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十五章/最大の敵
125.邪魔
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展望ラウンジでは四天王三人が駄弁っていた。話題は編入してきた直の許嫁候補の女の事だった。
「まさか入学してくるとはねー。元無才のKY並みに面倒な予感がするんだけどオイラ」
「正之社長がわざと入学させたのかもしれんな。最近の直は架谷に入れ込んでいるから」
「その可能性大だろうね。それとその姉の策略もありそ。そういえばその直君は?」
「甲斐ちゃんとこ行ったよ。今頃二人きりでえっろーい事してるかも♡」
「どうかなー。直君て甲斐君に対しては奥手でなかなか手を出せないでいるから最後まではシテなさそう」
「でも最近は一緒に風呂入ったって自慢のように本人が「あのーすみません。直様はいらっしゃいますか」
相田がしゃべっている最中に、突然第三者の声が聞こえて驚いた。身構えて視線をやると、例の渦中の女がどうやってきたのやらお付きの者と入口に立っていた。
「なんでお前がここにいるの」
露骨に不機嫌さを露わにする相田は無の表情だった。先ほどとは打って変わって不穏な雰囲気だ。
「それはお優しいこの男の人が教えてくれたのです。わたくしと同じSクラスの生徒の方で、生徒会に入ってらっしゃるそうです。生徒会の方はラウンジのカギをお持ちだと聞いて一緒に来てくださったんですよ、うふふ」
「……へぇ」と、相田の殺気が膨れ上がる。お付きの生徒に対しても怒り心頭の顔だ。
「あ、あの、カレン様のためにこちらに連れてきたんですよ。い、いけませんでしたか」
「見てわかんない?わかんないとしたらどんだけ空気読めないの」
「っ、」
お付きの生徒はカレンに心酔しており、先ほど甲斐と言い争いになっていた者だった。
女神様のためにいい事をしたと得意げになっていたが、すこぶる不機嫌そうな四天王を見ると自分は間違った事をしてしまったのかと次第に後悔していく。
「なんで連れてくるわけ。その女連れて来いなんて一言も言ってないよね。その当事者の直も」
「あ、あの、その……ですね……カレン様は直様の許嫁で……お二人のために一肌脱ごうかと……」
「だから?許嫁だからなに」
「っ……」
「オイラ達には関係ないよな。その女が何者だろうが」
相田の怒りはさらに上昇していく。見る見るうちに青ざめていくお付きの生徒。それどころか殺されるんじゃないかという雰囲気に失禁しそうになっていた。
「あの、怒らないでくださいませ」
カレンが二人の間に入る。
「直様がいらっしゃると思って来てしまったのです。この方は私のために大変親切にしてくださいましたのでどうか許し「一番うぜーのはテメエだよ」
「え……」
相田の殺伐とした視線がカレンの方に向けられる。
「許嫁だからってなんだよ。ここは俺達の聖域。用もねえクソ女が来るところじゃねーの。生徒会に頼み込んだのかしらねーけど許嫁権限使ってんじゃ「っ、あ、あの、それは私がこのSクラスの生徒にお願いをし「黙れ」
「え、あの」
「黙れっつってんのが聞こえねえのかブス。しゃべんな。テメエのつまらん言い訳を聞いているだけで虫唾が走る」
あまりの口汚さに怒鳴られてさすがのカレンも黙る。
「テメエさぁ、俺がしゃべってる最中に何遮ってくるの。会話のキャッチボールもできねーわけ?これだから箱入り令嬢は空気読めねーんだよ。生徒会の奴を騎士にでもしてお姫気取りとか、自分じゃなんもできねー無能って言ってるのがわかんない?直の許嫁だかなんだか知らねーけど、こんな所まで来るんじゃねぇよお貴族無能令嬢が。死ねばいいのに」
「おい拓実」
堰を切ったように罵詈雑言を言い放つ相田を、ハルがなだめるように声を挟む。なおも相田はカレンを強く睨んでいる。
「昨日からウロチョロしやがってよ、邪魔なんだよ」
「す、すみません。ただ、直様のお友達と仲良くなりたくて……」
「俺はテメエなんかと仲良くなりたくないんで。とっとと消えろ。それと直の邪魔すんなよな。次今みたいに勝手に入ってきたら……」
相田が懐から素早く黒い物体をカレンに向ける。
「手元が狂って心臓に花を咲かせてやる。そこのお付きの騎士気取りももれなく道連れだから」
「っ……――!」
「ほら、5秒以内に出ていけ。でないと殺してやるぞ」
無機質な黒光りにカレンとお付きの生徒は戦慄し、慌ててその場を去って行った。股間をシミで濡らしながら。
「さすがにやりすぎだ。たしかに勝手に入ってきた事には腹が立ったが」
腕を組んで呆れているハル。
「だってあの女ムカつくんだもの。ああいう大人しくて天然そうに見えて変なところで計算高そうなところ、油断ならないから。まだバカっぽいギャルみたいな子の方がわかりやすくてマシ。見てるだけで憎たらしいったらありゃしない」
「あはは、拓実君て好き嫌いハッキリしてるもんね。そういうところ、嫌いじゃないよ。僕もあの女好きになれないし」
「だがな、好き嫌いはともかくとして、いくら嫌いでも一応は直の許嫁だ。もう少し言い方ってものはないのか。後で正之社長に叱られても知らんぞ」
「いいよ別に。オイラ正之社長も嫌いだし、正之社長がトップになってから矢崎財閥は腐敗して落ちぶれてるんだから。すべてはあいつが元凶なのわかってるでしょ」
「たしかにそうだが……」
「許嫁でもなんでも、人が話してる最中に割り込んでくる上に、チョロチョロ俺らの周りに探りを入れてる女を好きになれるわけないでしょ。スパイかなんかと勘違いしちゃうじゃん。つか十中八九社長とその姉のスパイなんだろうけど。大体さ、鈴木グループ自体胡散臭くて信用ならない。あー鈴木潰してって命令が出たら我先にと潰しに行くんだけどなあ。オイラの爺様が命令してくんないかなあ」
相田はそうぼやきながらクルクルと自前の愛銃を回していた。
「そういえば新任の教師も来てたね」
「あーあの人はあの人の側近だから。教師として入ってきたのは、たぶんあの女の監視じゃないかな」
「やっぱり正之社長が送り込んだんだろうなぁ、あのカレンて女」
展望ラウンジでは四天王三人が駄弁っていた。話題は編入してきた直の許嫁候補の女の事だった。
「まさか入学してくるとはねー。元無才のKY並みに面倒な予感がするんだけどオイラ」
「正之社長がわざと入学させたのかもしれんな。最近の直は架谷に入れ込んでいるから」
「その可能性大だろうね。それとその姉の策略もありそ。そういえばその直君は?」
「甲斐ちゃんとこ行ったよ。今頃二人きりでえっろーい事してるかも♡」
「どうかなー。直君て甲斐君に対しては奥手でなかなか手を出せないでいるから最後まではシテなさそう」
「でも最近は一緒に風呂入ったって自慢のように本人が「あのーすみません。直様はいらっしゃいますか」
相田がしゃべっている最中に、突然第三者の声が聞こえて驚いた。身構えて視線をやると、例の渦中の女がどうやってきたのやらお付きの者と入口に立っていた。
「なんでお前がここにいるの」
露骨に不機嫌さを露わにする相田は無の表情だった。先ほどとは打って変わって不穏な雰囲気だ。
「それはお優しいこの男の人が教えてくれたのです。わたくしと同じSクラスの生徒の方で、生徒会に入ってらっしゃるそうです。生徒会の方はラウンジのカギをお持ちだと聞いて一緒に来てくださったんですよ、うふふ」
「……へぇ」と、相田の殺気が膨れ上がる。お付きの生徒に対しても怒り心頭の顔だ。
「あ、あの、カレン様のためにこちらに連れてきたんですよ。い、いけませんでしたか」
「見てわかんない?わかんないとしたらどんだけ空気読めないの」
「っ、」
お付きの生徒はカレンに心酔しており、先ほど甲斐と言い争いになっていた者だった。
女神様のためにいい事をしたと得意げになっていたが、すこぶる不機嫌そうな四天王を見ると自分は間違った事をしてしまったのかと次第に後悔していく。
「なんで連れてくるわけ。その女連れて来いなんて一言も言ってないよね。その当事者の直も」
「あ、あの、その……ですね……カレン様は直様の許嫁で……お二人のために一肌脱ごうかと……」
「だから?許嫁だからなに」
「っ……」
「オイラ達には関係ないよな。その女が何者だろうが」
相田の怒りはさらに上昇していく。見る見るうちに青ざめていくお付きの生徒。それどころか殺されるんじゃないかという雰囲気に失禁しそうになっていた。
「あの、怒らないでくださいませ」
カレンが二人の間に入る。
「直様がいらっしゃると思って来てしまったのです。この方は私のために大変親切にしてくださいましたのでどうか許し「一番うぜーのはテメエだよ」
「え……」
相田の殺伐とした視線がカレンの方に向けられる。
「許嫁だからってなんだよ。ここは俺達の聖域。用もねえクソ女が来るところじゃねーの。生徒会に頼み込んだのかしらねーけど許嫁権限使ってんじゃ「っ、あ、あの、それは私がこのSクラスの生徒にお願いをし「黙れ」
「え、あの」
「黙れっつってんのが聞こえねえのかブス。しゃべんな。テメエのつまらん言い訳を聞いているだけで虫唾が走る」
あまりの口汚さに怒鳴られてさすがのカレンも黙る。
「テメエさぁ、俺がしゃべってる最中に何遮ってくるの。会話のキャッチボールもできねーわけ?これだから箱入り令嬢は空気読めねーんだよ。生徒会の奴を騎士にでもしてお姫気取りとか、自分じゃなんもできねー無能って言ってるのがわかんない?直の許嫁だかなんだか知らねーけど、こんな所まで来るんじゃねぇよお貴族無能令嬢が。死ねばいいのに」
「おい拓実」
堰を切ったように罵詈雑言を言い放つ相田を、ハルがなだめるように声を挟む。なおも相田はカレンを強く睨んでいる。
「昨日からウロチョロしやがってよ、邪魔なんだよ」
「す、すみません。ただ、直様のお友達と仲良くなりたくて……」
「俺はテメエなんかと仲良くなりたくないんで。とっとと消えろ。それと直の邪魔すんなよな。次今みたいに勝手に入ってきたら……」
相田が懐から素早く黒い物体をカレンに向ける。
「手元が狂って心臓に花を咲かせてやる。そこのお付きの騎士気取りももれなく道連れだから」
「っ……――!」
「ほら、5秒以内に出ていけ。でないと殺してやるぞ」
無機質な黒光りにカレンとお付きの生徒は戦慄し、慌ててその場を去って行った。股間をシミで濡らしながら。
「さすがにやりすぎだ。たしかに勝手に入ってきた事には腹が立ったが」
腕を組んで呆れているハル。
「だってあの女ムカつくんだもの。ああいう大人しくて天然そうに見えて変なところで計算高そうなところ、油断ならないから。まだバカっぽいギャルみたいな子の方がわかりやすくてマシ。見てるだけで憎たらしいったらありゃしない」
「あはは、拓実君て好き嫌いハッキリしてるもんね。そういうところ、嫌いじゃないよ。僕もあの女好きになれないし」
「だがな、好き嫌いはともかくとして、いくら嫌いでも一応は直の許嫁だ。もう少し言い方ってものはないのか。後で正之社長に叱られても知らんぞ」
「いいよ別に。オイラ正之社長も嫌いだし、正之社長がトップになってから矢崎財閥は腐敗して落ちぶれてるんだから。すべてはあいつが元凶なのわかってるでしょ」
「たしかにそうだが……」
「許嫁でもなんでも、人が話してる最中に割り込んでくる上に、チョロチョロ俺らの周りに探りを入れてる女を好きになれるわけないでしょ。スパイかなんかと勘違いしちゃうじゃん。つか十中八九社長とその姉のスパイなんだろうけど。大体さ、鈴木グループ自体胡散臭くて信用ならない。あー鈴木潰してって命令が出たら我先にと潰しに行くんだけどなあ。オイラの爺様が命令してくんないかなあ」
相田はそうぼやきながらクルクルと自前の愛銃を回していた。
「そういえば新任の教師も来てたね」
「あーあの人はあの人の側近だから。教師として入ってきたのは、たぶんあの女の監視じゃないかな」
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