にしそうなこんな野郎が存在するなんて、世の中は不条理にも程がある。
「歯を立てたら……殺す」
犯すから殺すかよ。随分と殺気だってやんの。
「んっ……ぐ……ふ、あ」
「裏の方も奉仕しろよな。でなきゃイケねーんだよオレ様。お前の舌使いにかかっているからがんばれよ」
何ががんばれよだなにが。人の口に無駄にデケェちんぽ突っ込んどいて腹立つ。
「ん、ぐ……ん、ぐ」
とりあえずAVのように見よう見まねフェラをしてみるが意外にうまくいかない。何度も矢崎に下手くそと言われるが、そんなもの右から左に流す。
傍から見れば服従させられている奴隷みたいだ。でも我慢だ。我慢。後で思いっきりこのクソ野郎をぶん殴ってボコボコにしてやるつもりだ。それくらいはしていいだろ。こんな屈辱的な事させているんだからよ。
「下手くそな割にがんばるじゃないか。一生童貞予備軍」
愉悦に嗤う何様俺様矢崎様とやら。
童貞をバカにしていい気になりやがって。ウットリしつつも口先は相変わらず嫌味な野郎でカチンとくるものだ。俺の頭を掴んでわざとらしく腰まで動かし始めていやがるし。
卑怯であり過剰奉仕だ。よって追加でかかと落としも見舞ってやるからな。覚えておれ。
と、虎視眈々と次の一手を考えていると、矢崎が小さく呻いた。
「ん!?」
口の中に生暖かい液体がどっと広がる。ちょ、苦っ。超苦っ。苦しい。
おい、出すなら出すって言えよ。口の中で出すなんて聞いてないぞてめー。
すぐに吐き出そうとするも矢崎が俺の口を押えて睨む。
「飲みこめ」
そいつは無理な話だ。と、離れようとするも引っ掴まれる。
「いいから飲みこめ」
強引に唇を重ねられて矢崎の舌が口内に入ってくる。無理やり飲みこませようとして口の中でお互い攻防を繰り広げたが、舌使いの百戦錬磨である矢崎に敵うはずもなく、喉を動かさざるを得なかった。
「愉しかった、架谷クン」
着衣の乱れを直しつつ嫌味なくらい上機嫌な矢崎の笑顔に、頭カチ割ってやろうかと怒りを覚えた。
さて、これからこいつめの仕返しの時間だと拳を握ると、ガチャリと鍵が開く音がした。
ようやく脱出できるようだ。このクソ扉め。手こずらせおってからに。とりあえず扉の外に出てからこのバカ財閥に報復開始だと外に出ると、
「……あれ……?」
いつの間にか画面が真っ白になって、自室のベットの上で俺は目を覚ましていた。
え、今の夢?夢だったの?えーー……。
俺は沈むように一気に脱力した。
「なんだ……夢だったのかよぉ……もー……最悪な夢だったあ……」
夢でよかったのやら、物足りないやら……なんとまあ拍子抜けな終わりだ。
あ、物足りないというのは奴に報復できなかったからという意味であって、決してシ足りないという意味ではないから間違えないように。もちろんパンツの中は案の定のグショグショでやっちまいました。朝から洗濯まわさないとな。あーいそがしいそがし。
それにしてもこんな夢見るなんて俺って頭おかしいのかも。一度、心療内科に診てもらった方がいいのだろうか。俺ってば繊細。でもあくまで夢だからなかったことにしようっと。
その後、学校で矢崎とすれ違った時、矢崎の奴がどうしてかしばらくよそよそしかったのは気のせいだろう。
そんな俺も、たかが夢の内容のせいで矢崎の顔をまともに見れなかったのは内緒。あんな卑猥な夢だったからな。同性同士であんなこと……俺はホモじゃないしソッチの趣味はないんだから。
だけど、俺は知らない。実は矢崎も同じ夢を見ていたなんて。それ所か、矢崎も夢が原因で変に俺に意識し始めているなんて知る由もなかった。
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