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一章最低最悪な出会い
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『こんなひ弱そうな奴おれが一瞬でフルボッコにしてやるよ。柴猫もいくら相手が雑魚だからって油断しすぎたんだ。油断して負けたんだろ。ひ弱な奴もキューソ猫をカムとかなんとか言うしな』
ひ弱そうに見えるのか。一応これでも鍛えているんだけどよ。
死ぬほど鍛錬を続けているせいか二の腕とか腹筋とかバキバキ。服を着ているとわからないもんなのか。まあ、まだ中一のガキだしな。これからだろ。
それにしてもさっさと帰って鍛錬したい。エロゲアプリも途中だし、さっさと終わらせたい。
『お前はこのおれ様には死んでも勝てねーぜ。今までは運が良かったがこれでお前もおしめーだ。てめえごときが光宙さんらを挑発して生意気な態度取るなんて数億光年はえぇんだからよ』
『やーん!数億光年とか行晃君が超かっこいぃしィ~!ぁたしまヂ行晃にべた惚れ~まじ卍~!バイブス超アがるンですけどォ~!』
ビッチがうぜえしゃべり方をしながら目をキラキラさせてソイツにしなだれかかっている。
っつーかこいつは行晃って名前なのか。お前もキラキラネームかよ。
光宙といい、柴猫といい、ここら一帯はキラキラネームがブームの町なのだろうか。将来的に自分の名前に後悔し、黒歴史化して改名する未来が手に取るようにわかるよ。名前通り顔はイケてる?かもしれんが、中身が主人公に喧嘩を吹っかける序盤の雑魚キャラ臭そのものだ。
『さあ、俺の必殺パンチをくらえや』
行晃の拳が俺の顔面を捉えようとする。
う……なんだこのパンチは……!!?
俺は驚きと衝撃に固まった。あまりのパンチに呆気にとられすぎてその一撃を真正面から顔面に受けてしまった。
『どうだ!俺の必殺パンチは!』
『やーん!行晃君さいこーだしい!』
人間てのは驚きすぎると思考回路が追い付かなくなって、パソコンがフリーズしたみたいに固まるもんなんだなーとか、顔面に走る物体のようなものを受けながらふと思う。
あまりの弱すぎるキレのないパンチに拍子抜けしすぎて言葉が出なかったよ。
柴猫の方がケンカ慣れしていそうだったと思うが、こいつはひどい。これはひどい。態度だけでかい奴の典型じゃないか。
これが世のモ●キーパンチというものだろうか。いや、ヤンキーパンチだった。すまん訂正。
むう……しかし、ヤンキーとやらは低次元な存在というのがよくわかったよ。ここまでひどかっただなんて正直侮っていた。また俺の中で新たなTORIBIAが生まれたくらいに理解したよ。世の中ってのは下には下がいるんだなあ。
『……で?』
当然、俺の顔面はノーダメージ。行晃の二発目のパンチをあっさり左の掌で止めた。一発目なんて顔面で受けてもなんの痛みすら感じなかったぞ。俺より年下のちびっこ門下生のパンチの方がよっぽど威力があるくらいだ。
『お、俺の渾身のパンチを止めただと!?』
『え、これ渾身なの?』
行晃は俺の衝撃とは逆の衝撃を受けている。俺もまた衝撃だよ。それが渾身だなんてな。
それから畳み掛けるように俺に向けて突きモドキやら蹴りモドキを仕掛けてきた。ガムシャラに特攻してくる有様をみて、本当に態度だけは大きい小物らしい。小物だからこそ、行晃の攻撃モドキは全部避けるまでもなく片手で受け止めて差し上げた。
かつて飛んでいる複数のハエを全て突きだけで倒す地味な修行があったが、あれを凌駕するほど地味に思えるコイツの攻撃の数々に飽きてくる。つか飽きた。
『ちょっとー!何もたもたしてんのよ!はやくそんな奴ノシちゃってよ!』
行晃がなかなか俺を倒せない事にイラついたようで背後から早くしろと声をあげている。あの女は偉そうに命令するだけで何様だ。でももう無駄な時間を過ごしたくないので一瞬で終わらせる。
『なあ、行晃とやら。お前の顔面を行晃無く整形してやろうと思いますがよろしいかえ?』
俺はにっこり微笑んだ。
『あ?てめえ何い……ひでふぅ!!』
俺は行晃の頬を一回だけビンタした。そう一回だけだ。ばちんといい音がした。
それだけで奴は歯が欠ける程に吹っ飛び、地面にもんどりうった。いけてる顔が一瞬でこぶとりじいさんのように頬が腫れあがり、前歯が数本取れた「逝け面」にしてさしあげた。顔面整形はビンタ一発だけで成功である。
そんな行晃は「は、はひ、ひい?」と、引きつったような驚いたような呻き声をあげていた。一体何が起こったかよくわかっていないようである。0.1秒にも満たないほんの一瞬だったから、吹っ飛ばされたこともわかっていないようだ。んでもって呆気にとられている奴の仲間達とビッチ。我に返ったビッチは驚きに悲鳴をあげた。
『きゃ、きゃああ~~!うそお!?』
ビッチの悲鳴が逆に心地よく感じる俺は歪んでいるのかもしれない。
『よかったな。超いけてる顔になったじゃねぇか。お前、そーゆー男が好きなんだろ?面食いそうだもんな』
『なっ……!ちょ、ちょっとなんなのよ!あんた何なの!?化けモノじゃないの!?ビンタで吹っ飛ばすなんてっ!さ、最低よ!!』
あまりにも行晃無い顔面に変貌した新彼氏を前に動揺を隠せないビッチ。
『そっちから喧嘩吹っかけて来たんだろ。最初に手を挙げた方が負けなんだよ』
『だ、だからってやりすぎよ!ありえないんだからっ!』
『盛大なブーメラン乙だな。自分達から突っかかってきておいて負けそうになるとやりすぎとかほざくのか』
俺の言葉にぐぎぎ……と言いたそうなビッチ。それでも「暴力は最低」だとか「暴力反対」だとか外野が抜かしているが、万年ケンカ上等なお前らが言うなよと一喝してやったら黙った。
『あ、アタシはね……こ、こんな弱い奴どーでもよかったのよ!こいつがどうしてもっていうから彼女になってあげたの!そ、そう。無理やりなの!嫌がるアタシを無理やり強姦したの!だ、だからね……あんたが助けてくれて感謝するわ!』
そう言いつつ、ビッチはなぜか俺に近づいて豹変したように潤んだような上目遣いで見上げてきた。は?なんだそのメスみたいな顔は。
『だからね、こいつらに仕返ししたいから残りの奴らをやっつけてほしいの。あたしを酷い目にあわせたこいつら。助けてくれる、よね?ただこいつらに従ってただけなんだから』
ビッチのぶりっこ掌返しに外野の行晃の仲間達が憤慨する。この女の手口はこういうもんか。長いものに巻かれろ的な。今までの男達はこうやって捨てられてきたんだろうなと同性として哀れみを感じるが、女の見る目が悪かったとしか思えない。やっぱ女って嫌いだ。コワイ。策士だ。
『こいつらやっつけたらいい事してあげるから』
ビッチは俺の腕にまとわりつき、胸を押し付けてきた。
『へぇー……いいことって何?』
俺はジト目で女を見下ろす。
『だからあんたが好きそうなエッtぐぼっ!!』
俺はビッチの鳩尾に軽く拳を入れた。
一応女なので怪我をしない程度に超超加減はしてやった。アバズレの気色の悪い色仕掛けによく我慢したと俺を褒めてくれ。まじキモかったんだ。
ビッチは激しく咳き込み、驚愕の面持ちで俺を見ている。
アホか。俺がお前のような性格悪いビッチの味方をするはずがなかろう。そもそも俺は小学校時代の女の掌返しを見て以来女という存在に幻滅している。
『残念でした。俺お前大嫌いなんで』
やっぱり二次元の女の子にしか興奮しないな。こんなアバズレに好かれても嬉しくもなんともない。
『な……!な、ななんで!?あたしの美貌に落ちない男はいないのに!』
美貌も何もお前はまだ中坊だろう。そんでもって尻軽だろう。今までこの手の演技にひっかかるようなバカ男ばかりしか寄ってこなかったんだろ。
『男がみんなお前に落ちると思うか?少なくとも俺はお前になんの魅力も感じない。そんなにヤリたきゃバカなイケメン男ひっかけてヤッてこいよ。それとも金がほしいなら華のJCブランド振りかざしてキモいおっさん権力者に貢いでもらえば?さぞやパパ活に協力してくれるだろうぜ。お前は見た目だけは無駄にいい方だから』
『あ、ありえないわ!なんなのよあんた!あたしは読者モデルにもなった事がある美少女で、この辺の男とか手なずけられる程の権力もあるのに。ほんと意味わかんない意味わかんない!あたしに惚れないなんてあんたもしかしてホモ!?男好きのへんtあんぎゃあ!』
もう会話しているのも面倒くさくなってきたので、女の派手に染めた金髪を鷲掴んで引っ張った。少しばかり虫唾が走った言葉を聞いた気がしたのでつい。
で、言っておくが俺はそっち系はない。断じてない。死んでもありえないので誤解せぬように。
『い、い、いたい!いだだい!いだああい!!ご、ごめんなざい!!ゆ、ゆるじで!!』
『お前、さっき俺を誘惑しようとしたよな。おまけに俺にモーホー疑惑でっちあげてよ……まあそれはいいとして、自分の立場が悪くなった途端に掌返しとか悪役極まりないと思わねーわけ?しかも彼氏だかなんだか知らないが、味方だった奴を平気で裏切れるお前の性格の悪さにますます女に興味を持てなくなった。どーしてくれる。つかどーしてくれようか』
俺が笑いながら目だけで睨みつけると、ビッチの眼は見る見るうちに俺に怯えきって半泣きになる。俺は女だろうが容赦しない性格なんだ。腹立つ女は徹底的に泣かす。殴ってでもな。男女平等パンチ上等主義だ。
『だ、だって……男なんてチョrあんぎゃ!』
ビッチの頭を軽く小突いてやった。もちろん超超加減した。
『チョロイのはお前の周りの野郎共とお前の脳内お花畑だろ。俺を一括りにするな』
『あぎゃぎゃ!いだいいだい!いだだだだだ!!ひゃぐ、やべでぇ!!やべでぇえええ!!』
ぺしぺしと何度もビッチの後頭部を小突き続ける俺。
何これ。楽しい。不良を制裁するのって超楽しい。この辺の治安改善に第一歩と行きたい所だ。
『あんまりやると弱い者いじめになるし、お前の汚い涙に免じてこの辺にしといてやるか。次にまた俺に絡んでくるなら今日以上にくだらんお茶会をしようと思うから肝に命じとけよ。お前ら全員わかったな?』
『ひ……!!』
殺気を半分だけ解放してやると、行晃の仲間共が恐怖に慄いた顔で座り込んだ。
ビッチなど至近距離でそれを受けてしまったために大ダメージを負ったようで、脱力して失禁していた。じょろじょろと黄色いのが地面にシミを作っていく。
誰得だよこれ。ギャル系女子得になるのかな。これが二次元の可愛い女の子ならば俺得になるが、ビッチの失禁シーンなど俺にとってはゲテモノにしかならない。
『じゃバイバイキーン。他の生徒に迷惑かけんなよ』
さて、すっきりした所で帰って自主トレしてからゲームすっかな。あ、その前に晩飯と弁当の仕込みしないとっ。
あーやる事が山ほどあるってのにこいつらのお呼出しのせいで時間を盛大に無駄にしたよ。まだ女子からの告白のお呼出しの方がマシだってぇのに、クソ不良共のお呼び出し程くだらんものはない。
『くそ……あいつマジありえねー』
マイペースに考えている俺の背後から「今に目にものを言わせてくれる」とか「鼠田組の力を思い知らせてやる」とか、権力で俺に報復を企てようとする声がチラホラ聞こえてきた。俺はどうでもいいやと聞いてないふりをしてあくびをしながら立ち去った。
ひ弱そうに見えるのか。一応これでも鍛えているんだけどよ。
死ぬほど鍛錬を続けているせいか二の腕とか腹筋とかバキバキ。服を着ているとわからないもんなのか。まあ、まだ中一のガキだしな。これからだろ。
それにしてもさっさと帰って鍛錬したい。エロゲアプリも途中だし、さっさと終わらせたい。
『お前はこのおれ様には死んでも勝てねーぜ。今までは運が良かったがこれでお前もおしめーだ。てめえごときが光宙さんらを挑発して生意気な態度取るなんて数億光年はえぇんだからよ』
『やーん!数億光年とか行晃君が超かっこいぃしィ~!ぁたしまヂ行晃にべた惚れ~まじ卍~!バイブス超アがるンですけどォ~!』
ビッチがうぜえしゃべり方をしながら目をキラキラさせてソイツにしなだれかかっている。
っつーかこいつは行晃って名前なのか。お前もキラキラネームかよ。
光宙といい、柴猫といい、ここら一帯はキラキラネームがブームの町なのだろうか。将来的に自分の名前に後悔し、黒歴史化して改名する未来が手に取るようにわかるよ。名前通り顔はイケてる?かもしれんが、中身が主人公に喧嘩を吹っかける序盤の雑魚キャラ臭そのものだ。
『さあ、俺の必殺パンチをくらえや』
行晃の拳が俺の顔面を捉えようとする。
う……なんだこのパンチは……!!?
俺は驚きと衝撃に固まった。あまりのパンチに呆気にとられすぎてその一撃を真正面から顔面に受けてしまった。
『どうだ!俺の必殺パンチは!』
『やーん!行晃君さいこーだしい!』
人間てのは驚きすぎると思考回路が追い付かなくなって、パソコンがフリーズしたみたいに固まるもんなんだなーとか、顔面に走る物体のようなものを受けながらふと思う。
あまりの弱すぎるキレのないパンチに拍子抜けしすぎて言葉が出なかったよ。
柴猫の方がケンカ慣れしていそうだったと思うが、こいつはひどい。これはひどい。態度だけでかい奴の典型じゃないか。
これが世のモ●キーパンチというものだろうか。いや、ヤンキーパンチだった。すまん訂正。
むう……しかし、ヤンキーとやらは低次元な存在というのがよくわかったよ。ここまでひどかっただなんて正直侮っていた。また俺の中で新たなTORIBIAが生まれたくらいに理解したよ。世の中ってのは下には下がいるんだなあ。
『……で?』
当然、俺の顔面はノーダメージ。行晃の二発目のパンチをあっさり左の掌で止めた。一発目なんて顔面で受けてもなんの痛みすら感じなかったぞ。俺より年下のちびっこ門下生のパンチの方がよっぽど威力があるくらいだ。
『お、俺の渾身のパンチを止めただと!?』
『え、これ渾身なの?』
行晃は俺の衝撃とは逆の衝撃を受けている。俺もまた衝撃だよ。それが渾身だなんてな。
それから畳み掛けるように俺に向けて突きモドキやら蹴りモドキを仕掛けてきた。ガムシャラに特攻してくる有様をみて、本当に態度だけは大きい小物らしい。小物だからこそ、行晃の攻撃モドキは全部避けるまでもなく片手で受け止めて差し上げた。
かつて飛んでいる複数のハエを全て突きだけで倒す地味な修行があったが、あれを凌駕するほど地味に思えるコイツの攻撃の数々に飽きてくる。つか飽きた。
『ちょっとー!何もたもたしてんのよ!はやくそんな奴ノシちゃってよ!』
行晃がなかなか俺を倒せない事にイラついたようで背後から早くしろと声をあげている。あの女は偉そうに命令するだけで何様だ。でももう無駄な時間を過ごしたくないので一瞬で終わらせる。
『なあ、行晃とやら。お前の顔面を行晃無く整形してやろうと思いますがよろしいかえ?』
俺はにっこり微笑んだ。
『あ?てめえ何い……ひでふぅ!!』
俺は行晃の頬を一回だけビンタした。そう一回だけだ。ばちんといい音がした。
それだけで奴は歯が欠ける程に吹っ飛び、地面にもんどりうった。いけてる顔が一瞬でこぶとりじいさんのように頬が腫れあがり、前歯が数本取れた「逝け面」にしてさしあげた。顔面整形はビンタ一発だけで成功である。
そんな行晃は「は、はひ、ひい?」と、引きつったような驚いたような呻き声をあげていた。一体何が起こったかよくわかっていないようである。0.1秒にも満たないほんの一瞬だったから、吹っ飛ばされたこともわかっていないようだ。んでもって呆気にとられている奴の仲間達とビッチ。我に返ったビッチは驚きに悲鳴をあげた。
『きゃ、きゃああ~~!うそお!?』
ビッチの悲鳴が逆に心地よく感じる俺は歪んでいるのかもしれない。
『よかったな。超いけてる顔になったじゃねぇか。お前、そーゆー男が好きなんだろ?面食いそうだもんな』
『なっ……!ちょ、ちょっとなんなのよ!あんた何なの!?化けモノじゃないの!?ビンタで吹っ飛ばすなんてっ!さ、最低よ!!』
あまりにも行晃無い顔面に変貌した新彼氏を前に動揺を隠せないビッチ。
『そっちから喧嘩吹っかけて来たんだろ。最初に手を挙げた方が負けなんだよ』
『だ、だからってやりすぎよ!ありえないんだからっ!』
『盛大なブーメラン乙だな。自分達から突っかかってきておいて負けそうになるとやりすぎとかほざくのか』
俺の言葉にぐぎぎ……と言いたそうなビッチ。それでも「暴力は最低」だとか「暴力反対」だとか外野が抜かしているが、万年ケンカ上等なお前らが言うなよと一喝してやったら黙った。
『あ、アタシはね……こ、こんな弱い奴どーでもよかったのよ!こいつがどうしてもっていうから彼女になってあげたの!そ、そう。無理やりなの!嫌がるアタシを無理やり強姦したの!だ、だからね……あんたが助けてくれて感謝するわ!』
そう言いつつ、ビッチはなぜか俺に近づいて豹変したように潤んだような上目遣いで見上げてきた。は?なんだそのメスみたいな顔は。
『だからね、こいつらに仕返ししたいから残りの奴らをやっつけてほしいの。あたしを酷い目にあわせたこいつら。助けてくれる、よね?ただこいつらに従ってただけなんだから』
ビッチのぶりっこ掌返しに外野の行晃の仲間達が憤慨する。この女の手口はこういうもんか。長いものに巻かれろ的な。今までの男達はこうやって捨てられてきたんだろうなと同性として哀れみを感じるが、女の見る目が悪かったとしか思えない。やっぱ女って嫌いだ。コワイ。策士だ。
『こいつらやっつけたらいい事してあげるから』
ビッチは俺の腕にまとわりつき、胸を押し付けてきた。
『へぇー……いいことって何?』
俺はジト目で女を見下ろす。
『だからあんたが好きそうなエッtぐぼっ!!』
俺はビッチの鳩尾に軽く拳を入れた。
一応女なので怪我をしない程度に超超加減はしてやった。アバズレの気色の悪い色仕掛けによく我慢したと俺を褒めてくれ。まじキモかったんだ。
ビッチは激しく咳き込み、驚愕の面持ちで俺を見ている。
アホか。俺がお前のような性格悪いビッチの味方をするはずがなかろう。そもそも俺は小学校時代の女の掌返しを見て以来女という存在に幻滅している。
『残念でした。俺お前大嫌いなんで』
やっぱり二次元の女の子にしか興奮しないな。こんなアバズレに好かれても嬉しくもなんともない。
『な……!な、ななんで!?あたしの美貌に落ちない男はいないのに!』
美貌も何もお前はまだ中坊だろう。そんでもって尻軽だろう。今までこの手の演技にひっかかるようなバカ男ばかりしか寄ってこなかったんだろ。
『男がみんなお前に落ちると思うか?少なくとも俺はお前になんの魅力も感じない。そんなにヤリたきゃバカなイケメン男ひっかけてヤッてこいよ。それとも金がほしいなら華のJCブランド振りかざしてキモいおっさん権力者に貢いでもらえば?さぞやパパ活に協力してくれるだろうぜ。お前は見た目だけは無駄にいい方だから』
『あ、ありえないわ!なんなのよあんた!あたしは読者モデルにもなった事がある美少女で、この辺の男とか手なずけられる程の権力もあるのに。ほんと意味わかんない意味わかんない!あたしに惚れないなんてあんたもしかしてホモ!?男好きのへんtあんぎゃあ!』
もう会話しているのも面倒くさくなってきたので、女の派手に染めた金髪を鷲掴んで引っ張った。少しばかり虫唾が走った言葉を聞いた気がしたのでつい。
で、言っておくが俺はそっち系はない。断じてない。死んでもありえないので誤解せぬように。
『い、い、いたい!いだだい!いだああい!!ご、ごめんなざい!!ゆ、ゆるじで!!』
『お前、さっき俺を誘惑しようとしたよな。おまけに俺にモーホー疑惑でっちあげてよ……まあそれはいいとして、自分の立場が悪くなった途端に掌返しとか悪役極まりないと思わねーわけ?しかも彼氏だかなんだか知らないが、味方だった奴を平気で裏切れるお前の性格の悪さにますます女に興味を持てなくなった。どーしてくれる。つかどーしてくれようか』
俺が笑いながら目だけで睨みつけると、ビッチの眼は見る見るうちに俺に怯えきって半泣きになる。俺は女だろうが容赦しない性格なんだ。腹立つ女は徹底的に泣かす。殴ってでもな。男女平等パンチ上等主義だ。
『だ、だって……男なんてチョrあんぎゃ!』
ビッチの頭を軽く小突いてやった。もちろん超超加減した。
『チョロイのはお前の周りの野郎共とお前の脳内お花畑だろ。俺を一括りにするな』
『あぎゃぎゃ!いだいいだい!いだだだだだ!!ひゃぐ、やべでぇ!!やべでぇえええ!!』
ぺしぺしと何度もビッチの後頭部を小突き続ける俺。
何これ。楽しい。不良を制裁するのって超楽しい。この辺の治安改善に第一歩と行きたい所だ。
『あんまりやると弱い者いじめになるし、お前の汚い涙に免じてこの辺にしといてやるか。次にまた俺に絡んでくるなら今日以上にくだらんお茶会をしようと思うから肝に命じとけよ。お前ら全員わかったな?』
『ひ……!!』
殺気を半分だけ解放してやると、行晃の仲間共が恐怖に慄いた顔で座り込んだ。
ビッチなど至近距離でそれを受けてしまったために大ダメージを負ったようで、脱力して失禁していた。じょろじょろと黄色いのが地面にシミを作っていく。
誰得だよこれ。ギャル系女子得になるのかな。これが二次元の可愛い女の子ならば俺得になるが、ビッチの失禁シーンなど俺にとってはゲテモノにしかならない。
『じゃバイバイキーン。他の生徒に迷惑かけんなよ』
さて、すっきりした所で帰って自主トレしてからゲームすっかな。あ、その前に晩飯と弁当の仕込みしないとっ。
あーやる事が山ほどあるってのにこいつらのお呼出しのせいで時間を盛大に無駄にしたよ。まだ女子からの告白のお呼出しの方がマシだってぇのに、クソ不良共のお呼び出し程くだらんものはない。
『くそ……あいつマジありえねー』
マイペースに考えている俺の背後から「今に目にものを言わせてくれる」とか「鼠田組の力を思い知らせてやる」とか、権力で俺に報復を企てようとする声がチラホラ聞こえてきた。俺はどうでもいいやと聞いてないふりをしてあくびをしながら立ち去った。
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