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七章/合同体育祭
46.妹達からの制裁2
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天草は矢崎の名前を聞いてぶるぶる震えだした。
顔を悔し気にゆがめ「矢崎めぇ~」と、唸るような声を出す。
天草にとっては矢崎は地雷。それに反して天弥が矢崎を気に入った様子らしく、嫉妬の炎を燃え滾らせ「ゆるさん!」と、勝手に憎しみを抱き始めた。
「時雨!いいじゃないか!おれはおーるまいふれんずをモットーとしているんだぞ!直と仲良くなってもいいだろぉ?な、な?」
「て、天弥は天使……ですからね。あの矢崎と仲良くなりたいのも仕方ありません」
「四天王を友達だなんて本当は止めたいけど、天弥は可愛いからね」
「ゆ、ゆるす……くやし」
苦渋ながらも天弥の我儘を了承する無才の生徒会メンバー。
いやいや。おかしいだろ。友達ってなんやねん。
矢崎直を気に入った?友達にするだ?だとしてもだ。矢崎にだって選ぶ権利はあるだろ。と、周りのまともな生徒達は思う。
「ちょっと何なのあいつら。あんな頭悪そうな天パを崇拝しているみたいでキモイんですけどっ。野郎の姫気取り?」
「私の兄があんな天パに狙われているなんて妹として同情しますわ」
兄の甲斐の事を知っている生徒会や、なんとなく矢崎直の名前が聞こえたので耳を傾けていると、そのまま辛辣に感想を述べた。それを聞いた無才の生徒会一同が見る見るうちに顔を真っ赤にさせて怒り心頭になる。
「この、女共が!」
「我が天使の天弥をバカにするなんてゆるしませんよ!」
「そうだよ。天弥を侮辱するなんて痛い目見るよそこの女共。ぼくちん、女嫌いだから手加減なしで殴ってもいいよね~?」
天草が制止するより先に田所が未来と友里香に向かって拳を向ける。
「あ、ちょ、おいお前ら!!」
天草が慌てて間に入ろうかと考えるも先に、決着は早々に着いた。
「ぎゃあ!!」
鈍い声をあげたのは女側ではなく田所であった。
未来が田所相手に腕をひねりつつ、足払い。すっ転んだ田所の足をそのまま鷲掴んで足四の字固めを決めた。
悲鳴をあげて痛がる田所。顔面に一撃入れてダウンさせる。奴らが束になっても未来には勝てない事を無才共は知らない。
「女相手だと思って舐めてんじゃねーよ!あたしを止められるのはお兄ちゃんだけだ!」
「そうですわ!甲斐様だけ。あなた方のような野蛮な無才の連中に負けるわけがありませんの!とっととくたばりなさい、無礼者」
負けじと友里香も近くに落ちていた長い木の棒を持ち、くるくるとまわして華麗に構えをとる。そして、副会長の武者小路と書記の篠田を強烈な突きで圧倒した。
「うぎゃ!」
「ぎゃあ!」
無様に吹っ飛ぶ副会長と書記。友里香の突きは見事であった。
「わたくし、槍を得意としていまして、王蔵院流槍術の免許皆伝ですの。ただ守られるか弱き乙女だと思ったら大間違いですわ!」
未来と友里香が今度は天草に向かって構えをとる。
「最後はあんたね。バ会長」
「甲斐様の敵となる者は私達の敵です」
「ま、まて!お、俺は決してお前らを仇名す存在というわけでは!むしろ架谷甲斐の仲間で「「問答無用!!」」
二人は同時に天草向けて走り込み、
「わたくしたちの邪魔をする野郎共は……」
「お兄ちゃんの名に懸けてもれなく死ねぇえっ!」
ぎゃあああああ――――!!
天草の断末魔の叫びがこの辺り一帯にこだました。
無才生徒会一同をボコボコにしたが、天弥という生徒はいつの間にか逃げていなくなっていたのであった。
*
「どうしたんだよ甲斐?」
「や、なんか聞こえたような気がして……」
「そうか?なんも聞こえねーけど」
「じゃ、たぶん空耳だな」
空耳にしておこう。さっきの悲鳴かなんかがどっかのバ会長の声に似ていたし。
『これより、第55回開星学園と第53回無才学園と百合ノ宮学園の合同体育祭の開催を宣言します』
かくして三校を代表して、会長の草加菜月の開催宣言で日本一注目されている体育祭は開幕した。
隣にいる百合ノ宮の柚木は、女神のような微笑みを見せて女子も男子もウットリさせ、無才の天草は「今日は思いっきり楽しめよ俺のネコ共」と、キザったらしくマイクで話すと、無才の天草ファンが大興奮して失神。
あんな奴で失神していたら世界的スターが目の前にいたら死ぬんじゃね?と、甲斐は呆れて見ていた。
そんな中で気になった事といえば、無才の生徒会達は開会式時にどいつもこいつも顔面が笑えると話題になっていた。
まるで何かに殴られたような痕だったり、アン●ンマンのように顔がパンパンに腫れていたりと、あまりの逝け面ズラにSNSで盛り上がっていたようだ。
そんな無才生徒会ファンは発狂して火消しに奔走。
しかし、その笑える顔面があちこちに出回り、ネットのおもちゃにされる始末で、今話題の爆笑トレンドにまでなっていた。
恨まれるような事をして不意打ちでも突かれたのか定かではないが、無才嫌いな生徒達やネット民はこぞって溜飲が下がったのは言うまでもない。
顔を悔し気にゆがめ「矢崎めぇ~」と、唸るような声を出す。
天草にとっては矢崎は地雷。それに反して天弥が矢崎を気に入った様子らしく、嫉妬の炎を燃え滾らせ「ゆるさん!」と、勝手に憎しみを抱き始めた。
「時雨!いいじゃないか!おれはおーるまいふれんずをモットーとしているんだぞ!直と仲良くなってもいいだろぉ?な、な?」
「て、天弥は天使……ですからね。あの矢崎と仲良くなりたいのも仕方ありません」
「四天王を友達だなんて本当は止めたいけど、天弥は可愛いからね」
「ゆ、ゆるす……くやし」
苦渋ながらも天弥の我儘を了承する無才の生徒会メンバー。
いやいや。おかしいだろ。友達ってなんやねん。
矢崎直を気に入った?友達にするだ?だとしてもだ。矢崎にだって選ぶ権利はあるだろ。と、周りのまともな生徒達は思う。
「ちょっと何なのあいつら。あんな頭悪そうな天パを崇拝しているみたいでキモイんですけどっ。野郎の姫気取り?」
「私の兄があんな天パに狙われているなんて妹として同情しますわ」
兄の甲斐の事を知っている生徒会や、なんとなく矢崎直の名前が聞こえたので耳を傾けていると、そのまま辛辣に感想を述べた。それを聞いた無才の生徒会一同が見る見るうちに顔を真っ赤にさせて怒り心頭になる。
「この、女共が!」
「我が天使の天弥をバカにするなんてゆるしませんよ!」
「そうだよ。天弥を侮辱するなんて痛い目見るよそこの女共。ぼくちん、女嫌いだから手加減なしで殴ってもいいよね~?」
天草が制止するより先に田所が未来と友里香に向かって拳を向ける。
「あ、ちょ、おいお前ら!!」
天草が慌てて間に入ろうかと考えるも先に、決着は早々に着いた。
「ぎゃあ!!」
鈍い声をあげたのは女側ではなく田所であった。
未来が田所相手に腕をひねりつつ、足払い。すっ転んだ田所の足をそのまま鷲掴んで足四の字固めを決めた。
悲鳴をあげて痛がる田所。顔面に一撃入れてダウンさせる。奴らが束になっても未来には勝てない事を無才共は知らない。
「女相手だと思って舐めてんじゃねーよ!あたしを止められるのはお兄ちゃんだけだ!」
「そうですわ!甲斐様だけ。あなた方のような野蛮な無才の連中に負けるわけがありませんの!とっととくたばりなさい、無礼者」
負けじと友里香も近くに落ちていた長い木の棒を持ち、くるくるとまわして華麗に構えをとる。そして、副会長の武者小路と書記の篠田を強烈な突きで圧倒した。
「うぎゃ!」
「ぎゃあ!」
無様に吹っ飛ぶ副会長と書記。友里香の突きは見事であった。
「わたくし、槍を得意としていまして、王蔵院流槍術の免許皆伝ですの。ただ守られるか弱き乙女だと思ったら大間違いですわ!」
未来と友里香が今度は天草に向かって構えをとる。
「最後はあんたね。バ会長」
「甲斐様の敵となる者は私達の敵です」
「ま、まて!お、俺は決してお前らを仇名す存在というわけでは!むしろ架谷甲斐の仲間で「「問答無用!!」」
二人は同時に天草向けて走り込み、
「わたくしたちの邪魔をする野郎共は……」
「お兄ちゃんの名に懸けてもれなく死ねぇえっ!」
ぎゃあああああ――――!!
天草の断末魔の叫びがこの辺り一帯にこだました。
無才生徒会一同をボコボコにしたが、天弥という生徒はいつの間にか逃げていなくなっていたのであった。
*
「どうしたんだよ甲斐?」
「や、なんか聞こえたような気がして……」
「そうか?なんも聞こえねーけど」
「じゃ、たぶん空耳だな」
空耳にしておこう。さっきの悲鳴かなんかがどっかのバ会長の声に似ていたし。
『これより、第55回開星学園と第53回無才学園と百合ノ宮学園の合同体育祭の開催を宣言します』
かくして三校を代表して、会長の草加菜月の開催宣言で日本一注目されている体育祭は開幕した。
隣にいる百合ノ宮の柚木は、女神のような微笑みを見せて女子も男子もウットリさせ、無才の天草は「今日は思いっきり楽しめよ俺のネコ共」と、キザったらしくマイクで話すと、無才の天草ファンが大興奮して失神。
あんな奴で失神していたら世界的スターが目の前にいたら死ぬんじゃね?と、甲斐は呆れて見ていた。
そんな中で気になった事といえば、無才の生徒会達は開会式時にどいつもこいつも顔面が笑えると話題になっていた。
まるで何かに殴られたような痕だったり、アン●ンマンのように顔がパンパンに腫れていたりと、あまりの逝け面ズラにSNSで盛り上がっていたようだ。
そんな無才生徒会ファンは発狂して火消しに奔走。
しかし、その笑える顔面があちこちに出回り、ネットのおもちゃにされる始末で、今話題の爆笑トレンドにまでなっていた。
恨まれるような事をして不意打ちでも突かれたのか定かではないが、無才嫌いな生徒達やネット民はこぞって溜飲が下がったのは言うまでもない。
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