学園トップに反抗したら様子がおかしくなった (旧/金持ち学園)

いとこんドリア

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十三章/初デート

112.外泊

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「ご予約のない方はお引き取りください」
「他のお客様のご迷惑となりますので冷やかしならご勘弁を」

 ですよね~。
 いきなりやってきたみすぼらしい格好というか雨にずぶ濡れの俺達なんて門前払いですよね~。

「どーすんだよ」
「奥の手を使う。お前金持ってねえし」
「仮に金持ってても俺のバイト代給料だけでこんなクソ高いホテル泊まれるわけねーだろ」

 どうあがいても無理である。普通の素泊まりでも一泊5万以上はくだらないとこだ。

「とりあえずお前は黙ってろ」と、冷静な顔の直。
「え、どーすんの?金ないのにだいじょぶ?俺電車賃しかなくて「いいから黙ってろや貧乏人!」

 お叱りを受けたので黙ってお口にチャック。怪訝そうに見ていると、直が受付にカードを見せた。

 それ大金持ち専用の超プレミアムブラックカード!
 クレジットカード界では幻のカードと言われていて、財閥クラスしか持参できない上に使用上限がMAX数百億と言われている最強カードだ。
 素性バレちまうけど、俺金持ってねえのでここは直に任せよう。

「あ、あなた様はっ!矢崎グループのお坊ちゃまでございましたかっ!これはこれはようこそ我がホテルへっ……!いつも御社がお世話になっておりますっ!」
「さ、先ほどは失礼な態度をとってしまい大変申し訳ございませんでしたっ!すぐに支配人を呼んで参ります!」

 大財閥のお坊ちゃんだとわかるとフロント一同が青い顔をして急に畏まりだす。掌返し乙である。
 支配人まで飛んできて「直様、我がホテル最高級スイートルームのお部屋をご案内いたします!」と、汗だくでペコペコしまくってきた。先ほどと180度待遇が変わりすぎて、見ているコチラが恐縮してしまうほどの慌てぶりだ。

 支配人自ら赴いて部屋を案内されて、平然としている直はともかく甲斐と支配人はいろんな意味でビクビクである。
 直って本当に身分が雲の上みたいな存在なんだな。今更ながらそれを思い知ったよ。だって行く先々で従業員みんなが頭を下げまくってあれやこれやと世話をしてくれるし、ウエルカムドリンクやケーキまでくれるし、あと支配人がビビりすぎだし、今更ながら直の身分の高さに驚かされたよ。まるでお殿様になった気分だ。
 
「夜食も朝食も部屋の前に置いておいて。勝手に食うから。朝食の時にパソコンも。あとで風呂入る時に着ている服渡すから朝までにクリーニングも」
「かしこまりました。ではわたくしはこれで。何かございましたらいつでもフロントまでお申し付けくださいませ。ごゆっくりどうぞ」

 ぺこりと恭しく頭を下げる支配人。最後まで気の毒なほどビビりまくっていた。
 それからすぐにいろんな人に電話をして明日に帰ると伝えた。

「連絡終えたなら風呂入るぞ」

 直も丁度連絡を終えたばかりのようだ。

「だな。濡れまくったからな。風邪ひかないうちに温まろう」
「じゃ、一緒に入るぞ」
「え……」

 甲斐が唖然としているうちに直は甲斐を米俵のように担いだ。こういう時だけ直は凄まじい素早さを発揮し、甲斐より先手を打つのである。

「てめえおろせ!」
「やなこった。せっかく一緒にいられるんだ。裸の付き合いをしてもいいだろ」
「野郎同士の裸の付き合いなんて喜ぶのは腐女子だけだぞ」
「大丈夫。セックスはしない……と、思う」
「当たり前な事言うな」

 そのまま風呂場まで連行されて、服を無理やり脱がされそうになるが自分で脱ぐから待てとなんとか言い聞かせた。こういう所で服をストリップショーのように脱ぐのもまた趣があるのだと、意味の分からん力説で直を黙らせたのである。思いっきり地雷を踏んでいそうだが。

「すっげぇ豪華」

 甲斐は超スピードで直より素早く脱ぎ、浴室の戸を開けるとジャグジーと露天風呂。
 さすがこの辺でナンバーワンの高級ホテルである。しかもスイートルーム。夢のような空間に呆然としていると、直が全裸で堂々とやってきた。
 別に金玉マウントを取りたいわけではないが、金持ち高身長イケメンなくせに金玉もでかいとか反則である。天はこいつに高スペックを与えすぎやしないかね。

「あーこのブクブクがいい感じ~。それにいい眺めだ」

 ここからオーシャンビューが広がっている。夜だから暗いが近くのビーチはよく見える。露天風呂からだとさらにその景色が鮮明に見えそうだ。

「オレはこういうの慣れすぎてて感動がわかない」
「慣れすぎると感動もないってやつか」

 こういう高級旅館やホテルに泊まり慣れすぎてるってのも逆にすごいものだ。

「昼間の海とか、土産屋とか、境内でお参りした時の方がよほど楽しかったよ」
「それは俺も同感だが……」
「甲斐」

 じっと直が甲斐を見つめてきた。 

「な、なんだよ……」

 風呂の温度のせいか、体がどんどん熱くなってくる。というより、直にじっと見つめられて熱くなっているのかもしれない。だから、つい目線をそらしたら、直の手が甲斐の頬を捉えていた。まっすぐこちらを向かせるようにして固定されたと思えば、

「んぅっ」

 唇を重ねられた。濃厚なキスは徐々に慣れてきているとはいえ、まだまだぎこちない。
 しかも舌が入ってきた。性感帯をまるで刺激するように、感じる場所をわざとらしく狙ってくる。力が抜けてしまう。

「ふ、あ」

 やっと解放されると、甲斐は直の肩越しにぐったり倒れた。
 くそ、気持ち良すぎというか、やっぱりキス巧すぎだろコイツ。

「ちがうな」
「……何がだよ」

 ぐったりした甲斐は直を睨む。

「キス……好きな人としたら全然違うって思ったんだよ」
「そりゃあ違うだろうな。好きでもない相手としても気持ち悪いだけだろ」
「じゃあセックスも好きな相手だと違うのかも」

 と、言いながら直はこちらを見つめてきた。なんだその目は。

「やらないからな。ぜってぇやらないからな」

 嫌な予感がしたので即答してフラグ破壊をしておいた。直は舌打ちをしていた。

「じゃあ……抜きあうくらいはいいだろ」
「抜きあうって……」
「友達同士で面白がって抜きあうのもありだって聞いたんだが違うのか?」
「そんな事するか!野郎同士でも普通はしねーだろ!クラスメートの野郎共なんてムサイし汗くせーし吐くし、趣味じゃないというかなんというか……」
「なら……よかった。もし、した相手がいるのならそいつを半殺しにしていた所だ」
「物騒な奴」
「オレ、嫉妬深いんだ。お前が誰かとそういう関係になると思うだけで頭がおかしくなるくらいには独占欲が半端ない」
「半端なさすぎだろ」
「なあ、抜きあうくらいいいだろ?今日を逃したらいつになるかわからない。オレ、お前がイクとこ見たいし、お前がオレを好きだって気持ちをより感じたい。……てことで、ベッドに行く」
「は!?まだ体洗ってねーしってぎゃあ~おろせえええ!」

 直は甲斐を横抱きにして持ち上げて、暴れる甲斐を無視して寝室に向かう。


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