【完】学園トップに反抗したら様子がおかしくなった (旧/金持ち学園)

いとこんドリア

文字の大きさ
上 下
94 / 225
十一章/修学旅行(前編)

90.会長の覚醒

しおりを挟む
 何事もなくいつも通りに過ごした事を伝えると、篠宮はなぜか自分の事のようにつまらなさそうにしていたのだった。
 そんな事を訊く篠宮に逆に宮本とはどうなんだと訊ねると、あっさりと別に何もないと返された。
 どうやら宮本が真面目でヘタレすぎて気持ちがバレバレだからこそ、こちらが攻めようとすれば逃げられるのだという。
 やはりオクテすぎる宮本から篠宮にアタックするのはまだまだ当分先のようだ。

 今日は奈良の方で鹿がたくさんいるという某公園へ向かい、鹿と交流しながら観光している真っ最中である。
 噂には聞いていたが、鹿って鹿せんべいあんまり食べないんだな。鹿せんべい売ってんのに見向きもしないってちょっと拍子抜けした。
 まあ、見ていて可愛いんだけどね。俺、動物好きだしな。

 そんな時、やはりと思っていたが案の定アイツも来ていた。全力で会いたくない一味の一人であるあの馬鹿野郎が。

「おらおら、鹿共。おれ様のせんべいが食えねえってのか!食わねーと鹿肉にして食っちまうぜ」

 無才学園の会長が鹿せんべいを無理やり鹿に食べさせようとしている。

 やめてやれよ、鹿が可哀想だろ。鹿にだって好みってモンがあるんだからよ。
 鹿も人間性見て判断してんだ。ようするにお前嫌いってな。だから無理強いはよくないだろうが。

「この鹿め。俺様の愛を受け取れねーとは躾が必要のようだな。おい下僕共。鞭を持ってこい」
「はい、只今」

 下僕と言う名の生徒の一人が天草に鞭を手渡している。

 おい。動物虐待する気かよこいつらは。公園の警備の人がきらりと天草に目を光らせてんのによ、バカかよ。非常識にもほどがあるだろ。
 とにかく、ここは他人のフリをしたい所だが、己の動物愛という良心がそれを許さなかった。

「鹿をいじめるんじゃねえ!この動物虐待野郎!!」
「アーーッ!!」

 俺は会長の無防備なケツに勢いよく指先を突き立てた。いわゆるカンチョーというやつをくらわせたのである。
 野太い悲鳴と共に刺した時にぶすっと音がして吹いたよ、リアルに。

 そのままグリグリして勢いよく引っこ抜いてやったら、瞬く間に「アアーーーーッ!!」という野太い悲鳴をまたあげて、目を充血させながら産まれたばかりの子鹿のような動きをした。

「お、おおごごおおおん」
「か、会長ー!!」

 唖然とする会長の下僕達とその周り。無様すぎてザマァ味噌漬けである。
 簡単にキスするような軽い奴と動物をイジメる奴は特に大嫌いである。そのままくたばってな。
 それにしても手がばっちぃ……洗ってこよ。

「架谷くん!」

 アへ顔で悶絶している会長をスルーして手を洗浄。一緒な班の宮本達が駆け寄ってきた。

「うわ、なにこの会長。どうなってんの」
「きっしょ」
「鹿をイジメていたからカンチョーして退治したらこうなった」
「え……」

 ドン引きしている宮本。篠宮や他メンバーも顔を引きつらせている。
 よせ。そんな顔でこっちも見るな。こいつが鹿をイジメているのが悪いのだ。
 
「と、とりあえずそいつの事は放ってこう。生き返ったら面倒だし死んでいる今のうちだ」
「う、うん……ソダネ」

 途中で「ああん♡」などの野太いあえぎ声のようなものが一瞬聞こえたが、見ない聞かない関わらないを徹底してこの場を離れようとすると、

「おい。架谷甲斐っ!!」
「「うひいっ!」」

 急に生き返ったば会長がこちらを仲間になりたそうに見て……じゃなくて、超絶気持ちの悪い顔をしてこちらにご奉仕をしてほしそうな顔で見ている。

「な、なんだてめえ!こっち来んなよ!生き返ってくんな!」
「まて架谷甲斐。俺は」
「だから来るな!その顔は子供が見たら泣くわ。妙に悪寒がするし」

 イケメンなくせしてその顔面は、自分がエロゲプレイ中の顔面と遜色なくて同族嫌悪しそうだった。あとグロ耐性がないときついのだ。

「こ、これは……」
「ヨダレ垂らしてんじゃねーよ。てめえの顔面が汚物にしか見えんわ」
「う……ああ、もっと……」
「………あ?」
「もっと罵ってくれ」

 途端に甲斐や宮本達の顔面が凄絶にひきつった。そして後退りした。
 先程から妙な悪寒を感じていたのはどうやら気のせいではなかったらしい。

 だってこいつ……なんか開花してねぇか。目が据わっているし。
 俺、もしかしてやばいもん目覚めさせちまった?

「なあ、架谷甲斐……さっきのは最高だった。俺の大事な穴を掘ってくれたのが処女を奪われた気分でさ、あんなすごい刺激生まれて初めて。人生で一番の衝撃だったんだ。おれ、ますますお前の事が好きになっちゃいそ」
「……なっ」
「だからさっきの衝撃がすんごくてよ、も、もう一度してほしくて……いや、責任とって次はぜひともお前のイチモツで俺の尻をハッテン「黙れ!!」

 聞いてはいけない単語を思わず遮った。
 聞いたらいろんな意味で終わりな気がしたからだ。

「そんな事を言わずにご主人様よ」
「ひいっ!」

 くねくねビクンビクン芋虫みたいに近づいてくる奴に鳥肌がMAXになった。しかもアヘ顔メスイキしてそうなその顔面に恐怖を感じる。これはホラーだ。ホラー映画を観る以上にホラーである。

 こえええええしきめええええ!二次元美少女なら高揚するのにこいつだとマジ無理。きめえ。しかもなんかゾンビっぽくなってきやがったしこっちくんなあああ!

しおりを挟む
感想 23

あなたにおすすめの小説

【完結】ぎゅって抱っこして

かずえ
BL
幼児教育学科の短大に通う村瀬一太。訳あって普通の高校に通えなかったため、働いて貯めたお金で二年間だけでもと大学に入学してみたが、学費と生活費を稼ぎつつ学校に通うのは、考えていたよりも厳しい……。 でも、頼れる者は誰もいない。 自分で頑張らなきゃ。 本気なら何でもできるはず。 でも、ある日、金持ちの坊っちゃんと心の中で呼んでいた松島晃に苦手なピアノの課題で助けてもらってから、どうにも自分の心がコントロールできなくなって……。

家事代行サービスにdomの溺愛は必要ありません!

灯璃
BL
家事代行サービスで働く鏑木(かぶらぎ) 慧(けい)はある日、高級マンションの一室に仕事に向かった。だが、住人の男性は入る事すら拒否し、何故かなかなか中に入れてくれない。 何度かの押し問答の後、なんとか慧は中に入れてもらえる事になった。だが、男性からは冷たくオレの部屋には入るなと言われてしまう。 仕方ないと気にせず仕事をし、気が重いまま次の日も訪れると、昨日とは打って変わって男性、秋水(しゅうすい) 龍士郎(りゅうしろう)は慧の料理を褒めた。 思ったより悪い人ではないのかもと慧が思った時、彼がdom、支配する側の人間だという事に気づいてしまう。subである慧は彼と一定の距離を置こうとするがーー。 みたいな、ゆるいdom/subユニバース。ふんわり過ぎてdom/subユニバースにする必要あったのかとか疑問に思ってはいけない。 ※完結しました!ありがとうございました!

精霊の港 飛ばされたリーマン、体格のいい男たちに囲まれる

風見鶏ーKazamidoriー
BL
 秋津ミナトは、うだつのあがらないサラリーマン。これといった特徴もなく、体力の衰えを感じてスポーツジムへ通うお年ごろ。  ある日帰り道で奇妙な精霊と出会い、追いかけた先は見たこともない場所。湊(ミナト)の前へ現れたのは黄金色にかがやく瞳をした美しい男だった。ロマス帝国という古代ローマに似た巨大な国が支配する世界で妖精に出会い、帝国の片鱗に触れてさらにはドラゴンまで、サラリーマンだった湊の人生は激変し異なる世界の動乱へ巻きこまれてゆく物語。 ※この物語に登場する人物、名、団体、場所はすべてフィクションです。

怒られるのが怖くて体調不良を言えない大人

こじらせた処女
BL
 幼少期、風邪を引いて学校を休むと母親に怒られていた経験から、体調不良を誰かに伝えることが苦手になってしまった佐倉憂(さくらうい)。 しんどいことを訴えると仕事に行けないとヒステリックを起こされ怒られていたため、次第に我慢して学校に行くようになった。 「風邪をひくことは悪いこと」 社会人になって1人暮らしを始めてもその認識は治らないまま。多少の熱や頭痛があっても怒られることを危惧して出勤している。 とある日、いつものように会社に行って業務をこなしていた時。午前では無視できていただるけが無視できないものになっていた。 それでも、自己管理がなっていない、日頃ちゃんと体調管理が出来てない、そう怒られるのが怖くて、言えずにいると…?

4人の兄に溺愛されてます

まつも☆きらら
BL
中学1年生の梨夢は5人兄弟の末っ子。4人の兄にとにかく溺愛されている。兄たちが大好きな梨夢だが、心配性な兄たちは時に過保護になりすぎて。

塾の先生を舐めてはいけません(性的な意味で)

ベータヴィレッジ 現実沈殿村落
BL
個別指導塾で講師のアルバイトを始めたが、妙にスキンシップ多めで懐いてくる生徒がいた。 そしてやがてその生徒の行為はエスカレートし、ついに一線を超えてくる――。

言い逃げしたら5年後捕まった件について。

なるせ
BL
 「ずっと、好きだよ。」 …長年ずっと一緒にいた幼馴染に告白をした。 もちろん、アイツがオレをそういう目で見てないのは百も承知だし、返事なんて求めてない。 ただ、これからはもう一緒にいないから…想いを伝えるぐらい、許してくれ。  そう思って告白したのが高校三年生の最後の登校日。……あれから5年経ったんだけど…  なんでアイツに馬乗りにされてるわけ!? ーーーーー 美形×平凡っていいですよね、、、、

男子高校に入学したらハーレムでした!

はやしかわともえ
BL
閲覧ありがとうございます。 ゆっくり書いていきます。 毎日19時更新です。 よろしくお願い致します。 2022.04.28 お気に入り、栞ありがとうございます。 とても励みになります。 引き続き宜しくお願いします。 2022.05.01 近々番外編SSをあげます。 よければ覗いてみてください。 2022.05.10 お気に入りしてくれてる方、閲覧くださってる方、ありがとうございます。 精一杯書いていきます。 2022.05.15 閲覧、お気に入り、ありがとうございます。 読んでいただけてとても嬉しいです。 近々番外編をあげます。 良ければ覗いてみてください。 2022.05.28 今日で完結です。閲覧、お気に入り本当にありがとうございました。 次作も頑張って書きます。 よろしくおねがいします。

処理中です...