【完】ぼくの恋人

いとこんドリア

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デート編

ぼくの恋人3

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「ごめんな……怖がらせちまったな」

 ゲーセンから遠く離れた路地に出て、アオが申し訳なさそうにぼくの顔色を窺っている。

「ううん。アオがいなかったら……ぼくどうなっていた事か……」
「でも、オレの事怖かっただろ?オレ、中学ン頃ワルばっかやってた不良だったから。あんまりこの事をカナタには知られたくなかったんだ。でも、久々に本性出ちまって……」
 ぼくは顔をぶんぶん横に振った。
「そりゃあびっくりしたけど、でも……戦ってるアオかっこよかったよ?格好よくて、男前で、その上滅茶苦茶強いなんて、ぼくの恋人だってみんなに自慢できちゃうくらい頼もしい」

 ぼくはにっこり笑顔を見せた。これは今の本当の気持ち。怖いどころかすごいって思っちゃったもん。

「……カナタ……お前……ほんとうに……」

 アオは困った顔を見せてから、すぐにぼくの事を抱きしめてきた。

「可愛い…」
「あ、アオ……」

 ぎゅうっとアオの胸の中に埋まるぼく。ちょっと苦しいかも。それにあの、ここ……みんなが通る路地だから恥ずかしいし……。ぼくは苦しさと恥ずかしさにもがいた。

「わ、悪い……苦しかったな」
 すぐにアオは離れてくれたけど、でも……
「誰もいない場所でなら……いいよ?」

 ぼくはアオを見上げてそう言った。人がいるとやっぱり恥ずかしいからね。どうせなら、こういう事は二人きりになった時の方がいいなあ……なんて。

「っ……お前、誘ってるのか?その言葉」
「え……」

 アオが顔を赤くして口元を押さえている。なんか余裕のない顔しているし。
 どうしたのかな。気分わるくなったのかな。もしかして、ぼく変な事言ってアオを困らせちゃったのかも。あわわわ……。

「あの……アオ……ぼく変な事言っちゃったかな。えっと、その……ご、ごめんなさいっ」
「クス、そうだな。カナタは無自覚でオレの事煽るから、困った子だな」
「うう……そんな」
「バーカ。悪い意味じゃあないって。むしろ……いい意味で困ってるんだよ」
「……そう、なの?」
「そうだよ」

 そう言って、アオの唇がぼくの唇に重なっていた。それは触れるだけのキス。
 一瞬だったから通りすがりの人に見られなくて済んだけど、ぼくの顔はトマトみたいに真っ赤になっているに違いない。

 あうううう、アオはいきなり大胆すぎだよぉお!びっくりしちゃったじゃんかぁ。
 そんなアオはしてやったりな悪戯っ子の顔してるし……なんかズルいなぁ。
 それでも頬が緩むほど嬉しかったぼく。なんてったって、アオとのファーストキスだもんね。
 これは記念すべき一日だ、うん。夜は赤飯食べたいくらいだよ。
 にやけながらぼくはアオと楽しい一日をすごしたのでした。


 終

 評判がよければまた続きを書こうかなと思います。
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