学園トップに反抗したら様子がおかしくなった (旧/金持ち学園)

いとこんドリア

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十四章/親友

117.野外

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 高台の一本杉はあの豆腐屋から徒歩5分の場所にあった。一時間程度で島全体を徒歩で歩けるくらい島の面積は小さい。二人は一本杉の前にやってくると、高台から辺りを見渡せるベンチの上に腰を下ろした。ここからだと島全体を見渡せていい眺めである。

「とりあえず昼飯を食べよう」

 甲斐が持っていたカバンの中から弁当箱を取り出した。

「それ弁当だったのか」
「スイートルームに泊まった時、部屋にキッチンついてたし、なんか使わないと勿体ない気がしてな。風呂に入ってすぐに短時間でちゃっちゃと作ったんだ。卵焼き好きだって言ってただろ?」
「たしかに言った。だからお前、朝風呂入った後にキッチン部屋にこもってたのか。持ってるカバンも不可解だったし、何持ってきてんだと思ってた」
「少ないけど腹の足しにしようと思って。スイートルームの冷蔵庫に食材まで入っていると思わなくて、つい使っちゃったけど……大丈夫だった?」
「それくらい宿泊費に含まれているだろうし、全部矢崎の経費だ」

 まさか弁当を作ってくるとは思わなかったが、やはり甲斐の手作りは直にとってとても嬉しいものだ。
 時間がなかったから大した物ではないとは言っているが、直からすればどんな料理よりも価値のある代物にしか思えない。

「美味しい。お前の作った卵焼き」
「サンキュ。卵焼きってアレンジがききやすいから俺の得意料理なんだ。そういえば直は料理できないんだっけ」
「料理どころか家事全般は……不得意だ」

 直は小さい頃、料理を自分なりにしてみたら大惨事になりかけた事を思い出した。
 甘すぎるからと塩を鍋に丸々ぶち込んだり、小麦粉と重曹を間違えたり、油の中に卵を殻のまま丸々入れたりと、我ながら凄まじい事をしていた気がする。
 料理だけならいざしらず、洗濯機に洗濯用洗剤を入れるはずが、洗剤がどれかわからなくてトイレ用の洗剤を入れた事もあった。おかげで洗濯しようとした衣類は全部ダメになったどころか洗濯機自体が壊れた。
 自分には家事全般は向いていないなと思い知った。

「料理なんてほとんどしないからな。家では使用人やコックが作ってくれていたから家事なんて必要ないと思っていたんだ。学校とかの家庭科の授業なんてくだらねーし、サボって出た事ない」
「相当なお坊ちゃんだなお前」

 甲斐がおにぎりを食いながら呆れた様子だ。人間向き不向きがあると思うんだから仕方あるまい。

「お前、口の端にご飯粒ついてるぞ」
「え」

 直が指摘すると、それをキスをしながら舐めとった。途端に甲斐の頬がリンゴみたいに赤くなった。

「ガキみたいだなお前」
「返す言葉もねーや。でも、あんたと二人だけの時は……子供っぽくてもいいだろ……」
「甲斐?」
「ぁ、あんたの前では……弱いところを見せてもいいって思っているし」

 真っ赤になりながらそう恥ずかしそうに言う甲斐に、直は我慢できなくなった。
 軽々と甲斐を自分の膝に乗せて、キスの嵐を降らせる。片方の手が甲斐のズボンに伸びて、ベルトが外されている事に焦って抵抗をする。無駄な抵抗とはこの事だろう。

「ちょ、んっ……や、ざきっ……だ……ダメ、だ。こんな、所で」
「可愛いお前が悪い」

 股間に手をすべらせて、甲斐の大事な場所をまさぐった。

「ひ、い、駄目、だってばぁ。汗かいてて……汚いし」
「汚くないだろ。お前の匂いはなんだって好きだ。我慢できそうもない」

 ズボン越しから自分のものが膨張しているのを感じた。それをわざとらしく甲斐の尻に擦り付けて興奮の度合いを知らしめてやると、甲斐がぶるりと震えた。

「真昼間から発情すんなよバカ」
「お前のせいでこんなになってんだよ。お前が悪い」

 甲斐の尻や太ももに膨張したズボン越しのものを擦り付けながら、服の下に手を入れて滑らかな肌をまさぐり続ける。スベスベで触り心地がいい肌だ。

「ぁ、う、理由になってねえし、あ、やっ、誰かきたらぁ……ど、するんだよぉ」
「来ない。まだ一時間は時間がある。それに観光客も空気を読んで近寄って来ないはずだ。部下に頼んでここらに誰も近寄らないようにしてある」
「っ、権力行使しやがって……でも、野外でなんて……」
「服着たままでいいから」
「な、直……」
「甲斐……オレのをオクチでイカせて。ちんぽが辛い」
「――っ~~~」

 なんだかんだダメだと言いつつも従順になる甲斐。ついに快楽の欲望に負けてしまった。


「直の大馬鹿野郎。万年発情野郎。巨チンすぎんだよこのヤロー!」

 いろんな文句を愚図りながらも直の肩にぐったりしなだれかかる甲斐。青空の下で盛大に果ててしまい、絶賛賢者タイムに突入中であった。

「そんな怒るなよ、甲斐」
「うるせっ。てめえはホント強引でいつでもどこでも準備万端な野郎だな。こんな場所でさえも金玉に忠実で呆れるわ」
「でもそんなオレに惚れているくせに」
「まるでありえない夢みたいな話だけどな」
「甲斐……」
「ふんっ。大好きだよ、バーカ」

 少し素直じゃないながらも甲斐の回答に満足する。
 可愛いなとか、好きだなって愛しさがわきあがってきて、どうしようかと考えていたら、

「あ、あの~……」

 少し離れたところで一人の少年が立っていた。そばかすを散らせた短髪黒髪男子が。
 お互いに気配探知をするのを忘れていて、油断していたせいで盛大に驚いてしまった。
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